まどか「お願い…カービィ!」「ぽよ!」   作:めぐるうさぎ

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マギレコ要素ありです。知らない方は申し訳ありませんが極力知らなくても大丈夫なようにはしました。多分…この回と次の回だけかな…?


21.魔法少女と魔女

 日が落ちて夜の闇が落ちた空を駆ける星が一つ。おそらくこの星は地上からみれば流れ星か隕石かと思うだろうが、これは流れ星でも隕石でもない。

 カービィがキュゥべえと魔法少女たちから逃げる為に呼び出したワープスターでその背にはカービィも乗っている。

 

 

「か、カービィ…ど、どうなってるの~」

 

 

 カービィの口の中には鹿目まどかがいる。彼女を安心させる為に『ぽよっ!』と声を出した後、ここまできたら追ってこれないと考え、どこかの廃れた公園へと下降していく。錆び付いてボロボロの看板には神浜と書いている事が窺えた。

 もう夜の為か、元々そういう土地であるからか周囲に人の姿はない。カービィはワープスターに手を振って空へと返してやった後…

 

 

(っ╹0')<ぴゅ!

 

「わぁっ!?」

 

 

 大きく口を開き、中のまどかを外に出す。カービィの涎で彼女の制服がべっとりと濡れている為か、まどかはもじもじと動きづらそうにしている。

 

 

(っ~╹)<ごめんなさぃ…まろか

 

「ううん、怒ってないよ。それより…」

 

 

 まどかは聞きたかった。なぜ、カービィは自分の契約をみんなに誤解されてまで止め、あの場から逃げ去ってしまったのか。そして、彼が発した【魔法少女】【魔女】【なる!】の言葉の意味が知りたかった。

 まどかは今、恐ろしい想像をしている。カービィが言った言葉を繋げると…とんでもない事が浮かび上がってしまうのだ。

 

 

「カービィ、あなたは魔法少女が…魔女になるっていうの?」

 

(っ╹~')コクコク

 

「でも、キュゥべえはそんな事!それにそれに…!」

 

 

 それはいかにカービィを信頼しているまどかでも簡単に信じる事ができなかった。去り際のほむらが言ったようにキュゥべえが嘘をついてるとは思えないでいた。

 

 

「カービィはそれが本当だと思ってるんだよね?」

 

(っ╹~')<ぽよ!

 

「…わかった。そこまで言うんだったら私…魔法少女の事を確かめてみてから答えを出す!」

 

 

 どうやら、まどかは契約を全ての真実を知ってからする事にしたようだ。ひとまず星の危機は去った事にホッとするがまだ油断はできない。

 誤解をさせてしまった魔法少女たちの事も気にかかるがなによりキュゥべえがどうアクションするのか…まどかを契約させる為にあの手この手で誘惑するであろう。

 

 

(っー~ーc)<む~!

 

「ね、ねえ…カービィ…」

 

 

 難しい事を考えていた為、注意力が散漫になっていたのかまどかの声でハッと我に返るカービィ。彼女の声は震えていた為、何事かと思いまどかの方へ向くカービィだが…その理由はすぐに理解できた。

 この公園のド真ん中にグリーフシードが刺さっていたのだ。もう溢れんばかりのどす黒い穢れが貯まっている事からそれは今にも孵化しかかっていた。

 

 

「もし、こんな所で魔女が孵化したら…!あっ!」

 

 

 カービィが吸い込もうとした瞬間、タイミングの悪い事にグリーフシードが孵化してしまう!それにより、この公園は魔女の結界へと変化した。

 公園には変わりないものの夜であった空はオレンジに染まり、辺りには子供が使って遊ぶようなフォークやキューブが散乱している。

 そして、カービィとまどかという侵入者に結界の主が気づいたのか…

 

 

「か、囲まれちゃった…!」

 

(╹~╹)<むぅ…!

 

 

 瞬く間にアリのような使い魔が二人を囲んでしまう!ぞろぞろと集まる使い魔にまどかは身体を震わせてうずくまってしまうが、カービィは彼女を元気づけると飛びかかってきた使い魔を一匹飲み込んだ!

