ロリ魂   作:カイバーマン。

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一ヶ月目 ファイナルファンタジーは突然に

なんだかんだで星が滅びかけ

 

なんだかんだで窮地を脱して

 

なんだかんだでまたヤバい事態になったが

 

やっぱりなんだかんだで世界は救われた。

 

そしてこの物語は、なんだかんだ丸く収まった世界の数年後から始まる。

 

 

『はーい皆さんこんにちは、結野アナでーす』

「こんにちはぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

どんな仕事でも請け負う事を商売とする万事屋にて、銀髪天然パーマの万年死んだ魚の目をした侍・坂田銀時が

 

居間のテレビの中で陽気に手を振る結野アナに対して元気よく返事をしていた。

 

当然相手はテレビなので返事が返って来る事は無いが、コレが彼の日課でもある。

 

「あーやべぇやべぇ、寝坊して危うくお昼の結野アナの御尊顔を見逃す所だったぜ……」

 

色々遭ったがようやく事が済んだこの世界で、銀時は再び万事屋として再起して数年の月日が流れていた。

 

相変わらず金欠ジリ貧で、家賃は滞納気味、仕事もロクに来ない半ばプー太郎みたいな生活を送っているが

 

それでも銀時はこの生活に満足し、人生を謳歌している。

 

『お昼からは曇り模様が見え始め、夜頃には大雨が降ると予測されてまーす』

「マジっすか!? じゃあ今の内に干した洗濯モンしまっておかないといけないですね!」

 

テレビの中にいる結野アナと楽し気に会話(一方的な)を銀時が楽しんでいると、ふと玄関の方からガララララっと戸が開く音が聞こえて来た。

 

「ただいまヨー」

 

それと同時に気の抜けた感じで声が飛んでくると

 

先程まで結野アナに笑顔を浮かべて話しかけていた銀時が眉間にしわを寄せて振り返った。

 

するとすぐに玄関からこちらへと歩いてくる足音がし

 

「銀ちゃん、外がめっさ曇っててもうすぐ雨降るアルよ、昼までグースカ寝てる甲斐性無しなんだから、干してる洗濯物ぐらい取り込んどけヨ」

 

「うっせぇ未だにウチに寄生してる居候が! 俺は今、結野アナとより親密になる為の心の対話を試みてんだよ! 洗濯モンぐらいテメーが片付けやがれ!!」

 

「やれやれ、完全にオッサンの年になったクセに、まだあのお天気アナに未練たらたらとかマジヤバいアルな、銀ちゃん”も”一度病院で診て貰ってくればいいヨロシ」

 

居間へとやって来て早々銀時にけだるそうに話しかけるのは、万事屋従業員兼この家の居候である神楽であった。

 

数年経った今、彼女は19才になったばかりであり、初めて出会った時とは比べ物にならないぐらい背も伸びてスタイルも良くなった。

 

お団子頭も止めて綺麗なオレンジ色の髪の毛を長く伸ばし、パッチリした目からやや鋭い目つきに

 

服装は相変わらずチャイナ服だが、スリットの隙間から長くなった綺麗な生足がチラリと見えて少々色っぽくなっている。

 

そして何故か、そのチャイナ服は銀時の着ている着物と全く同じ柄であった。

 

「外からでも銀ちゃんの大声が聞こえたアル、もうみっともないから止めてヨ、平日の昼間からテレビに向かって会話してるとか……これ以上ご近所の住人から変な目で見られたくないネ」

 

「あんだとこの野郎、昔はお前の方がバカみてぇに叫んでたくせに」

 

昔は年相応の子供っぽいやんちゃ娘であった神楽は、今ではすっかり常識のあるまともな子に成長……とまではいかないが

 

一応周りの目を気にする年頃ではあるので、こうして度々未だに大人になれない銀時の行動に呆れて小言を言う事も最近増えていっている。

 

それもまた彼女にとって大切な成長の一つなのであろうが、絶対に口には言わないが銀時としては少し寂しかった。

 

「ちぃとばかり成長したからって生意気な事言ってんじゃねぇよ、平日だろうが祝日だろうが関係ねぇんだよ、テレビに結野アナが映る=叫ぶ、それが我が家の常識だ、ご近所の目なんざ知るか」

 

「そんな常識ウチに持ち込まないでくれる? はぁ~いいからさっさと洗濯物取り込めヨ暇人、私は朝からダルくてくたくたネ、あと酸っぱいモン食べたいから酢こんぶ買ってほしいアル」

 

「朝から?」

 

疲れた様子でソファにドカッと座りながら、疲れた様子で体を動かすのもだるそうにしている神楽にふと銀時は気付いた。

 

