魔女結界の中に閉じ込められたカービィとほむらの二人。カービィが鳥かごの魔女を倒した事で二人は無事に現実の世界に帰ってくる事ができた。
《ウィング》の能力を吐き出し、見慣れたいつものピンクボールの姿になるカービィ。吐き出した能力は星の形となってカービィの周りをクルクルと回っていたが、やがてポンッと音を立てて霧散していった。
そして、カービィはほむらの足元に行くのだが彼女は夜空を見上げて何やら難しい顔つき…心ここに在らずといった感じだ。
っっ
(っ╹o╹)っっ<ぽ~よ?
っっ
「ああ…ごめんなさい。少し考え事をね…」
夜風でなびく髪をそっと抑え、彼女はクスッと笑みを浮かべる。そして、彼女は20cmほどのカービィの身長にあわせてかがみ、キョトンとしている彼に向かって手を差し出した。
「カービィ、あなたさえよければ、その…私の手伝いをしてもらえないかしら?もちろん、手伝ってくれるなら何だって…」
(っ╹◡╹)っギュッ
ほむらの言葉を聞かない内に彼女の手を取ったカービィ。というより何でもと言う言葉を聞いた瞬間に彼は素早く手を取ってコクコクと頷いていた。
なんだって…と言われた彼の頭はおそらく食べる事一色となっているだろうが、初対面のほむらはそれに気づかない。そして、ジュルリとよだれを垂らすカービィの身体を優しく抱きしめる。
「ありがとうカービィ。ふふっ…よく見てみるとあなたって可愛いわね。どこかの白饅頭とは大違い…」
どこかできゅっぷいというくしゃみかゲップかそんな声が聞こえてくる気がする…彼女はそのままカービィを腕で抱き上げるとどこかに歩き始めた。
時刻はもう深夜1時、もともと眠る事も大好きという事もあるが、戦闘の疲れがどっとでてきたカービィは目をパチパチとさせていた。そして、ほむらがずっと背中を優しく撫でていた事もあり、すぐに安らかにいびきをかいて眠りに落ちるカービィ。
(ー~ー)<…zzZ
u u
「私がどうしてあなたを信用したかわかる?カービィ」
腕の中で気持ちよさそうに眠っているカービィにほむらは独り言のように呟く。ほむらがカービィを信用した理由、それは…
「ふふっ…こんな事を言ったら二人は怒るかもしれないけどね。あなたがあの子にどこか似ていたからなのよ?」
ほむらが話すあの子というのはカービィが最初にあった鹿目まどかの事だ。このピンクをイメージさせる身体、今日知り合ったばかりで怪しさ全開のほむらをも信頼し、大胆にもこの腕の中で眠る純粋さ、そして戦闘の時に見せるいざという時の決断力…やはり彼と彼女はそっくりだと思った。
(ー~ー)<…zzZ…おやつ…
U U
「…この子って何食べるのかしら。ドッグフードとかでいいの…?それとも虫とか魚?」
明日の帰りにでも見に行こう…そう思い彼女は到着した家のドアを開くのであった。
………
……
…
次の日、この日は月曜日で彼女…暁美ほむらは朝6時30分のアラームで目を覚ます。そこは中学生の少女とは思えない程、何も飾り気がない無機質な部屋。あるのはこじんまりとした机、小さな冷蔵庫、申し訳程度にある古い機種のノートPC…といった日常生活で必要なものばかり。
だが、そんな部屋の中で一際異彩を放つモノがあった。それはやはり…
(っ-~ーc)<…zzZ
「カービィ…さすがに起こすのは可哀想よね?でも、学校行かないと…」
実は今日はほむらが鹿目まどかも通う見滝原中学校に転校する日。彼女もここ見滝原に最近越してきたばかりで部屋の隅に積み重なっているダンボールがそれを物語っていた。
カービィのいびきをバックに身支度を整えていくほむら。学校の制服へと着替えた彼女はカロリーメイトを朝食にし、素早く栄養補給もすませる。これで後は学校へ行くだけなのだが…
