アナザー・ディメンジョン -異界交流記-   作:誠龍

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第91話 デッドヒート・モトクロッサー!(中編)

文化祭の会議も終わり、福岡中央高校は出し物の準備に取り掛かっていた。

生徒達は本番に向けて買い出しに出掛けたり、設備を作ったり、劇の練習をしたりと忙しそうだ。龍馬のクラスでは演劇の練習と出店の準備が着々と進んでいる。

 

「斎藤ー!ちょっとそっちの道具を取ってくれー!」

 

「あいよー!」

 

演劇の練習を行っているクラスメイトが多目的教室に行っている今、龍馬の教室では出店の看板作りに勤しむ光景が見られる。

学校はダルくて仕方がないが、こういう時はなかなか楽しいものだ。思えばここ二ヶ月は異世界へ旅行に行って事件や戦いに巻き込まれたり、ようやく夏休みが終わったかと思えば今度は中国から攻めてきた大企業やマフィアやヤクザと命懸けの喧嘩をする羽目になったりととても高校二年生の送る生活とは思えない日々が続いていた。

ようやくいつもの日常、いつもの学校生活が戻ってきたのだと龍馬は少し安堵した。

そんな作業中の最中、看板の文字と絵を描いているクラスメイトの男女が話し掛けてくる。

 

「なあなあ斎藤、今度来る騎士団の人ってお前の知り合いなんだって?城島から聞いたぜ!」

 

「え!?ほんとに!?斎藤君、あの騎士団の人達と友達なの!?」

 

「え……?うん、まあ……」

 

その会話を聞いた他のクラスメイトが芋づる式に反応し、龍馬を質問攻めにしてくる。こうなるのがわかっていたから敢えて言わなかったというのに……勇斗のヤツ、余計な事言いやがってあのおしゃべりゴリラめ、と心の中で舌打ちする龍馬。

結局龍馬はクラスのほとんどからオールデン騎士団に関する事を根掘り葉掘り聞かれ、その対応に追われることとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おー!すごい!」

 

ディレットが眺めているのはグラウンドの様子だ。文化祭を三日後に控えたこの日、オフロードレース用の土が工事業者によってグラウンドに運び込まれ、みるみるうちにグラウンドがモトクロスサーキットに変化していく。

さらに観客席が設営され、コースの端のガードやバリケードにはスポンサーのエナジードリンクメーカーのロゴが描かれたものが設置されている。これが元は学校のグラウンドとは思えないレベルだ。

 

「一体どんな人脈と財力持ってりゃこんなことが出来るんだろうな、うちの校長は。まあ、おかげで楽しい祭りになるんだけどな」

 

いくら金とコネがあるといっても高校の文化祭でここまでの規模のイベントを開けるのは日本 の高校多しと言えどもうちくらいのものだ。前にも言ったがそれを目当てに来場する客も多い。もはやこの規模の催しを"文化祭"と呼んでいいものか甚だ疑問だが。

 

「文化祭は明々後日(しあさって)だ。ディレット、レースのためにも体調は万全にしとけよ」

 

「もっちろん!風邪ひいたなんてオチ、笑えないからね!」

 

そう言ってディレットは軽くウインクする。

迫る文化祭。そして手に汗握る白熱のオフロードレースの開催。今年はどんな熱い文化祭になるのだろうか。龍馬達だけではなく、学校全体がその日を今か今かと楽しみにしていた。

同じ頃、アルバート達オールデン騎士団の面々は日本の羽田空港へと辿り着いていた。

 

「おお!ここが"クウコウ"ですか!見たことのない設備に出店の数々!それに祭りと見まごうほど行き交う多くの人々!いやあ、ワクワクしますね!」

 

いつになくテンションの高いアルフォンス。そして同行する騎士団員達も空港の広さや人の多さに驚きの声を上げていた。

 

「アルフォンス、いつになく元気だな。まあ、無理もないか。なんせお前は初めてのニホンだからな」

 

よほど日本行きが楽しみだったのだろう。実直な男であるアルフォンスがここまで嬉しそうにしているのはアルバートでさえ初めて見る。

アルフォンスの部隊の騎士達も見慣れぬ日本の製品に興味津々でお土産屋のお菓子や売店の飲み物や食べ物を見ながらどれを買おうかと話し合っている。

 

