久我がどこかにいるであろうと思ったわたしは、首相の承認を得て独自に動くことにした。
妙に思ったのは、異国の少女と歩く、おそらくはボディガード。
少女のほうはちょうどヒロちゃんと同じくらいの年齢だろうか。褐色肌にインドのサリーみたいな服装をしていた。
乗りこんだすぐあとには艦内のトイレに向かっているようで、すぐに姿は見えなくなった。
そのこと自体は特に妙でもなんでもない。
おそらくは最後尾に近い小国だろう。
このセレモニーはきわめて政治的な力動が働いており、小国は最後のあたりにまわされている。
アメリカが一番目をとり、日本が二番目をとったというのは、政治的なパワーの結果だ。
国力というよりはヒロちゃんとの関係性の問題だろう。
ただ、そうではないところの順番は結局のところ、国力といってよく、200番目に近いところにある国の名前はわたしも知らない。
――なにが妙だったのか。
自問する。
無意識のうちにある様々な情報を吟味する。
わずかな時間だったが、彼らの動きを脳内で再生しつつ歩く。
思い浮かんだのは四路五動という孫子の言葉だ。
兵には、四路と五動がある。
四路とは、要するにファミコンでいうところの十字キーみたいなものだ。
そして、五動とはそれに対応した動き。
進む。戻る。右にいく。左にいく。
ということを指している。
四路の四に対してひとつ多い五動めの動きは、その場で待機すること。
そうか。
一瞬、彼らが待機したとき。
ボディガードの"休め"の姿勢は、自衛隊のものと同じだった。
いまの小学校で教えているかどうかは不明だが、わたしが小学生のときは"休め"の姿勢も教えられたものだ。
足をわずかに開いて、手は後方で軽く組む。
わりとどこの国でも採用されているようには思うが、何千、何百と見慣れた動作は妙な感覚として伝わったのだろう。
久我か?
疑念が濃くなり、自然と足を速めてしまう。
甲板からトイレに向かう人ごみは、物を売るレベルじゃーねーぞというほどに増えていた。
明らかに子どもの数が多いせいか、思ったように進めない。
「トイレ誘導とかしていないのか。大統領は何をしているんだ?」
これは後で知ったのだが、ピンクママさんから大統領閣下への突然の権限移譲に伴い、命令系統にわずかながらほころびが生まれていたらしい。
現場「会場は熱気に包まれており常設トイレを増やしたほうが良いと思われます」
上官「会場は熱気に包まれているそうです」
司令「早くも会場は沸いており開催が待ち切れないようです」
閣下「ふむ。わかった。現場にはよろしく伝えてくれ」
司令「閣下は現場はよくやっていると仰せだ」
上官「閣下は問題ないと仰せだ。そのまま任務を続行せよ」
現場「ヨシ!」
こんな感じだったとか。
艦内に入ろうとしたところで、わたしは軍属の人間に止められた。
狭い艦内のドアの前には二人組の屈強な男が立っており、手の中にはM4と呼ばれるアサルトライフルが握られている。いまは地面を向いているそれも、わたしが妙な行動をおこしたらすぐさま銃口が向けられるに違いない。
「What is your affiliation and rank?」
「あ?」
「You can't get in here unless you're with your escort」
「すまないが、英語はさっぱりなんだ」
「Just walk away」
指差されたのは甲板のはるか向こう側。
要するに立ち去れと言われているらしい。
「大統領にとりついでくれないか。えー、あー、プレシデント。プレシデントプリーズ」
「What?」
「アイム。アイム。フレンド。プレジデント」
「I don't know what you're talking about」
わたしの前に立ちふさがったのは"英語"という言語の壁だった。
