( っ╹~c)<キョーコ…アンコ!アンズ!
「…うっ…くっ…」
頭を抑えてよろよろと立ち上がった杏子。彼女は何が起こったかわかっていない様子だったが、周囲を見渡してすぐに理解したようだった。
「ここは…魔女の結界か…!」
(っ╹~╹)<マミ…
今、カービィと杏子がいる場所は薄暗い山の中ではなく所々に煌びやかな装飾が施されたどこかの屋敷の部屋の中だ。
どうやら、巴マミが魔女に変貌した瞬間に立ち会ってしまったようで魔女となったマミが二人をここに呼び寄せたのだと杏子が説明する。
「…魔女になっちまったんだなぁ。あいつも…」
(っo╹)<キョーコ?
深く息を吐き、杏子は悲しそうに目を伏せていた。それはただの魔法少女どうしの関係だけではなく、なにか特別な関係であった事がわかる。
しばらく沈黙が両者の間に流れたが、やがて杏子がカービィに目を向け…
「…なあ、こんな事を聞くのもなんだが…あんたは魔女になったマミの事をどう思う?」
(っ╹~╹)<…マミはマミ!
カービィのその言葉に面食らっていた杏子だが、満足した様子で笑みを浮かべる。そして、彼女はポケットに手を突っ込んだ。カービィはお菓子をくれるのかな?なんて思っていたが…
「…いいや、やっぱやめだ。菓子で釣るなんてアタシらしくねえ…頼む、アタシに手を貸してくれ」
なんと、カービィに向かって杏子は頭を下げた。お菓子でカービィを釣るなんて事はせず、彼女は自らの誠意を示す事で彼に訴えかけたのだ。
それに対するカービィの答えは決まっている。杏子の事は大好きだ。ぶっきらぼうだがそこはかとない優しさがある、お菓子もくれるし遊んでくれる…そんな彼女の頼みを聞かないはずがない。
それに、おそらくだが…杏子の頼みとカービィの思いは一致している。マミを思う気持ちはカービィも負けない。
c(╹◡╹c)<マミ…助ける!
「…!ああ、アタシも同じ気持ちだ。あいつを救ってやりたいんだ…アタシの師匠を!」
(╹◡╹)<キョーコ!
やはり、同じ気持ちだった!杏子もマミを助けたいと思っていたのだ。まだ間に合うかもしれない…まだ助けられるかもしれないのだ。それがわかるまで諦めたくはなかった。
「いくぞ、カービィ!マミを探すぞ!」
∩
c(╹◡╹)<ぽよ!
ここにカービィと杏子のマミ救出同盟が立ち上がった!彼らは部屋から飛び出し、廊下に出る。赤い絨毯が敷かれ、壁には見るからに高そうな絵が立てかけられていた。
「さて…どこにいる。マミ!」
(╹o╹)っ<ぽよ!
カービィが指差す先、そこにはまるで杏子のような赤いポニーテールをしたメイド服の少女が立っていた。彼女は無表情でカービィと杏子を見据えるとついてこいと言わんばかりに手招きしている。
「…罠の可能性が高いな」
(╹~╹)<…マミ!
「わかってる…!たとえ罠だろうが何だろうが突き進むまでだ!」
こうして二人はメイドの少女についていく。彼女に連れて行かれたのはこの館のホールへと繋がる扉。どうやらここに入れという事らしい。
ゴクリと息をのむ杏子。カービィはどうなのかと思い下を見ると彼は扉に手をかけようと必死にジャンプしていた。警戒など全くしていない彼に思わず杏子は吹き出してしまう。
「…ははっ、緊張感のないヤツだな。どけ、カービィ!」
いつでも動けるように警戒しながら杏子は扉を蹴飛ばし、中へ入る。彼女たちを待ち受けていたのは…
「この気配…!探す手間が省けた…省け…あれ?」
(╹◡╹)<マミ?