そういえば彼女はいつも自分と同じタイミングで起きるのだが、今日は朝から外出していたのだ。

 

「そういやお前朝からどっか出掛けてたみてぇだがどこ行ってたんだ」

「病院ネ、昨日の夜から気持ち悪くて体もだるいから診て貰ってきたアル」

「あー、そういやお前、夜中に何度も起きてトイレに籠ってたな」

 

病院に行ったと聞いても銀時は特に動じることなく、軽く鼻で笑い飛ばした。

 

「んな事で最強の夜兎族が病院なんて行ってんじゃねぇよ、ゲロ吐くのなんざお前にとっては日常じゃねぇか」

 

「それはもう昔の話ネ、一人前の女になった私はもう人前でゲロなんて吐かないアル」

 

「この前一緒に飲んだ時に、口から盛大にもんじゃ焼き創造したのは何処のどいつだ」

 

変わる所はあっても変わらない部分もある、ソファにもたれる神楽の隣に座ると、銀時は彼女の背中をさすりながらため息をつく。

 

「どうせただの食い過ぎだろ、あんだけ毎日たらふく食ってればそりゃ夜兎でも気持ち悪くなるわ」

「違うアル、気持ち悪くなったのはもっと別の理由ネ」

「あぁ? 別の理由ってなんだよ」

 

隣で口をへの字にして首を傾げる銀時に対し、神楽は突然まだわからないのかと言いたげな表情で彼にジト目を向けると

 

 

 

 

「赤ちゃん出来たアル」

「……へ?」

 

こちらをジッと見つめながら彼女が言い放った言葉に、銀時はしばし呆然と固まり思考を失くした。

 

そしてさっきまで死んでいた目が瞬きすると、その目はかなり動揺した様子で震えだし

 

「……赤ちゃん出来たって……なに? もう一回言ってくれる?」

「言葉の通りヨ、私のお腹の中に子供が出来た、それ以外に言う事なんてないでしょ?」

「ちょっと待って……子供ってお前……どうやって作ったんだ?」

「それも今更言う必要ある?」

 

目だけでなく肩まで震えだしている銀時に、神楽ははぁ~とめんどくさそうにため息をつくと

 

 

 

 

「私と銀ちゃんが作った子供アル」

「うえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」

 

彼女のトドメの一言に、銀時は遂にソファから飛び上がる様に立ち上がった。

 

神楽が言っている事はつまり……自分が彼女を妊娠させたという事である。

 

すると銀時は全身をガタガタ震わせながらも彼女に指を突き付けて

 

「なななななんで!? ど、どういう事だおい!! 俺とお前の子供って! 俺、お前となんかしたっけ!?」

 

「いやしたから赤ん坊が出来たんでしょ、ついでに1カ月アル」

 

「マジでか!? え!? 赤ん坊ってアレやったら出来るモンなの!? 知らなかったぁ! 生命の神秘だよコレ! 学会に発表すれば表彰されるんじゃね!?」

 

「おい、いい加減落ち着けヨ天パ、ただでさえ頭痛が酷くてイライラしてるのに、これ以上ふざけられたらますますイライラするネ」

 

銀時がこんなにも激しく動揺している理由は二つ

 

一つ目は心当たりがある事

 

銀時は神楽とは以前からそういう関係になっている、ずっと一つ屋根の下で同棲生活していたモノだし、神楽が成長して女性としての一面が強くなってから、流れに流れていつの間にかこうなってしまった訳だ。

 

故に子供が出来た原因が自分にあるというのもすぐに納得できてしまう。

 

そして二つ目は、この妊娠を機に、自分と彼女の関係が周りに知れ渡るであろうという事……

 

「今までお前との関係は他の奴等に悟られぬ様にずっと隠し通していたのに!! 絶対ロリコン呼ばわりされた挙句、死ぬより酷い目に遭わされそうだから秘密にしようと決めていたのにぃぃぃぃぃ!!!」

 

「ご近所の目なんざ知った事かって言ってたクセに……まあ私はいつかバレると思っていたアル、銀ちゃんがそんだけ隠したがるから私も仕方なく付き合ってあげてたけどそろそろ潮時ネ、潔く自分がロリコンだと認めろヨ」

 

「おめぇがロリコン扱いすんじゃねぇよ! ロリコンに仕立て上げた首謀者が!」

 

「それより銀ちゃん、私コレを機に銀ちゃんに聞きたい事あるんだけど良いアルか?」

 

「へ?」

 

まだなにか言う事があるのかと、未だ混乱している状態の銀時は汗だくの状態で彼女の方へ振り返る。

 

すると神楽はちょっと躊躇する姿勢を見せつつも、凛とした強い眼差しを彼に向けて

 

