メタルスラッグ〜女モーデン兵の転生記〜   作:只の暇人

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ベアトリス結婚騒動その1

サッ、サッ、サッ!

 

基地の入り口前にて箒で落ち葉や砂を掃く私。

 

すると向こうから一台の赤いバイクが現れた。

郵便である。

 

「郵便でーす」

「ご苦労様です」

 

配達者から大量の手紙を受け取り、切り良く掃除も終わったので検問所で整理することにした。

 

「これは兵士さんの………これも………こっちは請求書………こっちは苦情書………」

「よぅレアちゃん。相変わらず忙しそうだな」

 

一人の兵士が私に挨拶してきた。

 

「どうもおはようございます。それほど忙しくしてませんよ。状況判断は戦闘において大事なことですからね」

「くうぅ〜〜………健気だなぁ〜。折角だからさ。俺と結婚」

「しません。………これはこっちで………ん?」

 

ふと手紙の中に一枚かなり目立って入る手紙があった。

 

「ロイヤルレターですか。これは珍しい」

「なんだそれ?」

「貴族がよく使う手紙です。貴族間で手紙をやり取りする際に使われるものでたった一つで十万するそうです」

「十万っ!?手紙一つで!?」

「それが貴族ですから。それにこの印鑑から察するにかなりの上級貴族のようですね」

 

そういいながらナイフでサッと口を開ける。

 

「お、おい!何考えてんだ!十万がもったいね………じゃなくて…勝手に読んでいいのか!?」

「貴族の手紙という見た目で爆弾を送りつけるなんて結構ありましたから先に開けとかないと」

「いねーよ!そんなバイオレンスな貴族!?」

 

兵士のツッコミを無視して私は手紙を読む。

(ちなみに爆弾はなかった。)

 

「………婚約相談?」

 

手紙の内容はなんと婚約の手紙だった。

 

「『拝啓、ドナルド・モーデン元帥閣下。貴殿の野望の成就と我がアルゲート家の繁栄のために、貴殿のとこの女性を我が一族と婚約を迎えたい。件の女性“ベアトリス”との返事を期待する』………ベアトリスちゃんが結婚?」

 

なんだかすっごい波乱が巻き起こったとすっごく思ったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

side ベアトリス

 

最悪。

 

いまのあたしの心境はこれに尽きる状態だわ。

 

「………で、我が軍のパトロンになる条件に婚約を望みたいと?」

「ええ、その通りです」

 

モーデンのおっさん(人前では言わない)が目の前にいるアルゲート伯爵というデブじじいと対話している。

 

おっさんの両脇にはあたしと立会人としてきたお姉様。

デブじじいの隣にはあたしとほぼ同い年の子供がいる。

 

事の発端はこのデブじじいがいきなりやってきて婚約の話を持ちかけてきたときは思わずあいつの頭を疑った。

でもレアが持ってきた貴族専用の手紙が、それが本気だという証拠なのであたしは頭を抱えたくなる気分になる。

 

「………一応聞くがなぜ彼女を御所望で?」

 

モーデンのおっさんが理由を求めた。

 

「話が長くなりますが、我が一族は耐えられないのですよ。同じロイヤルファミリーが仲良しこよしをやっている状況に。とはいえ私は金を多く蓄えただけの人間でしかない。ならばどうすればいいか?その答えは私がモーデン軍のパトロンとなり、我がアルゲート家の偉大さを見せ付けるためにある」

 

ようはモーデン軍と手を組んですごいと自慢したいらしい。

デブのくせに小さい男ね。

 

「だが、ただパトロンになりに来ただけでは意味がない。そこで私はさらに考えた。モーデン軍ともっと繋がりを作る方法を」

「………それが婚約だと?」

「その通りですモーデン軍元帥閣下。我々が資金を提供し、あなた方はそれを力に変える。そうすれば、あの忌々しいジェルミ家に一泡吹かせられるというもの」

 

ジェルミ家。

確か正規軍にそんな名前の奴がいたわね。

思いつくのはとろそうなメガネ女だけど。

 

「………話が逸れてしまいました。これを機にご紹介しましょう。私の孫にして次期アルゲート家後継者のレオン・アルゲート。この子は見た目に反して聡明で賢い。おまけに年はベアトリス殿と近いですからね。…レオン」

「レオン・アルゲートと申します。どうぞよろしくお願いします」

 

隣にいた子供、レオンって言ったっけ?多少幼さが残る顔つきね。まさかこんなやつと結婚だなんて。まぁどっかの不男とくっつけられるよりかはマシだけど。

 

チラッとお姉さまを見ると、お姉様はずっとデブじじいを警戒している。

 

………正直な話、あたしは結婚そのものを打ち壊したい気分なのよ。したくもない結婚なんてなくなればいいのにって思う。

 

でもそれはできない。そんなことをすれば、パトロンがいなくなるのはどうでもいいことだがお姉さまに迷惑がかかると思うと強く言い出せない。

 

あたしはもどかしい気持ちになる。

 

「粗茶をお持ちしました」

 

すると人数分のお茶を持ってきたレアが入ってきた。

………てかあの佇まいと言い動き方と言い、あたしの中で秘書とメイド長と言う言葉が浮かんだ。

 

「………私はモーデン軍を一通り把握してきたのですが、彼女は一体?」

 

ふとデブじじいがレアを凝視している。

 

「彼女はレア・ドラゴニフ。あのレオード・ドラゴニフの娘だ」

「なにっ!?あの『戦の流浪士』レオード・ドラゴニフの娘ですと!?」

 

デブじじいが驚愕した顔でレアを見ている。

かくいうあたしもその父親についてあまり興味ないから知らないわね。

 

「…成る程。モーデン軍はなかなか優秀な人材を集めているようだ」

 

髭を撫でながらレアを見ているデブじじいだけどその視線はあいつの胸元に注いでいた。

 

チッ!どいつもこいつも男ってやつは!

 

チラッとレオンというガキを見るとこいつもレアのことを見ていた。

 

けどこいつの場合嫌らしい視線ではなく気になっているって感じだ。

 

その視線に気づいたレアはレオンに対して微笑みをプレゼントする。

 

微笑みを受けたレオンは、なんと頬を赤くさせた。

 

………なんか嫌な感じが………。

 

「お爺さま」

「レオン、外出時は伯爵様と呼べ」

「………失礼伯爵様。伯爵様は同い年という理由でベアトリス様と婚約させるつもりですよね?」

「そうだ」

「ですがモーデン軍に所属する女性兵であれば誰でも良いんですよね?」

「………なんだ?まさか気になる相手を見つけたとでも?」

 

デブじじいが訝しげにレオンを見る。

 

「はい。僕は………」

 

レオンはスクッと立ち上がり、レアの隣に移動して、

 

「僕は彼女との婚約を望もうと思います」

 

とあたし達に宣言したのだ。

 

「………え?」

 

驚いているあたし達をよそにレアは間抜けな顔をしていた。

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