ウルトラマンフレイスの特別編的な作品です。一応本編読んでなくても楽しめるつもりです。劇場版的な設定で作りました。まぁ内容はタイトルの通りです。ダークネスファイブの5人(と1匹)がフレイスの世界にやって来てまぁ色々とやらかす話です。

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作者のダークネスファイブ好きのせいで作りました。ところどころキャラ崩壊があるかもしれませんがそこはお許しを


劇場版ウルトラマンフレイス 襲来!ダークネスファイブ

地球より遠く離れたとある惑星、そこで、1人のウルトラマンと怪獣が戦っていた。

「デュアー!」

ウルトラマンは手を伸ばしてそこから光線を放った。

ところが怪獣はそれをいとも簡単にはじいて防いでしまう。

そして怪獣はウルトラマンに突進するとパンチやキックを浴びせていく。

「デュア」

ウルトラマンは地面に倒れ込んだ。

ところがそこで、その惑星に住む、1人の少女が赤い石を掲げて叫んだ。

「ザラボン!もう…もうこんなこと!全て終わらせてください!そうじゃあないと…そうじゃあないと!」

赤い石は光り輝き始めた。

そしてその光はザラボンと呼ばれた怪獣を包み込み。そして…。

気がつくとザラボンの姿も、そしてウルトラマンの姿も消えていた。

「全部…、終わりました…。これで…」

少女はそう呟いた。

そして、地球…。

福岡にあるZETA国際会議場。ここでは各国のZETA支部が集まって会議が行われることになっていた。

そして、その中の廊下を慌ただしく歩いていく青年の姿があった。

彼の名は竜ヶ崎ツバサ。

今日は準備のためにここに呼ばれていたのだ。

「ったく。なんで俺なんだよ。ZETA日本支部の若手隊員なんてたっくさんいるだろ」

ツバサはそうボヤいた。

「おいおい、そんな事言うなよ」

ツバサはいきなり後ろから声をかけられ、驚いて振り向いた。

「あなたは…」

そこには1人のZETA上層部の服装を着た老人が立っていた。

「ZETA参謀部、一条です」

その男は言った。

「はぁ…、一条…参謀?」

「そうだ。そしてこうやって声をかけたのはもちろん、君に話があってね」

 

ツバサと一条を乗せたエレベーターは会議場の地下深くに下りていった。

「見せたいもの、ですか?」

「そうだ。会議の準備というのは名目、本当は君に来てもらったのは…このためだよ」

やがてエレベーターは止まり、扉が開く。

そしてそこは、広い近未来の実験室のような部屋にたどり着いた。

「ここは…?」

「会議場の地下シェルターを改造した部屋だ。こういう時に便利だろうとな」

その部屋の真ん中には大きなカプセルがあり、その中には、1人の少女が眠っていた。

服装はまるで古代の文明人のような服装、首には赤い宝石のネックレスがかかっている。

「彼女は先日、福岡県内のある場所から発掘されたんだ」

ツバサが訊く前に一条は説明した。

「発掘された?すると…この子は…」

「放射線調査によると少なくとも1万年前からその場所で眠り続けていたことが分かった」

「1万年前…、そんな…、そんな前なのに腐らずに…」

「それだけではない。彼女は生体反応がある。つまり生きているばかりか、彼女のネックレスの赤い石にはとてつもないエネルギーが秘められているんだ」

一条は説明した。

「しかし、こんな子…、俺にどうしろと?」

ツバサは疑問を口にした。

「ZETA日本支部に運ぶのに、護衛についてもらいたい。彼女が持つ石のエネルギーは測り知れない。いつ何時誰が狙っているか分からないんだ。だから…、頼む。すでにトラックの手配は出来ているんだ」

