和室一間の部屋の中央にあるちゃぶ台を囲むように座る暁美ほむら、佐倉杏子、カービィ。相変わらず無表情でいるほむらとは対照的に杏子とカービィは何やらそわそわしていた。その理由は…
「3分、できたわよ」
Σ(╹o╹c)<ぽよ!!
「キタキタ~!」
「「いただきます!(ぽよ!)」」
口で割り箸を割り、出来上がったカップ麺の汁をズズズッと飲む杏子。カービィは立ち込める香ばしい匂いに興奮しながらもフォークでラーメンをすくい食べている。ちなみにカービィのものはパックのラーメン五人分をバケツに入れているバケツラーメンだ。
「ふぅ…ふぅ…ずるずる…味が濃いわ」
「はふっ…それがいいんじゃないか。なあカービィ?」
*;'. (╹o╹c)<ズビズビポヨォ!
「もうっ…カービィ!食べながら話さないの!」
そう言いながらカービィの食べかすを布巾で綺麗に拭き取っていくほむらを見て、お前はおかんか…なんて食べながら思う杏子であった。
「それでだ。あんたグリーフシードどれくらい持ってんのさ?二人ぶんも用意できんのかよ」
「今グリーフシードは6つ。あっ…これもうマズいわね」
盾の中からグリーフシードを取り出すとその中の1つが溢れてしまうほどの黒い瘴気が溢れ出ていた。これは魔法少女たちのソウルジェムに溜まる穢れを取り除きすぎた為、その機能の限界を知らせるものだ。
これ以上、このグリーフシードを使用してしまうと魔女の卵でもあるこれが孵化し、魔女が再び蘇る事になる。しかもその孵化した魔女がグリーフシードを落とす保証もないのでやはり、処分するのが一番だ。
「げっ…ばっちいな…早くあの白タヌキ呼んで処分してもらえよ~」
「その必要はないわ。カービィ、お願いっ」
c( ╹◡╹ )っ<はぁい!
バケツラーメンを食べ終えたカービィに瘴気が溢れ出ているグリーフシードを与えると…なんと!カービィはそれを飲み込んでしまった!
なんとなく想像もついていたのか杏子はケラケラと笑っている。
「まあ…5つもありゃあ三週間は余裕だな。問題はワルプルの時だけどね~アタシらで戦うならもう何個かは持っておきたいかな」
「そうね。他に協力してくれる人はいるけれど…グリーフシードがある事に越した事はないわ」
「ん?他に誰かいるのか?初耳なんだけど…」
c( ╹◡╹ )っ<マミ!マミ!
短い手をくるくると回して特徴的な髪型を伝えているカービィ。その髪型と聞き覚えがある名前にビクッと杏子の肩が揺れた。
「マミってまさか巴マミの事かぁ?」
「ええ、彼女にはまだワルプルギスの夜の事は伝えていないけど…きっと手を貸してくれるはず。私にカービィ、あなたとマミの力があればワルプルギスの夜を越えるのも夢じゃないわ」
「マミの野郎と組むのは気が引けちまうが…ワルプルまでの辛抱かぁ…はぁ、まあ色々善処するよ」
「助かるわ…っ!この気配は…!」
「さっそく出たな…!ちょうどいいや、アンタたちの力も見ておきたかった所さっ」
ほむらの指輪のソウルジェムが反応を示している。どうやら杏子のものもだ。それが現すのは魔女の誕生!
溜め息をつきながらグリーフシードを盾へしまうほむらと拳を手のひらに打ちつけ、笑みを浮かべて立ち上がる杏子。
ほむらが残したラーメンも図々しくも綺麗に食べるカービィ。彼を盾の中に収納し、ほむらと杏子は魔女が出現した廃工場へと向かった!
………
「酷い有り様ね…」
付近の廃工場までやってきたほむら達は音を立てないように屋根を壊して中の様子を覗くのだが…ほむらの言う通り酷い有り様であった。魔女に魅入られて正気を失った者たちがバケツを中心に囲い、虚ろな表情でそのバケツの中に薬品を混ぜていたのだ。
おそらくあの薬品で集団自殺を図ろうとしているのだろう。フンと鼻を鳴らした杏子が腕を組んでその様子を見下ろす。
「魔女の口づけが見えるな。ったく…どいつもこいつも死に急ぎやがって。バカじゃないの?」
魔女やその使い魔に魅入られた者は魔女の口づけと呼ばれるモノを受けた者は自殺や交通事故など、自らを滅ぼす行動に出るようになるのだ。今集まっている者たちの首もとにはくっきりとその印が浮かんでいた。
代表格の男がこれは神聖な儀式だと高らかに言い放つと集まった人たちは拍手でそれを称えている。よく見るとその人影の中に見慣れた見滝原中学校の制服を着た人物が目に入った。
ピンクのツインテール、自分よりも低い背丈…あれは紛れもなく…!
