メタルスラッグ〜女モーデン兵の転生記〜   作:只の暇人

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悪いイメージが強いけどハイエナって賢い動物なんだよ?

正規軍から脱走(脱出?)して私は今森の中を歩いている。

 

「ふぅ、基地までの大人一人歩き旅。風流だわ〜。…あ、キノコ発見」

 

こう歩いているとサバイバル時代を思い出すわぁ。

………思い出したくない記憶もあるが…。

 

 

 

ーァァァァ…ー

 

 

 

ふとどこからか声が聞こえた。

周囲を警戒し、目を凝らして声のした方へみる。

すると視線の先に土煙が待っているのが見えた。

 

「プギィイイーーー!!」

「ヒュージボア、なかなかの大物ね」

 

前世の記憶にあるダンプカーと同等の大きさを誇る大型の猪が、空中を飛んでいる機械にのった少女を追いかけていた。

 

よくみるとヒュージボアの頭にタンコブらしきものがあり、逃げている少女は何かやらかしたに違いない。

 

「ま、同情はしないけど」

 

私は一人と一匹の進行方向に立つ。

少女は逃げることに必死で私に気づいていない。

 

「はいそこ邪魔ですよ〜」

 

ぽんっ

 

「ふぇ?うわわわ〜〜っ!?」

 

進行方向を強制的に変えられて少女は機械ごと大岩にぶつかった。

 

「プギィイイーー!!」

「あんたには悪いけど私の食料になってもらうわ」

 

私は右足を振り上げ、

 

「『天砕脚』!」

 

タイミングを合わせてヒュージボアの脳天に直撃させた。

ヒュージボアは一撃を受けその場で倒れた。

 

「ん〜、なかなかイイ肉ね」

 

手触りで肉の状態を確認する私。

 

「おっと忘れるところだった。そこの人〜、大丈夫〜?」

 

私はプスプスと煙を上げている機械に立ち往生している少女に話しかける。

私に気づいた少女は“憤慨した様子で”ズカズカと私に近づく。

 

「ちょっと〜!なんて事してくれたのさぁ!私のホバーユニットぶっ壊れたじゃんよ〜!」

 

少女はお礼より彼女が乗っていた機械に思い入れがあるらしく激しく怒る。

 

「…そのホバーユニットを猪にぶつけた貴方が言いますか?」

「………」

 

私が指摘すると少女はバツが悪そうに目をそらす。

 

「まぁいいわ。私が壊してしまったのは事実だし、私でよければそのホバーユニット直すの手伝ってあげましょうか?」

「え?いいの!?ってか直せるの!?」

「私の趣味は機械いじりだから」

「うわぁありがとう!やっぱ持つべきものは同志だよね!あ、私キャロライン!みんなからキャルって呼ばれてるよ!」

「キャルちゃんね。私はレア。よろしくね」

 

 

 

 

 

私はキャルちゃんと一緒に彼女の仲間たちがいる基地へ移動している。

 

後ろでは私の手で作られた滑車の上にヒュージボアと壊れたホバーユニットがある。

 

「………見てて思ったけどそれ重くない?」

 

キャルちゃんは後ろを見ながら呟く。

 

「慣れたらまだ軽いわよ」

「いやいやいや、この猪軽くないから。ヨッシーのハンマー以上に絶対重いから」

 

細身の私が猪を引っ張れることに軽くショックを受けていたようだ。

が、何か気になる名前が出てきた。

 

「…ヨッシー?」

「うん、ヨシノといってすっごく強いんだぞ!なんたって元ジャポネスの忍だそうだから」

「へ、へぇ、忍かぁ。私忍び初めてみるのよね」

 

思わずアイエエエと口にしそうだったので引っ込ませた。

その前にヨッシーと聞いてベロの長い恐竜をイメージしてしまったけど。

 

「まぁそんなことよりよそ者の私が受け入れられるか心配なのよね」

「ダイジョーブ!私がうまい具合に説得してみせるよ!………流石に後ろのそれはびっくりするだろうけど」

 

こればっかりは仕方ないよ。

今後の食料になるんだから。

 

 

 

 

 

そんなこんなでキャルちゃんの住んでいる場所にたどり着いたはいいものの…

 

「どういう目的でここにきたか知らないがキャルを返してもらおうかモーデン軍の悪魔」

 