「カービィをどうするのがいいのかしら…?お留守番はできないと思うし…」
チラッと眠りこけているカービィを見る。もし目を覚ました時、そばにほむらがいなかったらどうなるだろうか…家の中で暴れるぶんなら全然構わない。だがもし、ほむらを探しに外へ出て付近の人の目についてしまえば確実に面倒な事になってしまう。
彼女としては一緒に行動したい所だが、連れて歩いてしまえばそれこそ本末転倒だ。何かいい案はないかと思っていた所…
「人目に付かないようにこの子を連れて歩く方法…あっ!そうだわ」
暁美ほむらの左手の中指に付いた指輪が妖しく発光する!すると、一瞬にしてほむらの左腕に中心部に黄金の装飾がついた円盤状の盾が装着される。
そして、ほむらは布団の毛布で大の字で寝ているカービィを優しく包むと…彼をその小盾の中へ”収納”した。後にこの判断は失敗であったと気づくのだが…今の彼女は問題が片付いた事に軽く一息つく。
「さあ、学校へいきましょうか」
………
……
…
「今日は皆さんに転校生を紹介します!いらっしゃい暁美さん!」
ドアの前に待機していたほむらは一呼吸おいて教室の中へ入る。教室中の視線が黒髪を揺らして堂々と歩くほむらへと注がれた。
その中には昨夜カービィと出会って眠そうにしている鹿目まどかの姿もあった。ほむらは視線を意に介する事なく黒板に自身の名前を書いていく。
「自己紹介をお願いします!」
「…暁美ほむらです。よろしくお願いします」
無難に自己紹介をした彼女はぺこりと頭を下げた。えっ…もう終わり?とクラスの一同はポカンとしていたが、担任の教師である早乙女先生が慌てて拍手した事から一斉にほむらに向けて拍手が送られる。
「じゃあ暁美さん!席は…そこの席についてね」
「はい」
短く返事をし、ほむらは座るように指示された席に座ろうとしたその時…
『ぽよ!ぽ~よ!!』
「っ!?」
この教室内に舌足らずな声が響く!聞き覚えのあるその声に思わずほむらはビクッとし、その場で立ち止まってしまった。
クラスの一同は突然響いた動物の鳴き声のようなこの声にビックリしてザワザワしている。その声はいったいどこから聞こえてくるのか…それはほむらの左指についてある指輪からであった。
『ぽよ!ぽよっぽよ…』
「………すみません…携帯の電源を切り忘れていました。それと、ちょっと気分が悪くなったので保健室に行ってもいいでしょうか?」
「え…ええっ!学校で携帯は厳禁ですよ。気をつけてくださいね!」
急いでこの教室から出ようとするほむらだがその時、何やら複雑な顔をしたまどかが手を挙げて立ち上がる。
「先生!暁美さんは転校してきたばかりで保健室の場所がわからないと思うので私、案内してきてもいいですか?」
「あっ、そうですね!鹿目さん、お願いします!」
これには苦い顔をしていたほむらの顔がもっと苦いものとなるが、今はカービィへ説明する事が先なので力なく頷いた。そして、まどかと共に教室を出て行く…
余談だがクラスメートの一同は彼女…暁美ほむらに自己紹介や立ち振る舞いからクールな印象を受けていた。
しかし、あれが携帯の着信音であるならば彼女は意外と可愛いものが好きなのでは?…そういう噂がクラス内に急速に広まっていったという。
ご飯につられたわけではないよ!きっとご飯がなくても彼はほむらを助けていた…はず。
ちなみにほむホームは四畳半の和室(漫画版)のようなものと考えてください。ホログラムバチバチのほむホームはない。
次回、魔法少女と魔女の説明を白饅頭が教えてくれるよ!←次々回だった模様