ドールズディフェンスライン   作:りおんぬ

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なんとか書き終えたぜ……。
疲れた。よくもまあ一日だけで書き上げたわ本当。
反動でモチベが吹っ飛ばないことを祈るばかりですよ。


Strange Marriage(後)

カツ、カツ、カツ……とヒールが床を打つ音が、静まり返った式場にゆっくりと染み渡る。

 

「ワオ……」

 

MAGが感嘆する。ほとんどマシンガンの事しか興味を持たないあのMAGが、だ。

そして、9人の花嫁が、1人の花婿と向き合った。

その間に立った神父が、聖書を片手に厳かな声で彼らにこう問いかける。

 

『汝──▓▓▓▓はこの女らを──FAL、G36C、Mk23、HK416、スプリングフィールド、WA2000、UZI、デストロイヤー・ヴィオラ、HK417を妻とし』

 

『良き時も悪き時も、富める時も貧しき時も、病める時も健やかなる時も、共に歩み、他の者に依らず──』

 

『──死が二人を分かつまで、愛を誓い、妻を想い、妻のみに添うことを』

 

『神聖なる婚姻の契約のもとに、誓いますか?』

 

その問いかけに、タキシードを身に纏った指揮官──いや。

一人の『夫』が、堂々と胸を張って応える。

 

「──誓います」

 

その言葉に、神父はにこりと微笑みながらうなずく。

そして、新婦の方へと向き直り……神父が新婦に……いやなんでもない。とにかく、神父は9人の花嫁の方を見て、今度はこう問いかけた。

 

『汝ら──FAL、G36C、Mk23、HK416、スプリングフィールド、WA2000、UZI、デストロイヤー・ヴィオラ、HK417は、この男、▓▓▓▓を夫とし』

 

『良き時も悪き時も、富める時も貧しき時も、病める時も健やかなる時も、共に歩み、他の者に依らず──』

 

『──死が二人を分かつまで、愛を誓い、夫を想い、夫のみに添うことを』

 

『神聖なる婚姻の契約のもとに、誓いますか?』

 

彼女たちもまた、異口同音にこう言った。

 

「「「──誓います」」」

 

それを聞いた神父は再び満足げにうなずき、こちらでその様子を見守っていた私たちの方へも視線を向けながら──なぜかMGLを見た時微妙に体が震えていた──、こう告げる。

 

『皆さん、お二人の上に神の祝福を願い、結婚の絆によって結ばれた彼らを神が慈しみ深く守り、助けてくださるよう祈りましょう』

 

『宇宙万物の造り主である父よ──あなたはご自分にかたどって人を造り、夫婦の愛を祝福してくださいました』

 

『今日結婚の誓いをかわした彼らの上に、満ちあふれる祝福を注いでください』

 

『彼らが愛に生き、健全な家庭を造りますように』

 

『喜びにつけ悲しみにつけ信頼と感謝を忘れず、あなたに支えられて仕事に励み、困難にあっては慰めを見いだすことができますように』

 

『また多くの友に恵まれ、結婚がもたらす恵みによって成長し、実り豊かな生活を送ることができますように』

 

『我らの主 イエス・キリストによって』

 

──AMEN.

 

神父はそう謳い、厳かなしぐさで十字を切った。

その直後に、花嫁が手に持ったブーケを一斉に放り投げる。その数、合計9個。ブーケトス……確か、アレをキャッチすると結婚できるのだったか。

そして、そのうちの一つが宙を舞い、私たちの座る席へ一直線に落下し──

 

「ああ? なんだ、何が起こって──むがっ!?」

 

──MAGが、顔面で受け止めた。

 

「えっ」

「えっ」

「えっ」

 

MAGを除いた全員が、予想外の展開に硬直する。

そのMAGは、無駄な反射神経を発揮して、顔に直撃した瞬間にブーケを片手でがっちりホールド。見事にブーケをキャッチしてしまった。

 

Q.……つまりどういうことなの?  

A.アーマードコアの新作が出る(錯乱)

 

……他のテーブルがブーケの行方に一喜一憂している中、このテーブルだけは暗い雰囲気に包まれていた。

当の本人を除いた全員が、某特務機関総司令の姿勢(ゲンドウポーズ)で沈黙している。

あまりに重い雰囲気に他のテーブルが努めてこちらを気にしないようにしている中で、P90がゆっくりと口を開いた。

 

「……リーダー」

「……なによ」

「……現実って、無情なんだね」

「……そうね」

 

心なしか、お互いの声がとても渋い声(CV:立木文彦)になっていた、ような気がする。

ちなみにMAGはというと、

 

「……そういや、ブーケってキャッチした奴が結婚できるってあれだよな。あたしが結婚……結婚……?」

 

と、まじめな表情で首を傾げていた。

アレにしては珍しく自分の将来を考えて──

 

