メタルスラッグ〜女モーデン兵の転生記〜   作:只の暇人

2 / 23
筋肉スキンヘッドってある意味中ボスだと思います

〜♪〜〜♪

 

早朝の知らせを鳴らす音楽が流れる。

 

「ぅうん、………まだ眠いなぁ………」

 

私は目をこすりながら太陽を遮るカーテンを開ける。

ほぼ真横に位置する太陽の光を直に受けて思わず手で日光を遮る。

 

「眩しい………でも行かないとなぁ………」

 

私は眠気と戦いながら素早く軍服に着替える。

入隊する前、私を養子にした父が『神速着替え術』などとカッコつけた訓練をつけられたのを思い出した。

今思えば訓練は嫌だったが素早く着替えられたことに便利さを感じたからもう何もいうまい。

 

 

 

 

 

数分後…

 

「ヤーハッハッハッハッ!女は時間を有すると聞いたが早いじゃないか!」

 

と訓練場で高笑いを挙げているのはモーデン軍の鬼軍曹『不死身のアレン・オニール』。

メタルスラッグの有名な存在で正規軍と何度も戦っている猛者だ。

しかも飛行船から落ちようがシャチに食われようがケロッと復活することから不死身の鬼軍曹の二つ名を持つようになったそうだ。

 

「ここに配属する前に父が言ってました。『朝の訓練で一番の障害は着替えるときだ!それを乗り越えるために着替える速さを上げる特訓をつけてやる!』と」

「ヤーハッハッハッハッ!随分過激だなお前の親父は!だが嫌いじゃないぜ!」

「そのセリフは父に聞かせてやってください。喜びますよ」

 

などと他愛もない対話を続けていると私と同じ兵士たちが集まってくる。

 

「集まったな」

「………やっぱお手柔らかにできませんか?」

「俺は手加減が苦手だ」

 

やっぱ見た目通り脳筋でしたね。ちくせう(泣)。

 

「ヤーハッハッハッハッ!俺はアレン・オニール!泣く子も黙る不死身のアレンさまよ!今日からオメーらを鍛え上げろと上に言われたからビシビシしごいてやるから覚悟するんだな!」

 

 

 

 

そこから先は地獄だ。

 

百メートルを10周、簡単な筋トレは序の口。

戦闘訓練、鬼軍曹と鬼ごっこ、鬼軍曹と手合わせ、鬼軍曹と力比べ………って鬼軍曹さん関わってばっかですね?

軍曹さんもしかして暇なんですか?

暇つぶし一つで一部隊をほぼ全滅させちゃうんですか?

脳筋なれど実力は本物だから余計タチが悪い。

 

「なんだなんだぁ!?根性がたんねぇぞオメーら!そんなんで正規軍の糞どもをぶっ殺せると思っていたのかぁ!?」

 

鬼軍曹の周りには死屍累々の兵士達。

そりゃみんな私含めて新人だからそうなるわな。

 

「それにひきかえ…」

 

鬼軍曹は振り返りざまに愛用の銃で私のナイフを防いだ。

ちぇ、やっぱ簡単に首は取れないか。

 

「オメーはなかなか根性があんじゃねーか」

「…『敵を倒す時は状況を理解し、次の行動を予測しながら確実に倒せ』。良く父からそう言いながらしごかれてました」

 

軽く返すと鬼軍曹さんは高笑いします。

 

「ヤーハッハッハッハッ!ますます気に入ったぁ!オメー………なんだったっけな」

「………レア。レア・ドラゴニフ一等兵であります。ついこの前昇格されました」

「そうか!じゃあレア!お前俺の部隊にh…」

「お断りします」

 

昇格すれば色々いいことがあるというが私はそんなもの興味はない。

むしろ現状維持が望ましい。

ましてや鬼軍曹………アレンさんの部隊は筋肉成分が多すぎて私まで筋肉がついたら溜まったもんじゃない。

 

「お、おい。あの女、鬼軍曹の誘いを断ったぞ」

「ありゃ終わったな。近いうちお線香をプレゼントしてやろう」

 

おいそこ!不吉なこと言うな!

私は自殺願望なんて持ち合わせちゃいないんだよ!

むしろ筋肉だらけの部隊に入ることが嫌なんだよ!

