アナザー・ディメンジョン -異界交流記-   作:誠龍

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第71話 裏社会の脅威

「……小倉?どこだそれは」

 

「福岡の北九州市にある街だ。博多駅からJR線で行ける」

 

福岡県北九州市小倉は北九州の中心部であり、JR小倉駅や小倉城が存在する場所は小倉北区と呼ばれる場所である。

丁度このJR小倉駅周辺の街で最近怪しい中国人が増えているという情報があるらしく、それが神鳥会に関係しているのではというのが掲示板の情報だ。

正確に言えば神鳥会そのものの情報ではないが、何の手がかりもない今調べる価値はあるかもしれない。

ブラッドの最近の調査によれば神鳥会は末端の組織には本部との接触を許していないようで、街で暴れているような下っ端では組織の幹部に繋がるような情報は得れないらしいが……とにかく情報が不足している以上、手当たり次第に当たってみるしかなさそうだ。

 

「ブラッド……やっぱり行くのか?」

 

「……ああ。僕はアルファの安否を確かめるまでは諦めない」

 

「なら俺も……」

 

「ダメだ」

 

ブラッドはついていこうと言い出しかけた龍馬の言葉を遮った。

 

「これは僕の問題だ。それに相手は裏社会の人間。自らのためなら何でもする奴等だ。……龍馬。お前はまだ学生なんだ。危険な事に首を突っ込むな。それとレナ……お前もだ」

 

「う……バレてたか……」

 

龍馬もレナも、二人ともまだ学生の身だ。

裏社会の組織というのは一般の人間が想像するより暗く、冷酷で、残忍で、恐ろしい。ブラッドはそんな世界のいざこざに二人を巻き込むべきではないと判断した。

龍馬とレナもブラッドのそんな考えを悟ってか、大人しく身を引いた。

ブラッドはラグーンと共に小倉に向かうことを決めているらしく「ラグーンは強い。彼さえいれば大丈夫だ」とかなり信頼を寄せているようだ。

 

「……ブラッド、無理はするなよ」

 

「危なくなったらいつでも戻ってきて」

 

「心配するな。僕なら大丈夫だ」

 

「へへ、ブラッドのお守りは任せてよ」

 

「……怪しい中国人は小倉駅周辺に目撃情報が集中している。その辺を中心に調べてみたらいいかもな」

 

「ああ、恩に切る。……じゃあ、僕はそろそろ帰るとしよう」

 

「またね、龍馬にレナ」

 

ブラッドとラグーンは立ち上がり、龍馬の部屋を出ていく。

一階に降り、「晩飯食べていかんの?」と涼子に誘われた二人だが断ってすぐ帰宅することにした。……ラグーンは少し名残惜しそうだったが。

帰宅するブラッドとラグーンを見送ると龍馬はレナを送るために共にふくまるに向かうことにした。

 

「龍馬……」

 

「ん?」

 

「ブラッド……大丈夫かな……?」

 

「……あいつは強い。おそらく大丈夫さ。それにマフィアやヤクザなんてただの学生の俺達が首を突っ込むことじゃない。その意見はブラッドが正しい。……あいつはぶっきらぼうだけど……あいつなりに俺達のことを心配してくれてるんだ。ここは見守るとしよう」

 

「うん……そうだね……」

 

不器用ながらも二人の身を案じるブラッドの気遣いを無視するわけにはいかない。

それに先ほども言った通り、相手は裏社会の人間なのだ。一介の学生風情が喧嘩だけでどうこうできる相手ではない。

どこか心の引っ掛かりを感じつつも、龍馬とレナはこれは彼の問題なのだと自分に言い聞かせて歩を進めた。

いつもの見慣れた商店街に入る。しかし二人はその瞬間に何やら違和感を感じ取った。

商店街全体がざわついている。さらに歩くとふくまるの前に警察官が。

 

「……なんだ!?」

 

「龍馬、急ごう!」

 

店に駆け寄り、警官を押し退けて中に入るとそこには泣き崩れるおばちゃんと事情聴取を受けている勇斗の姿が。

 

「おばちゃん!?」

 

「おばさん、どうしたの!?」

 

だが二人が話し掛けてもおばちゃんは泣くばかりで会話にならない。

見かねた勇斗が警官との会話を一旦止めて龍馬達に説明する。

 

「龍馬、レナ!大変だ!愛華姉ちゃんが……!愛華姉ちゃんが……!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……誘拐されたんだよ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

警官の事情聴取が終わるとふくまるは臨時閉店した。こんな状況で店を続けられるはずがない。おばちゃんは悲しみのあまり、一言も喋らないままだ。

 

