”さて、僕は失礼させてもらうよ。まだやるべき事が残って…”
ぴょんぴょんと俊敏な動きを見せ、人魚の魔女から距離をとったキュゥべえはそう言ってこの場から立ち去ろうとする。
しかし、この結界の主はそれを許さなかった…彼が動いたその瞬間、カービィと睨み合っていた人魚の魔女が手にしたサーベルを彼へと振り下ろしたのだ!
当然、キュゥべえがそれを避けられるはずもなく、地面を揺らす程の一撃を叩き込まれた彼は出来上がったクレーターの中でバラバラとなっていた。
グチャグチャになった真っ白な肉片を見るにおそらくキュゥべえは生きていないだろう…
( っ╹~c)<…!
最後を迎えたキュゥべえに複雑な気持ちを抱きつつも魔女の注意がそちらに向いているその隙に動かないさやかを救おうと駆けるカービィ。
近くまでいき、さやかを吸い込むと魔女さやかから急いで距離をとる。カービィが接近した事に気づいた魔女は逃がすものかと身体の周りから馬車の車輪のような物を出して走るカービィへ発射!
『カービィ!そのままジャンプして!』
どこからともなく聞こえてきた声に従い、カービィがジャンプすると数発の光の銃弾がその大車輪をかき消した。光弾が放たれた方を見るとそこには…
c( ╹◡╹ )っ<マミ!
マスケット銃を構えた巴マミがそこにいた。彼女はカービィにウインクするとリボンで彼を優しく巻き上げ、自分が立つ場所まで引き寄せる。
「カービィ!美樹さんは無事!?」
(っ╹0')<ぴゅ!
吸い込んださやかを吐き出し、マミへと見せる。カービィはさやかを彼女に任せ、向かってくる魔女を迎え撃つべく駆け出した!
「…!美樹さん…」
やはり、美樹さやかは死んでいた。魔法といえど怪我は治す事はできても死んでしまった人を生き返らせる事はできない…
彼女の亡骸を戦闘の被害を受けない場所へ置き、マミはふつふつと湧き上がる怒りを魔女へと向ける。
(…くっ!許さない!あの魔女は美樹さんの仇!)
「絶対に許さないわよ!」
………
(╹~╹)<さやか!さやか!
大剣で横になぎ払われるもののそれをジャンプでかわし、そのまま鉄仮面を被った魔女の顔を蹴りつける。しかし、仮面に守られている為か蹴りではびくともせずそのまま頭突きで地面に落とされてしまった。
しかし、カービィは諦めず必死に呼びかけを続けていた。もしかしたら…とそんな希望を抱き続け、懸命にさやかの名前を呼び続ける。
そんな中、自分の背後からとてつもないエネルギーの高まりを感じたカービィは振り返る。すると、そこには以前に見た【ティロ・フィナーレ】を大きく上回る巨大な大砲を構え、涙を流しながら魔女を睨むマミがそこにいた。
(っ╹o╹)<ま、マミ!?
「ボンバル…ダメントォッ!!」
止めようとしたが間に合わなかった。マミの大砲から光のレーザーが放たれ、人魚の魔女を吹き飛ばす。消滅までは至らなかったようだが、顔を覆っていた仮面はひび割れており片腕を抑えて瀕死に近い状態であった。
「美樹さんの仇!消え…!」
c(╹~╹っ)<ダメ!
マスケット銃を手にし、怒りの形相で魔女へと詰め寄るマミの前にでるカービィ。あの魔女はさやかなのだ!まだ…まだ助ける手だてがあるかもしれない。それがわかるまでカービィは見捨てるつもりはなかった。
「…?どいて、あれは魔女。美樹さんの仇なの!」
(╹~╹)<さやか!
