主人公転生   作:超高校級の切望

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選択する責任

 虎のような模様を持った山羊が木々をへし折る。その木から跳ねた影を広い視界で捉え地を蹴り跳ねる。

 

「チィ!」

 

 その反応速度に舌打ちしつつルークは剣で防ぐ。腕が痺れる。近くの木の幹に掴むが浮き上がった勢いが思いの外強く関節がミシリと鳴る。顔をしかめながら回転して隣の木に移動した瞬間背後で木がへし折れる音が聞こえた。

 

「凍れ」

「───!?」

 

 木の枝を両足で踏み込みしなりを利用して跳ねたルークは回転しながら天地逆転した視界に映る山羊の足元を凍り付かせる。踏み込もうとした地面の硬さが変わりバランスを崩す。

 着地したルークはその隙を逃さず地面を跳ね腹を狙う。が、振り下ろされた蹄を見て慌てて回避する。頭に衝撃が走り遅れて痛みがやってくる。

 

「……………」

 

 ドロリと血が流れ視界の半分を塞ぐ。が、ゆらりと黒い光が包むと血が止まる。残った血を拭い突進態勢に入った山羊を睨みつける。

 

「ベエェェ!」

「───!!」

 

 ドン!と地面が爆ぜ、角の先端がルークの腹に突き刺さる。そのまま頭を持ち上げ地面に叩きつけようとする山羊。が、ルークがその目に剣を突き刺す。

 

「エンチャント………スパーク」

「ベ───!!」

 

 体が強ばる。全身に走る痛みにしかし暴れることも出来ない。更に再度雷が剣を通して放たれる。二度、三度、四度目にして漸く山羊は意識を失った。

 

「─────」

 

 地面に倒れた山羊の角が衝撃で抜け、ドクドクと先程とは比べられないほどの量の血が流れる。残った魔力では塞ぐのは不可能。そう判断するやいなやルークは己の喉をかっきる。直ぐにルセリアが施した死拒魔法が発動し生命活動に支障がない程度に傷が癒された状態で復活する。

 体を起こすと肉体の消滅が始まった山羊の概念体を少しでも得るために死体にかぶりつく。もっとも、直ぐに口の中で消えてしまったが。まあそれでも多少は得ているはずだ。

 戦闘中に食えなかったことを後悔しつつ残った角の片方と肉、毛皮、金を拾うと立ち上がり歩き出した。

 

 

 

 

「死拒魔法が発動したな。まあ、随分持っていた方だとは思うが……」

 

 戻ってくるなりルセリアがそう言った。彼女が施していた魔法なのだから当然彼女には発動した瞬間が解っていた。まあ、一度だけで残りが発動する気配がなかったから助けには行かなかったが。

 

「流石に奥地に行けば死なぬのが難しくなってきたか?なら、死なない領域で鍛え直すんだな」

「あっはっは!それがさ、聞いてよルセリア。ルークったら魔物に殺されたわけじゃないんだよ?」

「何?だとすると、まさか腹が減ってその辺の毒入り果実でも食ったか?」

「ん、それは最初から食べてたよ。毒耐性得るためにね……その状態で戦ってたのもあるんだろうけどお腹に穴があいちゃってさ~。そしたらルーク、どうしたと思う?治すだけの魔力がないから一度死んだんだよ。そしたら生きるのに申し分ない回復できるじゃん?」

「………………」

 

 名無しの言葉にルセリアがギロッとルークを睨みつける。ルークは自分の話をされている自覚がないのか平然と飯を食っていた。早い内に食べて概念体の残滓を喰らいたいのだろう。

 

「お前、幾ら死んでも直ぐ生き返るからって………死拒魔法の残数が切れれば本当に死ぬんだぞ?概念体が、魂が輪廻に返ってしまえば、私が間に合わなければ、もう二度と生き返らない……」

「その辺りは心得ているつもりだ。だから戻ってきた」

「………いや、そもそも何故死ねる?」

 

 もちろん死ぬ瞬間に感じる五感が遠ざかり意識が闇に沈むなどはともかく、概念体が肉体から離れる感覚は生き返らせる際に記憶から消す。そうでなければ発狂する。死にかけるとか、仮死とか、そんなのと比べるまでもない本物の死を味わって正気を保てる者など居ないからだ。それでも人は死を恐れる。