 

 

「カービィの姿が変わった!あれは…ヨーヨー?」

 

 

 星マークのついた帽子、頬には絆創膏と少年を思わせる風貌をしたカービィ。そして、彼のその手には一つのヨーヨーが握られていた。彼は群れをなして自分たちを囲む使い魔を見ると…

 

 

(╹o╹)<まろか!頭、上!

 

「乗せればいいの!?わかった!」

 

 

 まどかはすぐさまカービィを頭の上に乗せた瞬間、囲んでいた使い魔たちが一気に動き出す。自分の周りにカサカサと迫りくる巨大なアリにまどかはひっ…と悲鳴をあげるがその使い魔たちがまどかに触れる事はなかった。

 

 

c(╹◡╹)っ~~~O

 

「すっ…すごい…!すごいよ!」

 

 

 頭の上にいるカービィが手にしたヨーヨーで前へ後ろへ攻撃していたからだ。飛びかかってくる使い魔や前後から同時に迫る使い魔にも的確に対応してヨーヨーをぶつけている。

 カービィの技に魅せられている間に何十もいた使い魔たちはもう残す所、数匹となっていた。戦意を失ったのか、その場に立ち尽くすアリの使い魔にトドメを刺そうとした時!

 

 

「あっ…!青い槍…?」

 

 

 その使い魔たちは突如空から降ってきた青い槍が突き刺さり、耳障りな声を上げながら消滅していく。まどかとカービィは空を見上げると上空から何者かが彼女たちの前に降り立った。

 

 

「…この神浜にまだ私以外の魔法少女が残ってたなんてね…」

 

「えっ…えっと、私は…魔法少女じゃないです。魔法少女の事は知ってますけど…」

 

 

 長く伸ばした美しい青髪をかきあげる女性。そこから覗かせる整った顔立ちについまどかは見惚れてしまう。しかし、彼女のその瞳は生気が感じられず、虚ろで…どこか悲しげであった。

 

 

「あなたは…魔法少女…なんですか?」

 

 

 目の前の女性の胸に輝く青い宝石、それはどこか見覚えがあった。確か、キュゥべえとの契約で出来上がるソウルジェムというものだったか…となれば彼女は魔法少女という事になる。

 彼女はその言葉を無視してまどかとカービィにきびすを返して歩き出す。その方向は結界の深層…すなわち魔女が巣くう所だ。

 

 

「まって…!まってください!」

 

「…ここの魔女は私が刈る。ケガをしたくなければ…」

 

「け、結界の出方…わかる?カービィ」

 

(╹~╹)ブンブン

 

 

 頭の上にいるカービィは首を降っているようだ。魔法少女の女性はこちらを向く事はなかったものの歩みを止め、手でついてこいと二人に答える。なので、大人しく彼女についていく事にした。

 

 

「私にあまり近づかない方がいい。死にたくなければ、ね…」

 

 

 進んでいく中でふいに彼女がそんな事を言い出した。言葉の意味がわからずまどかと彼女に抱かれているカービィは首を傾げている。

 

 

「どういう事ですか?」

 

「そのままの意味よ。さもなくばあなたも死ぬか、絶望する事になる…」

 

 

 そう答える彼女の声色は真剣そのもので冗談を言っているようには聞こえない。やがて、もう話す事はないと言わんばかりに彼女は足早にこの結界内を進んでいく。見失わないように懸命に追いかけるまどか達。そして…

 

 

O~(╹o╹)<魔女!

 

「でかい…あっ…!」

 

 

 砂場を進んでいくとたどり着いたその先には家のような大きさの何かが蠢いていた。

 それは砂場で遊んでいる魔女で赤のバケツとシャベルが刺さった茶色の髪を揺らしながら、砂場の砂で子供のように砂の城を作り上げている。

 そんな魔女にトップスピードのさやかのスピードに匹敵する程の速さで魔女に駆け出し、杏子のような槍さばきとマミに負けるとも劣らない技で砂場の魔女を圧倒していく!

 

 

「でも…あの人…」

 

(っ╹~')<…ダメ!