撫子くんが英語うまかったよなぁと思いつつ、英語を本気で勉強してこなかったことを心底後悔した。日本人ってなんで10年近く英語を勉強してきて話せるようにならないのかね。
日本人の脳構造は英語を真に理解できないようになってるのかもしれない。
ここで問題なのは時間だ。いうまでもないが、誰か英語がわかる人を連れてくるという選択肢はない。首相も英語ができるかわからん。また、スマホも武器もすべて"いずも"に預けてきている。日本はあくまでも"いずも"における検疫がメインで、ここ"いんとれぴっど"の警護は埒外だからだ。
スマホとかも案外危険なんだよな。爆弾とか仕込めたりするし。
つまり、連絡手段がないのだ。クソ。手旗信号でもするか。
そのとき――。
ざわつきが後方から広がる。
子どものひとりが空を指さした。
兵士のひとりも思わずそちらに視線を向ける。
「Oh……Tenshi!」
言えたじゃねえか。
ともあれ天使だった。
ヒロちゃんが、振袖姿のままスイっと滑るようにして甲板から五メートルほど上空を飛んでいる。
いまの姿だと、天使というより天女のようだな。垂れ下がるはずの袖の部分も、むささびのように広がったまま落ちない。
どうやら振袖姿が崩れないように、全体的に固着するように念動力をかけているようだ。
花火を見る観客のように、皆、ヒロちゃんから視線をはずせない。
自然とこぼれる笑みは、やはり天使としか形容できないほどかわいらしかった。
いつまでも見ていたい遊覧飛行だったが、それも終わりを告げる。
ヒロちゃんが装備している下駄が、甲板と接触して「カポっ」という小気味良い音を響かせた。
わたしの五メートルほど先にいるヒロちゃんが、しずしずと歩いてくる。
人の波はかきわけられ、まるでモーゼの出エジプト記のようだ。
いつもは無邪気にかわいらしいのだが、なんだか妙にしおらしい様子。
すぐ目の前まで来た。
帯のところにさしこんであった扇子を開き、口元を隠して、艶美なうるうるとした視線を向けてきている。小学生らしからぬ色気。ヒロちゃんは小学生ではなかったが、カタチとしては少女でありながらも大人のようなアンバランスな蠱惑的魅力があった。
「あ、あの、幼女先輩」
「ん。なにかな。ヒロちゃん」
わずかばかり動揺しながらも、大人の余裕を崩さないように努力する。
「幼女先輩……、トイレ行きたいんですよね」
ヒロちゃんの発言には照れがあった。
あ、だからかと思うと同時に、ヒロちゃんってトイレくらいで恥ずかしがるの?
やっぱり小学生女児なの?
と、思わなくもない。
成年男性だったという証言の信憑性がゴリゴリ削られていく感覚だ。
もじもじしながら、ヒロちゃんが上目遣いにわたしを見ている。
「違うんですか?」
「あ、いや、違わないが」
とっさにわたしは嘘をついた。
護衛対象にいたずらに不安をあおってもしょうがないだろう。
まだ、わたしの疑念は疑念にすぎないのだ。
「よかった。なんだか幼女先輩が止められてるみたいだったから、ボク助けにきたんです」
むふんという表情になるヒロちゃん。
「助かったよ。このままじゃ間に合わなくなるところだった」
テロ防止がね。
「ええっ? 大丈夫なんですか。膀胱限界なの? いますぐテレポする?」
「あ、いや、まだそこまで切迫はしていないよ。ここを通してもらえればそれでいいんだ」
「ふむふむ」
「どうやらここに配置されている屈強な兵士は日本語ができないみたいなんだ」
というより、わたしが英語を話せないといったほうが正しいんだが、いまは一刻を争う事態といえるかもしれない。細かいところは置いておき、主賓の権力でゴリ押そう。
しかし――。
「え"」
ヒロちゃんが固まってしまった。
手に持っている扇子がプルプルと震えている。
「英語。ボクもできないよ……」
絶望の表情は三分前のわたしと似ている。
英語って本当に凶悪だよな。RPGのラスボスよりも話が通じない。
ただ、ヒロちゃんの場合は別だ。
