まどか「お願い…カービィ!」「ぽよ!」   作:めぐるうさぎ

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終焉に向けて書いていくのは一番楽だけど一番きつい…

35で最終回です。


33.なんて事ない日常

 

 渡り廊下の外は雷鳴が轟き、突風で打ち上げられた瓦礫や人工物の残骸の嵐となっていた。空には暗雲に包まれた巨大な何かが街に向かってゆっくりと進行している。

 

 歩を止めた鹿目まどかと星のカービィは現在、彼女…暁美ほむらの言葉を待っていた。

 目を閉じているほむらは微かに微笑んでいるようである。しかし、笑っているはずなのに楽しいとか嬉しいとかの感情は感じられず、むしろ逆のものを一人と一匹は感じていた。やがて、ほむらがゆっくりと目を開け…

 

 

「今までの私ならこの絶望的とも言える状態…こんな壊れた世界なんて捨てていたでしょうね。そう、そこに住む人達を見捨てて、切り捨てて…全てはまどかを救う為だけに」

 

「ふっ…つまるところインキュベーターの言う通りだったのかもしれない。私のやってきた事は全て無駄…いや、それどころか繰り返せば繰り返す度にどんどん悪化していった気さえする」

 

 

「ほむらちゃん…それは…!」

 

C(╹~╹)つ<まって!

 

 

 自嘲気味に語るほむらの言葉を遮ろうとするまどか。しかし、カービィがそれを止めた。ある意味まどかよりも付き合いの長いと言える彼はなんとなくほむらの言いたい事が伝わっていた。それは彼の思っていた通りだ。

 

 

「でも、今回は違う…カービィ、貴方がいてくれる。こうやって振り返ってみれば出会ってからまだ一ヶ月も経ってないけど、貴方に巻き込まれて馬鹿やっていたこの時間はかけがえのないものだった…本当に楽しかった」

 

「知らず知らずのうちに擦れていってた心が少しずつ癒されて…切り捨てる事を躊躇わなくなっていた美樹さやかや巴マミだって守りたいと願うようになっていたわ。全ては貴方のおかげよ、カービィ」

 

 

c(╹◡╹)っ<ぽよ!

 

 

 優しい微笑みがカービィに向けられていた。それは久しく見ていなかった心からの笑顔だ。

 その笑顔は記憶をなくし、眼鏡をかけていた時のあどけない笑顔に良く似ている。ありがとう、そう感謝の言葉を述べた後にまどかへ向き直った。

 

 

「そして、まどか…貴方が願おうとしているその願い…それが叶えられたとして、どうなるのかは全く見当もつかないわ。だけど、貴方も彼に賭けてみたくなったのよね?」

 

(っ~╹)<ぽよ?

 

 

 僕?と言わんばかりに首を可愛らしく傾げて見せるカービィ。まどかはコクリと頷く。

 

 

「彼に全てを賭けたくなる気持ちはわかるわ。とっても食いしん坊で子供みたいなこの子だけど…まどかと同じで優しくて強い彼なら本当になんでも出来そうな気がするもの」

 

「うん!だから、私もカービィに頼んだの。もう一度さやかちゃんとも遊べるように、マミさんの美味しいケーキが食べられるように、杏子ちゃんとも改めて友達になれるように…ほむらちゃんが幸せになれるようにって!だから、一緒に奇跡を起こそうよ!」

 

「ふふ、そうね…私もまた皆と一緒にいたい。今度はこんな無理して作った私なんかじゃなくて…本当の意味で一緒に」

 

「ほむらちゃん…うん!」

 

c(╹◡╹)っ

 

「本当にこれが正解なのかは私にはわからない。もしかしたら、他にもっと良い方法があるのかもしれないわ。でも!」

 

「カービィとまどかを信じて…私は全てを貴方たちに託すわ。皆を救って、お願い…!まどか!」

 

 

「お願い…!カービィ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………

 

……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ほむらより意思を託されたまどかとカービィ。二人は降りしきる雨と吹き荒れる突風の中、積み重なった残骸の上で静かに佇んでいた真っ白な小動物の元へ歩く。彼はまどかとカービィに気づくとぴょんぴょんと器用に跳ねながら下へ降りてくる。

 

 

“やあ、随分と遅かったじゃないか…鹿目まどか、それと星のカービィ”

 

(╹~╹)<キュゥべえ!