だがその瞬間だった。

地下室が大きく揺れた。

「く…、地震かっ!」

揺れはおさまらず天井が崩れ始める。

「一条さんっ!先に逃げてください!」

「しかし…」

「いいから先に!護衛はもう始まってるんです!」

「わかった!だがすぐに来いよ」

一条がエレベーターに乗り込むのを確認すると、ツバサはフレイスフラッシャーを展開して、フレイスに変身した。

フレイスは地面を突破って地上へと脱出する。手には、カプセルと一条の乗ったエレベーターが握られていた。

フレイスはエレベーターをそっと置くと、カプセルを持って飛び立とうとした。

だがその時、地面を突破って、怪獣が現れたのだ。

「くそ…、やはり怪獣の仕業だったのか!」

ツバサはそう言うと、カプセルも地面に置いて、怪獣に向かって構えをとった。

「デュア!」

怪獣はフレイスめがけて熱線を発射する。だがフレイスは地面を大きく蹴って飛び上がると、それをかわした。

そしてそのまま怪獣の頭部に飛び蹴りを浴びせる。

怪獣は怯んで後退した。

「デュア!」

フレイスは着地すると再び構えをとった。

だが怪獣はそれを見て怯んだらしい。

くるりと向きを変えるとすごすごと地面に潜って退散していった。

フレイスは深追いせず、それを見届けるとツバサの姿に戻った。

 

そして、真っ先に、カプセルの元へ駆けつけるがそこに、少女の姿はなかった。

「いないっ」

だがすぐに前方に目をやると、そこに少女は立っていた。

「あなたが…。この星の光の戦士…」

少女はそう言った。

「目を覚ましたのか…。そうだ。この星ではウルトラマンと呼ばれている。その言い方だと君は…」

「そうよ。私はセヴァン星人シャオ。はるか昔にこの星、地球にやってきたの」

少女はツバサが訊く前にそう答えた。

「地球に…、なんのために来たんだ?」

「私たちの星、セヴァンは宇宙苦無獣ザラボンによって滅亡の危機に瀕していたの。そんな中現れた光の戦士と私は協力してザラボンをこの赤い石の中に封じこめた。でも遅かったのよ。その直後、星は崩壊し、宇宙をさすらっていた私は地球に辿り着き、そして眠りについた…。あなた達に起こされるまで…」

 