「普通にここを通してと言えば大丈夫だと思うよ」
なにしろ、ヒロちゃんは主賓だ。
ヒロちゃんが信頼しているというだけで、フリーパスになる。
なんだったら周りの人間の誰それかに話しかければ、必ず日本語と英語を操る人間がいてもおかしくない。ともかく一言二言でもいいからヒロちゃんに話しかければいいと思ってる人は多いはずだからな。
「あの、僕でよろしければ通訳を」
眼鏡をかけた小さな男の子が声をかけてきた。
「ちょっとズルいわ。わたしが通訳してあげる」
ドレスを着たどこかの国のプリンセス。
「わたしも通訳すりゅ」
五歳児くらいか。
金髪碧眼のめちゃくちゃ小さい子が舌たらずに日本語をしゃべっている。
わいわいがやがやと詰め寄られるヒロちゃん。
むげにもできないから焦っているようだ。
「あー、君たち。少し下がってもらえると助かるのだが」
仕方ないので、横やりを入れた。
「あ、おっさんのくせに幼女な人だ」「幼女先輩渋い好みだわ」「じゃましゅりゅな」
子ども相手には分が悪い。
困っていると、扇子をまた帯にさしたヒロちゃんが、皆に対してほころんだ。
「ありがとう」
それだけで、老若男女問わず顔を赤くしている。
一番近くにいた眼鏡をかけた少年は、胸のあたりに手をあてて、ポーっとなってしまっている。
ヒロちゃん、おそるべし。
「とりあえず、通訳はいいかな。ボクが通してって言えばいいんですよね」
わたしの言葉を信頼してくれてるらしい。
ヒロちゃんはふたりの兵士に向かいあう。
もうすでにだいたいの事情は把握していると思われるが、なんとなくヒロちゃんの言葉を待っているようだ。もしかすると、救国の英雄あるいは聖女に話しかけられるという栄誉に浴したいと考えているのかもしれない。
「えーっと。んーっと。パス。スルー。スルー。フリー。オッケー?」
意味が不明だった。
もちろん、日本人だからこそ逆に意味がわかる。
文脈って大事だよなと思う。
しかし、さすがにそれは小学生並みの英語力だった。
――英語よわよわガール。
配信時の不名誉な称号が脳内にちらついた。
ふたりの兵士は顔を見合わせ、ヒロちゃんの言葉を吟味しているようだ。
その吟味がよくなかった。ふたりしてなにやら言い合っている。上官の日本語ができる誰かに連絡しようか検討しているのだろう。
ヒロちゃんはこちらを振り返り、不安げに首を傾げている。
ちょっと涙目になっている。
あ、また扇子を開いて今度は顔まで覆ってしまった。
なんだこのかわいい生物。
しかし――、時間がかかりすぎるとマズイ。
焦燥感がつのりつつあったそんな時。
「Hiro-chan wants to let this person through」
見かねた眼鏡の男の子が翻訳をしてくれた。
破顔一笑。
兵士たちはハハハと笑いながら、手をドア奥へ向けて、あっさりと私を通してくれるようだ。
「ありがとう。助かったよ。時間は有限だからね。君もありがとう」
「どういたしまして」と眼鏡の男の子が述べる。
「ありがとう」とヒロちゃんもその子にお礼を述べていた。
先を越された形になったほかの子たちは悔しがっている。
一見するとほほえましいやり取りだが、これもまた政治的な力動なんだろうな。
まあヒロちゃんにはあまり関係のない話か。
「それでは行ってくるよ」
――と、そのまえに。
少々、懐がさみしいことに気づいた。
懐といってもお金ではなく、武器の件だ。
ここ"いんとれぴっど"での警護はアメリカに任せているため、いまのわたしは徒手空拳だ。
それなりに戦えるとは思うが、久我がどんな武装をしているかはまったくの未知。
さすがになにかしらほしい。
艦内に行く一歩手前で足を止めた私を、怪訝そうに見つめるヒロちゃん。
小首をかしげて、不思議そうにしている。
漏れた? とか思われてないよな。
「どうしたんです? もしかしてやっぱり間に合わなそうとか?」