………まぁ私の一言でアレンさんが一瞬ポケッとしてるけど………。

 

「………ヤーハッハッハッハッ!アーッハッハッハッハッハッ!!」

 

次第に大笑いを訓練場に響かせた。

モブ兵士達は信じられない目で私とアレンさんを見ている。

 

「俺の目の前で、大胆に断るなんて言った奴はお前が初めてだ!」

「はは、一応名誉と受け取りますよ?」

「ヤーハッハッハッハッ!なんども言うがますますお前が気に入った!!今回は引き下がるが、もし入りたくなったらいつでもあいてるぜぇ?待ってるからよ。ヤーハッハッハッハッ!」

 

アレンさんは大笑いしますけど、私は気が気でないんですよ。

こう言う状況の後はロクでもないことが起きるって相場が決まってますから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「貴様がレアとか言う噂の女か。アレン・オニール軍曹の誘いを蹴った貴様をこのデストラーデが成敗してくれる!」

 

ほらやっぱり!

どこから聞いたのか明らかに不機嫌な筋肉ウーマンに目をつけられてしまいましたじゃないですか!

 

今目の前にいる筋肉ウーマンはデストラーデ。自称アレンさんの副隊長とのこと。

見た目でわかる筋肉に分厚い義手のように見える機械仕掛けの右腕の持ち主。

そして見た目通りパワーが強くハードルを軽々とダンベルのように扱ってたのは流石に驚いた。

 

そのデストラーデが私を見下ろしながら私に挑戦してきた。

 

「………それ、マジで言ってます?」

「当たり前だ。一五〇〇時に訓練場で落ち合おう」

「って待って待って待って!なんですかその決定事項!?そんな無断で訓練場を使うんですか!?」

「無断ではない。アレン軍曹と元帥様が許可を出してくれた」

「………ジーザス!」

 

アレンさんは兎も角あの元帥が認可しただと!?

あのモーデン元帥が少なからず興味を抱いていたのはなんとなくだったけど私は元とはいえただの女子高生だったんだよ!?

一発でも当たったら私死ぬんだけど!?

平穏に暮らしたかっただけなんですけど!!?

…でももうそんな生活はこの問題を解決しない限り永遠に続くんだろうなぁ…。

 

「………はぁ、分かりましたよ。行けばいいんでしょ?」

「うむ」

 

さてどうやってこの脳筋女を黙らせようかなぁ………?

 

 

 

 

 

 

 

私とデストラーデは訓練場のど真ん中で互いに向き合っている。

訓練していた兵士達は一時中断し、まるで観客のように見守っていた。

 

なにやら「デストラーデに一枚」「こっちは二枚だ」「なら俺はレアちゃんだ!」「こっちは10枚かけるぞ!」と賭け事をしているのが聞こえたが…あとで話し合いするとしよう。

 

その時一機の大型戦車(正式名称はジィ・コッカだったかな?)に乗ったとても偉そうな眼帯の男が現れる。

そう、彼こそがモーデン軍のトップ、ドナルド・モーデン元帥だ。

 

彼の登場に私とデストラーデ、そして観客だった兵士達も敬礼する。

その後、アレンさんが現れて私とデストラーデの間に立つ。

 

「ヤーハッハッハッハッ!聞こえているかおめーら!!デストラーデと期待の新入りのレアの決闘が始まるぞ!!」

 

わああああああああ!!と歓声が上がる兵士達。

私はちょっとうるさいと思う。

 

「この女は俺の部下にしてやろうとしたがそれを蹴った。デストラーデはそこが気に入らないみたいでな。いっそのこと決闘して俺の部隊にふさわしいかここで証明してみようと思ってな」

 

っておい!!このバカ軍曹!!

笑いながら言うことじゃないだろ!!

なんでアレンさんの部隊に入ることが決定事項なんだよ!?

 

「んじゃデストラーデ。とりあえず死なない程度にと言っといてやる」

「お任せくださいアレン軍曹。あんなひ弱な女に遅れを取ることはありません」

 

おい話を進めるなこの脳筋馬鹿ども!!

 

「んじゃおめーら、配置につけ」

 

イベント回避不能かよ!

………あーもうこうなりゃやけくそだ!!

いつか馬鹿軍曹も含めてこの脳筋女をボコってやる!!

 

「………始め!」

 

ゴーーン!!