 

“暁美ほむらの姿が見えないようだけど…うん?あれは…”

 

 

 暗雲に覆われていたワルプルギスの夜の高層ビルと同等かそれ以上かの巨体がいきなり大爆発を起こした。それは花火のように連続で打ち上がっていく何かがそうさせているようだった。

 あれはロケットランチャーだ。それが確認出来ると同時に戦っている者の正体に気がつくキュゥべえ。彼はやれやれと首を横に振った。

 

 

“無駄な事だね…早く君たちが行ってあげないと暁美ほむらは死ぬよ?まあ僕の知った事ではないけれど…”

 

 

 その言葉の通り、ワルプルギスの夜はそんな暁美ほむらの攻撃にビクともせずに嘲笑ったかと思うと手から黒い衝撃波を放つ。それは真っ直ぐに暁美ほむらの場所まで伸び、爆発を起こす。

 あれは当たれば間違いなく致命傷だ。だが、カービィには見えていた。爆発する直前に見慣れた赤い光が飛び込んでいくのが。おそらく彼女が来てくれた。ならばしばらくは問題ない。そう判断し、性悪な白い生物へと向き直る。

 

 

“暁美ほむらも知る由もないけど、幾多の世界の因果を束ね、因果の特異点となった君ならどんな途方もない望みであっても叶えられるだろう”

 

「…本当、だね?」

 

 

 まどかが聞き返すとコクリと彼の頭が揺れる。さあ、ここまでくれば後は流れに身を任せるのみ。まどかはカービィを見る。彼もまどかを見ていた。その表情はいつもと変わりない笑顔でそれは全て任せろと言っているようにも見えた。そんな彼に勇気をもらう。

 

 

“さぁ、鹿目まどか!その魂を対価にして、君は何を希う?”

 

「私…」

 

 一度、深呼吸をして…彼女は願いを口にする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私の力を、目に見えるように…カービィがコピー出来るようにしてほしい。最高の魔法少女としての力を…世界だって変えられる程の力を、全部っ!」

 

 

 

 その瞬間、まどかの胸に光が宿る。それは小さく頼りない光であったが、次第に大きく強く輝き始めていく。

 

 

“………えっ!?ま、待ってくれ!”

 

 

 しばらくの沈黙の後に今まで聞いた事のないインキュベーターの狼狽える声がまどかを制止していた。

 

 

“君は自分が何をしようとしてるのかわかっているのかい!?カービィに力を与えようとしているんだよ!?彼が神の如き力を持ったらこの宇宙のバランスが…均衡が崩れてしまう!!”

 

Σ(╹o╹c)<ぽよ!?

 

 

 彼にそこまで言われ、自分はそう思われていたのかとほんの少しショックを受けるカービィ。だが、そんな事はすぐに気にならなくなった。なぜなら…

 

 

「これは…トマト?」

 

 

 まどかの手には一つのトマトが現れた。まるまるとボリューム満点なそのトマトの中心にはMと一文字書かれている。まどかには見覚えのない不思議なトマトでしかなかったが、カービィにとっては違う。

 

 それは彼がもっとも大好物にしているマキシムトマトそのものであった。だが、それはただのマキシムトマトではない。鹿目まどかの魔法少女としての全ての力と祈りが込められた特別なものだ。

 

 

C(╹v╹)つ<ぽよ!ぽよ!

 

“まどかの力を得て何をするつもりだ。カービィ!これはもはや地球という小さな星の問題ではなくなった…星を書き換える事すら出来るようになるその力を君が持つのは危険すぎる!この宇宙の全てを巻き込み、破壊しかねない!”

 

「ううん、そんな事ない。カービィの願い…それは多分私たちと同じで彼らしいただ一つの願いだよ」

 

“やめるんだ!まどか…やめっ”

 

 

 まどかはヨダレをダラダラと流すカービィに合わせてしゃがみ、彼にそのトマトを差し出す。カービィは手でそれを掴むと大きく口を開いて…食べた!

 

 

(っ⊙o⊙c)<んあっ…

 

 

 その瞬間、カービィから溢れんばかりの光がそのピンクの身体に宿る。それはまどかの持っていた力とカービィの持つ無限の可能性が結びつくものであった。まどかもキュゥべえもあまりの輝きに目を開けていられない。

 

 

(っ ᴗ c)<う…

 

 

 

C( ˃ ᗜ ˂ )っ<うまぁぁぁぁぁい!!!!

 

 

 

 カービィのそんな無邪気な声が響く。それはワルプルギスの夜と戦っていた魔法少女達の耳にまで届く程大きいものだっただろう。

 光も収まり、まどかが目を開ける。そこには…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

꒰ঌc(╹◡╹୨୧)໒꒱∮<はぁい!

 

 

 頭の白いリボンを揺らして反対を向いていたカービィが驚くまどかとキュゥべえに振り返る。

 この星のものではない宇宙を彷彿とさせるような金色の瞳と花の蕾をイメージさせる弓。その背には美しく透き通る羽根という風にカービィの姿が変化していた。

 




最初はお菓子でいっぱいにしようかと考えました。まどかの力を可視化(菓子化)という事で…激ウマギャグ
名称はアルティメットカービィ?ゴッドカービィ?ハイパーカービィ?
マミさんのやつがリボンカービィであるならば…わからん!という事で各々で名称よろしくお願いします。
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