もりもりとそこら中にあるお菓子を食べるカービィ。そんな彼を置いて先に進むほむら一行は結界内を警備しているのか、辺りを警戒している使い魔を避けつつ魔女が潜む結界の最深部に向かっていた。
そんな中、ふとまどかがほむらとマミに向かってこんな質問をする。
「その!こんなの時に聞くのはどうかと思うのはわかってるんだけど…二人に質問があるんですっ」
「…なに?まどか」
「そんなにかしこまって…どうしたの?」
「二人は…どうして魔法少女になろうと思ったんですか?」
その質問には両者とも衝撃を受けていた。ほむらはそっぽを向いて話すつもりはないとでも言いたげな表情をしていたが、マミの方はしばらく考えた後に重々しくその口を開く。
「私の場合は…願いなんて考える暇はなかったの。交通事故で私たちの家族が死にかけて…そこに現れたのがキュゥべえだった」
「あっ…じゃあ」
「そう。助けてほしかった私は彼に助けを求めたわ。それが私が魔法少女になった理由」
しんみりさせちゃってごめんね…そう皆に告げるマミの顔は悲しそうだった。しかし、彼女は後悔などはしていないだろう。それは同じ魔法少女であるほむらにはわかった。
「だから、二人がもし魔法少女になりたくて願いに困ってるんだったらキチンと考えた上で決めてほしい…私には出来なかった事だからね?」
真剣に自分たちの事を考えてくれるマミに素直にまどかとさやかは頷く。ちなみにほむらは余計な口が挟まれないようにまどかの肩にいたキュゥべえを手にしていた。
すると、キュゥべえが呆れたという様子で首をフルフルと振りながら彼女にテレパシーを送る。まどか達が反応していないという事はどうやらほむらにしか伝わっていないようだ。
”やれやれ…彼女たちの契約を阻止しようとしているのかい?だったら無駄だよ。僕はどんな手を使ってでも彼女たち…いや、鹿目まどかを魔法少女にしてみせる”
『インキュベーター…お前の思い通りには絶対にさせない…!二人…いえ、まどかは絶対に私が守ってみせる』
くしゅん!とさやかが特大のくしゃみを放った気がするが気にしない。今にもキュゥべえを始末してしまいそうな程に憎悪を向けるほむらも彼は意に介す様子はない。
”やっぱりどこかで僕の情報を掴んでいたみたいだね。君のその情報はカービィからかい?”
『答える必要はない。今すぐそのうっとうしい口を閉じなさい…あの子たちの前だから何もしないでいてあげるけど、それ以上口を開くなら私も容赦しないわ』
”僕を殺した所で無駄だという事は理解しているかい?まあでも無駄に潰されるのはもったいない…でも最後に忠告を君にしてあげよう”
キュゥべえの赤い瞳がほむらを見据える。その可愛らしい見た目とは裏腹に感じられる異様な雰囲気にほむらは不快感を顔に滲ませていた。
”カービィ…彼は僕と同じ宇宙から来た存在だ。ならば、彼が優先するのはなんなんだろうね…この言葉の意味は君にならわかるかな?暁美ほむら”
『…っ!?黙れ!次はないわっ!』
冷静沈着なほむらだがその言葉に揺れてしまった。キュゥべえは嘘はつかない…カービィはキュゥべえと同じ宇宙からやってきた者。
思えば自分は安易に信用をしてしまっていたが本当に信じてしまってよかったのか…実はキュゥべえの仲間で自分の武器と食費を減らす事が目的なのではないか。
彼を一度仲間と認めたはずなのにキュゥべえの言葉に惑わされ、そんな事が脳裏に一瞬でもよぎってしまったほむらは思わず感情を露わにしてキュゥべえの言葉を否定した。
彼は”やれやれ…いずれわかる”と口にした後、息を切らし、取り乱すほむらに話しかける事はなくなった。
(カービィ…)
「…暁美さん、暁美さん…!」
カービィの事で頭の中がごちゃごちゃになっていたほむらだがマミの言葉で我に返る。どうやら、ほむらが思考している内に魔女が潜む最深部についたようで相変わらずお菓子で一杯な広々とした空間に出ていた。
広さでいうなら学校の敷地とどっこいどっこいといった所か、その中心部には10mはある異様の長さの椅子があり、魔女はその椅子に腰掛けているのだが…
「なんか…弱そう。拍子抜けしちゃったなぁ」
「なんだかカービィみたいで可愛いねっ!でも、ちょっと不気味な感じ…」
二人が話す通り、魔女の姿はキャンディーを思わせる丸っこい頭にフリフリのマントをつけたものだった。
その大きさもカービィ程しかなく、まるで人形のような姿の魔女を何も知らないで見た者は可愛らしい印象を受けるだろう。しかし…
「見た目に騙されてはダメよ。奴は私が見てきた中でも一際強力な魔女…私と巴さんの二人がかりでも厳しい戦いになる事が予想されるわ」
「あら、私も舐められたものね?さすがにあんな魔女から遅れを取るほど私は弱くないわ。もちろん、暁美さんも昨日の戦いぶりを見た限りでは全然余裕だと思うけど?」
「その油断が命取りになるの。魔女を相手に油断をして目の前で命を落とした魔法少女を何人も見てきた…だから!」
「わかってる。わかってるわ、暁美さん。さあ行きましょうか!」
本当にわかってるのか不安ではあったほむらだが、もうこれ以上マミに言っても無駄だと切り上げて盾からゴルフクラブを取り出す。
まどかとさやかはゴクリと息をのんで戦いの邪魔にならないように人の背ほどあろう巨大なドーナツに身を隠していた。
「さて、一気に決めさせてもらうわよ!暁美さん、サポートをお願い!」
そう言ったマミの手元に光が集まり、何かを形作っていく。それは細長い銀のマスケット銃、彼女は魔法でそれを生成すると数10m先にいる魔女に向かって撃ちだした!