「あ、いや……。実をいうとヒロちゃん。私はなにかしら銃器を持ってないと出ない性質なんだ」
「ええっ!? そうなんですか。あ、でもトイレで全裸にならないと出ない人とかいますもんね」
ヒロちゃんが頬を染めながら言う。
嘘に嘘を重ねるようで申し訳ないが、ここで手早く武器を調達するためには仕方ない。
さすがにアサルトライフルは無理でも、腰に差している短銃ならどうだろうか。
「申し訳ないが、君、銃器を貸してもらえるようにお願いできないだろうか」
無茶な願いなのはわかっているがダメ元だ。
流れで、翻訳役を引き受けることになった眼鏡の男の子が伝えると、さすがに兵士の彼らはNOと拒絶の姿勢。
これは時間がかかるかもしれない。
武器なしで突貫してみるか。
時間の経過を勘案しつつ、私はやむを得ないかとあきらめかけた。
そのとき、
「あ、ボク、そういえば――、大統領との直通回線知ってるんだった」
ヒロちゃんが、不意に呟いた。
袖のあたりから取り出したるは文明の利器スマホ。
厳密には電話ではなくアプリらしいが、ともかく大統領と連絡がとれるのなら問題ない。
「あ、大統領閣下。ボクです」
『ん。ヒロちゃん。どうしたんだい?』
「幼女先輩がトイレで、トイレが銃で、ヤバいんです」
あわてたように言うものだから、私はどう考えてもヤバい人間だった。
「あの、ヒロちゃん。代わってもらっていいかな」
「あ、どうぞ」
手渡されたスマホを手で覆い、小さく周りに聞こえないように話す。
「すみません大統領。小山内です」
手早く状況を伝えると、閣下は快諾してくださった。
そのまま敵の補足に向けて動くべきかも問われたが、なにしろ私の勘だけの話。
警護体制にイレギュラーを持ちこんで隙をつかれてもマズい。
私は独自に動き、問題がありそうであれば連絡する。
問題がなくても連絡するが、ともかくイベントについては滞りなく行う必要がある。
そういう話を三分間ほどでおこなった。
もちろん、兵士たちには直接命令してもらったよ。
「悪いね」
わたしは兵士のひとりから短銃をもらう。
手にしっとり馴染む。それを内ポケットに入れた。ちなみに私もそうだがボディガードの役割をしているやつのほとんどは黒服というかスーツ姿だ。
「あれ。無線機も必要なんですか?」
無線機といっても手に持つタイプじゃなく、これも黒服とかがよく使っている耳に装着するタイプだ。もちろん、これも平和的に借りた。
「そうなんだよ。無線機がないと上司と連絡がとれないかもと思って出ないんだ」
「職業病なんですね」
ヒロちゃんに哀れまれたりしたけど、私は元気です。
★=
ゾイとともに無事"いんとれぴっど"に降り立ったオレたちは、さっそく連れ立って艦内に向かうことにした。思った以上に人の動きが激しく、警護に隙があるように感じる。
もちろん、甲板の端のほうには無数の兵士がM4を抱えて、つっ立っているが、そんなものはただのカカシと同じだ。
だが――、降り立って艦内に向かおうとした瞬間。
ゾクリとした、首の裏のあたりがチラつくような感覚を覚えた。
こちらを探るような視線。
「やつか」とオレは小声を出す。
「ん? 想い人でもいたか?」
「ああ。小山内がいる。前もって伝えていただろ」
「FPSの天才。幼女先輩か。よくわからんのだが直接的な戦闘力ではお前様とどちらが強い?」
「そんなもん知るか。殴り合いは弱そうだがな」
そう――、こちらは爆弾以外は無手。
何か武器を調達しなければ、テロ以前につかまって終わりだ。
どうやら"いずも"での検疫のおかげか、あるいは子どもという名のフリーパスを連れ立っているせいか、セキュリティは甘い。
艦内には難なく侵入することに成功し、さてどこに向かうかという話になる。
もちろん、セキュリティは甘いといっても完全にフリーというわけではない。
いま、トイレの前は人がずらりと並んでいて、量的に足りていないという状況だ。