「アルフォンス、お前は部下達と一緒にクウコウを見物してこい。ヒコウキの出発までにはまだ時間があるからな。私はちょっと疲れたのであそこの待合用の椅子で休ませてもらおう」

 

「良いのですか、団長!?」

 

「ああ。だがあんまり羽目を外しすぎるなよ?一応仕事なんだからな」

 

そう言いながらアルバートは部下の騎士達をアルフォンスに任せ、自分はターミナルの椅子に腰掛けて"おいしいコーヒーのいれ方"という本を広げて読書を始めた。

慣れというものは時に頼もしく、時に恐ろしい。飛行機に対する苦手意識は昔よりは大分減った。だが今でもやはり完全に慣れた訳ではないので飛行機に乗る必要がある場合はこうして出発までに心を落ち着かせるようにしている。これだけで飛行機に乗った時の抵抗感がだいぶ違うのだ。

アルフォンスは部下と共に売店へ買い物に行き、レイラは……こっそりビールを買おうとしていたので本のカドでドツいておいた。全く油断もスキもあったものではない。

そして一時間半後、飛行機の出発時間になり、アルバート達は飛行機に乗った。

 

「ほう!ヒコウキの中はこのようになっているのですか!これがドラゴンよりも早く飛ぶとは……早く出発してほしいものです!」

 

初めて乗る飛行機にアルフォンスはワクワクしているようでまるで少年のようにも見えたためアルバートはちょっとおかしくなって笑ってしまう。

飛行機が動き出し、離陸する。その瞬間のアルフォンスと部下達の顔といったら、昔の自分達を見ているようでなかなか見物だ。不思議な懐かしさのようなものを感じるアルバートであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして遂に文化祭当日。待ちに待った一大イベントの日がやってきた。

学校は屋内外問わず大勢の人々で賑わっていて、龍馬達は出店のたこ焼き作りに追われていた。

 

「はい!たこ焼き二人前ね!……勇斗!たこ焼き二パック詰めてくれ!ひとつはマヨネーズありで頼む!」

 

「あいよ!」

 

龍馬が焼いたたこ焼きを勇斗がパック詰めしていく。さっきからひっきりなしに客が来ており、"息つく間もない"というのはまさにこういうことなのだと実感させる。

 

「200円のお釣りでーす!……あ、ディレット!もう100円玉が少ないわ!職員室行って両替してきて!」

 

「わ、わかったわ!」

 

千春が会計を担当しているが、小銭が少なくなってきたのでディレットに両替を任せる。

文化祭の開始早々、本当に人が多い。しかも今回はオールデン騎士団の参加も告知されているので、異界の騎士達を一目見ようと去年以上の参加者が集まっている。

文化祭の二日前に龍馬はアルバート達と再会し、学校へと招待した。校長と会ったアルバート達はその後打ち合わせを続け、現在は朝早くに学校へやってきて一般客の立ち入りが禁止されている四階の三年生の教室を楽屋代わりに控えている。おそらくは最後の演武練習を行っているだろう。そんな最中、見慣れた来客が。

 

「へい、いらっしゃ…………おっ、ルビィか!いらっしゃい!」

 

「へへ、リョーマ()ィ、来たよ!」

 

「やっほー、龍馬!」

 

少し離れた所にいる両親の元から駆け寄ってくるルビィ。頭の上にはアヤが座っており、肩にはルミナが乗っている。

 

「リョーマ兄ィ、はい!ヒキカエ券!」

 

ルビィが差し出したのは出店用のたこ焼き引換券が四枚。これがあれば引換券の分だけ無料で出店の食べ物を購入できる。事前に龍馬とディレットが渡しておいたものだ。

 

「はいよ!ちょっと待ってな!……勇斗!たこ焼き4パックだ!」

 

「りょー!」

 

勇斗が出来上がったたこ焼きを手早く包む。慣れてきたせいか、最初よりスピードが早くなっている。

勇斗から出来上がったたこ焼きを受け取ったルビィは両親の分の2パックの入った袋を腕に下げたまま、アヤやルミナと分けあって食べる。

熱々のたこ焼きは表面がカリッと焼けていて、中はとても柔らかくて美味い。兄が作ったたこ焼きはかなりの出来だ。

 

