__まどかの家
人目につかない所がいい…そうほむらの一声でとりあえず三人はまどかの家に行くことにした。
そして、彼女の部屋に入るとまず目を引いたのは勉強机の上に置かれたまどか一人では到底食べきれないであろう大量のお菓子の山だ。
「ま、まどか…このROCKYにんまい棒その他もろもろ…いったいどうしたのさ?」
「えっ?ああ…昨日の事、さやかちゃんにも話したよね?お菓子をこうして置いてたらカービィが帰ってきてくれるかなって…」
「という事はこの部屋の有り様も…」
彼女の部屋の窓は開きっぱなし…そして、床に散りばめられた多種多様なぬいぐるみ達…これらはまどかが先ほど言っていた言葉から間違いなくカービィの事を意識している事がわかった。
どうやらまどかはほむらの想像以上にカービィに会いたがっていたらしい。それはカービィも同じようで…
『まろか~!おやつ~!』
「あっ!カービィの声が聞こえる!」
「これがピンクのピカチュウの声…朝聞いた声と同じだ…」
昨日、運命的な出会いをして空腹の所を助けてもらったカービィもまどかの事をかなり好いているだろう。ほむらの事はまだ名前を覚えて貰えていないだけかもしれないが、これまで一度として名前を呼ばれた事はなかった。
しかし、まどかの事は朝に廊下で話した時からずっと名前を呼んでいる。おそらくご飯を基準に考えるカービィの中ではまどか>ほむらとなっているのだと思った。
「…ほ、ほむらちゃん!カービィを…」
「そうね。まずはカービィを外に出してあげましょうか…」
ほむらが左手を前に突き出すと彼女の左腕が紫の光を放ち、何かを形作っていく。それは円盤状の小盾で先ほどから聞こえてきていたカービィの声もより鮮明に聞き取れるようになった。
そして、ほむらはカービィの腕をイメージして盾の中に手を突っ込むと…一気に掴み出す!その手にはピンク色の丸っこい生き物、カービィがいた。
( ー o╹ )<ぽよっ!?
「カービィ!わぁぁぁ…会いたかったよ~」
ほむらが取り出したカービィをすかさず抱きしめて【ルミナス】をするまどか。(注:ルミナスとは→(っ´ω`(´ω`c)ほっぺたすりすりの事)その様子にはほむらとさやかもビックリである。
「ピンクのボールみたいなやつだけど…こいつはいったい何なのさ?それにあんたのそのデュエルディスクも…」
「はぁ…これはデュエルディスクじゃないわ。盾よ、盾!まったく…これはね…」
”――それは僕から説明させてもらってもいいかな?暁美ほむら…”
それは突然の事であった。ほむらの言葉を遮ったのは男性とも女性とも言えるであろう中性的な声。その声を聞いた瞬間、ほむらはすかさず盾に手を突っ込み武器を取り出そうとする。
しかし、あいにく盾の中の物は全てカービィに食べられたばかり。空気を掴んだ感触しかなく、自分が何も出来ない事を悟るととびっきりに顔を歪め、湧き上がる怒りに舌打ちをして顔を上げる。するとそこには…
「キュゥべえ…!」
開いた窓の所には白兎のように真っ白な毛並みをした小動物がいた。ほむらが吐き捨てた言葉から彼はキュゥべえと言う名前である事がわかる。
キュゥべえの赤いビー玉のような瞳は憎しみを込めて睨む少女へ向けた後、隣で驚いている様子のまどか…いや、彼女が腕に抱くカービィを見つめていた。
”…驚いたよ。まさか、こんな所で君と出会う事になるとはね。噂はかねがね聞いているよ?カービィ”
( っ~ ╹)<んん?
目を閉じて首を振るキュゥべえはまるでカービィを知っているかのような口振りで話す。カービィはキョトンとしている為、キュゥべえが一方的に知っているようだ。それにはほむらも驚いた様子で窓の前で佇む彼に詰め寄る。
「まって…あなた、カービィを知っているの!?」
”…いい意味でも悪い意味でも彼は有名だからね。それより彼女たちと話をしたいんだけど構わないかな?”
「ね…ねえ、さっきから色々な事がありすぎてわけがわからないんだけど…そいつは誰なの?ピカチュウの親戚?」
ハテナマークを頭いっぱいに詰め込ませた様子のさやかとその後ろで不安そうにギュッとカービィを抱き締めているまどかが全てを知っているであろうほむらを見る。
彼女は複雑な顔をしていたがやがて観念したのか頭を抑えながらキュゥべえに背を向けた。話をしてもいいと取ったキュゥべえは床にちょこんと飛び移り、床に散りばめられた大量の人形を避けてまどかとさやかの前に行く。
”僕の名前はキュゥべえ。僕は君たちにお願いがあってここにきたんだ!まどか、さやか!”