「まどか!?」
「なんだ?知り合いでもいるのか?…ん?ほむら?」
杏子が振り向いた時にはほむらの姿はなかった。彼女が中を覗き込むと薬品の入ったバケツを蹴飛ばし、集団自殺を阻止するほむらと盾から飛び出したカービィの姿があった!
………
鹿目まどかは震えていた。友人である志筑仁美の様子がおかしい事に気づき、彼女に促されるがままついてきてしまった結果…魔女の影響を受けた集団自殺に巻き込まれてしまったのだ。
(怖い…怖いよぉ…でも、このままじゃ皆死んじゃう…!)
まどかは臆病な人間である。現に足は恐怖ですくんでしまっていた。しかし、彼女は逃げ出す事はしなかった。
もし、彼女が今逃げ出せばここにいる人たちを見殺しにしてしまう事になる。見て見ぬ振りなんてできなかったまどかは覚悟を決めてこの集団を阻止するべく走り出そうとするのだが…
「どこにいくおつもりですの?まどかさん?」
「あっ…」
薬品が入ったバケツの元へ飛び出そうとしたまどかの手をグイッと引っ張るクラスメートの志筑仁美。彼女の目は虚ろで気味の悪い笑みをまどかに向かって浮かべている。
「離して!仁美ちゃん!だって、あれ危ないんだよ?ここにいる人達、みんな死んじゃうよ!」
「そう。私達はこれからみんなで、素晴らしい世界へ旅に出ますの…それがどんなに素敵なことかわかりませんか?」
「い、痛いっ!痛いよぉっ!」
まどかの腕を掴む力が徐々に強くなっていく。その力はとても女子中学生のものとは思えないほど強く、まどかの腕がメリメリと音が立てていた。
懸命に腕を振ってなんとかそれを振り払うもまどかの周りに正気を失った者たちがゾロゾロと集まってくる。
「生きてる身体なんて邪魔なだけですわ。鹿目さん、あなたもすぐにわかりますから…」
「い、いや…助けて…!ほむらちゃん…カービィ!…」
囲まれてしまったまどかはもうどうする事もできなかった。涙が溢れる目を閉じて、自分の大切な友人の名前を口にする…
すると、ドスン…と何かが倒れたような音がこの空間に響いた。続いて声にならない声を上げてドサドサと倒れ込む音が聞こえてくる。まどかが目を開けるとそこにいたのは…
「間に合って良かった…」
(っ╹◡╹)っ<まろか!
長い髪を翻す暁美ほむらとカービィ。まどかの視界に彼女たちの後ろ姿が飛び込んできた!まどかを囲んでいた人たちは気絶しているのか皆倒れており、薬品が入っていたバケツは端っこに転がっている。
「ほむらちゃん…!カービィ…!」
涙を拭き取り、お礼を言おうとするまどかだがそれをほむらが手で制す。
「話は後よ。早くこの場から離れなさい。すぐに怒り狂った魔女がやってくるわ!」
「た、倒れてる人たち!皆も逃がさないと…!」
「っ…杏子!」
外で様子を窺う仲間へ呼びかける。すると天井から槍を持ち、赤を基調とした服を身に纏う佐倉杏子が降りてきた。しかし、その顔はどこか不満げだ。
「魔女がノコノコと出てきた所を不意をついて倒すつもりだったのに台無しじゃないかぁ。それで…何だよ?」
「私とカービィが魔女を引きつけるからアナタはここにいる人たちを安全な場所に連れて行ってあげて」
「はぁっ!?なんでアタシがそんな事…」
あからさまに嫌そうな顔をする杏子にどうやって説得しようかと思っていたほむら。そんな時、彼女の隣にいたまどかが深々と頭を下げた。
「あの…その…お願いします!私の友達もいるんです…!みんな、みんな…ホントはこんな事したくなかったはず…助けてあげてください!」
「…ちっ!おい、ピンク!…カービィ、テメエじゃねえ!アンタも手伝えよな!」
「あ、はいっ!」
まどかと杏子が動き出したと同時にこの廃工場が大きく揺れる!瞬く間に彼女たちのいた空間は青い水中のような円柱状の空間に変わってしまった。
すぐに杏子は炎を纏わせた槍で空間の壁に穴を開けて、現実の世界への抜け道を作り出す。そして、まどかと共に倒れている人たちを抱えてこの空間から姿を消した。
「カービィ!まだ回収できていない人たちもいる…みんなを守りながらの戦いとなるわ!」
(╹◡╹)コクコク
そして、ほむら達の頭上に魔女が姿を現す。その魔女はテレビのようなモニターに黒いツインテールが伸びるシンプルなデザインだ。
そのモニターには放送休止を表すカラーバーが映し出されており、画面から次々と天使のような羽根が片方だけ生えた人形の使い魔が出てくる。
数十体はいるだろうか。今なお増え続ける使い魔にあっという間にほむらとカービィは包囲されてしまった!
「この数は…厳しい戦いになりそうね…」
使い魔たちから人々を守る事ができるのか…!頑張れ、カービィ!ほむら!