頭の足りてないお子様が「私に恥をかかせる気か」とかなんとか言いわめいている。その隣では泣き出してしまうガキ。きれいに着飾ったガキが年相応に泣いている。間に合わなかったやつもいるようで、ボディガードに手を引かれながら、どこぞで着替えに連れていかれているやつもいた。
そのせいか、現場の判断でトイレの数を増やしている。それだけフリーに動けるスペースが増えて、混乱が見られるようだ。ジュデッカの仕入れた情報から、艦内の情報は頭に叩きこんでいる。
さすがに当日の警備まではわからなかったが、状況は悪くない。
「人の視線が切れたと同時に警戒エリアに侵入するぞ」
「ん……了解した」
ゾイについては、人並みの運動神経しかなく、正直なところ足手まといだった。
しかし、ゾイの義手に仕込まれた爆弾がなければ、何もできない。
子どもを連れているというだけでわずかに緩むという効果も馬鹿にはできない。
狭い通路の先に人影がいないことを確認し、ゾイを手早く先行させる。
警戒エリアとフリースペースの区域分け。
これもまたひとつの隙を生んでいるといえる。
VIPたちを通過させないという検疫所の役割を果たしているわずか数人の兵士たちを突破すれば、そこから先は人に見つかったところでおかしいと思われない。
検疫所を突破した安全な因子と判断されるからだ。
艦内の5000人という人数の多さ。
編成されたのはわずか数か月前。
400名程度の"異物"に感染しているという状況。
すべてにおいて時間が足りなかったというのが敗因だ。
「遅すぎるんだよ……」
オレは、夜月緋色に憤懣をぶつけたときと同じ言葉をつぶやいた。
★=
「ゾイ。こっちに向かうぞ」
オレはゾイの手を引いて、無理やり速度を上げた。
50メートルほど先にある通路の角から、小山内がひょっこりと顔を出したからだ。
今にも顔を上げそうな瞬間に、とっさに角を曲がる。
やつはなにか超能力にでも目覚めているのか、当て勘だけでなく、敵がどこに潜んでいるのかをピタリと探り当てる能力がある。
それがやつの強さの理由だ。
向かう先は下層だが、大回りしていったほうがよさそうだな。
「お前様。こちらに向かうのはどうだ?」
ゾイの提案はすぐにわかった。
指さされた通路の先にある区画はレストラン。そして隣接する厨房だ。
朝でも昼でもない微妙な時間帯。
レストランには人はまばらにしかおらず、非戦闘員ばかりだ。
警戒されるかと思ったがオレたちの姿を見ても、誰も何も言わない。
我儘な姫様に連れまわされているとでも思われてるのかもしれない。
まあ、実際にそうなんだがな。
厨房のドアをゾイは無造作に開けた。
レストランが巨大なだけあって、厨房もかなりの大きさを誇る。
厨房の中は戦場のようだった。
中にはシェフが何人もいて、上の連中のくだらない立食パーティのために、こんな時間から調理している。
「なんだ。ガキがまぎれこんでやがるぞ」
そのうちのひとりが声を上げた。
もちろん、英語だ。
「おなかがすいたんだ。なにか食べ物をくれないか」
ゾイは腹のあたりをさすりながら孤児のような顔で答える。
もちろん、英語だ。
「あ~あ。ゲストのガキか。これでも食っとけ」
渡されたのはなんの変哲もないプリンだった。
もちろん、カップのやつではなく、透明なガラスに入ったものだったが、ゾイはおいしそうに食べ始めた。
ゾイはわずか10歳程度。
子どものいない空母内では、衆目の的になる。
――そいつ毒婦だぞ。
と、脳内で思ったが、まあいい。
手ごろなサイズの刃物を手に入れることができたのだから。
知らないことを書いてるので不安しかない。
英語とか。英語とか。英語とか。
そもそも空母内の様子も脳内シミュレートですからな……
なんか変かもしれませんけど、ふわっとしたまま進みます。
ご指摘ございましたらお願いいたします。