「さっきふくまるに忘れ物を取りに来たらこんな状況になっててな……。そうだ、龍馬……これを……」

 

そんな中勇斗が龍馬に渡したのは一枚の封筒。送り主の名は書かれていない。龍馬は封筒を開け、中を見た。

 

 

 

 

 

「"福田 愛華は預かった。無事に返して欲しければ後日、指定の場所まで『真龍寺レナ』一人で来い"」

 

 

 

 

 

 

龍馬はそれを見て改めて愛華がさらわれてしまったのだと悟った。

そして敵は何故かレナの身柄を要求している。

 

「これは……」

 

「なんで私を……一体これは…………龍馬!ここ見て!」

 

「!!」

 

レナが指差した場所には彼女の身柄を引き渡す場所が指定されていた。

そこはなんと小倉。そして小倉の繁華街である堺町と記されている。

この表記を見た瞬間、龍馬はあの不確かな情報が正確なものであると確信した。

 

「間違いねえ……!愛華姉ちゃんをさらったのは神鳥会……!そして奴等の本拠地は……!!」

 

「小倉……だね……!!」

 

「ああ……!レナ!」

 

「わかってるよ!……もしもしブラッド!?」

 

 

 

 

 

 

 

一時間後。龍馬とレナはブラッドとラグーンのマンションにいた。そしてあの出来事を説明する。

 

「愛華さんが……!?」

 

「……なるほどな。状況を聞く限り、その犯人は神鳥会、あるいはその息がかかった組織の可能性は高い。だが龍馬にレナ、お前達を……」

 

「お前が何と言おうと俺は小倉に行くぜ」

 

「私も龍馬と同じだよ。……家族をさらわれて黙っているほど大人じゃない。それに……奴等は私の身柄を渡せって要求してるんだよ」

 

レナにとって愛華は姉のような存在であった。

どんな時でも笑顔を絶やさず、ふくまるの看板娘として常連客達を楽しませ続けた。

龍馬にとってもそれは同じようなものだった。

龍馬がふくまるに初めて来たのは小学生の頃。そして一人で通うようになったのは中学生の頃からだ。龍馬が落ち込んでいるとおばちゃんのラーメンの味と優しい愛華の言葉が嫌なことを忘れさせてくれた。だからこそ……

 

「許せねえ……無関係の人達にまで手を出しやがって……!!」

 

もはや龍馬の怒りは限界を超えていた。

相手はマフィアだ。相手はこちらに容赦しないだろうが、ならばこちらも容赦する必要はない。

龍馬はルナ・アームを使い、戦うことを決めたのである。

 

「もうマフィアだろうがヤクザだろうが知るか。俺の大事な人達を傷付けるような奴等は全員この世に生まれてきたことを後悔させてやる」

 

龍馬は怒りに拳を震わせる。もはや止めても無駄だろう。ブラッドはそう悟り、軽くため息をついた。

 

「……やれやれ。命の保証はないんだぞ。それでもお前達は行くんだな?」

 

「当たり前だ。このまま黙ってられるか。それにこちとら異世界でも命懸けの修羅場くぐってきたんだ。あんな奴等に負けるほどヤワじゃねぇ」

 

「あいつらに真龍寺流空手の真髄を見せてやる!」

 

「わかった。じゃあ、明日の朝に博多駅に集合だ。いいな?」

 

「おう」

 

「了解!」

 

こうして彼等はさらわれた愛華を助け出すために北九州・小倉へと向かうことを決意したのであった。

 

 

 

 

 

 

 

翌日、JR博多駅からJR小倉駅へ着いた四人。

龍馬とレナは幼いラグーンが本当に強いのか半信半疑だったがブラッドによれば戦闘能力は高いらしく、以前ラグーンにちょっかいをかけたチンピラをクモの能力を駆使した素早い移動でたくみに翻弄し、多脚による大きな打撃を与えたようだ。

さらに両手や口からクモの(ウェブ)を吐き出して攻撃したりもしていた。このウェブは粘度をラグーンの意思で調節出来るようで、彼はこれをチンピラ達に浴びせて拘束し、無力化したのだとか。

 

「あの時の奴等の顔と言ったら見物だったぞ」

 

「ほんとだね!」

 

ブラッドはクスクスと笑い、ラグーンは腹を押さえてケラケラと笑っている。

そんな雑談をしている内に電車は小倉駅へと着いた。

四人掛けの座席から立ち上がると電車を降りてホームの階段を登る。すると何やらいい香りが。

 

「お。かしわうどんか。丁度いい、腹ごしらえといこうぜ。腹が減っては戦は出来ぬ、ってな」

 