「熱っ……ハフハフ……美味しい!」

 

「うーん、たこ焼きなんて久々に食べたなぁ。……あっ!ルミナ、それ私の!」

 

「へへーん、早い者勝ちー!遅いアヤが悪いんだよー!」

 

そんな三人を見ていて微笑ましいと思っている最中、ルビィ達を見かけたクラスの女子が集まってくる。

 

「え!?もしかして前に言ってた斎藤君の妹のダークエルフちゃん!?」

 

「かわいー!いいなー、私もダークエルフの妹が欲しいよー」

 

「しかも妖精さんまでいるし!斎藤君の家が羨ましい!」

 

あっという間にクラスの女子に取り囲まれたルビィ達はたちまち皆の人気者になった。

かつては"赤目の盗賊"、"忌まわしき魔の子"と罵られ、蔑まれた自分が今はこんなに沢山の人達に囲まれてもてはやされていることにルビィは幸せを感じつつも若干赤面していた。

ルミナやアヤも同じで小さな妖精である二人も(アヤはガジュマルの精霊であるキジムナーだが)、その小ささによる愛らしさから「かわいい」「かわいい」と連呼されて照れている。

 

そんな時、校内放送でレースに関する案内放送が流れ、会場に響き渡る。

 

「"まもなく、福岡中央高校オフロードレース・予選Aブロックを開始します。予選Aブロック参加の選手はグラウンドの選手エリアでスーツに着替えてください……繰り返します……"」

 

遂にレースが始まろうとしている。龍馬はクラスメイトの男子と焼き係を交代してもらい、準備を始める。

今回のレースの参加者は28人。予選ではA・B・C・Dブロックのそれぞれで7人ずつが競技を行い、1ブロックにつき上位3人、合計12人が準決勝へ進める。

準決勝では予選を勝ち抜いた12人がA・B・Cの3ブロックで再び4人ずつで勝負し、上位6人のみが決勝へ進出出来る。そして最後の6人が決勝で優勝の座を狙って熱いデッドヒートを繰り広げることになるのだ。

まずは予選。だからといって気は抜けない。

 

「リョーマ、頑張ってね!後で応援しに行くから!」

 

「おう!」

 

ディレットはCブロックの参加だ。勝ち抜けばの話ではあるが龍馬と戦うのは先になる。

龍馬は親指を立てると意気揚々とグラウンドへ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

学校が用意したモトクロス用の黒いレーシングスーツとオフロードヘルメットを着用し、龍馬はマシンに跨がって準備をする。いよいよスタートだ。校長の人脈で用意されたメカニック担当スタッフによりマシンの調子も万全である。

 

「"さあ、今年もやってまいりました!平成28年度福岡中央高校文化祭オフロードレース!今年の優勝を掴むのはどの生徒か!?実況は私、芸能学科所属二年の伊月凛がお送り致します!"」

 

どうやら凛が実況のアナウンスを担当するようだ。隣には解説役なのか速水校長が座っている。なかなか様になっているのが面白い。

 

「"それでは予選Aブロックを開始します!選手はスタートラインについてください!"」

 

凛のアナウンスで龍馬と他の6人がスタートラインへとバイクを走らせる。

後はスタートを待つのみ。緊迫した空気が会場を包む。

 

「"カウント5秒前!4……3……2……1……"」

 

自然と手に力が入り、ハンドルを握る手が汗ばんでいるのがわかる。

緊張の一瞬。響き渡るエンジン音。そして……

 

 

 

 

 

「"GO!!"」

 

 

 

 

 

 

凛のカウントがゼロになった瞬間、一斉にバイクが飛び出していく。タイヤが土煙を上げながら高速で回転し、マシンを加速させる。

 

 

遂に始まった。福岡中央高校の最も熱い一大イベントが。生徒達が白熱のレースバトルを繰り広げるデッドヒートが。

龍馬は若干出遅れ、現在の順位は4位。なんとかギリギリだ。

予選と決勝ではルールが少し違う。まず予選では15分間のレースでどれだけ周回が出来たかを競う形になる。

 