一方、玄界灘上空にはステルス機能で姿を消した巨大円盤があった。そして、その内部では、先程のウルトラマンフレイスと怪獣との戦いの映像が流れていた。

それを5人の宇宙人が眺めている。

「まさか…、この世界にもウルトラマンがいるとは驚きました」

黒い宇宙人が言った。

「奴らはどこにでもおる…。忌々しいことにな…」

青い宇宙人も言った。

「グオオ…、グオオ…」

骨のような宇宙人は唸り声をあげた。

「グロッケン、通訳しろ」

青い宇宙人が命令した。

「へいへい、いつから俺は通訳係になったんだ?」

グロッケンと呼ばれた宇宙人はボヤきながらも通訳をする。

「倒すのか、倒さないのかと訊いてるぜぇ、デスローグのヤツはよォ」

「もちろん、倒すに決まってるぜ!ヒョホホホホ、これもベリアル陛下復活のため!」

今度は赤い宇宙人が発言した。

「では…、誰が、先陣をきりますか?」

黒い宇宙人が訊くと赤い宇宙人は手を挙げた。

「やはりここはこの俺、ヒッポリト星人地獄のジャタールがブロンズ像にしてくれるわ!ヒョホホホホホホ!」

「どうやら、君を護衛するのはこの会議の間だけになるみたいだな」

ツバサとシャオは会議場前の芝生を歩いている。

「君は会議が終わり次第本部に送られることになったらしいからな」

まだ状況が掴めずにキョトンとしているシャオにツバサは説明する。

「えぇと…、私は本部とかどうのこうのとか聞いても全く何がどうなのか分からないわ…。ごめんね」

シャオは謝った。

「まぁ…、無理もないな。1万年も眠ってたんだ。そんなことになってもしょうがないよ。じきに慣れるだろうし今はあんまり気にしなくてもね」

するとシャオは言った。

「でも私、あなたが光に選ばれた理由、わかる気がするの」

「え?」

「ツバサは…、優しい…。だから…」

だがその時だった。

いきなり現れた地獄のジャタールが会議場近くに着地したのだ。

「なっ、怪獣!?…いや、やっぱ宇宙人!…うーん、いや、やっぱ怪獣!とにかく逃げろ!」

ツバサはシャオを逃がすとジャタールの方へ走っていった。

ジャタールは会議場を今まさに破壊しようとしていた。

「さぁ、出てこい!ウルトラマン!この地獄のジャタール様がブロンズ像にしてくれるわ!」

「あいつ…!宇宙人だったのかっ!」

ツバサはそう言うと走りながらフレイスフラッシャーを掲げた。

 