 本能的に、絶対的に………。命を惜しまぬと自爆テロを起こす者だって死の感覚の一端にでも触れれば二度とそのようなことを起こさない。実際、昔殺しに来た奴の中に命を持って貴様を~などと吼える輩も自爆した後生き返らせてやれば二度と命を懸けるなんて事は言わなかった。

 

「………………死の恐怖が食われている、か」

 

 ルセリアがギロリと名無しを見れば名無しはニコニコ笑顔のままコテリと首を傾げた。

 

「何かな何かな。ひょっとして私を責めるの?何で?私責められるようなことしてないよ」

 

 名無しは死への恐怖は食えても生きたいと思う感情は食えない。だからルークが死ねるのは生きたいと思っていないからだ。それでも本能で死が怖い、そう思う。それを食べられてるから死ねるだけ。

 

「それにルークは死にたい訳じゃないよ?ルークの夢はね、魔族を滅ぼして、悪人を殺し尽くして、自分も誰とも知れぬ場所で死ぬこと。こんなところで死ぬ気はない。だから残数が一つ減っただけで、自分を殺せるクラスの魔物の領域に入っただけで戻ってきた」

 

 とはいえ暫くが生態調査になるだけで、また直ぐに挑みにいくだろう。今回は1対1で他の魔物の追撃もなかったがそれが偶然なのかそれともあのレベルが縄張りを持って一定の間隔で居るのか。前者なら囲まれ殺され続けるのを恐れて控えるだろうが後者や群があったとしてもあの強さなら残数を考えて五匹程度なら挑みに行くに違いない。

 

「でもそれは私のせいじゃない。死の恐怖がなくなったって、死にたくなるわけじゃないし、生きたいって気持ちがなくなるわけでもない。選択肢が増えるだけ……そして『一度死ぬ』っていう選択肢が増えた責任は私だけじゃなくてルセリアにもあるよ?」

「……ぬ」

 

 確かに目的が魔族の殲滅のルークは魔族や悪人に挑んでならともかく修行中に魔物に殺されるのを良しとはしないだろう。だが遅延型の死拒魔法をかけられたからこそ一度死ぬという選択肢が増えた。

 

「だがそれと俺の行為に対する責任は別だ」

 

 と、ルークが口を挟む。一応此方の話は聞いていたらしい。

 

「選択肢を増やそうと選択肢を選ぶ権利は俺にしかない。そして、俺が選んだ。誰に言われるでもなくな」

「………ま、確かにね。道を示しただけで責められてもたまったもんじゃないよ」

「………それは、そうなんだろうが……」

「嫌なら俺に死拒魔法をかけなければいい。そうすれば俺は死ぬことが出来ないからもう少し考えて行動する」

「………いや、そうだな。お前は本心から、生き返れるなら死んでも構わんのだな………なら、彼処も使えるか………」

 

 もとより死んでも構わないと修行を頼み込んできたのだ。それが生き返る前提だとしても、だからこそ残数が続く限り彼は本当に死んでも強くなろうとする。なら、この辺りでも危険な場所も、と思わず口に出すとルークは反応してルセリアを見つめる。場所を教えて欲しいのだろう。

 

「………まだ早い。ステータスの成長速度を見る限り、最低でもレベル20………いや、15になってからだ。その上で死拒魔法100重にかけさせる」

「残機100、か……そんなに危険なのか?」

「危険だ。というかレベル20でも生きて出るなど不可能。が、彼処は感覚を掴むのにちょうど良い。そして、感覚は命がけの方が短期間で覚える」

「さっきまで命を大切にとか言ってた人の台詞?ルセリアったらスパルタん」

「私は残数を使い切ることを恐れただけだ。使い切らないことを弁えているのなら、何度死のうが知ったことか。それで狂うわけでもないのだろう?」

「私のおかげだよ!」

 

 えっへんと胸を張る名無し。チラチラルークを見てくるので意味を察したルークが頭を撫でてやる。

 

「お前、本当にこれ好きだな」

「うん。好き、なのかな?私が観察してきた人間達はね、子供達に向ける怒りが収まったり、子供が誉められるような事をするといっつもこうしてたんだ……これってあれでしょ?大好きって意思表示……良いなぁ、どんな気持ちなんだろう」

 

 なら彼女が頭を撫でられ目を細める姿が、見た目よりも幼く見えるのはその子供達の真似をしているからか、と言う感想を抱くルーク。名無しは確かに子供のような顔を浮かべていた。

 

 

 

 

 その後ルークは毎日のように森の奥へと進んだ。1日に死ぬ回数が明らかに増えて。それでもキチンと生きて帰ってくるのだからルセリアは文句を言えない。

 三週間程経った今日も今日とて森の奥。

 