「"始まりました!福岡中央高校オフロードレース予選Aブロック!ぶつかり合う熱きライダー達!勝利の栄光を手にするのは果たして誰なのか!?これは目が離せない!!"」

 

響くエンジン音。舞う土煙。沸き立つ観客達。龍馬は決して負けられないと強くハンドルを握る。ここで負けていては仲間達に向ける顔がない。最初のコーナーを曲がりつつ、さらに上位を目指す。

 

「リョーマぁー!頑張ってー!」

 

「負けるんじゃねーぞー!」

 

生徒用観客席からディレットと勇斗が声援を送る。さらに一般来場者用の観客席からもルビィ達が応援しているのが龍馬の視界にチラリと映った。

 

「(よし……!)」

 

再びハンドルを強く握る龍馬。次に龍馬は二連続の谷間が続くジャンプ台へと差し掛かり、一気に加速した。

エンジンが一層唸りを上げ、車体が加速する。

一度目のジャンプで龍馬は一人を抜き、二度目のジャンプでもう一人を抜いた。

本格的なモトクロスに関しては未経験だが、異界の舗装されていない地を駆け巡ったあの感覚は間違いなく今役に立っている。

そしてーーーーひときわ大きなジャンプ台で龍馬は最後の一人を追い抜き、トップに躍り出た。

 

「(これなら……行ける……!!俺が……トップだ!!)」

 

「"おおーっと!!トップに立ったのは2-Aの斎藤龍馬選手だ!!素晴らしいライディングテクニックです!!鮮やかなジャンプでトップに躍り出ました!!そんな彼の愛車はNinja250!文字通りニンジャのような身のこなしでライバルに差をつけていきます!!"」

 

龍馬は最速はこの俺だと言わんばかりに悪路を走破する。

この興奮こそバイクレースの魅力のひとつ。風を切り、ライバルをブッちぎる。それはオンロードでもオフロードでも関係ない。

ただひたすらに勝利を求めて走る。この僅かな時を長く感じるほどにレースというものは濃密だ。

ライダーも、観客も、アドレナリン全快で興奮の渦に包み込む。レースとはなんと最高の競技であろうか。事故(クラッシュ)や死の恐怖すら凌駕するほどの熱に満ちた戦いがそこにはあった。

龍馬はそのまま首位を独創し、ライバルの接近を許さない。

ここに来て異界でのツーリング経験が功を成した。龍馬はそのまま圧倒的な大差をつけて予選を悠々と勝ち抜いたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

圧倒的大差で予選を通過した龍馬はクラスメイト達からもてはやされ、学生服に着替えると観客席に戻る。次は予選Bブロックだ。

Bブロックでは勇斗が参加することになっている。たこ焼きと焼きそばを食べながらディレットと共に観客席から応援することにした。

 

「行けー!ハヤトー!」

 

「野生の力見せたれやゴリラぁー!」

 

モータースポーツにおいて"軽さ"というのは重要な部分である。元々身体が大きく、筋肉もあって体重の重い勇斗はそれだけでハンデを背負っているはずなのだが、それを感じさせないほど軽快で見事な走りを見せる。やはり彼も異世界でのオフロード経験が生かされたようだ。

 

「どぉりゃあ!!」

 

巨体に見合わぬ見事なジャンプを勇斗は披露する。自分はヤマハファンだがホンダのバイクも悪くないと勇斗は僅かに思った。

しかし巨体故の重量からか、コーナーリングで徐々に差をつけられ、その後は抜いたり抜き返したりを繰り返してしまった。

残念ながら順位は2位だったものの、なかなかの成績だ。準決勝進出はこれで確定である。

続いてCブロック。ディレットの参戦である。

これはもう見事としか言いようがない。ディレットは森と共に生きてきたエルフだ。軽い身のこなしに加え、元々オフロードバイクを普段から乗り回している彼女にとってこのモトクロスサーキットを走破するなど森の中の遊び場を駆けるより容易いことである。

 

「こんな道……故郷の森の方がよっぽどデコボコしてるわよ!!」

 

ディレットが見せるのは見事なコーナーリングと素早い立ち上がりからの加速による引き離し。森の民エルフの身軽さと身のこなしはバイクレースにおいては大きなポテンシャルと成りうるのだ。