「まあこまけぇことはいいんだよ!!(AA略) あたしは愛しのマシンガンと結婚するぜFOOOOOOOOOOOOOOOO!!」

 

──るわけがなかった。畜生。

 

■ ■ ■

 

新郎新婦がお色直しの為に一度退場し、その間を現地の戦術人形──『Gr G36』が卓越したマイクパフォーマンスで繋ぐ。ってこらまてまて、マイクでジャグリングするんじゃない。パフォーマンスってそう言う意味じゃない。

そして、アナウンスと共に着替えを済ませて現れた新郎新婦がやってきて、戦術人形数人がかりで運び込まれた巨大なケーキ──どれくらい巨大かというと、成人男性の身長のだいたい1.5倍程度──に、新郎新婦がほとんど斬馬刀と言っても差し支えないサイズのナイフを叩き込む。

アレが初めての共同作業というものか。

 

「あれが共同作業か」

「MAG、不満なの?」

「あたし的には大人数でマシンガンを撃ちたい」

「OKその口を閉じて黙りなさい」

 

切り分けられたケーキが各テーブルに配られ、パーティーが始まった。

呑めや歌えやどんちゃん騒ぎ。これ本当に結婚式か? と疑うレベルの乱痴気騒ぎだ。

私達もケーキを食べ、テーブルの上のワインを飲み、各々好きなように楽しんでいる。

 

MGLは特に周りの気にすることもなく、早くも4本目のワインボトルに手を付けていた。逆に、ケーキに関してはあまり口を付けていない。

P90は久しく食べていなかった甘味にがっつき、恐ろしい勢いで料理を制覇していっている。基本的に戦ってばかりだから分からなかったが、意外に大食いだった。

私は、酒も甘味も適度に嗜みつつ、周りの方へと目を向けていた。

うん、どのテーブルも楽しそ……なんかすごい勢いで巨大ケーキを平らげてる場所があるぞ。しかもあそこってさっきの義眼少女のテーブルか!?

 

「信じられないわね……」

 

──そして。

502小隊きっての問題児、MAGはというと。

 

「──であってつまりマシンガンとは大地であり天空であり大海原なんだこれはマシンガン原理主義という遥か太古から存在する教義でありあたしらはその流れの最先端に立っている他の銃種なんざ目じゃねぇぜマシンガンとは何から何までがトップに位置している最強の銃と言っても全く過言じゃあないなんだよく分からねえなら解説してやるよそうならさっさとそう言ってくれりゃよかったのにそのあたりはライフルの数発撃ってすぐ満足しちまう浮気性なところが出てるんだなおっと話が逸れた本題に戻るかそれでマシンガンの万能性だが火力と射速については分かるなコレは当然他の銃の追随を許さねえ圧倒的な弾幕力だ弾薬も精々50発が限度な他の銃に比べりゃ圧倒的に多くてこれもまたマシンガンの強さに拍車をかけてるって訳だな命中命中そうか分からねえのか当たるまで撃つんだから命中率100%に決まってんだろ簡単な計算だぜ防御もそうだ攻撃は最大の防御つまりずっと撃ってりゃそれはずっと守ってることになるホントマシンガンは最ッ高だぜまあそんなマシンガンの唯一の弱点がずっと撃ってると銃身がイカレちまうって点だがこれに関してもマシンガンだけで隊を組んで順々に撃ちまくるようにすりゃ解決だぜこれでマシンガンイコール最強アンド最高の銃という方程式が証明できたなところでお前さんオープンボルト教団に興味はねえか大丈夫だ我らが至高のマ神ガン様はマシンガンであろうとそうでなかろうとも平等に寵愛を授けてくださる至高の御方だぜHK417だったか416だったかには分隊支援火器モデルっつーのがあるらしいなそれはつまりお前も実質マシンガンの一員ってことだどうよお前で28人目だ別に死ぬ時間が来た訳じゃない怯える必要なんざ欠片もねえお前は新世界の先駆けになれるんだ鉄血工造の中でも賛同してくれてる奴はいるんだぜあたしらは固い絆と地と流血となによりベルトリンクで繋がっているコイツがどういうことなのかと言えばここで話はちっとばかし戻るが──」

「えっ、あっ、うん……私ライフルだからよく分からないかなーははは……」

 

早々にスイッチが入り、挨拶目的できたのだろうHK417B──BはブライダルのB──に熱く語っていた。さらっと洗脳しにかかるのはやめなさい。

って酒臭っ!? まさか酔ってスイッチ入ったのか!? よく見たらMAGの右手には日本酒のボトルが……ってどこから持ってきたそれ!!

