ふつおた   作:そらなり


原作:色々
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何でもない普通のお便り『ふつおた』を読んでいくコーナーです。

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とあるラジオの1コーナーです。


ふつおた

12月10日。この日はとあるラジオの放送日だった。生放送で行われるラジオにはあらかじめたくさんのふつおたが寄せられている。きっとこれならラジオを進行していくうえで困ることはないだろう。

 

受信したメールのメールアドレスがたとえ文字化けでわからなくてもラジオ進行で問題ないと判断された場合はお便りを読むことは可能だ。実際間違ったメールアドレスで送られてくるお便りも少ないわけではない。

そんなお便りが織り交ざった中、いよいよ放送開始の時間になった。

 

軽快な音楽を後ろに番組タイトルがエコー付きで流れる。きっと聞いているリスナーも自分の送った便りが読まれるかドキドキしながらも笑顔でこの放送を聞いているのだろう。

 

毎週放送されるこのラジオの定型文をパーソナリティが読み上げた後、今週起こった出来事を少しだけ話す。その内容は本当に他愛もないことで、プリンを食べたらスカートに落としてしまったとか、姪っ子、甥っ子をめいいっぱい可愛がっていたとかのプライベートで起こった内容を話していく。

 

近況トークも別段長くする必要もなく、生放送であるため尺が決まっているため、さっそく次のコーナーに進行していく。

 

最も長く時間をとることのできるフリートークのようなコーナー。普通のお便りを読む『ふつおた』。

 

きっとこのラジオを聞いているあなたは思うことだろう。このふつおたの中に普通ではない深いところまで踏み込んだ、優しいお便りがあったことに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いつものようにコーナーを進行していく。

 

「それでは、ふつおたを紹介していきます。まず一通目はラジオネーム『元気いっぱいファイトだよっ!』さんからいただきました。ありがとうございます」

 

『こんにちは! 初めてお便りを送りました』

 

「おー、ありがとう~」

 

『実はこのラジオが放送している12月10日はとても大事な人の誕生日です。私が今友達と話して歌ったりできているのはその人がいたからです。今日はそのお礼をしたくてお便りを送ることにしました。本当にありがとう! ちょっと前までなかなか会えなかったけど、これからはまた昔みたいに一緒に歩いて行けそうで嬉しく思っている私がいます』

 

「おぉ、そうなんですね」

 

『というのもその大事な人というのが司会の貴方なんです。いつも隣で寄り添って歩いてきてくれて本当に嬉しかったです。今日は1年に一度の大事な日。お誕生日おめでとう!

Hより』

 

「って、え……? あ、続いてお便りを紹介しますラジオネーム『カテゴリー5』さんから頂きました。あら、また私関連のお名前ですね」

 

『こんばんは。初めてのお便りになります』

 

「あ、ありがとう~」

 

『以前、ビデオレターを送ったうちの一人です。今回はなかなかみんなが集まることができずに、メールという形で、お誕生日をお祝いしたいと思い、お便りをしました。普段、新聞を書いているため文章を構築することには自信があったのですが、意外に難しいことに驚いています』

 

「ふふふ。そうだね」

 

『って、なんだか堅苦しいのもかったるくなってきたから普通に話すわね。言いたいこと自体、去年言ってしまった感があるけど、こうしてお便りが届いているってことはあなたの世界にも魔法があるっていうことだと思うの。だから、今度は、来年はあなたに会いに行くから覚えておきなさい。誕生日おめでとう。Rより』

 

『P.S.偽物だと思ったらそれは間違いだから訂正しておいて。Hも他のみんなもお便りを送ってるみたいだから読んであげて頂戴。頑張って書いていたみたいだから』

 

「とお便りをいただきました……。途中から演じながら読んじゃった……。え? これ本当に本人たちからなんですか? え!? 本当!? スタッフさんたちは会ったの!? 手書きのものを打ち込んでいま私の手元にあるの!? え~!? じゃあその手書きのやつ後でください」

 