お菓子の魔女は気づいていないのか、それとも避ける必要もないという事なのかその場から動かず、銃弾はすんなりと魔女の胸元を貫く。マミは撃ったマスケット銃を地面に突き刺して、魔女の様子を窺う。
「やった…?いえ、まだね!」
「私がいくわ…!トドメは任せる!」
衝撃で椅子から転げ落ちる魔女の落下地点にはいつの間にかゴルフクラブを構えたほむらがいた。ほむらはそのまま魔女の頭目掛けてフルスイング!
魔女は放物線を描いて空高く打ち上げられる。その見事なスイングっぷりに観戦していたまどかとさやかが拍手を送っていた。
「ナイスショット!暁美さん!…追撃するわっ!レガーレ・ヴァスタアリア!」
マミの手から黄色い何かがふわふわと浮かび上がり、体制を整える魔女に向かって伸びる。それはマミの能力【リボン】彼女はリボンを自由自在に操る事ができるのだ。
マミはリボンで魔女をぐるぐるに巻きつけ、その身体を拘束!お菓子の魔女は小さな身体を懸命に動かして抜け出そうとするがマミのリボンから抜け出す事できない。そして…
「仕留めるわっ!」
マミは右手に魔力を集中させ、リボンで身の丈ほどある巨大な大砲を瞬時に作り上げる!銃口に光が収束されていき…
「ティロ・フィナーレッ!!」
その光を撃ち出した!巨大なレーザーが空高くにいるリボンで絡まれ動けないお菓子の魔女に向かってぐんぐんと伸びていく。
それはそのままお菓子の魔女を呑み込み、大爆発を引き起こす。その衝撃は地上にいるほむら達にも伝わり、まるで地震のようにこの魔女結界内が大きく揺らいだ。
頭上は煙で覆われ、魔女がどうなっているのかはわからない。しかし、先ほどの攻撃をくらってタダで済んでいるはずもないだろう。ほむら以外の誰もがそう確信していた。
しばらくの間、沈黙がこの場を支配していたが…
「やっ…やった…?」
「あ、あははっ…さすがマミさん!頼りになる~!」
沈黙に耐えきれなかったのかまどかが口を開く。それにさやかも続いてさやかと二人で喜びを分かち合っていた。
マミは魔法でティーセットを出して優雅にティータイムを楽しんでいたが、ほむらは空を見上げてお菓子の魔女の動きを警戒している。
この程度で終わるはずがない…そうほむらは言っているかのようだった。マミはそんな彼女に微笑みかけるとティーセットを指を鳴らして消し、ほむらの元へ歩き出したその時!
それは一瞬の事だった。警戒していたほむらでさえ時間を止める事ができないほどの一瞬の出来事。
「えっ…あっ…!」
黒煙の中から大蛇のような黒く長い化け物がとてつもないスピードでマミに迫っていく。色とりどりでカラフルな瞳を持つソイツは目にも留まらぬ速さで呆然としているマミの目の前まで接近し、人一人などまるごと飲み込めるであろうその口を開いた。
「マミっ!!」「「マミさん!?」」
ほむら達が叫ぶも突然の事にマミは動く事が出来ず、目を瞑る事しかできなかった。目を瞑り死を待っていたマミ…しかし、1秒、2秒…いつまで経ってもマミに死が訪れる事はなかった。
おそるおそるマミが目を開くと…視界に飛び込んできたのはゼロ距離で大きな口をパクパクさせ、マミに噛みつこうとする変異したお菓子の魔女とその後ろで周りのお菓子ごと魔女の身体を吸い込んでいるカービィの姿であった!
(っ'o'c)彡彡彡
「カー…ビィ…?私…生きて…」
とりあえずマミ死亡フラグ回避!おめでとう!