いや、すぐに投稿とか、心機一転とか書いておいてお待たせしました。
心機一転した結果、小説外のことにハマっていた作者です。
申し訳ない。
ただ、このサイトが消滅でもしない限りは、完全にエタることだけはないと思います。
なのでホント、気付いた時にでも読んでもらえればって感じです。
あ、ちなみに再投稿分は結局ほとんど手を加えていないので、流し読んでも問題ありません。
2009年4月10日(金)
ペルソナの覚醒と連続召喚で消耗し、意識を失ってしまった湊と違って悠は、ある程度の説明を受けていた。
毎晩深夜0時になると訪れるという影時間。
それは1日と1日の狭間にある隠された時間。
影時間内では、普通の人間は棺のような姿に象徴化して、その時間があることすら感じない。
その中ではシャドウという異形の化け物が現れ、何らかの要因で象徴化を逃れて生身で影時間にいる者を襲い、精神を食らう。
精神を食われた者はたちまち生きた屍――これは確定ではないらしいが、近頃流行り出している“無気力症”という症状も、そこから派生したものではないかと彼らは考察していた。
しかしそんな象徴化を逃れた人間は、影時間の適性者としてある力に目覚める可能性が存在する。
それが――ペルソナ。
影時間内では人間だけでなく電気や携帯が止まったように、普通の機械は動かない。
つまりシャドウに対抗する手段は、そのペルソナのような超常の力に限られてくるわけだ。
だからこそ、彼らは自分たちにしかできないこととして戦っている。
“S.E.E.S”……特別課外活動部を英文字に変換して頭文字をとった略。
表向きは部活として――実際にはシャドウを倒す集団として選ばれた者たちの集まり。
私立月光館学園・巌戸台分寮に暮らす者たちのことだ。
悠と湊が入寮したその寮は、S.E.E.Sの本拠地という実態を隠していたのだった。
「影時間が訪れる理由は分かっていない。シャドウを倒すとともにその謎を解明するのが私たちの目的だ」
「お前と有里も少し特殊な形とはいえ俺たちと同じくペルソナに目覚めた。だから二人には仲間になってもらいたい。有里にも起きたら同じ説明をするつもりだ」
上級生の桐条美鶴と、そこで初めて自己紹介を交わした短髪で赤いベストと皮手袋が特徴的な同じく上級生の“真田明彦”、さらにはゆかりと幾月を加えた四人が現在の主なS.E.E.Sのメンバーらしい。
正確にはその後ろに桐条財閥が存在しているようだが、実動部隊として動くのが彼らであるのは間違いがない。
「……俺や――有里が適性者だということは分かっていたんですか?」
「ん? どうなんですか、幾月さん」
「分かっていたと言うよりは、可能性として目星を付けていた程度さ。とりあえず一番安全なこの寮に入れといて、適性者じゃなければ、適当な理由を付けて他の寮に移ってもらうつもりだった」
どう目星を付けていたのかは知らないが、何せ彼らの後ろにいるのは世界有数の桐条財閥だ。
悠はそれで納得することにして、少し考えを巡らせた後に尋ねる。
「――なるほど。……答えはすぐに出したほうがいいですか?」
「もちろんそのほうがいいが、有里のこともある。彼女が目覚めるまでは私たちも特に動くつもりはないから、それまでは答えを待ってもいい」
「とはいえ、どの道、影時間は毎晩嫌でも訪れるんだ。単純に自衛を考えても、俺たちに協力するのが無難だぞ。仲間にならなかったからと見捨てるつもりはないが、どうしても優先度は低くなるからな」
「ちょっ、先輩にそんな言い方されたら彼も困るんじゃ……あんなのと戦うとか、どう考えても普通じゃないし……そりゃ、仲間になってくれるなら……その、心強いですけど……」
ゆかりは窺うような視線を悠に向ける。
シャドウが現れた時の慌てようからして、ゆかりもS.E.E.Sに入ってから間がないのかもしれないなと悠は考えた。
「……そうだな。鳴上も色々あって疲れてるだろう。答えは先程も言ったように有里が目覚めてから聞かせてもらうことにしよう」
「分かりました」
美鶴の言葉にその日は解散し、湊の目覚めを待つことになった。
同日 -放課後-【2-F教室】
「有里、いきなり休みだな。お前同じ寮なんだから何か知ってる? やっぱ、転校して環境が変わったから疲れが出ちまったのかな?」
影時間は終わっても、学生としての日常は変わらずに続く。
影時間で起きたアレコレやその説明を何とはなしに振り返っていた悠は、一瞬反応が遅れたが、話し掛けてきた順平に視線を向けると頷いた。
「だと思う。きっとすぐによくなるさ」
「そうか? ならいいけどなー。あ、そうそう! そういや、お前の寮って真田さんも――ああっ、いやいや、やっぱ今のなしっ! 忘れてくれっ!」
「どうした?」
順平はいつもテンションが高めだが、それ以上にどこか浮かれた様子を見せる姿に悠は首を傾げる。