「あ、あたし達の名前を!?」
「お願いって何なの?キュゥべえ」
”僕と契約して魔法少女になって欲しいんだ!あっ…魔法少女というのはね…”
魔法少女、それは魔力の源であるソウルジェムを手にしてみんなに希望を振りまく存在の事らしい。
魔法少女になった者はこの世に絶望を撒き散らす魔女と呼ばれる存在と戦わなければならない。その魔女や魔女が生み出す使い魔は人間たちを死に追いやるという。
この世界で起こってしまった訳の分からない自殺や殺人事件のそのほとんどが魔女が原因のものと言われている。
”…ここまではいいかな?”
「うん…魔法少女っていうのは正義の味方だって事はわかったよ」
人間たちを死なせてしまう魔女をやっつけるのが魔法少女。そう理解したまどかとさやか。ちなみにカービィはまどかの腕からするりと抜け出し、勉強机に大量に置かれていたお菓子を美味しそうに食べていた。
話の腰を折らないようにと気を使ってか、それともただ単にお菓子が食べたかっただけなのか…おそらく、いや確実に後者だろう。
「でも、魔法少女になったらさ…魔女ってやつと戦わなきゃいけないんでしょ?今のご時世そんな事する奴いんの?」
”そうだね。だから、僕は魔法少女になってくれたら何でも一つだけ!君たちの願いを何でも叶えてあげる事にしてるんだ!”
( o _ o )<っ!!
何でもという言葉にまたしても反応するカービィ。キュゥべえに呆れた様子で”君は人間じゃないから無理だよ”と言われガッカリしている、がすぐに復活してお菓子を食べ続けていた。
「えっ!何でも一つだけってなにその強化前のドラゴンボール」
”その認識で間違いはないよ。願いを決めて僕との契約で出来上がるのが今暁美ほむらの左手についてある宝石、ソウルジェムだ。どうやら彼女も魔法少女みたいだね”
「みたいだねって…あんたが契約?したんじゃないの?」
”…僕は彼女と契約した覚えはない。どうして彼女が魔法少女になっているのか…それは僕が知りたいくらいさ”
首を傾げて可愛らしく視線を向けるキュゥべえに忌まわしそうに鼻を鳴らしてそっぽを向くほむら。彼女はカービィの隣へ行き、笑顔でお菓子を頬張り続ける彼の為にんまい棒の包装紙を剥がしてあげていた。
”暁美ほむら…彼女は素性の知れない魔法少女だ。決して信用はしない方がいい。それにあのカービィもね”
キュゥべえはほむらとカービィに聞こえないようにまどかとさやかに語りかける。怪訝な顔をしている二人へキュゥべえは畳みかけるように説明を加えていく。
”カービィ、彼はこの星の生命体ではない。この宇宙の辺境にあるポップスターという星に住んでいたはずなんだ。なぜ彼がこの地球にやってきたのか…何か考えがあってやってきたのは間違いないだろう”
”そんな二人が組んでいる…これは間違いなく何かを企んでいると思わないかい?だから、決して心を許さない方がいいよ…”
シリアスな雰囲気でキュゥべえは話しているのだが、後ろで大きく口を開いているカービィへほむらが開封したんまい棒を3本手にしてあ~んをしている姿を見ると二人は何とも言えない表情となってしまう。
「…ふふっ…あっ!こほん…くだらない魔法少女の話は終わったのかしら?」
”うん、だいたいはね。どうだいまどか、さやか。素晴らしい魔法少女について興味がわいてきたんじゃないかな?”
「…叶えたい願い…かぁ…私はまだよく考えられないなぁ」
「そうだね~金銀財宝とか不老不死とか満漢全席とか考えられるには考えられるけど…」
さやかの発した満漢全席にカービィはピクリと反応する。おそらく言葉の意味はわからないもののそれが食べ物を差す言葉である事はわかったようだ。彼の並外れた食欲にこの場の皆が驚愕する…
”…とにかく今すぐにとは言わないからよく考えてみるといいよ!それとカービィ、二人だけ話がしたいんだ。少しいいかな?”
( っ╹~c)<モグモグムシャムシャ ゴクン
c( ╹◡╹ )っ<はぁい!
宇宙に広まるカービィの噂。キュゥべえの認識としては馬鹿だけどヤベー奴。