光とともにフレイスが走りながら現れた。

「出たな!ウルトラマン!」

ジャタールはそれを見ると構えをとる。

「デュアー!」

フレイスは突進しながらパンチを繰り出した。

だがジャタールはそれを受け止める。

「ヒョホホホホ、かかったな!この俺に触れられるということはつまり!ブロンズ像になるということ!」

見ると右手が少しづつブロンズに変化してきていた。

さらにジャタールはフレイスに蹴りを入れた。

フレイスは地面に倒れ込む。

「デュア…」

「さぁ!ブロンズ像になるがいい!」

フレイスのブロンズ部分はすでに肘の方まで上がってきていた。

だがその時、空中から飛んできたレーザーがジャタールを攻撃した。

「なっ、何者!」

見るとそれはゼータウイングだった。

「ウルトラマン!あとは任せろ!」

ゼータウイングに乗っているキョウスケが言った。

「やかましい!人間は黙っていろ!」

ジャタールは言うがゼータウイングはミサイルを大量に打ち込んできた。

その隙にフレイスは立ち上がる。

そしてフレイシウム光線を発射した。

「うわぁぁぁぁぁぁ!覚えてろ!ウルトラマン!」

ジャタールはそう言い、爆散した。

ジャタールが敗れると腕のブロンズは元に戻った。

そしてフレイスはそれを見届けるとツバサの姿に戻った。

「ジャタールのやつ…、またしても黒星とは…」

円盤の中であの青い宇宙人が言った。

「しかし…、彼が暴れてくれたおかげで、我らもどさくさに紛れて、ベリアル陛下復活の鍵となる人物を手に入れることが出来ましたよ」

黒い宇宙人は言う。

彼の隣には、ロープで縛られたシャオが立たされていた。

「本当にそいつがベリアル陛下の…?」

グロッケンはそう訊いた。

「本当も何も、この太平宇宙風土記にはそう書かれているのです。『緑の星に逃れたるセヴァンの少女、宇宙の皇帝を封印したり』と…」

「なるほど、すると拷問でもするわけか…?」

青い宇宙人は言う。

「いいえヴィラニアス、それはメフィラス紳士の名に恥じる行為、彼女から直接聞き出すのですよ」

「聞き出す?」

ヴィラニアスは訊く。

「まぁ見ていなさい。ですがその前に…、あのウルトラマン…。彼はベリアル陛下復活の障害となることは目に見えています。彼を始末せねば…」

するとヴィラニアスが手を挙げた。

「ならばこの吾輩!テンペラー星人極悪のヴィラニアスが!我がスペクトル光線でやつの正体を暴き!極暴タッグで始末する!これほどの適役はあるまい!」

「なるほどな…、するとお前はその子の護衛を命じられたってわけか…」

会議場前に着陸したゼータウイングの前で、ツバサ、キョウスケ、ショウの3人は話していた。

「だがさっきの宇宙人の襲撃でどこへ行ったのやら…」

ツバサはため息をつく。

「護衛は早くも失敗というわけか…」

ショウも言った。

「すまない…」

ツバサは謝った。

「まぁいい!見つけ出せばいい話だろ?俺達も協力するぜ」

キョウスケは言った。

「黒田さん!」

「いいってことよ」

3人は会議場周辺を手分けして探すことにした。

そしてツバサは福岡城跡で捜索をしている。

「と言っても、見つからんよなぁ…、まさか…、連れ去られたんじゃあ…」

「そのまさかだ」

急に後ろからそう声をかけられた。

振り向くと、ヴィラニアスだった。

「お前は…!」

「我が名はテンペラー星人極悪のヴィラニアス!喰らえ!スペクトル光線!」

ヴィラニアスはその目から光線を放つ。

「うわぁぁぁぁぁぁ!」

ツバサはそれをくらって地面に倒れ込んだ。

「フハハハハ…、やはりお主がウルトラマンか!吾輩の勘は当たっていたというわけか!ならば!死ねィ!」

ヴィラニアスはそう言うと巨大化した。

「く…フレイス!」

ツバサはフレイスフラッシャーを掲げて変身する。

 

「デュア!」

フレイスはヴィラニアスに向かって構えをとった。

だがその時、地響きが起こり福岡城の石垣を崩して、そこから怪獣が現れた。

「行くぞ!タイラント!極暴タッグの力見せてやる!」

ヴィラニアスとタイラントは前後からフレイスに突進してくる。

「デュア!」

フレイスは両手を伸ばして防御するが一瞬にして2体に挟み込まれ、押しつぶされた。

フレイスはそのまま地面へと倒れ込む。

そんなフレイスにヴィラニアスはこれでもかとビームウィップを叩きつけた。

フレイスは仰向けに転がった。

さらにそれをタイラントが踏みつける。

「グァァァ…」

「いいぞタイラント!そして喰らえ!ウルトラ兄弟必殺光線!」

フレイスは光線を喰らい…。

そしてそのまま光に包まれてツバサの姿に戻ってしまった。

「グハハハハ!我が極暴タッグの勝利なり!」

ヴィラニアスとタイラントはそう言うと透明円盤に回収され、消え去った。

「ちくしょう…」

ツバサは瓦礫とともに地面に倒れていた。

そしてフレイスフラッシャーに向かって手を伸ばす。

だがその手は、突然現れた黒い宇宙人によって踏みつけられた。

「おっと、これは我々がいただきますよ」

宇宙人はそう言うとフレイスフラッシャーを拾い上げる。

「これと…、あの少女を返して欲しければ、今日の夜、この場所にいらしてください。さすれば我らダークネスファイブ、あなたを手厚くもてなしますよ」

宇宙人はそう言って、地図の切れ端を渡していった。

 

ツバサは病院のベッドに寝かされていた。

「おい、気がついたか。お前この半年くらいの間に何回入院すりゃあ気が済むんだ?」

ツバサが目を覚ますと、そこにいたキョウスケは言った。

「すいません…」

「だがお前、くれぐれも抜け出すんじゃあないぞ。怪獣が現れてもな」

「分かりました…」

もちろん、内心ではあの地図の場所へ行く気であった。

「絶対にだぞ」

キョウスケは念を押した。

一方ここは、あの地図にも描かれたシャオが発掘された場所。

そこに、黒い宇宙人、グロッケン、ヴィラニアス、そしてシャオの4人は来ていた。

「必要なのは、この少女、そしてこの場所、それに1人の生贄です」

黒い宇宙人は言った。

「やっぱりこの洞窟!奥に変な遺跡があるっすよ!」

近くにある洞窟の入口でグロッケンが叫んだ。

「やはりこの場所ですか…。では、そろそろ話してもらいますよ。ベリアル陛下の復活させる方法を」

黒い宇宙人は岩に座らせたシャオに問いかける。

「知らない…、ベリアル陛下なんて人も…、元々…」

シャオは答える。

「それでは困りますね。私たちとしてはあなたの力が必要なのですよ。いいですか?もし陛下の復活が成功したのなら、あなたにはダークネスファイブに次ぐ順位を授けましょう。さぁ、話すのです」

