まどか「お願い…カービィ!」「ぽよ!」   作:めぐるうさぎ

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お菓子の魔女との戦いから三日後です。


13.佐倉杏子との出会い

「暁美さ~ん!まって~!」

 

 

 いつもと同じ時間、いつもと同じ通学路。しかし、いつもと違うのは彼女、巴マミがほむらの横に並ぶ事だ。スタスタと早足で歩く彼女に追いつく為に走ってきたマミは息を整えて、満面の笑みをほむらへと向ける。

 

 

「おはよう!カービィは起きてる?起きてるのなら挨拶したいのだけど…」

 

「お、おはよう。巴さん…あの子はまだ寝てると思うわ。またお昼に話しかけてあげて」

 

 

 そう…と意気消沈するマミであったが気を取り直して昨日は~~があっただとか、今度一緒にどこかに出かけようだとか、口数が少ないほむらに向かって積極的に話しかけていく。

 ほむらも話を聞いていないわけでもなく、満更でもない様子。どうしてこんなにマミとの仲が急接近したのかというと…やはり、あのお菓子の魔女との戦いの出来事が大きかった。

 

 

(マミ…まさか、ここまで仲良くなれるとは思ってなかったわ)

 

 

 ほむらの忠告を軽視し、お菓子の魔女に対して大きな隙を晒してしまった事。そして、カービィに助けられなければ確実に死んでいたという事。

 カービィとほむらはそんな彼女からしてみれば命の恩人だ。さらにずっと一人で孤独に戦ってきた事もあってか二人の心強い仲間が出来たマミは急速に心を開いていった。今では登下校や放課後のパトロールだけではなくお昼も一緒にいる。

 

 

「今日の料理は自信作なの!うふふ…お昼はカービィと一緒に楽しみにしててねっ」

 

「ええ、あの子にも伝えておく。ありがとう、巴さん」

 

「暁美さんは放っておくとコンビニで買った物だけでお昼を済ませてしまうんですもの。カービィはともかく暁美さんがそれじゃあダメよ?」

 

 

 ちょうど学校の門の前についた彼女たち。学年の違う二人は別れ、ほむらは自分の教室へと向かう。

 そして、教室に入った彼女に気づいたまどかが優しい笑みを浮かべて声をかけてきた。

 

 

「おはよう、ほむらちゃんっ」

 

「おはよう…まど《ぽよっ!》」

 

 

 まどかに返事を返すほむらの声を遮ったのは今目を覚ましたカービィであった。しかし、周りにいるクラスメートたちはそんなカービィの声には見向きもしない。

 なぜなら、カービィはテレパシーで会話をしている為である。彼の声が聞こえるのはほむらやマミの魔法少女、もしくは魔法少女の才能を持つまどかやさやかといった特別な者だけ。

 なので、目の前のまどかはもちろん机で突っ伏して眠っていたさやかも目を覚ましてこちらに近づいてくる。

 

 

「おはよ~転校生にカービィ」

 

「さやかちゃんったら~カービィにはこうだよ?『おはよう!カービィ!』」

 

《まろか~まろか~!》

 

「カービィったら昨日もまどかに会いたい会いたいってうるさかったのよ?だいぶあの子に懐かれてるのね…」

 

 

 そう、カービィはなぜか物凄くまどかに懐いている。それは共に生活しているはずのほむらやおいしい食べ物を作って持ってきてくれるマミ以上にだ。

 

 

「ほほう…つまりは嫉妬しているわけですかな?転校生」

 

「愚か者ね。寝言は寝て言いなさい。私とカービィは協力関係を築いているだけ…あの子が誰と関係を持とうが私には関係ないわ」

 

「ホントに~?まあいいけど…」

 

 

 まどかとカービィが仲良さそうに話をしている中、ほむらと会話していたさやかの顔がふいに真剣なものとなる。

 

 

「ねえ、ちょっとあんたに話があるんだ。次の休み時間いい?」

 

 

 どこかせわしない様子のさやかがほむらに耳打ちする。ここで話せばいいというのにわざわざ耳打ちするという事は一般人には聞かせられない話なのだろう。

 ハァ…と溜め息をついたほむらは頷き返し、席に着く。

 

 

(このタイミングでくるという事はおそらく…)

 

 

 

 

 

………

 

……

 

 

 

 

 

 

 一時間目の授業も終わり、休み時間になるとさやかに促されるまま屋上へとやってくるほむら。何かに迷っているのか、思いつめた表情をしているさやかに用件の大体の見当がついたが黙って彼女の言葉を待った。

 やがて、決心がついたのか緊張した様子でさやかは重々しく口を開く。

 