 

「行けー!ディレットー!ブッちぎれー!」

 

「いいぞー!ガンガン行けぇー!」

 

観客席からの龍馬と勇斗の応援の声。マシンを操っている今、聞こえたかどうかは定かではないがディレットはまるでそれに反応するようにマシンを加速させ、彼女のKX250Fはさらに唸りと土煙を上げて走る。

エルフの参加者だと思ってナメてかかっていた他の参加者は彼女のライディングテクニックに度肝を抜かれることとなり、結果としてディレットはなんとトップで予選の勝利を飾ったのである。

緑色のレーシングスーツに身を包んだディレットがマシンから降りるところに龍馬と勇斗の二人は駆け付けて、彼女の健闘を称える。

 

「やるじゃねーか、ディレット!」

 

「まさかトップとはなあ。俺なんか2位だったのに」

 

「ありがとね、リョーマにハヤト!次は準決勝だね!頑張ろう!」

 

「「おう!」」

 

その後予選Dブロックも終わり、準決勝進出者が決定した。

準決勝と決勝は午後のプログラムになる。次は演劇関係の項目が体育館で開かれる。龍馬達はその演劇の照明係のために体育館へと向かう。

その途中アルバート達オールデン騎士団と出くわした。三人とも現代の服装を着ている。アルフォンスは着心地を気に入っているようでさっきから何度も服のあちこちを確認していた。

 

「やあ、リョーマ君。君達も劇の鑑賞ですか?」

 

「鑑賞というか仕事です。"ロミオとジュリエット"は俺達のクラスの出し物なんで。俺と勇斗は照明係ですけど」

 

「なんだ、リョーマもハヤトもディレットも出ないのか。つまんねーな」

 

「おいレイラ、口を慎め。失礼だろうが。……失礼したリョーマ君。帰ったらこいつは地獄の訓練コースの刑に処しておくからそれで勘弁してくれ」

 

「ええ!?そりゃないぜ団長!あの訓練地獄はもうゴメンだ!」

 

以前、本当にアルバートから地獄の訓練コースを受けたレイラは大好きな酒すら口にする気力がないほど疲弊したことは記憶に新しい。もうあれは勘弁してほしいと願うレイラだったが、彼女の運命は果たして。

その後、始まる演劇。クラスメイト達の熱演に会場からは拍手が起こる。

"ロミオとジュリエット"は1500年代後半にイングランドの劇作家、ウィリアム・シェイクスピアに描かれた悲劇の愛を描く物語だ。

500年以上前に作られた演劇ということでアルバートもアルフォンスも食い入るように舞台を見つめている。レイラは……元々この手の物に興味がないのか、若干眠そうだ。

そんなこんなで劇は終わり、別のクラスの演劇の幕が開ける。

それらが終わりに近づくとアルバート達は控え室へと移動した。自分達の演武の番が近いためだ。

私服から鎧に着替え、武器を持ち、部下の一人が軍旗を準備する。そこにいた三人と部下の騎士達先ほどまでとは違う、皆帝国に忠誠を捧げる軍人の顔付きだ。

偉大なる皇帝陛下の顔に泥を塗るまいとその目付きは真剣そのものだ。

しばらくすると教師の一人が控え室へとやってくる。

 

「オールデン騎士団の方々、そろそろ出番です」

 

「うむ。行くぞ皆!騎士団の名に恥じぬようにしろ!」

 

「任せとけよ!」

 

「無論、騎士の務めを果たすまでです!」

 

三人は控え室を出て舞台へと向かう。いよいよ彼等オールデン騎士団の異世界での仕事が始まる。

幕内まで来ると放送部員の女子のアナウンスが体育館に流れ始める。

 

「"……続いての演目は、異世界・アルカ帝国より来日されました、帝国のオールデン騎士団の方々による演武です。皆様、帝国からこの学校の文化祭に来ていただいた騎士団の方々を盛大な拍手でお迎えください"」

 

 

 

騎士団の面々を、照明の眩しい光が包み込むーーーー。




●予選レースイメージBGM……
『MIKADO』/Dave Mcloud
(『SUPER EUROBEAT』シリーズより)
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