「本当に知らないのよ!ベリアルなんて人も!第一あなた達だって何者なの!?」

シャオは言う。

「こいつ…、口を割らんな…、やはり拷問するしか…」

ヴィラニアスがやってきた。

それを黒い宇宙人は制する。

「待つのです…、ヴィラニアス、もしかしたら本当に何も知らないのかもしれませんよ」

「し、しかし…、それだとどうすれば良いのだ?スライ…」

「まぁ見ていなさい」

スライと呼ばれた黒い宇宙人は右手を伸ばして、そこから光を放つ。

「催眠術にかけて、記憶を取り戻させるのです…」

だがその時、不意に飛んできたレーザーがスライの手に命中した。

「やめろぉぉぉぉぉぉ!」

ツバサがレーザーガンを構えながら走ってきた。

「ツバサ!」

シャオが言う。

「おや、随分と早いですね…」

「こっちは早いとこシャオを助け出さないといけないんでね!」

「なるほど、ではこれでどうですか」

スライはメフィラスブレードを出すとシャオを抱き寄せ、ブレードを首元に押し付けた。

「人質だと!?卑怯な!」

ツバサは立ち止まる。

「卑怯もラッキョウもありませんよ。そして、グロッケン!デスローグ!」

「はいよ」

グロッケンは返事をした。

すると次の瞬間、ツバサ達の背後にデスローグがどこからともなく現れ、着地をする。

それを見るとグロッケンも巨大化した。

「な…、変身すら出来ないって言うのに!」

グロッケンはツバサを掴みあげた。

「ケケケケケ、まぁ今のところは殺さないでおくぜぇ!なんてったってベリアル陛下復活のための生贄なのだからなぁ!」

「グオオ、グオオ!」

だがその時だった。スライの胸元あたりが光り輝くと、そこからフレイスフラッシャーが飛び出したのだ。

「なっ、馬鹿な!」

そしてそのまま、ツバサの手の中に飛び込んできた。

「グオオ!グオオ!」

「なんだ?デスローグ、危ないからそいつから手を離せ?そんなわけ…」

その時、グロッケンの顔面に至近距離からパンチが飛んできた。

「うげっ」

グロッケンは思わず後ずさる。

見ると目の前にフレイスが立っていた。

「貴様!いつの間に変身を!」

「グオ!グオオ」

「デュア!」

フレイスはグロッケンめがけてキックを放つ。

だがグロッケンは両腕でそれをガードした。

「さぁ!ヴィラニアス!あなたはこの少女を連れて洞窟の中へ行ってください!」

スライはシャオをヴィラニアスに引き渡した。

「スライ、お主はどうする」

「私はしばし見学とさせていただきますよ」

ヴィラニアスはシャオを乱暴に洞窟の中に引き入れた。

 