【あかいろさんにももいろさん!あなた達がくるのをずっと待ってたの!】
豪勢な飾り付けがされたホール、そこの中央に置かれたテーブルの方からマミの声が聞こえる。二人はマミの姿を探すもののその姿はない。
【ここよ!こ~こ~!】
いた。よ~くテーブルの上を見てみると確かにマミはいた。いたのだが…小さい。彼女の姿は物凄く小さかった。
その大きさはカービィはおろか、お茶会でも開くつもりでいたのかテーブルの上に用意されていたティーセットのティーカップ程。
【ごきげんよう…私は
テーブルの上にちょこんと立っていた彼女は身につけた緑のワンピースの裾をつまんで上品に挨拶をする。
「忘れちまったのか…アタシは佐倉杏子。あんたの…巴マミの弟子だ!」
(╹o╹c)<カービィ!…マミ!マミ!
【…マミって誰かしら?そんな事より…さあ、佐倉さん!】
「っ!?うわぁ!?」
Candeloroは杏子の名前を呼ぶと…引き寄せられるかのように杏子がテーブルへと近づいていく。杏子が驚いているのを見る限り、どうやら強制的に引き寄せられているようだ。
【カービィも!座って座って!】
Σ(╹o╹c)<ぽよっ!?
同様に名前を呼ばれたカービィは抵抗する事も出来ず、Candeloroが待つテーブルへと引き寄せられてしまう!
椅子は3つあった。1つはもうすでに杏子が座った椅子。動く事ができないのか彼女は歪んだ表情で金縛りにあったかのようにその椅子で座っている。
2つ目はカービィの進行方向からおそらくカービィが座る椅子であろう。そして、3つ目。カービィの隣にある椅子だが、遠くからではわからなかったがもうすでに先客がいたようで…
”君たちもここに連れてこられたのかい?やれやれ…マミには困ったものだね”
(╹~╹)<キュゥべえ!
「てめえには聞きたい事がいくらでもある!…が、今はそれどころじゃねえ…!くそ、動かねえ…」
カービィの隣の席には猫のように毛繕いをするキュゥべえの姿がそこにあった。彼がなぜここにいるのかは気になったが今はそれどころではない!
【ウフフ♪今日は私の為に集まってくれてありがとう!】
全員が席に着いた事を確認し、彼女は上機嫌で両手をいっぱいに広げる。いったい彼女は何をするつもりなのか…動きを封じられ、見る聞く話す事しかできない杏子は同じ状態となっているカービィを見た。
流石にカービィも警戒しているのか真剣な顔つきとなってマミを見ていたが…チラリと今、別の所を見た。カービィの視線の先にあった物、それは…
(お菓子かよ!?)
色とりどりのマカロンにイチゴ、チョコレート、チーズといった各種ケーキ。さらにはマフィンにクッキーなど紅茶によく合うであろうお菓子がテーブルの上に置かれている。カービィの目はそっちに向いてしまっていたのだ。
(…確かにうまそうだ…ごくり)
”君たちの為に言っておくけど、ここで出された物は絶対に口にしては駄目だ。ここのお菓子を食べた者はこの結界の住人になってしまう”
「なっ!?『そうなると…どうなっちまうんだ?』」
”魔女結界の一部となってしまうから…おそらくは永遠にこの結界から出る事は叶わなくなるだろうね”
魔女となったマミが皆がきてくれて嬉しいだの最高の誕生日パーティーになりそうだの言っている中で彼女に聞こえないようにテレパシーをする杏子とキュゥべえ。
(くっ…こいつの言う事は信用ならねえが…こんな時にしょうもない嘘をつくほどじゃねえな。というかこいつ、嘘は今までついていなかった。ぼかしたり、隠したりはするがな)
『おい!聞いたか?カービィ…絶対に…食べた…ら…』
さっきからやけに静かなカービィに目を向けると、彼はよだれをダラダラと垂らし、目の前のお菓子を凝視していた。
動きが束縛されている為、カービィがお菓子を食べる事はできないが…束縛が解除された時、おそらくカービィは誘惑に負けて食べてしまうだろう。そうなってしまえば無事でいられる保証はない。
(くそ…どうすりゃいい…!マミは攻撃してくる素振りはないが…)
【…挨拶はこれくらいにして、そろそろお茶会を始めましょうか!皆辛かったでしょう?今、拘束を解く…】
「っ!?ちょっ…ちょっと待ってくれ!マミ!」
【…佐倉さん?どうかしたのかしら?】
(ええい!もうどうにでもなっちまえ!)
「もう一人…あんたの誕生日パーティーにきてくれそうな奴がいるんだ。こっちに向かってるみたいだからよ…そいつがくるまで待たねえか?」