金髪で筋肉質な左目に傷のある女性を筆頭にガスマスクの集団に囲まれてしまった。

というか目の前にいる女性は我がモーデン軍にとってハイエナと称されるプレトマイック軍(以下PM軍)最恐のドラグノフという人だ。

 

つまりこの基地はPM軍のものでキャルちゃんはその一員ということだそうだ。

 

「ま、待ってよドラっち!私の話を聞いて!」

 

手振りで攻撃しないでと説得するキャルちゃん。

 

「キャル、なぜお前はそんな奴を連れてきた?」

 

ドラグノフさんは思いっきり怒ってますと言いたげにキャルちゃんをみる。

対してキャルちゃんはドラグノフさんの威圧も相まってしどろもどろである。

仕方ないので私が助け船をだすか。

 

「この娘自分のホバーユニットで猪にぶつかって盛大に追われてたまたま通りかかった私が助けただけですよ」

「そうそう!そんときに壊れちゃってさぁ!基地で一緒に修理してもらおうってことになって…」

「………………」

 

ドラグノフさんは「なにやってんだ…」と言いたげにキャルちゃんを見る。

 

「それと、私は別にPM軍を見かけたからってすぐに壊滅させるような指示は受けてませんから心配しないでください。キャルちゃんに免じて暴れたりしませんから…ね」

「………………チッ」

 

ドラグノフさんは舌打ちしながらも改造ライフルを下ろす。

 

「余計なことすればその首掻っ切ってやるぞ」

「肝に命じておきます」

 

とりあえず山場は越えたようだ。

 

クゥゥ〜〜………

 

どこからか可愛らしい腹の虫が聞こえた気がした。

 

「………………/////」

 

ふと隣を見ればキャルちゃんがお腹を抑えて顔を赤くして縮こまっている。

 

「あらあら、しょうがないですねぇ」

 

とりあえず空腹を訴えたキャルちゃんのためにも美味しいものを用意しないと。

 

「お、おい!勝手に動くんじゃない!」

 

ガスマスクのPM軍兵がヒュージボアの死体へ移動する私に銃を突きつける。

 

「すみません。料理を振る舞いたいので調理場をお借りしてもよろしいですか?」

「ダメだ!キャルの恩人であろうと勝手な行動は謹んでもらいたい。………ってか料理できるのか?」

 

ちらっとヒュージボアを見て呟くエリート兵。

 

「それなりにできますよ私は」

 

と言うと私を囲んでいたエリート兵の皆さんから固唾を呑む音が聞こえた。

 

「り………料理だけなら………いいよな?」

「あ、ああ………」

「ヒュージボアって結構美味いんだろ?」

「ヤベッ、想像したらヨダレが………」

 

彼らのセリフから察するに彼らはヒュージボアの肉を食べたことがないのだろう。

 

「………手伝ってくれたらヒュージボアのステーキを振舞ってあげますよ?」

「「「「アザ〜〜〜っす!!!」」」」

 

私の一声でドラグノフさん以外が礼儀正しいお辞儀をした。

 

「…貴様らと言う奴は…!」とドラグノフさんが頭を抱えて悩ましげに見つめていたのが印象的だった。

 

 

 

 

 

PM軍基地 食堂エリア

 

「さて、やってやりますか」

 

お気に入りのエプロンを身につけて調理を始めようとする私にひとりのPM軍兵が待ったをかけた。

 

「いやまてまて。承諾しちまった俺たちが言うのもなんだがまさかそのまま丸焼きに…」

「馬鹿ですかあなたは?」

 

なんの手も加えず丸焼きにするなど料理人として三流以下のやり方だ。

だからまずはこのヒュージボアの解体から始めたいと思う。

 

「まずはお腹を開きましょうか」

 

ショックで項垂れたPM軍兵はほっといてまずはヒュージボアの胸肉あたりにナイフを突き立て、そしてお腹の下あたりまでナイフを通す。

大型トラック並みのデカさだから私が走るんだけど。

 

そうしていると切った腹部からヒュージボアの内臓がベチャァッと出てきた。

 

「ちょっとグロいけど気分が悪くなったら部屋から出てもいいわよ?」

「い、いや、大丈夫…」

 

