彩ちゃん、誕生日おめでとう。
楽しんでもらえると嬉しいです。
それではどうぞ。
お手伝いを終えた悠里は、彩が練習しているスタジオに向かい、中に入ると、ちょうど練習を終えたのであろうか?
彩が荷物に練習着を詰め込んでいた。
「彩ちゃん、お疲れ様。今終わり?」
「あ! 悠里くん! お疲れ様。うん、ついさっき終わったところなんだ」
お互いに労いの言葉をかける。
「今日のボイストレーニングはどうだったの?」
「それがね~? 高音の部分でちょっと躓いちゃって……」
事務所を出て、今日の練習はどうだったかを彩に聞く。
苦笑いしながらも悠里の質問に答える彩。
「…高音の出しやすさは、1人1人違うから、頑張れば大丈夫だよ」
「ほんと!?」
「…ただし、無理をしない程度に……だけどね?」
「うう~……気を付けます。悠里くんはどうだったの?」
「…僕? 人手が足りないなりに頑張ったよ? スタッフさんとみんなで……」
少し遠い目をしながらも彩に楽器管理室での件を話す悠里。
実を言うと、班長を含めた12人で楽器の整備をしたり、ドラムスティックの本数を数えたり、楽器管理室の掃除をしたり等、色々だった。
本来なら、2時間以上かかる予定だった作業が、悠里と班長の迅速な指示により、きっかり1時間で終わったのだ。
どのくらいの速さかというと、スタッフ一同がクロックアップしてたと表現しておこう。
「た、大変だったんだね……」
「僕が言えた義理じゃないんだけど……スタッフさん達が一番頑張ってたよ、うん……」
ちなみに、作業を無事に終えて、予定より早く上がれると知ったスタッフ一同は、悠里に涙目になりながら、お礼を言ってきた事は彩には内緒だが……
「そういえば、来週の予定ってどうなってるの?」
話題を変えるかのように、彩が悠里に来週の予定を聞く。
悠里は鞄から、手帳を取り出し、予定を確認する……
「えーと……来週の予定は確か…………ないね」
「えっ? ないの?」
「…うん、ない」
間の抜けた声を出す彩に、確認させるかのように"ない"と断言する悠里。
「まぁ、理由としては適度な休みも必要って事。適度な休みね?」
大事な事なのか、悠里は2回言った。
「あっ……でも正確には、明日から休みか。今日が金曜日だし……」
「そっか。今日って金曜日だったね……」
2人して今日が金曜日だという事を思い出す。
「あっ……悠里くんって、明日って空いてる?」
何を思いついたのか、彩が悠里に明日の予定を尋ねてきた。
彼の休日は大抵、家で過ごすか、瑠菜とティアの3人で出かけたりしかない。後者の2人は、今週は予定が入ってると言ってたので……
「…うん。明日は空いてるよ?」
空いていると彩に言った。
「じゃあじゃあ! 明日、一緒にショッピングモールに行こうよ!」
「僕は構わないけど……」
「やったぁ♪」
一緒にお出かけできる事に、その場でピョンピョンと飛び跳ねる彩。
そこまで嬉しい事なのかなぁと疑問に思いつつ、とんとん拍子で集合場所は駅という感じで決まってしまった……
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そして彩と出かける事となった当日である土曜日。
集合時間は10時と昨日の内に2人で決めたので、問題は無い。
待たせては悪いと思い、悠里は15分前に駅に着く時間帯に家から出た。
(彩ちゃん……まだ来てないのかな?)
集合場所である駅に着き、彩がまだ着いてないのかと思い、悠里は周囲を見渡す。
「やめてください!!」
声がした方に視線を向けると、私服姿の彩がいた。
ところが、彩の目の前には金髪のチャラ男とサングラスが特徴の茶髪のチャラ男の2人に絡まれていた……
俗に言うナンパである。
「ねぇーいいじゃんかよー」
「そうそう。俺らと遊ぼうぜー?」
「私……人を待ってるので……」
「そう言っても無駄無駄♪ まだ来てないじゃんソイツ」
「そうそう♪ そんな奴ほっといて俺らと遊ぼうよー?」
このままだと、ほんとに彩が連れてかれるのが予想できた悠里は、ナンパって無くなんないかなーと思いつつも、彩に声をかけた。
「…彩ちゃん、おはよー。待った?」
「ううん、大丈夫」
「あァ? なんだお前?」
「俺らの邪魔すんじゃねえよ」
突如、割って入った悠里にガン飛ばすチャラ男2人。
「…悪いけど、ナンパなら、そういう系のお店でやってくんない?」
「おい。このガキどうする?」
「そうだなぁ……ガキ。俺らのお楽しみを邪魔すんなら、どうなるか分かってんのか?」
手をボキボキと鳴らしながら、挑発するチャラ男2人。
その光景を見ていた周りの人達は、ざわつき始め、彩に至っては目の前のチャラ男が怖いのか、悠里の後ろに隠れてしまう……
「……えっ? 何か言った? 三下」
「「ぶっ潰す!!!」」
悠里の一言にキレたチャラ男2人は、拳を振り上げ殴りかかって来た。
(……ムッコロフェイスで言われても、怖くないんだけど)
男2人の拳が当たる直前、悠里は回し蹴りで拳を弾き、拳を軽く握りしめ正拳突きの構えを取り拳を前に突き出す。
するとチャラ男2人は拳圧でふっと飛ばされ、倒れた。
「な、なんだこのガキ……!?」
「い、いてぇ……や、やべえよ」
悠里が加減をしておいたのか、チャラ男2人はむくりと起き上がる。
そして敵にしてはいけないやつを見るような眼で悠里を見た。
「…どうする? まだやるの? 悪いけど今度は胸骨にヒビが入るじゃ済まなくなるけど……」
「「す、すみませんでしたーーー!?」」
その言葉を聞いたチャラ男2人は、情けない声を上げながらその場から逃げて行った。
「彩ちゃん大丈夫?」
「う、うん……大丈夫……」
彩が怪我などしてないか確認しようとした悠里だったが……
「いいぞー坊主ー!!」
「かっこよかったぞー!!」
「キャー素敵ー!!」
周りのギャラリーが騒がしく、それどころじゃなかったのであった。
読んでいただきありがとうございます。
間に合って良かった……
次回は、誕生日回の後編になります。
可愛い彩ちゃんを上手く表現できるように頑張るぞい!!
本日はありがとうございました。