そこにあったのは立ち食いスタイルのうどん屋。立ち食いといえばそばが有名だが、小倉では福岡県民のソウルフード・うどんが主流である。

小倉駅のかしわうどんは非常に人気であり、今も食事スペースのほとんどが埋まっているが、丁度四人が食事を終えて立ち去ったので龍馬達はそこに入る。

龍馬、レナ、ブラッド、ラグーンの四人はかしわうどんを注文した。熱々のかしわうどんが目の前に出され、三人はズルズルとうどんをすする。ブラッドもラグーンもだいぶ箸に慣れたようだ。

ラグーンの外見に店のおばちゃんは驚いていたがブラッドが「異世界のそういう種族だ」というと納得したらしい。ブラッドもラグーンもこれで色々ごまかせるので異世界様々である。

 

「ふう……うまいな」

 

「なんでこう……駅の立ち食いって……うまいのかねぇ……」

 

龍馬が出汁を飲み干して一息つき、レナが感想を漏らしながらさらに麺をすする。

甘い味付けの小さなかしわの山、薄っぺらいかまぼこ、やたら多いネギ。麺は冷凍ものをその場でさっと茹でているだけのうどん。お世辞にも良い食材とは言い難い。だが何故かこの立ち食いうどんはやけにうまく感じるのだ。

 

「……立ち食いっていう……シチュエーションのせいも……あるのかもな……」

 

「確かに、立ったまま食べるっていうのはお店じゃなかなか無いよね」

 

麺をすすりながら言うブラッドとラグーンの言葉になるほど、と龍馬もレナも頷く。

やはりなかなか繁盛しているようで、龍馬の左隣の二人のサラリーマンが食べ終わると、今度は入れ替わりに全身が鱗に覆われた爬虫類の種族……リザードマンの男性がやってきて龍馬は驚く。

 

「おばちゃん!カシワウドンとカシワオニギリをひとつずつくれ!」

 

「はいはい!ちょっと待ってね~」

 

作業着を着たリザードマンは常連客なのか店のおばちゃんは特に驚いた様子もなく、うどんを作り始める。

出来上がったうどんを食べるリザードマンの男性はとても満足そうだ。……リザードマンすら魅了する小倉のかしわうどん、恐るべし。

 

 

 

 

 

食事を終えた龍馬達は堺町にある指定された場所ーーーー堺町公園へとやってきた。

約束の時間まではまだ一時間ある。こんなに早く来たのはこれからの作戦の準備のためだ。

 

「よし、じゃあ今から作戦の説明をする。……その前に僕の力について説明しておくべきだな」

 

そう言うとブラッドはカーテンウォールを少しだけ出現させる。

 

「前から思ってたが、ブラッドのその能力なかなか便利だよな」

 

「まあな……僕はこれを自由自在に操ることが出来るがこの"カーテンウォール"にはもうひとつ応用法があってな。

龍馬、今から僕が背を向けるから何かしら身体を動かしてみろ。手を上げるとか足踏みするとか何でもいい」

 

困惑する龍馬であったが、「いいからやれ」とブラッドに圧されて背を向けた彼に対して渋々右手を上げる動作をしてみる。

 

「そのまま違う動きを何種類か取ってくれ」

 

「……?なんなんだよ、ったく……」

 

言われるままに龍馬は両手を上げ、その次は腕を振り回したり、その場でグルリと一回転してみたりと様々な動作を交えてみた。

 

「……ふむ。龍馬、お前は今右手を上げ、両手を上げ、両腕を回転させ、その場で右回りに一回転したな」

 

「……!?」

 

「『何故わかった?』と言いたい顔をしているな?これが僕の"カーテンウォール"のもうひとつの能力……"敵の位置や存在や動きを察知出来る能力"だ」

 

「察知能力……!?」

 

「そうだ。僕のカーテンウォールは敵を攻撃したり防御をしたりするだけではなく、生物や物体が起こす空気中の僅かな振動を察知できる。これによって位置や対象がどんな動きをしているかまで把握できるというわけだ。そこでだな……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レナは一人になり、約束の時間を待つ。そしてその時間になると二人の怪しい男が近づいてきた。

 

「……"真龍寺レナ"カ?」

 

「……ああ、私がレナだよ」

 

「……俺達ト来イ」

 

「……わかった」

 

相手は中国人だ。おそらく神鳥会に少なからず関わっている者だろう。二人はレナの両脇に立って彼女を連れ去ろうとする。その瞬間ーーーー。

 

「オラァッ!!」

 

「はっ!!」

 

「それっ!!」

 