「キシャアアァァァッ!!」

「────ぐっ!」

 

 ガギィィン!と火花が散る。ルークと相対するのは前足が鋭い鎌のようになった6メートル級の蜘蛛、アサシン・タラント。俊敏性が高く、蟲系統の魔物特有、硬い外殻を持つ魔物だ。

 しかも気配を消すのがとても上手い。何より厄介なのは───

 

「キィ!」

「っうお!?」

 

 アサシン・タラントが一本の足で近場の石を蹴る。それがルークの背後に落ちた瞬間網がルークを捕らえようと迫る。

 これがアサシン・タラントの厄介な所。『罠作成』。

 スキルとして存在する生成系の技能には作った物にステータスの一部が帯びる。鉄を砕く豪腕の持ち主も、『鍛冶師』スキルを持つ者が造った剣をおるのには一苦労だ。まあステータス差によるが。

 

「ぐっ───!」

 

 ギリギリと締め付けてくる糸に顔をしかめるルーク。蜘蛛や蜂などの魔物が持つ『陣地作成』とは異なる『罠作成』はレベルによっては属性も付与できる。

 

「『毒』か……」

「キシィ……」

 

 ルークが罠にはまった途端に距離を取り近付いてこなくなったアサシン・タラント。恐らく獲物を毒で殺して、安全な状態で喰らうのだろう。アサシン・タラントの糸は力で千切るのには相当な膂力を必要とする。同レベルではまず無理だ。力なら………。

 

「毒耐性手に入れて正解だったな………」

「────!?」

 

 ルークが体を縛り付ける糸をパキパキ砕くと目を見開くアサシン・タラント。何て事はない、凍らせて砕いただけ。力で無理なら他にやりようはあるのだ。

 

「キシャアアァァァッ!!」

「麻痺も効かねー………よッ!」

 

 目を光らせ牙から毒液を放ちなが迫るアサシン・タラントに、タイミングを合わせ剣を眉間に突き刺す。アサシン・タラントの奥の手、『麻痺眼』。アサシン・タラントの持つスキルの中で『罠作成』以上に魔力を消費するスキルだ。故にめったに使わない。

 が、ルークは()()()()()()()()()()()()

 アサシン・タラントの相手は初めてではない。二回ぐらい死んだが……。

 

「ギィィィ!ギギャギャギャギャ!」

 

 とはいえ相手は蟲系統の、それも魔物。植物系に次ぐ高い生命力でなお存命し暴れ回る。ルークを振り落とす気なのだろう。

 目に魔力を溜、『麻痺眼』を発動しようとする。が、ルークがその目を踏み潰す。

 

「ギ、ギイィィ!?」

 

 そのまま残りの目も破壊していく。『麻痺眼』を発動させぬように。全ての目を潰し終えると額を蹴りつけ剣を抜きながら距離を取る。とはいえ、アサシン・タラントは全身に生えた短い毛で空気の流れを読み獲物を見つけることが出来る。ルークが上に跳ぶと背後の岩がアサシン・タラントの鎌に切り刻まれる。だが、ルークは無事だ。背に降り立ち頭と体の節目に剣を突き刺す。

 

「フリーズ!」

「!?ギイィィィッ!!」

 

 体液を媒介に無数の氷柱が産み出される。ガタガタと外殻が揺れるのはルークの力では完全に突き破れないから。時折先端が僅かに外殻を破るだけ。関節からは氷柱が飛び出しみるみる解体していく。

 やがて外殻もブチブチと音を立て筋肉から剥がされていく。途中、幾つかが溶けるように消えた。魔力に分解したのだ。

 足場がなくなり地面に落ちたルーク。ゲホゴホと咳き込み血を吐き出す。

 毒耐性があるからと言って毒が全く効かないというわけではないのだ。幸いこの辺りには多くの毒果実、毒茸などもありスキルの鍛錬には事欠かなかったが。

 

「お疲れ様~。ほら治れ治れ~♪」

 

 と、ルークの影からズルリと這い出てきた名無しが回復魔法を使う。独特の魔力光は黒くどちらかというと呪いでも受けているかのようだが実際傷は癒えていく。

 

「あの敵は耐久高いからね。ルークは魔法なしじゃ倒せない。だから私は魔法使わず見ていたよぉ。間違ってない?」

「ああ、助かる。良い判断だ」

「えへへ。じゃあ契約しよう契約。もっと役に立つよ~」

「ルセリアが認めないから駄目だ」

「……そっか」

 