レアちゃんの料理姿みてみたい!と豪語したキャルちゃんが顔色が悪そうに言う。

生き物の解体シーンは苦手のようだ。

 

次の行程は内臓の摘出。

 

私の慣れた手つきで次々とヒュージボアの内臓が摘出されていく。

 

「…見てみろよ。たったナイフ一本でこんな綺麗に切れるんだぜ?」

「手慣れてやがる。いったいどんな生活をしていたんだよ?」

 

ほとんどサバイバル生活です。

…とは口に出さない。

 

最後は部位解体。

 

ヒュージボアの腕、バラ、ムネ、舌などの部位を切り分けて…

 

「こんなところかしら?」

 

綺麗に切り分けられたヒュージボアに周りがおお〜っと喜びを露わにする。

 

「続いては本格的な調理よ」

 

先ずはバラ肉を適度な大きさに切り分ける。

これ全部やるとしたら私一人だけだと数ヶ月は食料に困らないわね。

 

まあそれは置いといて、切り分けられた肉は一つ一つフライパンに乗せ、ジューッと油の跳ねる音が響きながらも少しずついつも持参している自家製の調味料を加える。

 

「い、いかん…!この美味そうな匂いに理性が飛びかけそうだ…!」

「我慢しろ!ここでお手つきしたらダメな気がする!」

「畜生!美味そうなのに永遠に待てされ続けられる犬の気分だ!」

「せ………せめて生を一枚」

「バッキャロー!!お手つきすんなと言っただろうが!!」

 

外野がなんだか騒がしいがそんなことは気にせずミンチにした肉を丸め、パン粉を被せて油の入ったフライパンに入れカツを作る。

 

「大きめの皿をたくさん用意して!大至急!」

「「「「「イエッサー!!」」」」」

 

そしてバケツリレーよろしく皿一つ一つにステーキ肉とカツ肉が乗せられる。

時たま一人だけお手つきしようとして殴り飛ばされたのはご愛嬌。

 

 

 

 

 

「…と言うわけでして、『ヒュージボアのステーキとカツ肉添え』どうぞお召し上がりください」

 

テーブルの上に並べられた料理に待ってましたと言わんばかりに早速ステーキにかぶりつくPM軍兵達。

 

「「「「「「超絶うぅんまぁぁ〜〜〜〜〜〜ぁいぃ!!!!!」」」」」」

 

基地内に絶賛の声が響き渡った。

 

「うめぇ………うめぇよぉ…!」

「うおおおおおお!!凄いよ!今まで食べてた保存食が霞むくらい美味すぎるよレアちゃん!!」

「柔らかい上に溢れ出る肉汁!正面から対戦車ライフルに打たれた衝撃だ!」

 

私の料理の腕に多くが絶賛し、キャルちゃんは一心不乱に食べており、ドラグノフさんはみんなほどでないにしろ興奮した様子で食べている。

 

「お代わりあるから遠慮せず食べてね」

「「「「「アリガトーゴザイヤース!!」」」」」

 

ん〜、今までは他人に振る舞う機会なんてなかったからこの状況は何かグッと来るわね〜。

料理で笑顔にする………まさにその通りね。

 

「あ、あなたもおひとつどうですか?」

 

だからまずは後ろからこっそり近づいてきた人に対して料理を差し出した。

 

「………なぜわかった?」

「普通の人ならわからなくても私からすれば気配が丸わかりなんですよ。忍んでしたら足音を立てず気配を消す修行をしてみませんか?」

「………」

 

その人はPM軍のガスマスクを頭の横につけていてピッチピチの格好をしていて、何より大きな金属の大鎚とそれを持ち上げるために鍛えたであろうゴリラ並みの筋肉を持った女性だ。

 

「ん?あ、ヨッシーじゃん!おかえりー!」

 

と、キャルちゃんが女性に声をかけた。

 

「ああただいま。…で、ドラグノフ。手短に説明してくれ」

 

ヨッシーと呼ばれた女性は大鎚を担ぎながらドラグノフさんに近づいく。

成る程。彼女がヨッシーことヨシノさんですか。

 

昔調べたところ彼女は元ジャポネスの忍びの里の住人らしいのだが、そこでモーデン軍の一部隊により壊滅してしまい、当時の彼女は里を守れなかったことにひどく落ち込んでいたがドラグノフさんが勧誘して今はそれなりに元気なようだ。

