メタルスラッグ〜女モーデン兵の転生記〜   作:只の暇人

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よくある話でしょ?幼馴染が別の組織に入ってるやつ

あのデブ中将が失脚して数日………現在私は何してるかと言うと…

 

「いや〜、まさかあなた達に出会えるなんて夢にも思わなかったわ」

「それはこっちのセリフだよ」

「そうだよレアお姉ちゃん」

 

懐かしき幼馴染と対話している。

 

この二人は私が孤児院にいた頃私を慕う双子の兄妹アスラとセリカ。

二人はいつも一緒にいて朝起きる時から夜寝る時までベッタリくっついていて今でも恋人以上にラブラブオーラを放っているんだとか。

 

ちなみにターマさんは二人をうらやまけしからん視線をずっと二人に浴びせていたので私が間に入って目潰しさせたけどね。

 

「…にしても私が父さんに引き取られてから向こうも変わってるとはね」

「そうですよ。最近聞いた話ではラルクは「いい女に会った」とかで自慢ばかりしてますし」

「ユリネちゃんは宇宙人を探しに行くと言って以来音沙汰ないんです」

 

ふーん、私がいない間色々あったのね。

 

「で、貴方達はいつからここに?」

「二年前から僕らは入隊しました」

「私もアスラ兄さんも階級は少尉になりました」

「へ〜、私より上なのね」

 

わずか二年でそこまで上がるだなんて私も鼻が高いわ。

 

「………姉さんは?」

「軍曹よ」

「バカな!姉さんほどの実力者が軍曹に止まるなどと!?」

「落ち着きなさい!」

「あだっ!?」

 

興奮したバカ兄くんをチョップで黙らせる。

 

「でも兄さんの話は事実です!今見ても気づいたのですがレアお姉ちゃんの実力はおそらく私たちよりも超えていると自負します!」

「それなのに軍曹だなんて………」

「………私を心配しているのは理解したけど別に偉くなるためになるつもりはないわよ」

 

尊敬されているってなんだかむず痒い感じがするのよね。悪くはないけどさ。

 

「はい!もうこの話題はおしまい!………どうせだから貴方達、基地を見回させてくれない?」

「え?いや…」

「いくら姉さんでもそれは…」

 

私のお願いに二人は渋る。

ふーん、少しは成長したみたいだけどこれならどうかな?

 

「ジャスティンガーZ100分の1スケールフィギュア」

「「ご案内いたしますご主人様」」

 

そこだけ全然変わってないわね。

ちなみにジャスティンガーZとは子供向け特撮番組で二人はそれの大ファンなのだ。

 

そんなわけで二人を買収したのだった。

 

 

 

 

 

SV格納庫

 

「ここではSVシリーズを格納している倉庫です」

「SVねぇ………私はふつうにメタルスラッグって呼ぶけどね」

「…まぁ呼びやすい方でいいですよ」

 

あっちもこっちもメタルスラッグばっかね。

色違いが多々あるけどやっぱこの機体好きだわ。

 

「ん?」

 

ふと私は一機だけポツンと鎮座している水色のメタルスラッグが気になった。

 

「どうしたんですか姉さん」

「………ねぇ、あのメタルスラッグなんだけど」

「ん?あぁ、ALICEですか」

「アリス?」

「これは聞いた話なんですがマルコ少佐が人工AIを作ったそうなんであのメタルスラッグにデータをインプットしたそうなんですよ」

「ほぁ〜、AIを作ったのね〜」

 

人工知能を生み出したなんてハッカーでありながらこんな偉業を成し遂げるなんてマルコさんはすごいや。

 

『あの、どちらさまでございますか?』

 

ふと水色のメタルスラッグから少女のホログラムが現れた。

 

「あ、ごめんアリスちゃん、起こしちゃった?」

『あ、いえ、問題ありませんアスラ様、セリカ様。………ただその方が気になったので』

 

アリスと呼ばれた大体10代前後ありそうな少女はチラチラと私を見ながらセリカちゃんに律儀に挨拶する。

 

「ああ、彼女はレア・ドラゴニフ。同じ孤児院出身で僕らの姉みたいな人だよ」

『レア様でありますか』

 

アリスは私をジーっと見つめる。

 

『………………』

「………………」

『………………』

「………?アリスちゃん?」

『ヒャイッ!?』

 

私が声をかけるとアリスちゃんはビクッと驚いたような反応した。

 

「へぇ、驚くリアクションもインプットされてるのね」

「…お兄ちゃん、今のアリスちゃん…」

「珍しいな。いつもなら機械的な返事をするのに」

 