 

「転校生…あたしさ、魔法少女になろうと思うんだ」

 

「………そう」

 

 

 何度も何度も考えた上での結果なのであろう、さやかの瞳に揺るぎはない。内心溜め息を吐きつつ、ほむらは素っ気なく返事を返す。そして…

 

 

「なるかならないかはあなたの勝手。でも、これだけは言わせて…一度魔法少女になってしまった者はもう救われる望みなんてない」

 

「どういう事よ?」

 

「言葉通りの意味よ。あの契約はたった一つの希望と引き換えにすべてを諦めるって事…その覚悟ができないなら軽々しく契約するなんて言わない方がいいわ」

 

「…っ!あんたが何を言ってるか全然わかんない。けど、一応あたしの事を考えて言ってくれてるのはなんとなくわかるよ」

 

 

 「もう少しよく考えてみる」…そう言い残し、さやかはこの屋上を後にする。残ったほむらはそよ風になびく髪を軽く抑えながら再び大きな溜め息をついた。

 

 

「美樹さやかが魔法少女になるのも時間の問題かしら…刻一刻と時間が過ぎていく。大丈夫…今度こそこの手で…」

 

 

 

 

 

 

………

 

 

 

 

 

 

 あっという間に一日の授業も終わり、待ちに待った放課後となる。クラスメートたちは部活に出かける者、遊びに行く者と学生生活を謳歌するのだろうが…ほむらはそうはいかない。

 彼女はホームルームが終わると同時に席を立ち、荷物をまとめていた。

 

 

「あれ…ほむらちゃん。そんなに急いでどうしたの?」

 

 

 荷物をまとめ終わり、そそくさと教室を出て行こうとするほむらに気づいたまどかが声をかける。

 

 

「探している人がいて…隣町の風見野までいかないといけないの。悪いけど巴さんにパトロールはいけないって伝えてもらえないかしら?」

 

「あっ…うん、わかった!さやかちゃんも今日は無理って言ってたし…今日は中止になりそうだなぁ」

 

「そう…じゃあ巴さんと一緒に遊びに行ってはどうかしら?」

 

「そう言ってみるっ!ばいばい、ほむらちゃん!『またね、カービィ!』」

 

《まろか!ばいちゃ!》

 

 

 まどかに別れの挨拶を告げたほむらは見滝原中学校を後にして、この見滝原市に隣接する風見野市に向かう。風見野へはバスで10分~20分といった所ですぐについた。

 彼女がわざわざ風見野市へ来た理由、それは先ほども言った通り人捜しの為だ。その人物の名は佐倉杏子、ここ風見野で活動をするベテランの魔法少女である。

 とりあえずスーパーの試食コーナーや彼女の行きつけのゲームセンターに行ってみるも佐倉杏子の姿はない。

 

 

「いない…こうなったら…!」

 

 

 そう言ったほむらが向かったのは町から少し外れた所にある小さな教会だ。老朽化が進んでいるのか建物の外観は所々穴があいており、今にも崩れそうな印象を受ける。

 訳あって佐倉杏子はこの教会を拠点としている。勝手に入るわけにもいかないのでとりあえずノックをしてみるほむら。

 

 

「返事は…ないわね。いないのかしら?」

 

《…じゅるり》

 

 

 中からの反応がない事から留守であると考えたほむらが日を改めようとしたその時、なにやらカービィが中から何かを感じたようで声を上げている。

 その為、諦めずに何度もノックを繰り返していると…

 

 

「あっ…ドアが…」

 

 

 あんまり力をかけずに叩いていたはずのなのだが、木製のドアはバタンと音を立てて崩れてしまった。勝手に崩れたなんて言い訳しようと思いつつ、中を覗き込む。

 中は外から見えるような今にも崩れそうなイメージとは程遠く、床に食べ物のゴミこそ転がっているものの意外と掃除は行き届いている。

 そして…奥の祭壇でひび割れたステンドグラスから光を浴び、祈りを捧げている少女の姿が目に入った。彼女こそ…

 

 

「佐倉杏子…」

 

《アンコ…!》

 

 

 よれよれのパーカーとショートパンツを身につけた赤いポニーテール、祭壇の前で片膝をつき祈りを捧げる彼女が風見野の魔法少女である佐倉杏子だ。




風見野行きのバス内にて

ほむら:今日会いに行くのは佐倉杏子っていう魔法少女よ。

カービィ:キョー…コ…?

ほむら:そう、ちなみに漢字で書くと”きょうこ”って”あんこ”とも読めるわね。

カービィ:アンコ!アンコ!
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