 

………実のところモーデン軍のとこに忍びが一人傭兵みたいに雇われていて今は砂漠の国で活動中って聞いてるけどその人とヨシノさんが同志なのかわからないけどね。

 

「ん?あれ?ヨッシー、ラー君いないけど知らない?」

「ん?あいつなら先に帰ったんじゃなかったか?」

 

ふとキャルちゃんとヨシノさんの会話を聞いた私は条件反射的に怪しい気配を探る。

そしてすぐに見つかった。

 

「それってドラグノフさんの後ろでセクハラしようとしている人ですか?」

「!オラァッ!」

「ぐはっ!」

 

私の指摘にドラグノフさんは振り返りざまに後ろにいた不届きものに鉄拳をプレゼントする。

 

「貴様、よほど死にたいと見えるな?今苦しませずにあの世へ送ってやろう」

「待て待て待て落ち着けって。軽いスキンシップなんだからさぁ」

 

ナイフを突きつけて殺す勢いの殺気を放つドラグノフさん。

殴られた男は金髪でチャラ男みたいな見た目をしたレンジャーみたいな格好をしていた。

 

「何やってんのよラルク」

 

私はそいつに対して呆れ混じりに言う。

 

「ん?………もしかして姉さんか!?」

「はい、フラウロス孤児院住人1号レア・ドラゴニフですが何か?」

「うわまじか!?懐かし〜!何年振りかなぁ?」

 

と言いながら私のおっぱいを触ろうとする。

 

「そうね。その私へのアプローチをことごとくやってくるあなたをこうやって玉砕するのは何年振りかしら?」

「ぃだだだだだだだ!!わ、悪かったから離してくれ!」

 

サブミッションで抑えられた男はラルク。

私やアスラとセリカと同じ孤児院で暮らしていた家族の一人だ。

かなり気さくですけべな一面があり、まだ孤児院にいた頃は私とセリカにセクハラしまくった経緯がある。

 

当然死なない程度にボコボコにしてやったが諦めが悪く、いつしかレアによってボコボコにされるラルクが孤児院の風物詩みたいになった。

 

「さてと、久しぶりねラルク」

「ああ、久しぶりだ姉さん。あれから姉さんのウワサを色々聞いたぜ」

「…できれば蒸し返さないでほしいけどね。そういうラルクはどうしてここに?」

「結論から言わせてもらうが………俺はいい女にあったのさ」

「………それがドラグノフさんだと?」

 

私は振り返ってみると、キャルちゃんとヨシノさんがコクリと頷き、ドラグノフさんは盛大にため息を吐いた。

 

「…いつから筋肉フェチに」

「いやちげーよ!俺は今までいい女達を探し回って遊びまくってたんだが、彼女をみた瞬間に俺の魂が衝撃を感じたのさ。これは一目惚れだとか驚きだとかじゃねぇ。もっと恐ろしい片鱗だったぜ」

「ふーん…」

 

ドラグノフさんに惚れ込む要素なんてあったかしら?

 

「ま、それはともかく」

「ともかくって………」

「あなたヨシノさんとどこに」

「おっとまった。たとえ姉さんでもそんなペラペラ喋るわけじゃないぜ?どうしてもってんなら俺にその成長した皆を揉ませる許可を渡すしかないな」

「………」

 

やれやれ、見くびられたものね。

 

「キャルちゃん。ちょっときて〜」

「なに〜?」

 

食べ終わったキャルちゃんが近づく。

 

「…おいおい姉さん。キャルになにする気だよ?」

「こうするの」

 

私はラルクの人差し指を立ててその手でキャルちゃんにつつく。

 

プニュッ

 

それもあの部分に。

 

………空気が凍るとはこのことだろうか。

 

キャルちゃんはどんどん真っ赤に染まり、逆にラルクは真っ青に染まっていく。

 

「こ、こここれはですね。姉さんに無理矢理っつーか若干反応できなかったっつーか。いやでもキャルのおっぱいはなさそうに見えてちょっとだけあるし、いつになるか知らないけどいつか大きくなる可能性も…」

「余計なお世話じゃああああああああああ!!!」

 

ラルクは鈍い音とともに弧を描いて飛んだ。

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