ベアトリスちゃんの………というより私の結婚騒動から色々ありました。
まずモーデン軍内の状況だが、表面上はいつもと変わらないが、一眼につかないところでは私に対して求婚をしまくっているのだ。
それもモーデン軍ほぼ全ての兵士がだ。
もちろん私は丁重にお断りしている。
私には好きな人がいるしその人以外と結婚する気はないのだ。
しつこく迫った人と好きな人を貶した人について?
………知らんな。後で閻魔様に行き損ねた兵士の皆さんに聞いて見なさいな。
次に友人関係や故郷の話だが、
アスラとセリカは祝福すればいいのかどうか迷っている様子。
ラルクはウェディングドレスの私を生で見たかったと悔しがっていた。(その後ドラグノフさんにボコられていた)
ユリネちゃんはレオン君を殺すなどと物騒なことを口走っており、近くを通りかかったマーズピープル達をビビらせていた。
そして故郷の様子はサクヤの調査によると村長を筆頭にアルゲート家に戦争をふっかけようとしていたところだった。
もちろん急いで戻って村のみんなを説得してことなきを得ました。
その時村長が酷い姿になったり住民達がいつものレアちゃんじゃないと恐れられたのはご愛敬。
それで私は現在何をしているかというと、
「これ、これ、これ、これは違う、これもこれ」
無駄紙(ラブレター)の処分の真っ最中だ。
「いやほんとすげぇな。レアちゃんのあの紙の山。あれ全部ラブレターか求婚状だぜ」
「うーんレアちゃんはモテると常思ってたがここまでとは」
「モーデン軍の天使の名は伊達じゃないな」
「伊達のままでしたらどれだけ良かったことか」
あの騒動のおかげで私の知名度が全国にまで影響してしまったようで、こんな感じでラブレターが後を立たないのだ。
「はぁ、こんなのがいつまでも続いたら重たくなってきました。胸がつっかえる気分になります」
「じ、じゃあ軽くしてやるよ。ついでにマッサージもいかがかな?」
一人の兵士が邪な心で提案をしてきた。
「うーん、マッサージは魅力的ですね。けど大丈夫なんですか?」
「なにがだい?」
「あなたの同僚が殺意で動かないかと」
「なんで?」
「隙あらばおっぱいもむきなんですよね。目線と邪な顔が思いっきり出てますよ」
「おい、ちょっと向こうで話をしようか」
邪な提案をした兵士はドナドナされていきました。
「露骨すぎなんだよあいつ。とはいえレアちゃんのそれは俺たちにとって素晴らしい果実だからな。心ゆくまでしゃぶり尽くしたいと思うくらい」
「ではその言葉を後でアビゲイルさんがベアトリスちゃんに報告しましょうか」
「「「「申し訳ございませんでした」」」」
兵士たち全員が土下座した。
「………でもこれがあるから皆さんは私に接しているようですし」
「いやいや、俺たちゃ普通にレアちゃんがすきだよ。これはそう、男のロマンシングサガなのだよ」
「ロマンシングサガと来ましたか」
「………まぁ実際は怖い上司に欲情出来なくてその反動だと思ってくれれば…」
「あーなんとなくそういうことですか」
やはり私のこの体はミツバチにとっての美味しい蜜と同等なようだ。
少し困っていると一人の兵士が高級そうなケースを持っているのが見えた。
「それ、プレゼントですか?」
目敏く見つけられた兵士はビックリして、照れ臭そうに言う。
「故郷の恋人に送ろうと思ってな」
「なんだと!?てめぇ俺たちモテない男団の仲間じゃねーってのか!?」
モテない男団とはほぼ女性関係が無い、もしくは悪い人たちの集まりとのこと。
「それはお前らが勘違いして無理やり入隊させたんだろうが。俺にだって彼女ぐらいいるさ」
「「「「「くそったれ!!」」」」
敗北感を感じて悪態をつく皆さん。
「一体なにを渡すのですか?」
私が聞いてみると、彼女持ちの兵士は頬を赤らめながら答えた。
「ある高級取り扱いの店から買ったんだ。結構高かったが、これで彼女に告白できるぜ」
そう言ってケースの中身である光り輝く宝石を見せた。
「おお!すっげえ綺麗だ!」
「くうぅ、俺もいつかそれを買い金を手に入れたい」