 

 

 圧倒的な力を見せる彼女だが、彼女を振り払う魔女の反撃をかわそうともせず血を吐きながらも立ち上がり、再びその槍で何度も何度も攻撃している。

 防御を考えない女性の身体を守っていた胸のプロテクターはひび割れ、頭からは血も流れ出ていた。それでもなおソウルジェムに対する攻撃だけかわし、それ以外の攻撃はかわそうとしない。

 それを見ていられなかったまどかと彼女に抱かれたカービィは顔を見合わせると頷きあい…

 

 

「お願い!うぇい!!」

 

 

 まどかは助走をつけて魔女に向かってカービィを思いっきり投げる!ヒューンと放物線を描いて飛んでいく彼は魔女の顔を目掛けてヨーヨーを投げた。

 砂でできた魔女の顔はバシャアと音を立てて崩れるがすぐに再生し、元の形に戻っていく。間髪入れずに複雑な面持ちで青の魔法少女はそこへ持っていた槍を突き刺し、落ちてきたカービィを持って距離をとると…

 

 

「…アブソリュート・レイン!」

 

 

 目が塞がり、動かない魔女に水を纏った槍を身体の周りに具現化させた彼女はそれらを連続で放ち続ける!魔女の腹部に一つ、二つ、三つと槍が突き刺さり…それが10を越える頃にはもう魔女は動かなくなっていた。

 

 

「…せめて、安らかに眠って…私も直に…」

 

 

 粒子となって空に向かって消えていく魔女に変身を解いた彼女は悲痛な面持ちでそんな事を口にしている。カービィはその言葉の意味は理解できなかったが、彼女が何かを抱えているという事はわかった。

 オレンジの空は元の星空に戻り、あたりの風景も元の廃れた公園に戻る。まどかがこちらに駆け寄ってきていた。

 

 

「…私と会った事は忘れなさい。それがあなた達の為よ」

 

 

 そう言って立ち去ろうとする彼女だが、その身体はふらふらでもう立っている事すら辛そうであった。しかし、彼女はそんな事はお構いなしに次の魔女を探すのか…濁ったソウルジェムを手にして闇の中へ消えていこうとする。

 

 

「まって!まってください!どうしてあなたはそこまでして…」

 

「…これが私の罪だから…願いのせいで死なせてしまった子達と魔女にさせてしまった子達への…ね」

 

Σ(╹o╹c)<魔女!

 

「そ、その話…もしかして魔法少女は魔女になるって話!?」

 

「っ…話しすぎたわ。もう私に関わらないで…」

 

 

 と、立ち去ろうとする目の前の女性の前へまどかは立ちふさがる。どうしても、聞いておかなければいけない事があったからだ。

 

 

「お願いします…一つだけ、一つだけ教えてもらえませんか?お願いします!」

 

「………」

 

 

 腕を組んで目を閉じた彼女はどうやら話を聞いてくれるようだ。まどかは頭を下げて聞きたかった事を聞く。残酷な魔法少女の仕組みを…

 

 

「魔法少女が…魔女になるって本当ですか…?」

 

「………ええ、このソウルジェムに穢れが満ちる時…その時にこの身は魔女になり果てる。そうやって魔女化した子を何人も見てきたわ。そう何人も…」

 

 

 悲しみ…怒り…諦め…そう語る彼女の瞳の奥はそんな感情が入り乱れていた。魔法少女が魔女になる…それはすなわちこれまで見てきた魔女の元は自分達と同じ人間という事。

 

 

「あっ…ああ…そんな、じゃあ…みんな、みんなっ!」

 

「…気の毒だけど運命は変わらない。魔法少女は例外なく魔女になる…それが現実よ」

 




【今回登場した謎の魔法少女について】
アニメ原作をベースとしているのでいろはちゃんが石を蹴飛ばしておらず、契約していないifルートへ。
それによりマギウスが生まれず、神浜には黒羽根たちのような才能のない魔法少女が溢れ返る。
数々の魔法少女が運命に絶望して魔女or死亡。
その結果、神浜には魔女が溢れ返る事に…その魔女との戦いで謎の魔法少女の仲間は次々と死に絶え、ついには一人へ…そこにまどかとカービィが出会う。

謎の魔法少女が生き残った理由は彼女が願った祈りの為です。
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