しかし順平は意味深に笑うと話題を変えて誤魔化した。
「へへっ。ひょっとしたらそのうちに分かるかもな。とりあえず今日はどうする? 巌戸台周辺の食いもん屋でも紹介してやっか?」
「順平がいいなら頼む」
「OK! どこにすっかなー。ハンバーガーかラーメンか……牛丼って手もあるな」
そして……湊の意識が失われてから戻るまで約3日を要することになった。
2009年4月12日(日)
「目が覚めてよかった」
休日、それに湊が退院するということで悠が辰巳記念病院に顔を出すと、湊はちょうど退院の支度を終えたところだった。
湊は身体的には本当にただ眠っていただけのようで、軽い検査のみですぐ退院許可が出たのだ。
入れ違いにならずによかったと思いながら、悠が湊の意識が戻ったことを喜ぶと、湊は若干はにかんで笑う。
「あははっ。心配かけちゃった? ゆかりにちょっと聞いたけど大変なことになってるみたいだね」
「ああ。答えは有里が目覚めてからって話だったけど、なんか俺たち以外にもう一人候補がいるみたいで、そいつが来てからってことになった。有里も今のうちに考えておくといい」
「そうなんだ? って言っても、結局は答えなんて一つしかなくない?」
「……そうかもな」
そういうことになっていた。
悠たちがシャドウと交戦した前日の影時間内に、明彦――上級生の真田明彦がもう一人適性者を見つけていたらしい。
その時は混乱していたので軽く説明して帰したが、再び話して、とりあえずの協力を取りつけたとのことだ。
その人物もしばらくすれば入寮してくるという話で、説明をするなら全員揃っていたほうが都合がいいだろうと、返答はその時まで待つという話になったのだ。
もっとも――湊の言う通り、ここまで状況が揃ってしまっていれば、答えはもう決まっているのかもしれなかった。
「――有里。一応は病み上がりだろ? 今日の夕食は俺が用意するよ」
「え、ホントにーっ? そういえば趣味が料理とか言ってたっけ? 私、男の子の手料理とか初めてかもっ!」
「期待に副えばいいが」
その後、その場に居合わせたゆかりにも手料理を振る舞った悠。
その評価は――……。
「うまーっ! 鳴上くんっ、これすっごい美味しいよっ!」
「……ホント。男の子にこれを作られると、ちょっと自信失くすかも」
どうやら大好評だったようだ。
2009年4月19日(日)
「今日だよね? そのもう一人の人が来るの」
「ああ。そのはずだ」
間に流れた1週間という時間では、やはり影時間の存在こそ意識させられたものの、シャドウの襲撃のような事態がまた起こることもなく、改めて転入生としての日常を――学園や港区に慣れるための時間として用いられた。
そして今日、今度は改めて非日常に向かい合うことになる。
「どんな人かな?」
「……私、なんかすっごい嫌な予感するんだよね」
そのために必要なもう一人を待っている三人だったが、ゆかりはその人物に心当たり――あるいは何かしらの予感があるのか、微妙な表情をしていた。
そしてガタガタと大きな荷物を持って現れたその人物はと言うと。
「あ、順平だーっ」
「順平か」
「ほらーっ! 嫌な予感がするって言ったじゃんっ!」
「よっ! 三人とも! ――あー、テヘヘ……今日からここに住む伊織順平です。どうもっス」
明彦が言うもう一人の人物とはクラスメイトの伊織順平だった。
順平がどことなく浮かれたようにテンションが高かったのも、この影響だったのかもしれない。
確かに漫画やゲームのような展開にその気持ちは分からなくはないのだが……。
――とにかく、順平が荷物を置いて一息吐いた後に、彼らは寮の四階にある作戦室へと集められた。
「……説明は今した通りだ。改めてこの話を聞いた上で君たちの答えを聞きたい」
もう一度、影時間やシャドウ、ペルソナに関する説明がなされ、美鶴が新規組の三人を見る。
「オ、オレはやるッスよ! なんか正義のヒーローみたいでカッコいいじゃないスか!」
「私もです。いろいろ考えたけど、結局それしか答えはないかなって思うから」
「そうか。鳴上はどうだ?」
→仲間になる
仲間にならない
「一応理由を聞いてもいいか?」
「はい。でも、二人とそう変わらないです。シャドウが人間を襲ってて、それをどうにかできるのが自分たちだけならやるしかない」
「分かった。それでは君たちに専用の召喚器と腕章を渡す。鳴上は召喚器は必要ないかもしれないが、一応持っておいてくれ」
美鶴は悠の言葉に頷くと、アタッシュケースの中から銃型の召喚器と、S.E.E.Sと入った腕章を取り出し、三人へと手渡す。
悠も素直に頷き、それらを受け取った。
「必要ないって何?」
渡された召喚器を眼前に掲げ見ながら、順平は傍のゆかりに尋ねた。
「鳴上くんは召喚器がなくてもペルソナを呼べるみたいなの」