アスラとセリカはアリスちゃんのリアクションを珍しそうに見る。

 

『も、申し訳ございません!』

 

アリスちゃんは申し訳なさそうに、そして恥ずかしそうに水平帽を深く被り縮こまる。

なんだか可愛くて微笑ましいや。

 

「あ、アリスちゃん。大丈夫なの?」

 

いつもと様子が違うと感じたセリカはアリスちゃんに声をかける。

 

『………分かりません。よく分かりません』

 

どうやらアリスちゃんも自身の異変に感づいているようだ。

 

『よく分からないのです。レア様を見た時から思考装置(ブレインサーキット)が【ずっと貴方を見ていたい】と結論を出し、機体は正常のはずなのにコアが締め付けられるような感覚があるのです』

「…えー」

(え?それって…///)

「え?なんの話?」

 

アリスちゃんの言葉に私は唖然とし、セリカは顔を赤くする。

アスラは意味がわからず首を傾げている。

 

「ずっと私を見ていたいってまるで私に恋している言い方ね」

『………恋?』

「特定の人物に対して好き………だと思うんだけど」

『………恋………好き………』

 

アリスちゃんはうわ言のように繰り返し言う。

が、なんだか焦げ臭い匂いが漂って…

 

「って熱暴走引き起こしてる!?」

「「ええっ!?」」

 

アリスちゃんの機体から少し赤みを帯びて白い煙が出てきている。

しかもアリスちゃん至高の渦に呑まれており、心なしかホログラムにノイズが混じる。

 

「お兄ちゃん!メカニックとマルコ隊長を呼んで!大至急!」

「わ、分かった!」

「レアお姉ちゃんはその場で待機………お姉ちゃん?」

 

 

 

 

 

 

 

正規軍基地 廊下

 

「人口頭脳といってもまだまだ子供なのね」

 

暴走しかけたアリスちゃんを彼らに任せて私は適当にぶらつく。

ふと真横から気配を感じたので一旦止まる。

 

「私に御用でしょうか?」

 

十字路のよこから正規軍の元帥さん(名前は確かブレイブだった気がする)が銃を突きつけていた。

 

「捕虜が一人でウロウロしててなにもしないと思うか?」

「あはは、それは申し訳ありません」

「…まぁいい。来てくれ」

 

ブレイブさんはそう言って振り返って歩き、私はとりあえず従った。

 

 

 

 

 

同 ブレイブの私室

 

「まず前置きから話そう。デブリム中将の捕縛に感謝する」

「いえいえ、っていうかあのデブが嫌いだから貴方達にその証拠を出したにすぎません」

 

ブレイブさんのきっちりした部屋について、ブレイブさんがお礼を言ったので私は丁寧に対応する。

 

「…君は謙虚だな。そんな君がモーデン軍のとこに着いたのが惜しいと思う」

「あははは………元帥にそう言われると恥ずかしい」

「それほど君を評価しているのだよ。レアード・ドラゴニフの娘」

「…やっぱ私の父はどこでも有名ですね」

 

父の名前を出されてああやっぱりと思った。

元帥閣下の知り合いだったのなら私の父は元正規軍所属じゃないかと思っていたのよね。

元帥閣下は元正規軍の元帥で当時の正規軍の腐敗を正そうとしていたのだが、彼の妻子がその腐敗に巻き込まれ正規軍を離れモーデン軍というクーデターを立ち上げたのだ。

 

ま、結果はマルコさん達の活躍で全部阻止されているが。

 

「レア・ドラゴニフ。お前から見て俺たちはどう見る?」

 

ブレイブさんが問いかける。

おそらく俺たちとは正規軍全体を意味する気がするので私はこう答えた。

 

「…あのデブ中将がいた時点でまだまだと言っておきます」

「………そうか」

 

私の言葉にブレイブさんはやっぱりと言いたげに頭を抱える。

 

「正規軍を正すため、元帥となってもやってきたが………やはりまだまだ力不足か」

「木を切り倒したところで切り株と根っこはそのままですから」

「…言い得て妙な例えだがその通りだ」

 

ブレイブさんは姿勢を正して私に問いかけた。

 

「そこでだ。レア・ドラゴニフ。私の右腕にならないか?」

「お断りします」

 

私はとりあえず断った。

ブレイブさんは一瞬微妙な顔になった。

 

「理由を述べるならまず正規軍を信用できません。あ、もちろんマルコさん達やアスラとセリカは信じられる人たちなので問題ないですよ。次に私はモーデン軍です。成り行きで所属していますがやっぱり向こうの方が性に合ってますから」

「………そうか」

 

ブレイブさんはどこか納得した表情をした。

 

「それでは私は戻ります。いつまでも待たせていると厳しい人がおかんむりですから」

「…すまないがこちらも正規軍としての立場がある。だからこのまま拘束させてもらう」

 

そう言ってブレイブさんは戦士の顔で私に近づく。

 

………時間的にここだよね?