「え~、どうやら不思議な何かが起こったみたいです。それにしてもお便りありがとう~!! 去年のもしっかり届いていたよ~。いやー現実っていうのは何とも不思議なものですね。皆さんにお見せすることができないんですけど、本当に私の演じたキャラたちが集まってビデオレターを送ってくれたんですよ。当時も驚きましたけど、まさか本人たちからこうしてお便りが届くなんて思ってもみなかったです」

 

「え? まだまだ届いるんですか? じゃあ続いてのお便りです! ラジオネーム『カレー喫茶』さんから頂きました。ありがとうございます!」

 

『こんにちわー! この前のライブ楽しかったー。一緒にあんな素敵なライブができて楽しかったよ! って、コレお便りだった……。初めてのお便りだよ!』

 

「ありがとうー」

 

『最初の予定していた時にライブは出来なかったけど、それでも別日にちゃんとライブができて本当に嬉しかった! 特にアンコールの後はガンガンで楽しかったな~。』

 

「あははっ。そうだったね」

 

『やっぱりあなたがくれた声で歌うのは本当に気持ちがよくて、もうずっと話して歌っていたいくらいなんだ。4月にライブも決まってるし、また一緒にライブができるのを楽しみにしてる! 来年はなんかそっちに行くとかこっちに呼ぶとかっていう話になってるから楽しみにしておいてね。直接会えるの今から楽しみなんだ! Aより』

 

「うん。私も楽しみにしてるよ」

 

「続いてのお便りです。ラジオネーム『おっ昼だぁ~』さんから頂きました。ありがとうございます」

 

『それではいきますよ? せーのっ! おっ昼だぁ~☆☆☆ 初めてお便りを送りマス! 先日はお渡し会とトークショー、お疲れさまでシタ! 今年も私の声帯を担当して下さってとてもうれしいデス!』

 

「うん。私も嬉しいよ」

 

『まだ皆さんにお届けできない歌とかまだありマスガ、これから発表できるようにワタシも頑張りマス! プレミアムなライブも来年にはありマス。あなたとずっとずーっと一緒デスヨ! 本日はお誕生日おめでとうございマス! ハッピーバースディトゥユーデス☆ Sより』

 

「と頂きました。正直読んでいる間もなかなかに不思議なことで全部飲みこめていないんですけど、ビデオレターを見ているからなのか、納得している私がいます。だからきっと聞いている皆さんは何が何だかわかってないかもしれないですね。けど、私も本物からのお便りなんだと思います」

 

「感じる理由としてはさっきから言っているビデオレターもそうなんですけど、文章の使い方?っていうのかな、文字の雰囲気が本当に私の演じてきたキャラ達なんだなって思うんですよ。ということはですよ? 皆さんも私の演じたキャラ本人のお便りを聴けたってことじゃないですか!? それってすごいことだと思いません? だから今はこの奇跡を楽しんでいようと思います」

 

「わぁ~、来年が楽しみだな~。ちょっと他のみんなに自慢できることが増えちゃった~。忘年会でいっぱいはなそー」

 

「それでは本日の前半のふつおたはここまで。お便りありがとうございました」

 

自分の関係したキャラからのお便りが来たという事実で嬉しいのだろう、声が飛び跳ねるように出てくる中いろんなコーナーをこなしていった。

 

番組終了後、パーソナリティはスタッフに直接持ってきたと言う手紙をもらった。そこにしっかりと存在している紙に、直筆で綴られた文章たち。文末にはイニシャルだけではなくしっかりと自分の名前が書かれていた。確認してみると本人たちの要望でそこだけは包装するときは隠してほしいとのことだった。

 

番組中は印刷されたいつも番組内で見ている普通のお便りだった。それが手書きの直筆の手紙を見た本人は大粒の涙を手紙に零していた。きっとこれからもこの手紙を読むたびに泣いてしまうのだろう。すでに少し、しわが出てきてる手紙を抱きしめ12月10日は終わりを迎えた。

 


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