いきなり男達の背後から龍馬、ブラッド、ラグーンの三人が現れて後頭部を攻撃し、男達を地面に叩きつける。

ブラッドが一人をカーテンウォールで叩きつけてラグーンがウェブで拘束し、龍馬がもう一人の髪の毛を引っ付かんで無理矢理引き起こす。

彼等は離れた所からブラッドのカーテンウォールを張り巡らせて隠れて監視していたのだ。

 

「テメーらのアジトを教えろ!!答えなきゃ答えるまでぶん殴る!!」

 

「ググ……日本人メ……!!」

 

龍馬はすかさず二発の拳を叩き込む。そして男が答えるまで何度も問答し、顔面を殴り続ける。

 

「まだ痛い目に合いたいかコラァ!」

 

「ヒッ……!ワ、ワカッタ……!教エル……!"龍晩餐(ロンワンチャン)小倉店"ダ……!一時的ニダガ今ハソコヲアジトニシテイル……!!」

 

「そうか、ありがとよ」

 

龍晩餐……リオングループ系列の中華料理店だ。おそらくだが愛華もそこにいるはず。龍馬は男を思い切り殴って気絶させ、ブラッドは拘束されている男の脳天にカーテンウォールを叩きつけて気絶させた。

一行は顔を合わせて頷くと、龍晩餐・小倉店へと向かう。

店舗に辿り着くとそこはビルと一体化した店であった。規模も博多の方より大きい。"臨時休業中"の看板が立ててあり、どうやら今は店は閉まっているようだが、そんなことは龍馬達には関係なかった。

 

「よし……ここだな」

 

龍馬はそう呟きつつ、ルナ・アームを装着する。ブラッドもレナもラグーンもそれに驚くが「異世界の神サマからもらったもんだ」と簡単に説明しておいた。

今はとにかく愛華を助けることを考えなければ。龍馬は決心し、店の入り口の前に立つ。

 

「行くぞみんな。準備はいいか?」

 

「いつでもいいよ!」

 

「愚問だな」

 

「大丈夫だよ!」

 

三人とも意気込みは充分だ。龍馬は力を込めてドアを攻撃する。

 

「どりゃああああっ!!」

 

ドアを蹴破り、中へと突入する。内部には中国人の男達が数多く存在しており、龍馬達に気付くとある者は素手で、ある者はナイフで、ある者は銃を手に応戦体制を取る。

 

 

だが、もはや怒りに震える龍馬がそんなものを恐れるはずはなかった。

 

 

「オメーら全員ぶっ飛ばしてやる!!覚悟しやがれ!!うおおおお!!」

 

龍馬は一番近い中国人の男に突進し、いきなりルナ・アームによるパンチをお見舞いした。

その威力は凄まじい。男は5メートルは吹き飛び、周りの仲間まで巻き込んでテーブルに突っ込んだ。

その瞬間、銃を持った男が龍馬を狙って発砲するがその弾丸は謎の波動に遮られる。ブラッドのカーテンウォールだ。

 

「無駄だ」

 

「ク、クソッ!」

 

男はさらに発砲するがのれんに腕押し、カーテンウォールは弾丸を通さない。

その時、ラグーンのウェブが男の銃に向かって飛んだと思うと銃が丈夫なウェブに包まれ、発砲が出来なくなる。

慌てて銃を捨てる男。と、そこへーーーー

 

「ハァッ!!」

 

レナの飛び蹴りが男の顔面にクリーンヒットし、鼻血を吹き出しながら男は倒れる。なかなかのコンビネーションだ。

 

「うおおおお!!」

 

龍馬はテーブルを振り回して男達をなぎ倒す。さらに再び現れた銃持ちの男にバレンの獄炎を浴びせてやった。身体中に引火した火によって男は悲鳴を上げながら逃げ出す。

エントランスの敵を片付けると右側には廊下、左側には厨房へ続く道が続いている。

 

「よしラグーン、俺と左へ来い。ブラッドとレナは右側だ」

 

「よし!」

 

「任せろ」

 

「了解!」

 

四人は二手に別れる。厨房へは龍馬とラグーンが、廊下の方にはレナとブラッドが向かう。

厨房に向かった龍馬とラグーンはさらにそこで神鳥会構成員であろう男達と対峙した。

 

「行くぞラグーン!」

 

「任せてよ!」

 

二人は勢いを止めずに襲い掛かる。

ナイフを持った敵が龍馬の身体目掛けて素早く攻撃を仕掛けるが、龍馬はルナ・アームで防御すると腕を掴んで捻り、そこへアッパーで攻撃して無力化する。

 

「それっ!」

 