 

ドガーーーン!!

 

どこからか大きな爆発音が響き渡る。

 

「な、なんだいまのは!?」

「あれはなんてことのない爆発ですよ。ほっとけないぐらいの騒動レベルで」

「お前の仕業か!今すぐ止めろ!」

「それは無理なご相談です。というか私はモーデン軍。貴方達正規に命令される筋合いはありません。ですので私はこのままドロンさせていただきます。では」

「元帥!大変で…うおっ!?」

 

慌ててやってきた兵士の間を縫って私は即座に基地の外へと駆け出した。

ブレイブさんは何か叫んでも私はずっと基地が見えなくなるまで走っていったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後…正規軍基地はレアが起こした騒動を沈静化することができた。

 

彼女は無人のメタルスラッグに信号を送って暴走をするように仕向けたのだ。

 

といっても闇雲に暴れ回るのではなく適当な場所で跳ね回ったり同じところをぐるぐる回ったり兵士達を追い掛け回すなどの相手をおちょくるレベルのもの。

 

が、一部を除いてメタルスラッグ全機が暴走したので対応に時間をかけてしまいレアを逃がす羽目になってしまった。

 

「こりゃ派手にやられたな。あの娘なかなかの策士だぜ」

 

スクラップとかしたメタルスラッグにターマはタバコをふかす。

 

「これ、全部レアさんが?」

「だろうな。敵に回すとこの程度では済まないかもしれん」

 

この惨状を見てレアの恐ろしさを改めて痛快したマルコ。

 

「ところで、エリさんは?」

「あの二人をこってり絞ってる最中だ」

「そ、そうですか」

「まぁ彼らも反省しているようだから大目に見てくれるだろう」

 

苦笑いのフィオ。

 

「でも良かったですね。アリスちゃんだけ暴走しなかったようで」

「ああ。彼女だけどこにも弄られた形跡はなかった。彼女だけ見逃されたみたいだ」

 

全機のメタルスラッグの中でアリスだけ暴走しなかった。

マルコはアリスだけ見逃したことを疑問に思う。

 

「なぜ彼女だけ見逃したんだ?その気になれば…」

「姉さんは優しいから見逃したんですよ」

 

と、エリの説教が終わったアスラとセリカがマルコに話しかける。

 

「優しいと?」

「はい、レアお姉ちゃんならアリスちゃんに手を出さないと思ってました」

「なぜそんなことがわかるんだ?いくら君たちと同じ孤児院の出だとしても…」

「………これです」

 

セリカが1つの『マルコさんへ』と書かれた手紙を出す。

マルコは黙って手紙を読む。

 

『アリスちゃんを大切に育てなさい』

 

と書かれていた。

 

「おやおや」

「ふーん…」

「わぁ〜」

 

ターマ、エリ、フィオは手紙を覗き込んで三者三様のリアクションをする。

 

マルコは複雑な顔をしていた。

 

 

 

 

 

「レア・ドラゴニフか…」

 

レアのプロフィールを見ながら考え込むブレイブ元帥。

 

モーデン軍参謀アビゲイルに引けを取らない頭の回転の速さや状況判断力、そしてそれを叶える力と速さ。

 

もし彼女が本気になればこの正規軍基地も壊滅する未来が垣間見えることだろう。

 

だが彼女はそれをしない。

彼女の孤児院仲間によると善人の人格者だそうで尚且つ争いごとに積極的でないことらしい。

 

「…もっと彼女に信用のできる正規軍を作らないとな」

 

まだ彼女の勧誘を諦めていないブレイブはデブリムの資料を見る。

 

「………このシンボルは俺の知る限り見たことのないもの。だが………」

 

ブレイブは思い出す。

この資料に書かれたシンボルを見たレアが『仇を見つけた』ような目をしていたことを。

そして同じくシンボルを見たアスラとセリカも何かを知っている目をしていた。

 

「………こいつは、何か大きな出来事を呼び込んじまうようなもんが出てくるんだろうな」

 

ブレイブはもう一度資料をみる。

 

1つ目のヤギの頭蓋骨に逆五芒星のシンボルマークかあり、

 

『貴方の望む世界を叶えます byイマジノイド大司祭・イマジノス』

 

と書かれていた。




これにて正規軍サイドは終わります。

次はハイエナ集団みたいなやつらと出会います。
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