一方、グロッケンはフレイスを羽交い締めにしていた。

そしてそれに目がけてデスローグが火球を放つ、火球は次々とフレイスに命中していった。

「ケケケケケッ!俺たちのコンビはヴィラニアスの極暴タッグに勝るとも劣らない名コンビだぜ!」

グロッケンはそう言うと、フレイスを蹴り飛ばした。

フレイスはそのまま地面に倒れ込む。

それをグロッケンとデスローグが次々と踏みつけた。

フレイスのカラータイマーが点滅を始める。

「そろそろトドメといこうぜ!デスローグ!」

グロッケンは両手のブレードに冷気を溜め始めた。

だがその時、最後の力を振り絞ってブリザードモードにタイプチェンジをした。そしてグロッケンのブレードに思いっきり蹴りを入れると立ち上がった。

そして、デスローグが放った火球を次々と弾いていく。

「ハァァァァァァ…」

フレイスはグロッケンの冷気を吸収すると両腕をクロスしてハイパーブリザードショットをデスローグめがけて発射する。

「グオオオオオオオオオオオ!」

デスローグは一瞬にして氷漬けになった。

さらに同じ攻撃をグロッケンめがけて放つ。

だがその時、突如巨大化したスライによってその攻撃は阻まれた。

フレイスは光線を打ち終わると消耗しきって倒れ込む。

「おやおや、もうおしまいですか?」

スライはそう言って、デスローグに向かって念力を放ち、その氷を溶かした。

「グオオオ…」

デスローグは唸り声をあげた。

「グロッケン、デスローグ、もういいですよ。あとはこの私、メフィラス星人魔導のスライがカタをつけます」

スライはそう言うと構えをとった。

フレイスはゆっくりと立ち上がるがもう戦う力はほとんど残っていなかった。

そんなフレイスにスライはメフィラスブレードから光線を放った。

フレイスはそれを喰らうと、エネルギーの限界値に達し、人間の姿に戻った。

「ぐ…、貴様…」

森林の中で、倒れたツバサの前に人間大に戻ったスライが立っていた。

「さぁ、もうあなたには選択肢はありませんよ。来るのです。ベリアル陛下復活のための生贄に!」

スライはそう言ってツバサを担ぎ上げる。

 

一方、ここは洞窟の奥深くにある遺跡の一室、ヴィラニアス、グロッケン、そしてシャオの3人がいた。

「ここは…、なんて恐ろしいことを…。ダメよ!こんなことをしては!」

シャオはその部屋を見た途端に思い出したかのように言った。

「ケケケッ、思い出したかい?嬢ちゃんよォ」

グロッケンは言う。

するとシャオはグロッケンに掴みかかった。

「あなた達が蘇らせようとしているのはベリアルなんて人じゃあない!宇宙苦無獣ザラボンよ!」

グロッケンとヴィラニアスは顔を見合わせた。

「ザラボン?一体なんなんだそいつは…」

ヴィラニアスはきく。

「私の故郷を滅ぼした悪魔のような宇宙怪獣、別名…『宇宙の皇帝』 …」

そう言いながらシャオはグロッケンから手を離した。

「おいおい、グロッケン…、これはまずいことになったぞ…。スライのやつが陛下と勘違いしていたのは、どこぞの危険な宇宙怪獣!いかん!スライは今どこにいる!」

その時、スライがツバサを担いで現れた。

「おいスライ!」

ヴィラニアスがスライに掴みかかった。

「どうしたのですか?ヴィラニアス、見苦しいですよ」

「違うんだスライ!お主の言っていた宇宙の皇帝ってのはベリアル陛下のことじゃあなかった!ザラボンとかいう結構危険そうな宇宙怪獣だったんだ!」

それを聞いたスライは全身の力が抜けていくのを感じた。そして、ツバサを落としてしまった。

「いてっ」

ツバサが目を覚ます。

「まさか…、陛下では…ない?」

「スライ!お主のせいだぞ!お主のせいでベリアル陛下とは無関係の人々が!」

ヴィラニアスはスライを責め立てる。

だがその間にシャオが割って入った。

「今は争ってる場合じゃあないわ!それに…」

そう言った瞬間だった。

シャオのペンダントの赤い石が黒く光り輝きそのまま近くにいたヴィラニアスを飲み込んでいったのだった。

「ヴィラニアス!」

スライが手を伸ばしたがもう遅かった。

「ぐああああああ!」

ペンダントを離れて空中に浮かび上がった石に、ヴィラニアスは吸い込まれていった。

「おい!一体なんなんだ!?」

ツバサだけが1人状況を掴めないでいる。

「説明は後!逃げなきゃあここももうじき崩れ去るわ!」

次の瞬間、部屋の天井が崩れ始めた。

「あ…、あぁ…」

グロッケンはその場に立ちすくんでいる。

「何ぼーっとしてるのよ!あなたも逃げるわよ!」

シャオはほかの2人を部屋から出したあと、グロッケンの手を引いた。

「な…、なんで俺なんかも助けるんだ?」

「そんなの関係ないでしょ!この星自体が危ういって時に!」

「シャオ姉貴…」

グロッケンは涙を流しそうになったが、シャオはもうそんなこと見てすらいなかった。

「だから立ち止まってる場合じゃあないわよ!」

 