 ショボンと落ち込む名無し。失望他のその他の感情はあるからこの辺が演技なのかは解らない。

 

「ん?あれ、ルーク器が育ったね。レベルアップだ」

「何?」

 

 その言葉にルークはすぐさま己のステータスを開く。

 

 

『名前:ルーク Lv.15

 種族:凡人族(ヒューマン)

 状態:仮契約(NO NAME) 精神浸食 毒(微)

 称号:狩人 復讐者 悪食 命知らず

 

 HP179/458

 MP104/518

 SP554/800

 

 膂力:452

 耐久:540

 魔耐:583

 器用:618

 敏捷:621

 魔力:542

 

特化魔法:無し 契約属性:闇

技能(スキル)

『幼き鍛錬者』(リトル・ルーキー)五年間における《技能(スキル)》修得率補正(残二年)。『森の狩人』(フォレスト・ハンター)地形効果:《森》に置ける俊敏大補正。地形効果:《森》に置ける五感補正。『罠作成』罠を作った際攻撃力を付与可能。『耐物理(打)』物理的攻撃(打撃)に対する耐久補正(Lv.4)。『耐物理(刺)』物理攻撃(刺突)に対する耐久補正(Lv.2)。『耐物理(斬)』物理攻撃(斬撃)に対する耐久補正(Lv.2)『耐火炎』火属性に対する耐久補正(Lv.3)。熱環境に置けるSP消費減少(Lv.3)。『耐氷結』氷属性に対する耐久補正(Lv.2)。体温低下によるSP消費減少(Lv.2)。『耐毒』毒物に対する耐性(Lv.1)。『耐麻痺』麻痺に対する耐性(Lv.1)。『耐腐食』腐食に対する耐性(Lv.1)。『悪食』毒物、麻薬、寄生生物の経口接種の際無効。属性効果(浸食)付与。あらゆるものを喰らう。『即死無効(Lv1)』即死レベルのダメージを追った際生命力の半分を消費し傷を癒す。生命力半分以下の状況発動付加。『復讐者』(アヴェンジャー)魔物、魔獣に対して攻撃力、耐久高域補正。巨人系統、魔族、条件を満たした人間種に対する攻撃力、耐久超域補正  』

 

「悪食だぁ?」

「命知らずだって~」

 

 何時の間にか増えていた称号。悪食は毒耐性を得るために毒の茸や木の実をほぼ毎日大量に食らったからだろう。命知らずは本来なら格上に何度も挑んで生き残ったら得られる称号だ。ルークの場合何度か死んでるが……。

 

「………あらゆるものを食える、ねぇ」

 

 その場に残った蜘蛛の外殻と鎌を見つめるルーク。外殻の一部に噛みつく。バキリと噛み砕けた。

 

「……ツンとした味……意外と食える」

 

 思いの外うまい。別に漫画のように食った相手のスキルは得られないが、残留概念体を余さず食えるのは良いことだ。寄生生物にも気を使わなくて良いようだし。

 

「うぇ~、そんなの食べるのぉ?」

「そこそこうまい。じゃ、これ食ってから帰るぞ」

 

 

 

 

 

 蜘蛛の外殻、糸、鎌などを平らげルセリアの元に戻り食事をすませた後、レベルが15になった事を報告するとステータスの確認をされる。それを見てふぅ、とため息を吐いた。

 

「また妙なスキルを………まあ良い。このステータスなら彼処に行っても戻ってこれるだろう。90回程死ぬだろうが」

 

 ぼそりと付け足し今日はもう休めと言う。ルークは大人しく従った。

 

 

 

 翌日、ルセリアの案内の下森の奥へと進む。森の中を駆け回るルークは当然として、普段引きこもっているルセリアも息一つ乱れておらずスイスイ進む。

 

「着いたぞ」

「崖?」

「真っ暗」

 

 木々が無くなり、開けた視界に崖が映る。ルセリアが指したそれをのぞき込めばそこの見えぬ深い闇が見えた。

 

「この森は嘗て魔女の森と呼ばれていてな。4000年前なんて毎日のように人が来たものだ。大戦中だと言うのに暇な連中だ」

「?それがどうかしたのか?」

「そいつ等の死体、全部この下に捨てた」

「あー、だからなんか下から怨念が漂ってくるのか~」

 

 と、名無しが言う。彼女が言うならなるほど、この崖は死体の遺棄場なのだろう。

 

