短いかもしれませんが楽しんでもらえると嬉しいです。
それではどうぞ。
花咲川での誤解を無事に解き、2人は事務所に移動していた。
「うぅ~……」
「…彩ちゃん、まださっきの事を気にしてるの?」
「だって~……」
訂正。どうやら彩は、先程の一件を未だに気にしているようだ……
「…まぁ、いきなり女子校に男子が来たらあんな反応するのは僕も予想してたけどさ? 別に気にする事もないと思うよ?」
「そういうものなの?」
「…そういうもんだよ。僕が尊敬するSSVD異端審問官主席の言葉を借りるなら、"無理に考えると頭痛にならぁ"……かな?」
「えっと……つまり……気にしなくてもいいって事?」
悠里が言った意味を自分なりに解釈する彩。
その答えに頷く悠里。
つまるところ、気にし過ぎも良くないという事である……
「それで今日の予定なんだけど、彩ちゃんがボイストレーニングをしてる間に、事務所の手伝いがちょっとだけ入ってるから、終わり次第、直ぐに向かうから」
話題を変え、今日の予定を説明する悠里。
「事務所のお手伝いって……何をやるの?」
「さぁ……? 着いてから話しますしか僕も聞いてないから具体的な事は分かんない。案外、楽器とかの機材運びだったりして?」
彩の質問を推測で答える悠里。
あの事務所は、バンドが使う楽器等の管理もしてるので、予想の範囲内で答える。
実際ほんとに"手伝い"の内容は、着いてからでないと分からないので何とも言えないのだが……
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2人で他愛もない会話をしてると、事務所に着いた。
悠里が関係者カードを見せると、スタッフは慌てて「ど、どうぞ!!」と言い、普通に通してくれた。
(なんでさっきのスタッフさん、慌てたんだろう……?)
彩は先程のスタッフの反応が気になっていた。
実は最初、彩が関係者カードを見せようと思っていたのだが、彩が出すよりも早く悠里が出していたので気にしなかった。
ただ問題はその後だ。
悠里がスタッフに関係者カードを見せた途端、目を見開きながら、悠里とカードを交互に見始めたのだ……
例えるなら、"お偉いさん……それ以上の人が来た"そんな感じの反応だった。
「さっきのスタッフさん、なんで慌ててたの?」
「……さぁ……なんでだろうーね……」
試しに悠里に訊いてみたが、気にする程度ではないような口調で返ってきたので、彩もそれ以上は言わない事にした。
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彩を練習場所用のスタジオまで送り届けた悠里は、指定された場所まで足を運んでいた。
「…失礼します」
指定された場所は、楽器管理室だった。
中に入ると、10人近くのスタッフと、それを指揮しているダンディ顔な班長みたいな人が1人、合わせて11人が既に居た。
「おお! 水無月君。初日早々に呼び出して申し訳ないね……」
「お久しぶりです。いえ……僕で良ければ……」
悠里が来た事に気づいた班長が、申し訳なさそうな表情をしながらこちらに歩み寄って来た。
他のスタッフはと言うと……
「えっ? あの男の子誰……?」
「先輩、あの男の子って新人ですか?」
「バカ!! お前ら失礼にも程があるぞ!? あの子はな……」
「「えっ!? 嘘っ!? あの子が……!?」」
反応は様々だった。
小声で話してはいるが、悠里には丸聞こえなので敢えて聞こえてないふりをする……
「オホンッ!! お前ら一旦そこに並べ!!」
班長がそう言うと、スタッフは一斉に並び出した。
「今日はちょっと人手が足りないとの事で、彼に手伝いに来てもらった」
「水無月悠里です。班長さんから人手が足りないとの事で、お手伝いに来ました。若輩の身ですが、よろしくお願いします」
悠里がスタッフ一同に挨拶をする。
「相変わらず謙虚な挨拶だのう……気楽にしても構わないのに」
「いやいや、他の皆さんからしたら僕なんて、誰だオメー、ここは素人みたいな子供が来るところじゃねーぞって思われてもおかしくないですし」
「はっはっはっはっは! 暫く見ない間に毒舌属性持ちになったもんだね?」
「いえいえ……」
2人のやり取りを見ていたスタッフの大半が唖然としていた。
それもその筈。傍から見れば、高校生が自分達の職場のリーダーと対等な立場みたいな感じで喋っているのである。
「それで……人手が足りないって言ってましたけど何かあったんですか?」
「うむ。いつもだったら、30人近くでここを担当しているんだが、半分のスタッフが今日に限って体調を崩して休んでしまってな……」
苦笑いしながら悠里に説明する班長。
「ここ最近、何かで忙しかったんですか?」
「察しがいいね。実はプロジェクトの準備を進めてた上司が、無茶振りをしてね……この楽器を持って来てくれと私達に言って、いざ持って来ては、"やっぱりこれは必要ない"と言うんだよ……」
「……で、そのクソヤロウのせいで、片付けに追われたりやら何やらで今に至る……と……」
「そういう事だ」
状況を把握した悠里は溜息を吐いていた。
「お話は分かりました。……あのゲロカス、相変わらず出世の事しか考えてないな。よくクビにならないもんだよ……全く……」
悠里の毒づいた発言に度肝を抜くスタッフ一同。
「とりあえず、優先するものから始めましょう」
「そうだな。これが資料だ。水無月君には申し訳ないが、優先する順番と指示をお願いしても構わないかい?」
「分かりました。先ずは……」
こうして悠里の指揮の下、仕事が開始されたのだった。
読んでいただきありがとうございます。
次回は、彩ちゃんの誕生日に投稿すると思います。
本日はありがとうございました。