「ふーん。それだとなんか違うのか?」
「別にそれ以外の違いはないんじゃない? そもそもペルソナって一人一人違うものだから」
「そか」
ならいいやと順平は再び召喚器にその興味を戻した。
そうして、それぞれが召喚器と腕章を受け取ると、幾月が口を開く。
「いや、感謝するよホントに。これでやっと始められそうだよ」
「おっ! さっそくなんか始まるんスか? なんかワクワクするっス!」
「これだけ頭数が揃えばあの場所に挑める」
「あの場所って……“タルタロス”ですよね?」
「タル……なんスかソレ?」
「タルタロス。あそこは言ってみればシャドウの巣。影時間の謎を解くカギがある場所だ。……おそらくな」
悠も湊も順平と同じくその場所については何も知らない。
ただ、おそらくということは、そうじゃない可能性もあるということだ。
自分たちだけじゃなく、S.E.E.S自体が、まだ何も分かっていない手探りの状態。
影時間の真実を知りたければ、これから自分たちの手で探すしかないようだ。
「……今日はもう遅い。これまでにしようか。タルタロスには近々行くことになると思うが、明彦はこの前の“大型シャドウ”に襲われた際の怪我がまだ治っていない。同行はしてもらうが探索は無理だ」
「分かってるさ」
大型シャドウとは湊のペルソナが倒したシャドウのことだ。
あれは寮に現れる前に見回りをしていた明彦と交戦し――というか、その戦いで負傷した明彦が連れてくる形で現れたらしい。
「大型シャドウ?」
「この前の満月の時に出たのよ。――でも、怪我ってペルソナで治せないんですか?」
一人事情を知らない順平に軽く答えると、ゆかりは自分も疑問を口にした。
「今、私たちが使える“ディア”では足りないようだ。一時的に痛みを和らげることはできるが、それ以上の効果はない」
「“ディア”?」
「回復スキルよ。ペルソナが使える魔法みたいなもの。切り傷とか体力の消耗はある程度回復できるけど、ヒビとか骨折だと、ダメってことみたいね」
ペルソナは超常の力である証明として、魔法やら、そういう空想の世界に存在する力を現実のものとして使うことができた。
「へー! それでもすげーじゃん! マジで魔法とかさ!」
順平はその言葉に浮かれた様子を見せるが、ゆかりは溜息を吐いてその短絡的な思考を戒める。
「そんな騒がないでよ。私たちの相手するシャドウだって似たようなことして来るんだから」
「え、マジで?」
「マジよ。だからあんたもそうやって浮かれてばっかいないことね」
「それは明彦にも言えることだな。――そうだ。理事長はどうされますか?」
「え、僕はここに残るよ。ペルソナ、出せないしさ……」
幾月は影時間に適応こそできたが、その言葉通りにペルソナは出せない。
なのでタルタロスに行く時も付いて来ることはしないようだ。
そして彼らは適性者足り得なかった理事長の発する微妙な空気の中解散した。
「……けどさ。正直言うと驚いたぜ? お前らもペルソナ使いだって聞かされた時はさ」
「こっちも驚いたわよ」
「でも、知ってる顔がいてよかったよ。やっぱ、一人じゃ不安だったしな」
作戦室から出ると順平はそんなことを言い出した。
浮かれた顔を見せてはいても、いきなりの非日常に対して、やはり不安に思う部分もあったらしい。
「順平……」
「ま、お前らもオレっちが仲間んなって、ホントんとこ嬉しいだろ?」
「え? ま、まあね」
ゆかりは若干言葉に詰まったが、最低限同意する優しさをみせた。
「うん! みんなで協力して、世界に平和を取り戻すために頑張ろうよっ!」
「――世界、か」
「規模大き過ぎでしょ」
「いやー、そんなことないんじゃねえの? 別に影時間ってここだけの出来事じゃないんだろ?」
「え、たぶんね」
「だったら、その謎を解明すれば世界的偉業ってことっしょ!」
「だねーっ!」
「……はぁ。あんたらいいよね。なんかお気楽でさ」
夜が更け、影時間が来て、影時間が明けて、再び影時間が訪れる時――彼らはその非日常の集大成とも言える異形の塔へと挑むことになる。
タルタロスという物語の舞台は、すでに準備は整ったと、主人公たちが訪れるのを待っていた。
ペルソナQ発売記念投稿。
作者も買う予定ですが、問題が一つ。
3DSが行方不明……捜索の結果、親戚の小学生が持って行っていたことが判明。
いや、確かにそこにあるゲームは好きなの貸すよ的なこと言ったけどね。
まさか本体ごと持っていくとは、最近の小学生を侮っていました。
返ってくるのを待つかもう一台買うか悩み中。
無駄遣いはしたくないが……いや、これは必要経費、完全に必要経費のハズ。
うーん……あ、そういえば、P4Gがアニメ化するらしいですね!
今度の番長は最初から2周目的な雰囲気を持っていたのでかなり期待。
いやー、これは7月が待ち遠しいなぁ。