私はMAGをぶん殴って止めつつ、HK417の服にこそっと小さな袋を仕込んでおいた。

彼女が立ち去った後に、MGLが問いかけてくる。

 

「……一体なに渡したんですか?」

「今は便宜的に指揮官の世話になってるとはいえ、私たちも一応本業は遊撃部隊だから。何か依頼とかがあったら助けになれるように、ちょっと、ね」

「はあ。そうですか」

 

そうして楽しむことしばし。

すっかり陽も傾いたあたりで、G36が再びマイクを取り、司会進行を再開する。

同時に、バルカンがガタッと椅子を倒しながら、ガトリングガンを構えて式場の外へと飛び出していく。

 

「よっしゃあ! “待”ってたぜェ! この“瞬間(とき)”をよォ!!」

 

この言葉を聞いた時点で、私はもう彼女の性格を察していた。

──MAGの同族(マシンガンキチ)かぁ……。MAGがまだ起きてたらとんでもない事になってたなコレ。

そして、参加者全員で式場の外へと出る。

 

「やっぱ最高だぜ!! 弾は違えどこの迫力は他の銃とスケールが違うぜ! ガトリングサイコー!!!」

 

そんなことを叫びながら、バルカンは空へと向けてガトリングを乱射する。

分発6600発の圧倒的レートで打ち上げられた弾は光の筋を残しながら空を裂き、途中で姿を消した──曳光弾?

いや違う、これは──!

 

直後、空中で立ち消えしたかに思われた曳光弾──否、『花火』が弾け、夕焼け空に大輪の花を咲かせた。

怒涛の勢いで打ち上げられる『花火』は途切れる事無く続き、赤い空には色とりどりの大きな花が咲き乱れる。

それを見ながら感嘆する私の横で、MGLが片手に持っていたグレネードランチャーを構えた。

 

「ちょっ!?」

「一発くらい大丈夫ですって。ではっ、サプラ~イズ☆」

 

ぽんっ、という軽い音と共に、グレネードがは1発放たれる。

それは空中で勢いをなくし、そのまま落下する……かに見えたが。

途中で弾頭後部が小爆発し、再び空へと向けて加速する。

 

「タンデム弾頭!?」

「今回の為だけに作っておいた特性弾頭です! さあ来ますよ~っ!」

 

──起爆。

打ち上げられては消えていく大輪の華に紛れて、D08基地指揮官の指揮官の顔を象った花火が大きく映し出された。

ざわつく場内。

果たしてどんな技術を使ったのか、似顔絵花火の下には『Celebration!!』という文字が書かれていた。

しかし、MGLが撃ったものだとはバレてはいない……らしい。いや、何人かは絶対知ってて黙ってるのだろうが、それにしてもガバガバすぎないか?

 

「くっふふふ、上手くいったみたいデスね?」

「貴方ねえ……。一歩間違えれば大問題よ? まあ、大丈夫そうならいいけれど……」

 

咲き誇る大量の花火を見ながら、私はふと思う。

 

 

──願わくば。彼らの歩む道筋に、祝福のあらんことを。




これで結婚式編は終了です。ちなみに時系列的には次章『境界旅程』が終わった辺り。そろそろ本編入りたいな。うん。ヤッヴェ全然流れ固まってねぇ
それでですね……結婚式の手順なんざ分かんねえよド畜生!!(持たざる者の慟哭) おかげで教会でやってるような奴とパーティー会場でやってるような奴ごっちゃになったわ!! とりあえずざっと調べて出てきた手順を元の描写に合わせて書きましたが違ったらゴメンナサイ!

お酒の耐性
110BA:◎ 全然酔わないし酔っても顔に全然出ない。

P90:〇 人並程度の強さ。あんまり飲むとぶっ倒れる。

MGL:☆ ザル。

MAG:× 弱いし酔うと暴走する。


─クレジット─
(順不同・敬称略)


D08基地一同:『元はぐれ・現D08基地のHK417ちゃん』from.カカオの錬金術師
https://syosetu.org/novel/179549/

ユノ指揮官&『家族』:『それいけポンコツ指揮官とM1895おばあちゃん!!』from.焔薙
https://syosetu.org/novel/166885/

傭兵ジャベリン:『傭兵日記』from.サマシュ
https://syosetu.org/novel/185223/

ハワード・エーカー指揮官&トンプソン:『G&K補給基地の日常』from.ソルジャーODST
https://syosetu.org/novel/185352/

アレクサンドラ・プーシキナ指揮官&G3:『指揮官とG3がお送りするドルフロ銃解説』from.スツーカ
https://syosetu.org/novel/179506/

F小隊:『404小隊(大嘘)』from.Big Versa
https://syosetu.org/novel/170163/

傭兵デッドマン:『IM NOT MAN.I AM A DEAD MAN』from.HIKUUU!!! 
https://syosetu.org/novel/176945/

HK417-16:『妄想フロントライン』from.杭打折
https://syosetu.org/novel/172119/

ガンスミス:『ドールズフロントラジオ 銃器紹介コーナー』from.通りすがる傭兵
https://syosetu.org/novel/170214/

M61A2バルカン:『破壊の嵐を巻き起こせ!』from.oldsnake
https://syosetu.org/novel/180532/

Thanks to Collaboration!!
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