ラグーンは助走から素早く飛びかかると空中で身体を前方向に勢いよく回転させて構成員の男を多脚で攻撃する。

さらにあわてふためく隣の男に飛びかかって馬乗りになると、両手と多脚で何度も殴り付けた。

 

「怪物メ!!」

 

「うわわっ!?は、離せっ!!」

 

その後ろから巨体の男がラグーンに攻撃を仕掛けるが、素早く駆け寄った龍馬に鳩尾へとルナ・アームによる拳撃で殴られて悶える。

龍馬は怯んだ男の胸ぐらを掴むと調理台へとそのまま近づいた。

 

「このデカブツが!焼肉にしてやるよ!」

 

「ヤッ、ヤメ……!ギャアアアアアアア!!!!」

 

龍馬はガスコンロの火に巨体の男の顔を思い切り、容赦なく押し付けた。暴れる男をなおも火に押さえつけて顔面ステーキにしてやる。

ある程度のところで龍馬は男の顔を持ち上げる。酷い火傷まみれの顔に龍馬はさらに無慈悲に拳を打ち込んだ。

 

「よし、片付いたな。ラグーン、行くぞ!」

 

「了解だよ!」

 

龍馬とラグーンはさらに奥を目指した。

一方ブラッドとレナは廊下を進んでいたが、突き当たりの角からマシンガンを装備した構成員が二人現れた。

 

「レナ!僕の後ろに隠れろ!」

 

「オッケー!」

 

ブラッドがカーテンウォールの盾を作り、そのブラッドの後ろにレナが身を隠す。

次の瞬間激しい銃声と共に周囲の壁に弾痕が穿たれ、ブラッドのカーテンウォールの盾にも衝撃が走る。

ブラッドはそのまま真っ直ぐ突進し、レナも真後ろから追従した。無数の弾丸を防御しながら二人の男に急接近するブラッドとレナ。

 

「くたばれ!!」

 

「でやぁっ!!」

 

ブラッドのカーテンウォールが形を変えて右側の男を殴りつけ、さらにブラッドの後ろから飛び出したレナが左の男に鮮やかな回し蹴りを叩き込む。

一瞬で二人を倒したブラッドとレナは先を急いだ。

しばらく進むとエレベーターがある。どうしたものかと悩んでいると龍馬とラグーンが反対側から現れた。どうやら向こうもこちらへ繋がっていたようだ。

ここに来るまでに色々探したが愛華はいない。やはり上層階だろうか。四人はエレベーター横の案内マップを確認してエレベーターに乗り込み、最上階の一階下にある社長室を目指した。そこならば組織の幹部クラスの人間がいるだろうと踏んだからだ。

エレベーターを降りてさらに構成員をなぎ倒しながら進むと社長室の前にたどり着く。

だが、ドアノブに手をかけようとしたその瞬間に後ろから増援が次々と現れる。

 

「龍馬!先に行け!ここは僕達が食い止める!」

 

「ボスは任せたよ!」

 

「龍馬、やっちゃって!」

 

三人が前に飛び出して無数の増援と戦いを繰り広げる。

 

「みんな……!よし、後は任せるぜ!」

 

龍馬は三人に雑魚の処理を任せ、ドアを開けて中へと突入する。

中に入るとーーーー丸いサングラスをかけたいかにも幹部といった出で立ちの中国人の男がいた。

 

「テメーが神鳥会の幹部か!覚悟しやがれ!」

 

「騒ぎガあるカラどんなヤクザがカチコミに来たカと思えバ……ただのガキじゃナイカ……まあイイ。ココマデ来れたコトハ誉めてヤロウ。ダガ……」

 

男は懐からナイフを取り出すと巧みに片手でそれを回して操り、構える。……この雰囲気、只者ではない。龍馬は直感でそう感じた。

 

「お前ハマフィアを敵に回シタ。子供といえど容赦ハシナイ。……俺は神鳥会幹部・チャン。サア、かかってくるがイイ!!」

 

「上等だ!!ぶっ飛ばして日本から叩き出してやるよ!!」

 

怒りに震える龍馬はチャンにルナ・アームで思い切り殴りかかる。だがチャンはそれを素早くかわしてナイフで龍馬の目を的確に突こうとするが、龍馬はチャンの腕を掴んで腹を蹴飛ばし、素早く距離を取る。

そのまま攻撃の回避と防御の連続、二人の攻防が続いた。

 

 

 

 

 

 

ーーーーついに神鳥会幹部との死闘が始まったのだ。




・vs神鳥会構成員戦イメージBGM……
『Tusk』
(『龍が如く0 誓いの場所』より)

・龍馬vs神鳥会幹部チャン戦イメージBGM……
『絆』
(『龍が如く6 命の詩。』より)
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