ゆびわのはなし   作:ゼミのプレゼン原稿できないマン


原作:ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか
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勢いだけで書きました。眼汚し失礼

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ゆびわのはなし

「じゃあ行ってきますね、神様」

 

 神様からの返事はない。昨日もバイトで疲れてしまったのだろう。このオラリオで僕の事を拾ってくれた、優しい神様だ。僕は神様の為にも、なによりあの人(アイズさん)に追いつく為にも強くならなくてはならない。

 

 ダンジョン五階層。僕がミノタウロスに襲われたことのある場所だ。専属アドバイザーのエイナさんからはそろそろ、サポーターでもいいからソロでの攻略ではなくパーティを組んでの攻略を勧められた。それはそうだろう。ダンジョンは常に死と隣り合わせだ。少しでも隙を見せれば、僕の命なんてすぐに死神が持っていくだろう。(もっとも、たくさんの神がいるこのオラリオだ。案外死神もファミリアを持ってそうだけれど。)

 

 「フッ!」

 

 コボルドの攻撃を避けたと同時にナイフを一閃。そのコボルドは首と体が分かたれた。すかさずもう一匹のコボルドも勢いよく両断する。最後のコボルドの懐に潜り込み首を斬る。五階層に潜るようになって数日、もう体が覚えているようなものだ。ダンジョンのモンスターの亡骸はほとんどが彼らの核である魔石を残して消滅する。運が良ければ皮などがドロップする。これはお金(ヴァリス)にしたり武器や防具の素材にできたりする。

 

 「ふぅ…少しは強くなれたかな」

 

 数日前にはなかった確かな手ごたえを感じる。豊穣の女主人で馬鹿にされ、逃げ出してしまった日の夜。あの日にモンスターと戦ったことで少しは強くなれたのだろう。

 

 少し進んだ先、ふと横を見る。そこには少しの荷物と武器が置いてあった。こう言い換えた方がいいかもしれない。遺されていた、と。ここは浅いとはいえダンジョン。地上と比べたら危険度は段違いに高い。おそらく冒険者の遺品、なのだろう。こういう時殆どの冒険者は無視するらしい。「ああはなるまい」と自らに戒めつつ。けれども僕にはその遺品の事を見過ごす事ができなかった。

 

 遺されていた物の内容は割れたポーションの瓶、剥ぎ取り用のナイフ数本。そしてナイフよりは大きい、けれど大剣よりは小さいソードが二振り。

 

 「なんだろう、これ…指輪?」

 

 そして最後に二つの指輪。裏に名前が彫ってある。それぞれピンク色の宝石と青色の宝石がついている。無視することも可能だろう。それとも黙って懐にしまえるかもしれない。けど、僕はどちらもできなかった。

 

 「エイナさんに聞いたら探してもらえるかな?」

 

 本来は他のファミリアの事情などには踏み込んではいけない。とされているが、団長や主神にギルド経由で送るのなら大丈夫だろう。と気楽に考えると荷物を回収して上に戻ることに僕はした。

 

 「ええと、ベル君はこの指輪の持ち主が所属していたファミリアを探して、ファミリアの主神に届けようと考えたんだね」

 

はい、と僕は頷く。エイナさんはさっき僕が思った事と同じような感じで、わかりやすく説明してくれた。断られるかも、と思ったが「しょうがないなぁ」と引き受けてくれた。本当に迷惑ばかりかけてしまっている。ギルド経由で渡してくれるそうだ。

 

 ふと夕暮れ時の空を見上げる。雲は何かを隠しているように見えた。街を歩いてゆく人の中には恋人同士であろう人たちもいた。ギルドの前には泣いている女性がいる。その人の薬指は少し震えていた。

 

 その夜、夢を見た。葉書には「元気?」と書かれていた。それを渡してきたのは小さい僕だ。お祖父ちゃんといた時の僕だ。

 

 翌日、ギルドに行くとエイナさんから人を紹介された。昨日僕が届けた指輪の持ち主が所属していたファミリアの主神と団長さんだった。その少し後ろに昨日泣いていた女性がいる。どうやら中規模な遠征の最中だったらしく、その指輪の持ち主はサポーターとして同行していたが、運悪くトラップに引っかかり、なくなく五階層に置いてきてしまったらしい。もう少し早く僕がそこにたどり着いていれば助けられたのかもしれない。「気にしないで」とその女性は言ってくれた。

 

 その夜、神様とのステータス更新を終えた後、その女性と、死んだ彼女の恋人について少し考えた。考えたけどわからなかった。

 

 いつか僕も悲しませる側になってしまうのだろうか。


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