どうせ幻想郷が滅亡してしまうならもっと目立っておけばよかったと思う八雲紫の話 作:絶望先生と東方と涼宮が好きな人
「風が寒いわね……ところで霊夢」
「ん? 何よ」
「しりとりしない?」
「はっ?」
「退屈すぎてね……」
「今わたし弾幕避けながら進んでるんだけど?」
「わたしは退屈なのよ、こんな弾幕じゃ」
「うーん。やっぱり変よ、紫」
「そう? わたし変かしら?」
「……昔はそんな気楽な、というか緩々な感じじゃなかったような」
「別にどうでもいいでしょ、そんなこと。それよりあそこに冷気を放ってるやつがいるけど?」
「えっ?」
大妖精から情報をもらい、浮かれた妖精がそこにはいた。
「ふんふん♪ 早く来ないかな♪」
「……テンション高いわね、あいつ、何者? 妖精?」
「ええ、氷の妖精よ」
「……紫は本当になんでも知ってるのね」
「ええ、幻想郷のことならね」
「それにしても、この湖こんなに広かったかしら? 霧で見通しが悪くて困ったわ。もしかして私って方向音痴?」
「道に迷うは、妖精の所為なの」
「あらそう? じゃ、案内して? ここら辺に島があったでしょ?」
「まずは霊夢、敵が現れたんだから少しは驚いてあげて?」
「そうだよ! あんた、ちったぁ驚きなさいよ。目の前に強敵がいるのよ?」
「標的?こいつはびっくりだぁね」
「違うわよ、霊夢。強敵って言ったのよ、彼女は」
「そんなこと分かってるわよ、あえてからかったのよ」
「なっ。ふざけやがって~。あんたなんて、英吉利牛と一緒に冷凍保存してやるわ!!」
「隙間は保存にも使えるわよ?」
「えっ、それ初めて聞いたわ、今度使わせてよ」
「……霊夢保存するほど食料持ってないじゃない」
「うるさい! うるさい! 私のスーパーショットくらえ!!」
弾幕ごっこ開始!
「……今度は邪魔しないでよ?」
「はいはい。まあ私もあの妖精とは戦いたくないのよ」
「へえ、なんで?」
「バカとは戦うな、ってね」
「バカって言うなぁ!」
ドンドン
霊夢が必死に弾幕勝負をしてる間、八雲紫はその風景をただ見つめていた。
* *
「さよならね、紫」
「そ、そんな、幽々子そんなこと言わないでよ!」
桜が散ってしまった場所で二人はいた。
「知らなかったわー、わたし、この桜に生かされてたのね。さしずめこの桜の下にある死体に気づいてしまった時点でわたしは消滅してしまうのかしら?」
「……幽々子」
「今回は、今まであらゆる異変が起きたけど、今回はもうどうしようもないかもね。幻想郷は壊れる。桜も封印の力を失ってしまった。でも紫、あなたは違う」
「えっ」
「きっとあなたほどの大妖怪なら、幻想郷が崩壊した後でも力は弱まるとはいえ生きていけるでしょう……だからあなただけはどうか幸せに、強く生きて欲しいの、親友からのお願いよ」
「……幽々子。だからそんなさよならみたいなこと言わ」
風が包んだ瞬間、そこに幽々子はいなかった。
「そ、そんな……」
* *
幽々子も消えて、萃香も消えて、わたしの愛したあらゆるものが消えてしまった幻想郷……まさかまたこうして弾幕ごっこを見れるとはね。これもパチュリー・ノーレッジのおかげ。後で礼を言わなくちゃね。
「ああ、冷えてきたわ。冷房病になっちゃうわ」
「冷房病は外の世界の病気……幻想郷には来てないわよ?」
「あっ、紫いつの間に」
「さてさて、この赤い霧、あちらから出てるようで。向かいましょ? 霊夢」
「言われなくても行くわよ!!」
フラフラ……八雲紫はかつての幸せを噛み締めていた。