しがないサイヤ人の転生物語   作:ZN86

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大変お待たせいたしました。


フリーザ最後のパワーアップ!見せろキリュウの元祖の力

「な、なんだ……?キリュウのあの変化は……」

 

身体が竦んで一人動けなかったターレスは、キリュウの爆発的に上がった気と金色に変化した姿に思わず驚きの声を上げる。

 

「まさか……あれが……!」

 

サイヤ人は大猿にしか変化しない筈、しかしターレスは伝説に語られるサイヤ人の存在を知っていた。

 

そう、超サイヤ人だ。

 

千年に一度生まれるとされる伝説の存在。その伝説が目の前の男かもしれない。

 

これならば……。キリュウの溢れ出る気に思わず期待が高まる。

 

しかし当のキリュウは気付いていた。このままでは勝てないという事を……。

 

 

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「ほう、もしかしてそれが超サイヤ人かな?」

 

立ち上がったキリュウに対してフリーザは大して驚いた様子もなくそう訪ねる。キリュウが超サイヤ人になった所でフリーザには及ばない。フリーザは目の前の伝説に驚異を感じなかったからだ。

 

「まさかこの俺がなれるとは思わなかったけどな」

 

キリュウの心は至って冷静沈着だった。超サイヤ人になると軽い興奮状態になるんじゃなかったのか?そう頭の中によぎるも今考える事では無いと思考を切り換える。

 

「いいえ、なれるとしたらベジータなどではなく貴方しかいないとそう確信していました」

 

「そいつは光栄だ」

 

フリーザが何故こんなにも俺の事を評価しているのか分からないが、バーダックとベジータの仇を取らせてもらう。

 

「おや、構えなんかとって……変身したからといって僕に勝てるとでも思っているのかな?」

 

「勝てるさ……界王拳」

 

「なっ!?」

 

10倍界王拳を発動してフリーザに殴り掛かる。超サイヤ人になっても冷静なままでいるキリュウは界王拳の併用を問題なく行うことが出来た。

 

そしてなにより、フリーザに攻撃が通じる事を確認した。

 

このまま仕留めてしまおうと怒涛の猛攻を仕掛けるキリュウ、しかしこのままやられるフリーザではない。

 

「なめるなぁっ!!」

 

フリーザがフルパワーの状態になる。全体的に筋肉が膨張し、気の総量が増える。

 

「ぐあっ!!」

 

力関係が入れ替わってしまった。ならばこちらも出力を上げるだけだ。

 

キリュウは界王拳を20倍まで引き上げる。力関係はまた逆転した。

 

「なにっ!?」

 

先ほどよりも更に苛烈な勢いでフリーザを押していく。このまま行けばフリーザに勝てる。そう誰もが思った時だった。

 

 

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「はああああああっ!!!」

 

フリーザは気のバリアを展開させた。キリュウは思わず距離をとり、界王拳を解除し体制を整える。

 

「ま、まさか……このフリーザがここまで追い詰められるとは……。やはり念には念を入れておいて正解でしたよ……」

 

「なに……?」

 

フリーザはどこからかあるものを取り出す。そのあるものとは……

 

「神精樹の実だとっ!?」

 

「ふふふ……頑張っていたようだけど、これで終わりだよ」

 

フリーザは神精樹の実を口にする。先ほどまで均衡を保っていた力の差が崩れさり、フリーザは圧倒的なパワーアップを果たす。

 

「ぐふっ……!」

 

初めと同じように腹を殴られ、意識が遠のきかける。フリーザの手足がうっすらと黄金のオーラを纏っているのが目に入る。

 

「随分と手こずらせてくれたけど、本当にこれで終わりだよ」

 

フリーザはキリュウの襟元を掴み、トドメの一撃を放とうとする。

 

が、いきなりフリーザが消えた。

 

少し離れた水辺に飛沫が上がる。

 

「大丈夫か、キリュウ」

 

ナメック星人の避難を終えて戻ってきたブロリーがそう声をかけてきた。どうやら不意打ちでフリーザを吹っ飛ばしたらしい。

 

不意打ちとはいえフリーザを吹き飛ばせるだけのパワーを持っているブロリーに驚きだ。確か大猿の力だったか。

 

……待てよ、大猿?

 

キリュウはある事を思いついた、これは大きな賭けになる。

 

ブロリーに時間稼ぎを頼んでターレスの元に向かう。ブロリーは快く引き受けてくれた。頼む、戻ってくるまで死なないでくれ……!

 

 

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「ターレスッ!」

 

早速ターレスにパワーボールを作るように頼む。ターレスは驚いていたが、状況が状況なだけにすぐにパワーボールを作ってくれた。

 

キリュウの頭に浮かんだのは"超サイヤ人4"の事だったのだ。超サイヤ人に覚醒した今なら可能性はゼロじゃない……!

 

「俺が変身したらパワーボールを消しておいてくれ」

 

そう指示し、上を見る。

 

ナメック星の空には月が無い。その代わりとなるようにターレスの作ったパワーボールが爛々と煌めいている。その光が目に入る。

 

──ドクンドクンと血液が滾り、眠っている力が解放されていく感覚を味わう。

 

大猿になったら理性を取り戻すことに尽力しなければ……。そう覚悟を決めるキリュウ。

 

闘争本能が刺激され、戦闘意欲が向上するのを自覚する。……ただ、それ以上がない。

 

もしかして失敗か!?そう思い自身の体を見ると予想とは違った変化があった。

 

この変化が一体何なのか、今は全くわからない。だが格段にパワーアップした事は分かった。これで勝てなかったら本当の本当に終わりだろう。

 

しかしキリュウの心に恐怖はなかった。遠くでブロリーと戦っているフリーザの気が自分と同等に感じたからだ。

 

……早く行こう、ブロリーが待ってるんだ。

 

 

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フリーザは焦っていた。キリュウをあのまま行かせてしまうのはマズいと感じていた。

 

しかしキリュウを追いかけようとするフリーザの前にブロリーが立ち塞がり、フリーザの足止めを行っていた。

 

フリーザからしてみれば足元にも及ばない見知らぬサイヤ人の一人だが、殺すつもりで放った攻撃を喰らってもまだ生きている。

 

ブロリーは攻撃を受ける一点に気を集中させる巧みな気のコントロールと、持ち前の自慢の巨躯でフリーザの攻撃を即死レベルから致命傷レベルまで引き下げていた。

 

フリーザはそのブロリーに対して焦る一方だった。なんとかしなければ……。そう考えていたフリーザに天啓が降りてくる。

 

「この星を消すッ……!!!」

 

フリーザと選んだ選択はナメック星の破壊だった。

 

フリーザの放ったデスボールがナメック星の地表へ落ちてゆく。

 

ブロリーは自分に放たれるものだと構えていた事と、蓄積した体へのダメージによって反応することが出来なかった。

 

デスボールがナメック星にぶつかる……その瞬間、デスボールの進行方向が真逆に変わる。

 

「チィッ!間に合わなかったか……!」

 

フリーザは自分に向かってきたデスボールを避け、自身の気弾を弾いた張本人へ視界を向ける。

 

「よくここまで耐えてくれた……後は俺がやる」

 

そこには上半身を金色の体毛で纏ったキリュウの姿があった。

 




読み返しててこれはねーなって思ったところがあったので、一部修正しました。

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