「責任、ちゃんと取ってくれるわよね?」

「……」

 

その問いかけに対し銀時は更に顔から滝のような汗を流し続け、明らかに焦ってる様子を見せた後しばらくして

 

「とりあえず洗濯物を入れよう、今一番大事なのは、我が家の洗濯物が雨でビショビショにならない事だ」

 

「っておい! 逃げようとしてんじゃねーゾ腐れ天パ!」

 

急に家事に逃避行して干してる洗濯物の方へとダッシュして行ってしまう銀時に、神楽が後ろから叫ぶも彼は聞かずに逃走。

 

「はぁ~こういう事になるとホントヘタレになるんだからあの人は……」

 

ガッカリと肩を落とすと、神楽はなにか策が無いかとふと視線を床下に向ける。

 

「丁度良いわ、まず最初に相談に乗ってもらおうとした相手だったし……」

 

どうやら奴に責任を取ってもらうには、第三者の力を借りる必要があるみたいだ

 

 

 

 

 

「腐ってるね」

「……」

 

そしてそれから数分後、真顔で座っている神楽の隣で、銀時は死刑を執行される前の死刑囚みたいにガタガタ震えながらソファに戻っていた。

 

そして向かいの席で座っているのは

 

かぶき町の初代女帝と呼ばれ、銀時に家を貸してやっているスナックお登勢のオーナー・お登勢である。

 

銀時を心底呆れた様子で見つめながらゆっくりと重い口を開いた。

 

「事情は全部彼女から聞いたよ、元々腐ってた野郎だとは思ってたがまさかここまでとはね、あっさり底値更新だよ、おめでとう銀時」

 

「え~事情を全部聞いたというのはつまり……」

 

「お前が小さなころから世話してた娘を手籠めにして孕ませた挙句、責任を取ろうとしないクズ野郎だって所まで」

 

「言い過ぎだろ! わざわざ生々しく言い直さなくていいだろうが! それに責任を取らないとは言ってねぇぞ!」

 

長年縁の深い間柄であったお登勢にドストレートに罵声を言われると、流石に銀時もムキになって反論する。

 

するとすかさず彼の隣に座っていた神楽が覗き込むように横から顔を出して

 

「じゃあ私の事、ちゃんと貰ってくれるアルか?」

「やっちゃったもんは事実だし、オメェがそうして欲しいなら俺も一人の男として、お前と腹のガキを背負う覚悟ぐらい出来てるよ……」

 

ここで余計な事は言えないと、腕を組みながらうんうんと頷きつつ模範的な回答を出す銀時であったが、次第にその顔付きからまたもや汗がダラダラと流れ始め……

 

「ま、まあでも今すぐはちょっと早いし、焦って後で後悔する事もあるかもしれねぇし、しばらく時間を置いてそれからゆっくり二人の今後を決めようか……」

 

「今更時間なんかもう残ってないネ、私は子供が出来る前からずっと銀ちゃんにキチンと決めて欲しいと思っていたんだから、逃げてないでさっさと私を嫁にするヨロシ、甲斐性無し」

 

「え、なにその遠回しの脅し的な逆プロポーズ?」

 

ここに来て急にへっぴり腰になった銀時に、神楽は目を細めて半ば強引に言い寄り始めた。

 

そんな彼女に頬を引きつらしてすっかり銀時がビビってしまっていると、二人を向かいの席で見ていたお登勢がふと気になった様子で

 

「そういえばアンタ、最近じゃすっかり標準語で喋るようになったのに、銀時といる時はよく昔の口調に戻ってるみたいだけど、一体どうしたんだい? 「もうアルアルとかそんな古臭いキャラ設定なんて通用しない」とか言ってテメーで封印したクセに」

 

「前に銀ちゃんが、「昔のお前の口調が懐かしいよなぁ」とか寂しそうに言ってたから、たまに昔の口調使ってあげると喜ぶのよ」

 

「はぁ!? なんだいそれ気持ち悪ッ!」

 

「いいだろ別に! 昔はそれが当たり前だったんだから! コイツが標準語になると調子狂うんだよ!」

 

どうやら神楽は銀時の為にわざわざ意図的に標準語と昔の口調を使い分けるようになったらしい。

 

その事実にお登勢はドン引きした様子で悲鳴のような声を上げると慌てて言い訳する銀時だが、お登勢は本気で嫌そうな顔を浮かべながら

 

「そういやこのチャイナ娘、身体を自由自在に変える事が出来るんじゃなかったかい? いきなり婆さんになったり、それからちっちゃい幼女になったり……気持ち悪ッ!」

 

「おいババァ勝手な妄想でこれ以上銀さんのイメージを傷つけるな! いくら俺でもそんな危ない橋は渡らねぇよ!」

 