ヴィラニアスを除く4人が洞窟から急いで出てくるのを人間大になれないので外で待っていたデスローグは見つけた。

「グオオ、グオオ!?」

「デスローグ!大変なんだ!ヴィラニアスのやつがザラボンとかいう宇宙怪獣に!」

グロッケンが状況を説明する。

次の瞬間、洞窟のあった地面から土煙が巻き上がり、そこに、紫っぽい見た目で赤い目をした宇宙怪獣が立っていた。

「あれが…、ザラボン…」

「グオオ!」

デスローグはその姿を見ると突進していった。しかしザラボンが肩から発射したブーメラン状のカッターを喰らって後方に吹っ飛ばされた。

「1人じゃあ無理よ…」

シャオが言う。

「ならば…、俺たちもいくぜ!」

ツバサはフレイスフラッシャーを構える。

「分かりました。ではいきますよ!グロッケン、あなたはシャオ殿をお守りするのです!」

スライは言った。

「へいよっ!」

ツバサはフレイスに変身する。

それと同時にスライも巨大化をした。

 

「デュア!」

フレイスとスライは同時に構えをとった。

それを見たデスローグも立ち上がる。

だがザラボンはそれを見ると目から赤い光線を放つ。

3人は一瞬にして後方に吹き飛ばされた。

 

グロッケンもシャオを庇って地面に伏せる。

「これで借りは返させてもらったぜぇ!」

グロッケンは言った。

「グロッケンさん?」

「なんすか姉貴」

「ザラボンの体内へ向かうわ!」

「へいよ!…て、えぇ!?」

「ザラボンはヴィラニアスさんを核にして蘇った。それならば彼を救出できればあるいは…」

「倒せるというのか?」

「多分」

「そういうことなら!」

グロッケンとシャオは立ち上がった。

 

一方、フレイス、スライ、デスローグの3人はザラボンの光線を喰らい続けていた。

「ダメだ…、近付けないどころか防御もできない!」

ツバサが言う。

「グオオ!グオオ!」

「分かりました、ウルトラマン!それでは私がやつの攻撃全ての盾となります。それであなたたち2人は敵に全力攻撃を当ててください!」

「スライ!そんな無茶な!」

「グオオ!」

するとスライは言った。

「もとより、ベリアル陛下にお仕えした時点で命など捨てておりますから」

そしてスライは最後の力を振り絞ると立ち上がり、ザラボンの方へと進み出た。

「よし!行くぞ!デスローグ!」

「グオオオ!」

フレイスとデスローグは立ち上がった。

その頃、グロッケンとシャオはザラボンの足もとまで来ていた。

「これからどうするんすか?姉貴」

すると、シャオはグロッケンの腕を掴んだ。

「グロッケンさん!しっかりつかまってて!」

「お、おう…!?」

グロッケンがまだ戸惑っているうちに2人は空中に飛び上がった。

そしてそのまま、ザラボンの正面にまで飛行していく。

「えっ、ちょ、高いっすよ姉貴!?」

だがシャオはそんなことにも構わずにザラボンの胸元に突入する。

 