マミは魔女化の事を知らない。なのでカービィは伝えようとするがマミは何を言っているのかわからない様子だ。
「どいて、カービィ…どきなさい!」
c(╹~╹っ)フルフル
と、カービィとマミが言い合っていると…不意に背後で大きな爆発が起きる。何事かと思い、振り返るとそこには盾を構えた暁美ほむらと彼女に掴まっている佐倉杏子がいた。
そして、人魚の魔女は…燃え盛る炎に中で身体を焼かれて苦しんでいる。必死に手を伸ばし炎から逃れようとする人魚の魔女。しかし、トドメと言わんばかりに杏子に投げつけられた槍により、魔女は動かなくなり…やがて、消滅した。
「おい、楽勝だったな!…?どうした、ほむら?」
「美樹…さん?美樹さん…なの?」
………時は数分前に少し遡る。
ほむらと杏子は時が止まった世界で動かない使い魔の横をすり抜け、影の魔女結界を上書きし出来上がった人魚の魔女結界の中を進んでいた。
なお二人は現在仲良く手を繋いでいるのだが、それは別に特別な関係というわけではなく、時を止めている間はほむらに触れていないと杏子も止まってしまう為である。
「…奥に魔女だけじゃねえ…なんか別の反応があるな」
「これは…巴さん?それと…この反応は誰だろ?」
「さあな、さやかって奴じゃねえのか?」
魔女の反応、それと近くに二つの反応がある。これはマミとカービィのものなのだが二人に知る由もない。豪華なホールの廊下を走り、彼女たちはカービィたちのいる大ホールにやってきた。
すると、入り口近くに何かがある事に気がつく。それはマミが避難させていたさやかの亡骸である。
「ん?こいつ…なんでこんな所にいるんだ」
「ケガをして下がってるんでしょうか?まあそれよりも…!」
「あの魔女だな。なんでかカービィもあそこにいるが後回しでいいだろ」
なにやら言い争いをしている様子のカービィとマミの横を通り、すでに満身創痍でボロボロの人魚の魔女の前へといく二人。傷口を見るにマミの砲撃にやられたのであろう事がわかる。
「こいつは半分魚に半分人間みたいなナリしてんなぁ…まるでガキの頃に聞かされた人魚だ」
「人魚…の魔女…オクタヴィア…」
「ん?なんだ、顔見知りの魔女か?」
「いいえ?…あれ、なんで私…名前を知ってるの?それに…」
ほむらはこの魔女をどこかで見た事があった。もちろん見た事も聞いた事もない。となれば答えは一つ…
(私のなくなった記憶が関係してる…前の私はこの魔女を知っていたの?)
「おい…ほむら?」
「はっ…ごめんなさい!爆弾で倒します。うち漏らした時はお願いしますねっ」
何か引っかかる事はあるもののほむらは盾から爆弾を取り出し、魔女の足元にセット。時間が止まっている為、爆発を告げるカウントも止まっている。
爆発の範囲外まで逃れ、時間停止を解いたほむら。世界は色を取り戻し、爆弾のカウントダウンが始まる。
言い合いをしているマミとカービィはほむら達には気づいていないようで魔女も足元に置かれた爆弾には気づかず、突然現れた二人を威嚇していた。
「3,2,1…終わりです」
0…魔女が大爆発を起こす。それと同時に断片的にだが、ほむらの頭に自分が知らない記憶が流れ込んできた。
それは今と同じようにこの魔女を倒すほむらの姿…あの魔女をさやかと呼び、顔を歪めて悔しがる杏子。どういうわけか魔法少女となったまどかも涙を流してうなだれていた。そして…
『ソウルジェムが魔女を産むなら…みんな死ぬしかないじゃない!』
自暴自棄となったマミが近くにいた杏子のソウルジェムを砕いて命を奪い、ほむらに銃を向けていた。思い出せた記憶はそこまでだ。
焼かれる魔女を見ながらほむらは考える。すでにまどかが契約していたり、カービィがいなかったりする理由はわからないもののこの際それはどっちでもいい。
ソウルジェム…魔女を産む…それはつまり、マミの言葉を信じるならば魔法少女は魔女になるという事になるのではないだろうか。
(【魔法少女】【魔女】【なる】あの時、カービィの言っている事は本当…だった?という事は…)
記憶の中の杏子は人魚の魔女をさやかと呼んでいた。となると…今、ほむらが爆弾で消し去った魔女は…魔女の正体は…!
「美樹…さん?美樹さん…なの?」