っす口調の椛が見たかった



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衝動的に

2時間で通りすがりの一般的なジェバンニが作ってくれた

故にクオリティ低め


1945字


もみじとかえで

「ねーねー先輩、ちゃんと聞いてるっすかー?」

「はいはい、ちゃんと聞いてるよ」

 

二人の男女が川岸で、倒れた丸太に座って釣り糸を垂らしていた。

 

「それで、射命丸様がまたなんかやらかしたのか?」

「そーなんっすよ! 射命丸様ったらまた仕事ほっぽりだして取材に出かけて! しかも大天狗様も自分が仕事をやりたくないからって 「お前は真面目だしあいつとも親しい、さらに千里眼を持つと来た。だからあいつを連れ戻して仕事をさせるかお前が代わりにするか、選んでくれ」 って押し付けて来るんっすよ!? これが噂に聞く()()()()ってヤツっすよね!」

 

片方は女性。白髪に二つの犬耳、白い尻尾。さらに白いシャツのようなものに黒いスカート。

 

名を犬走(いぬばしり)(もみじ)。山の哨戒部隊の部隊長を務める、真面目な白狼天狗

 

「あーご愁傷さまで。というか結構大天狗様の真似が似てるな……まあそれはどうでもいいか。お前は運がいいな。つい先日俺の仕事が片付いたんだ。どうせ仕事もしばらくは暇だから、お前の仕事でも稽古でもなんでも付き合ってやろう」

「本当っすか!? 先輩大好き! よーし、そうと決まればさっさと仕事を片付けて先輩といちゃらぶするっすよ!」

 

もう片方は男性。灰色の髪に椛よりも大きい二つの犬耳、こちらもやはり彼女よりも太めの灰色尻尾。抹茶色の着物に紺の羽織を纏っている。

 

名を狐ヶ崎(きつねがさき)(かえで)。椛が隊長を務める哨戒部隊の書類を担当する、自称平凡な白狼天狗。

 

「射命丸様を捕まえた方が速くないか?」

「むしろ射命丸様が速すぎて追いつけないっすね」

 

丸太に座る二人の距離は、遠い。釣り糸を絡めない為にも、離れるのは自然であった。

 

「それもそうか。よしんば捕まえられても仕事やってくれるとは限らないしな」

「そうっすよ。どうせ大天狗様に大目玉喰らうのは射命丸様。賭けに出るよりも堅実に行くのが戦いの基本っすからね」

 

椛はおもむろに竿を地面に置くと、腰を上げる。

 

「全然釣れないっす」

「釣れないねぇ」

 

椛は楓に近づき、肩が触れ合うような近さで腰を下ろす。白い尻尾はゆらゆらと揺れている。

 

「やっぱりこんなに近いのに遠いと寒いっすからね」

「寒ければ先に帰るか?」

 

言葉とは裏腹に、楓は椛の方を抱き寄せる。

 

「言葉の(あや)ってやつっすよ……先輩はいじわるで優しいっすね」

「褒めらてるのか(おとし)められてるのか分からんな。それにさっきのも含めて矛盾(むじゅん)してないか?」

 

楓は釣竿を地面に放り捨て、椛の腰を掴んで膝の上へと座らせる。

 

「わっ、急にどうしたんっすか?」

「なんとなく、かわいい恋人を愛でたくなっただけ」

 

彼が頭や耳の付け根を撫でると、椛は情けない声を出して頬をほんのりと赤くする。

 

「ふえっ……急には反則っす……」

「あはは、ごめんごめん」

 

項垂(うなだ)れた椛による形だけの抗議に、楓は形だけの謝罪を返し、(たわむ)れる。

 

「今日の晩御飯、魚は里で仕入れるとするかな」

「そうっすね。これ以上続けても不毛っす」

 

そう思って立ち上がった楓と、(つがい)との触れ合い(スキンシップ)が終わって名残惜しそうにする椛。

 

「そんな顔するなよ……ほら、手」

「あっ……ありがとうっす」

 

椛が手を取った瞬間、楓は椛を抱き寄せて唇に触れるだけの軽い接吻(キス)を落とす。あまりに唐突な不意打ちに彼女は人間の方の耳まで真っ赤であり、白い尻尾はブンブンと振られている。

 

「わわわっ! やっぱり先輩は優しくていじわるっすよ!」

「むぅ。こんな先輩は嫌いか?」

 

赤い顔を隠すように、楓の胸に顔を(うず)めると、とても小さな声でこう呟いた。

 

「大好きっすよ」

「ん?聞こえなかったな。すまんがもう一度頼む」

 

聞こえているのか聞こえていないのか、即座に聞き直す楓。彼には潜在的なサディズム的な嗜好を持っているのかもしれない。

 

やがて覚悟を決めたのか、キッした表情で楓と目を合わせると、こう言う。

 

「くぅぅ………わたし、犬走椛は、先輩、狐ヶ崎楓のことを、世界の誰よりも愛しています」

「…………」

 

覚悟を決めた椛の大胆な愛の宣言に、流石の楓も顔を赤らめ、目を逸らし沈黙した。

 

(椛が可愛すぎて辛い)

 

どうやら彼の思考も毒されているようだ。

 

「うぅ、先輩もなんか言ってくださいよ。私だけだと恥ずかしいっす」

 

椛の濡れた赤い瞳に見上げられようものなら、楓に抵抗する(すべ)などない。

 

「…………俺は、この命が尽きるその時まで、椛を愛し、守り抜くと誓います」

 

どうやら今度は椛が絶句する番のようだ。目は逸らされず、お互いの尻尾は急ぎしそうに左右に動いている。

 

「……誓いの接吻をおひとつくださいな」

「はい、何回でも、喜んで」

 

楓は、椛にその証を落とした。




誰か続けて


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