気がつくと、そこは全体的に赤っぽい異空間であった。

そして正面の赤い球体の中にヴィラニアスが閉じ込められていた。

「ヴィラニアス…」

グロッケンはその球体にそっと手を置いた。

「グロッケンか…。フフ…、ここまで来たダークネスファイブも…、もう終わりかもしれんな…」

ヴィラニアスは言う。

「旦那ぁ、そんな弱気で…、旦那らしくありやせんぜ、もっと気を強く持たないと…」

だがヴィラニアスは続けた。

「陛下に…、会ったんだ…。夢の中で…、案外もう陛下にお会いするには…、あっちの世界に行くしかないのかもな…」

するとヴィラニアスは球体ごとヴィラニアスを殴りつけた。

「ヴィラニアス!どうしてそんなことを…!陛下復活を諦めるというんすか?そんなこと…俺は認めねぇ!第一手前の都合ばっかり並べやがって!俺はもうあんたを見損なったぜ!ベリアル陛下に会ったら報告してやる!あんたはダークネスファイブの中でも最低最悪のクズ野郎だったってね!」

すると、明らかにヴィラニアスの表情は変わった。

「グロッケン…、さすがに…、卑怯だな…!陛下の名前をお出しになるとは!」

そしてしばらくの沈黙のあと、言った。

「なるほど…、その気持ち!確かに受け取った!うおおおおおおおおおおおお!」

「すごい…、球体が割れ始めてきているわ…」

見ると球体にヒビが入っていた。

そして次の瞬間、ヴィラニアスは球体を打ち破り、外へと飛び出した。

それをグロッケンとシャオが受け止める。

それと同じ頃だった。

フレイシウム光線とデスローグの火炎光線がザラボンの厚い装甲を打ち破ったのは。

ザラボンは大爆発をおこし、この世から消え去った。

 

そして爆発が収まると、そこには、グロッケンとシャオがヴィラニアスを支えながら立っていた。

「終わった…のね…。私の1万年の因縁も…」

シャオは呟いた。

「姉貴…」

「まさか吾輩がウルトラ戦士に助けられる日が来ようとはな…」

ヴィラニアスもしみじみと呟いた。

 

そして、翌朝、朝焼けに照らされた海岸線には、人間大のスライ、グロッケン、ヴィラニアスと巨大なままのデスローグがツバサ、シャオと向き合って立っていた。

「そうか、帰るのか?元いた宇宙に…」

ツバサは訊いた。

「どうしたのですか?やけに寂しそうですね」

「いや、そんなことは無いさ、ほかの宇宙でも迷惑かけんなよってな」

「って言ってるけど本当は寂しいのよこの人」

シャオがそう言ってからかう。

「おい、てめ。言いやがったな」

だがシャオはそれを無視して続けた。

「グロッケンさん、いや、グロッケンでいい?」

グロッケンは頷く。

「色々世話になったわね。ありがとう…」

「い、いやぁ、借りを返しただけですぜ姉貴」

するとシャオは首を横に振った。

「ううん、私のことはシャオでいいわよ。ホント、ありがとうね…」

「おい、グロッケン、顔が赤いぞ」

ヴィラニアスはそうからかった。

「う、うるせぇ!お前だって言うことあるだろ?」

「そうだな…。皆、かたじけない。吾輩のせいで…」

「いいえ、ヴィラニアス、元はと言えば私の早とちりが原因ですよ」

スライがすかさず言う。

「グオオ、グオ!」

「デスローグが『もう終わったことだし、いいだろう』って言ってるぜ」

グロッケンは通訳をする。

「まぁ、とりあえず、我らは行きますよ、ベリアル陛下復活のために」

スライがうまくまとめた。

するとツバサはシャオに訊く。

「そういやお前はどうするんだ?もうザラボンも倒されたし…」

「えぇと…、私は…。この人達と行くわ!」

シャオが指さした先、それはダークネスファイブであった。

「えぇ!?」

そこにいた全員が驚く。

「だって心配だから。また誰かに迷惑かけないかなって」

「なるほど…保護者ですか」

スライが言った。

「いいんすか?スライ?」

グロッケンはきく。

「とか言いつつ嬉しそうだなお主」

ヴィラニアスが突っ込んだ。

「う、うるせぇな…」

 

やがて5人は円盤に回収されて消え去り、海岸にはツバサだけが残された。




もうここまで書いて、もう書くことが…ってことで本編のほうもよろしくお願いします。


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