「ああ。だからほら、行ってこい」

「…………へ?」

 

 どが、と蹴られた。バランスを崩したルークは真っ逆様に落ちていく。

 

「遅延型死拒魔法は既にかけてある。安心して一度死ね」

「ルーク!」

 

 慌てて追ってくる名無し。近くを浮遊する辺り助ける気はないらしい。

 小さくなっていく光を見ながら、ルークは修行内容を説明しろよと不満を抱いた。直ぐに名無しに食われてどうでも良くなったが。

 

 

 

 

「…………さて、『魔覚』と『魔力闘法』を無事覚えてくれると良いんだがな」

『ふふふ。随分と乱暴な教え方ですね?』

「……………」

 

 崖を見ながら呟いたルセリアに、何処からともなく声がかけられる。ルセリアがギロリと木を睨みつけるとそこには黒いカラスが居た。

 

「……『全智の魔女』か」

『魔女名で呼ぶのは苛立っている証ですね?何を苛立っているのです?私があの子に真実を伝えてしまうかもしれないから?』

 

 クスクスと笑う女の声がカラスの口から響き、ルセリアが眉根を寄せる。

 

『それは嘘を付いた貴方が悪いんですよ?そんなに一人は寂しかったのですか?だから言ったのですよ、人と繋がりを持ってはいけない。もう一度その温もりを思い出したら、私達はまた数千年、求めてしまう。どうせ長命種でも千年程度しか生きられぬのに』

「それで、魔女集会へのお誘いか?」

『ああ、はい。そうですね……ふふ。何時以来でしょうか?100年?200年?』

「182年ぶりだ」

『そうそうそうでした。流石です。ルセリアさんは魔女集会以外だと魔女同士の繋がり、いっさいありませんもんね。最後に誰かと話したのが何年前か覚えるのも得意になりますか』

「殺すぞ」

『あ、懐かしいですね魔女ーク』

 

 マイペースなカラスの主にルセリアははぁ、とため息を吐く。カラスはからかいすぎたかな?とでも言うように首を傾げる。いや、普通に毛繕い始めただけだった。

 

『ああ、それとあの子、血筋的にはクリスさんの血脈でしたよ。クリスさんが貴方と出会う前に付き合っていた方の子孫です』

「何?聞いてないぞそんなこと!」

『そりゃまあ、昔付き合ってた女が居たなんていちいち言うことでもありませんし……でもほら、クリスさんの子孫だとより守ってやりたくなりません?』

「チッ……で、魔女集会の日時は?」

『舌打ち。クスン……2ヶ月後にエリークの森で………あ、ルーク君連れてきてもらえます?』

「はぁ?」

『ルセリアさんだけ狡いですよ、かわいい子供育てて。私だって育ててみたいのに』

「……………」

『他の魔女にもリークしたところ『あのルセリアが心を許すなんてどんなかわいい子供なんだ!?』と興味津々。まあ実際見た目こそかわいいですが目つきの悪いいかれたクソガキでしたけど………あら、怖い目つき』

 

 勝手にルークの情報を魔女にばらまいた事実にカラスを今にも殺さんと殺気を放ち睨み付けるルセリア。周囲の空間が歪み、()()が這い出ようとする。

 全智の魔女である此奴が知るのは仕方ないことだ。しかし他の魔女にあえて教えたとなると怒りも枠。

 

『別に皆取って食べよう何てしませんよ。それに、タルトさんやメイ・インちゃんみたいに技術を教える人を雇えるかもしれませんよ?貴方だけでは限界があるでしょう?』

「…………解った。本人に意思確認してからな」

『……あの子ちゃんと生きて帰ってこれます?』

「残数が10になったら様子を見に行く」

『あら優しい』

「………で?彼奴の目的を当然知っているんだろ?なら、教えろ。彼奴に魔族共を滅ぼすのは可能なのか?それで彼奴が救われるのか?」

『私は、何でもは知りませんよ。過去と、現在だけ……未来なんて知る術を持ちません。明日明後日の事や災害みたいな世界規模なら解るんですけどね』

 

 使えん奴だ、と毒を吐くルセリア。『全智の魔女』はシクシクわざとらしく無く。

 

『さて……ルセリアさんからかうのもこの辺りで切り上げて、私は他の魔女も召集しますね。では、魔女集会で会いましょう、『()()の魔女』」

 

 そう言うとカラスはバサバサと羽ばたきその場から去っていった。




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