 

どこぞの兵士が寺で見かける金太鼓のようなものを合図にデストラーデが猪突猛進に駆け出す。

 

「先手必勝だ!」

 

デストラーデは義手のついてる右腕で私に殴りかかる。

おお振りなれど見た目に反して早く、普通の人なら間違いなく一撃で死ぬだろう。

無論“当たれば”の話だけど…

 

「おっと…!」

 

迫り来るデストラーデの拳をギリギリ避ける私。

続けざまにデストラーデは豪腕を振り回すが、私は全てギリギリでかわす。

 

「流石だな。アレン軍曹が目にかかるのがわかる」

「褒め言葉として受け取りますよ」

「…戦闘中なのに余裕で対話しあまつさえあまり疲れを見せないとはな。ますます面白くなった!」

 

おい!お前もか!

アレンさんと同じくお前も戦闘狂か!!

 

「少々ずるいが、これで終わりにしよう!」

 

デストラーデが拳を地面に叩きつけ私の視界が砂塵で埋まる。

 

「!………どこ?」

 

目を守りながらデストラーデを探す。

 

「うおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 

背後からうるさい声が聞こえる。

 

『いいかレア。敵の中には姑息な手を考える輩がいる。姑息な手段の一つが視界を奪うことだ。人間というのは殆どが視覚、つまり目で情報を集めるということだ。だが視覚を奪われれば動きたくても動けなくなる場合がある。だが安心しろ。視覚を奪われた際の対処法はある。それは…』

 

昔父に教えられた訓練の一つを思い出す私。

目が見えなくなった時の対処。

それは…

 

ガキィンッ!!

 

「なにっ!?」

 

『相手がどこから来るか肌で感じ取れ』

 

目を前に向けたまま背後から殴りかかる拳をアーミーナイフ一本で弾き逸らす。

 

デストラーデの拳の勢いを利用し素早く背後に回り、私のナイフはデストラーデのうなじにトンっとナイフを置いた。

 

「………………」

「………………私の負けか」

 

デストラーデはがくりと膝をついた。

 

「「「「「ウオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」」」」」

 

兵士たちが私の勝利に騒ぎ出す。

 

「………あのデストラーデを負かすとはな」

 

アレンさんは驚愕混じりに私を賞賛する。

その時モーデン元帥はジッと私を見つめていたけど勝利の余韻に浸っていた私は気づかない。

 

「…お前みたいなやつに負けるとは。私もまだまだのようだ」

「いやいや、私だって結構ギリギリでしたよ」

「それは謙遜か?あんなに余裕そうに…」

「父の教えの一つ『敵を騙すにはまず自分を騙せ』。つまり私は余裕だと自分に言い聞かせているだけですよ」

「…まぁ、今はそういうことにしてやろう」

 

少々引っかかりを感じたものの納得したデストラーデさん。

私とお互い握手して兵士達は賞賛の声をあげた。

 

「ってあれ?元帥閣下?」

 

するとモーデン元帥がこちらに近づいてきたので私は敬礼し、デストラーデ含め兵士達も慌てて敬礼する。

アレンさんはふてぶてしく様子を見守っていた。

 

「お手並み拝見させてもらった。流石はレオード・ドラゴニフの娘か」

「!父をご存知なのですね」

 

レオード・ドラゴニフ。

 

私を養子として一人前の人間として教育してきた私の父親。

私からすればスパルタクソ親父だが…。

 

「あぁ、知っているとも。我が軍の情報網を甘く見ない方が良い。………最も奴は私の…」

「………?」

「いや、なんでもない。では君に私から贈り物を与えよう」

 

私含め兵士達の動揺が走る。

モーデン元帥が直々に贈り物を上げるなと誰も予想できないからだ。

私は差し出されたてを若干無心で受け取る。

…ただ何故か嫌な予感がするのだが…。

 

差し出されたのは、『階級バッヂ』。

 

「これから我がモーデン軍の力になってくれたまえ。レア・ドラゴニフ“曹長”」

 

モーデン元帥はそう言い残して去っていった。

 

「………イツモショウジンシマス」

 

ついさっき一等兵になったばかりの私が今度は曹長にスピード出世。

兵士達は私に賞賛を送ったり羨ましがったりしてたけどね………

 

 

 

私の平穏はいづこぉぉぉぉぉおおおおお!!!??




アタックのキャラ達の入隊時期っていつだ?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。