みんなが称賛する中、私はその宝石を見て………呆れる気分になった。
「それすっごく綺麗に見えますが………ガラスですよ」
「「「「「「「「「「………………へ?」」」」」」」」」」
兵士の皆さんは間抜けな顔をする。
「綺麗に磨かれたガラスと本物のダイヤモンドは似てはいますが違うんです。どれだけ本物に似せても材質が違います」
「これが偽物だって!?なんでわかるんだよ!」
「目利きの師匠から教わった技術です。そうですね。簡単な見分けかたをするには傷をつけられるか、油と馴染むか、熱が伝わるかの三つです。前者2つはあれなので熱伝導を試してみましょう」
私は兵士さんのダイヤとサクヤが持ってきた本物のダイヤを持つ。
「よく見ててくださいね」
私は二つのダイヤに息を吹きかけ、二つのダイヤは曇る。
その変化に違いがあり、サクヤが持ってきた本物のダイヤはすぐに曇りが取れたが、兵士さんのダイヤはまだ曇りが晴れてなかった。
「これで兵士さんのダイヤはガラスの偽物だと証明されました」
「ち、ちくしょーーーーー!!あの店長騙しやがったなぁーーーーーーー!!?」
偽物を買わされた兵士さんは怒りをあらわにした。
「ところで参考までに伺いますがこの偽物はどんな名前の店から買ったのですか?」
「『ジュエル&アンティークス』だよ!!くそったれ!」
まだ怒りが冷めない兵士さんは乱暴に答えた。
「うん?ちょとまて。『ジュエル&アンティークス』って言ったか?」
ふと別の兵士さんが手を上げた。
「な、なぁレアちゃん、まさかと思うが俺が買ったこの指輪は?」
おずおずと私にダイヤの指輪を見せる。
その結果…
「そのダイヤもガラスです。しかも鉄の代わりにアルミを使ってますね」
「やっぱりかちくしょう!!!」
兵士さんは偽物を地面に叩きつけた。
その拍子に指輪が砕けてしまい、偽物であったと結論づけた。
「おいおいまてまて!!じゃあこれも偽物なのかよ!」
そう言って別の兵士が見せたのは一つの絵画だった。
一見すればなんの変哲もないものに見えるが…
「本物はもっとハキハキとした色合いですよ。ほら」
私は全絵画の書の中から本物を見せる。
本物は綺麗な色をしていたが、偽物はくすんでまるでやる気が感じられなかった。
「まじで違う!くそ!!騙された!!」
この兵士さんも怒りで偽の絵画を地面に叩きつけた。
「いやいやいや、みんな確かに偽物かもしれねえけどこの幸せを呼ぶ壺があれば」
「セメントで型を取って後で色付けした百円にも満たないその壺がですか?」
「セメント!?しかも百円以下!?」
小さな壺を持ってきた兵士さんはあまりの金額差に偽の壺を落として割れた。
「これは………モーデン軍に限った話じゃないですが、連続詐欺ですね」
「そうだ詐欺だ!今すぐあそこに行かなくては!」
「ダメですよ。私たち一般兵は勝手に基地から出たら反逆者になります」
「じゃあどうすればいいんだ!」
騙された兵士達は怒りを隠しきれない。
このままでは暴動が起こるんじゃないかと思ったその時だった。
「うるさいわね!あんた達なにを騒いでいるの!!?」
黒子を連れたベアトリスちゃんが現れた。
彼女の登場により怒りにまみれた兵士達は怒りを収めた。
「すみませんベアトリスちゃん。『ジュエル&アンティークス』で偽物を買わされて皆さん気が立っていたんです」
「偽物買わされた?あははははは!それはなんとも間抜けね貴方達!」
爆笑と嘲笑を同時に繰り出すベアトリスちゃん。
相変わらずサディストだ。
「そんなあなた達にこれを見せてあげる。これをプライベートでお姉様と一緒につけて愉悦に浸ってあげるわ」
そう言って見せたのは光り輝く小さなリボンだった。
ベアトリスちゃんの髪に結んだリボンと同系統のものだろう。
だからこそ私はベアトリスちゃんにその『偽物』を指摘する。
「安物の布地に粉末状にしたガラスを散りばめたリボンですか。きっとベアトリスちゃんをいいカモとして売ったんでしょうね。その店の店員さん」
「………………」
思わぬところで外へ出る口実ができた私たちであった。
みんなも偽物には気をつけよう!