「未成年に手ぇ出してる時点で危ない橋の上で全力ダッシュしてんだろうが! このロリコン野郎!!」

 

「いいかババァ! 俺は確かにコイツに手を出しちまったけどロリコンじゃねぇ!!」

 

身体を自由自在に変化する能力を持っている神楽に対してどんな変態プレイを強要したのだと。

 

想像しただけでも汚らわしいと両腕を押さえながら銀時にますます引くお登勢。

 

しかし銀時自身はこの期に及んで決してロリコンではないと言い張ると、喉の奥から一気に放出する様に 

 

「フェミニストだ!!!!!」

 

「開き直ってなにわけわかんねぇこと言ってんだテメェ!」

 

「そう、俺は常に男女平等を主張するフェミニスト……相手が自分より一回り年下の少女であろうと、一人前の女としてキチンと認めて対等に接していただけの博愛主義のフェミニストなのさ……」

 

「だからそれがロリコンつってんだろうが!!」

 

 

急に悟ったかのようにフッと笑いながら自らをフェミニストと名乗り出す銀時

 

それに対していい加減にしろとお登勢が本腰入れて説教してやろうとすると、突然居間の戸がガララと開き

 

「その通りです、彼はロリコンなどではありません」

 

 

 

 

 

 

「私と同じフェミニストです」

「っておい! なんかいきなり変な奴出て来たぞ!」

 

いきなり唐突に現れたのは、自称フェミニスト、他称ロリコン。鬼兵隊の参謀として銀時の旧知の仲である高杉晋助と共に国家転覆を画策していた武市変平太であった。

 

勝手に家に入って来ていきなり銀時みたいな事を言い出す彼にお登勢が素っ頓狂な声を上げていると、銀時はすぐに立ち上がって彼の方へと歩み寄り

 

「やっぱり俺の事を真に理解してくれるのはお前だけだよ……武市君」

 

「大丈夫です銀時殿、私はあなたのように不当な理由でロリコン呼ばわりされる被害者の味方ですから」

 

「オイィィィィィィィィ!!! なんで急に出て来た奴と打ち解けてんだ!? この数年の間にどんな人間関係の変化があったっていうんだい!」

 

かつては敵同士、時には味方というおかしな関係でしかなかった銀時と武市であったが、ここ数年の間に彼等の間には強い友情が芽生えていたのだ。

 

二人で硬い握手をしながら言葉を交える彼等に、状況が読めないお登勢が驚いていると、神楽がソファのひざ掛けに頬杖を突きながら

 

「なんか銀ちゃん、私との関係を改めてから急にあの男と仲良くなったみたいなのよね、最近じゃ定期的にウチに来て、銀ちゃんを変な奴等ばかりいる所へ連れて行くのよ、私の許可なく」

 

「変な奴等ではありません、彼等もまた我々と同じフェミ道を貫くフェミニストメンバーです」

 

銀時を連れてかれるという点に関してはやや不満げな様子の神楽に対し、武市は銀時と仲良く肩を組合いながら平然とした様子で答える。

 

「例えばメンバーの中には小学生の少女相手に仕方なくバスケットのコーチを任されてしまった少年、小学生の少女相手に偶然バンドのコーチする事になった少年、小学生の少女をうっかり弟子にしてしまったプロ棋士の少年、ただただ小さいモノだけが好きなだけのファミレスで働く少年等々、彼等は私達と何も変わらないフェミニストです」

 

「フェミニスト以前に別の次元のキャラ呼んでるんじゃないわよ」

 

「私が銀時殿を連れて行ってるのは、そんな彼等の様な者達が一つの場所に集まり、皆で励まし合って自分達がロリコンではないと再確認する為の大切な居場所なんです」

 

「そこの場所教えなさい、今度奉行所呼んで全員まとめてブタ箱にぶち込んでやるから」

 

結局の所、同じ境遇同士で自分達はロリコンじゃないと主張し合うという完全に怪しい宗教団体みたいなモンである、神楽はすぐにかぶき町に網を張って彼等を一網打尽にする計画を練り始める事にした。

 

「ささ、銀時殿。皆が待っているので我々もそろそろ行かねば、今日は特別に秘宝目当てで結婚しようとしただけなのに、とある泥棒にロリコン伯爵と呼ばれて心に傷を負ったフェミニスト伯爵がお見えになっています」

 

「マジでか? あの噂に名高いフェミニスト伯爵が……これはフェミニスト同志として、皆の心を一つにするしかないな」

 

「ってちょっと銀ちゃん! まだ私の話終わってないヨ! なに勝手に行こうとしてるアルか!」

 

武市と共にフェミニスト同志の会合とやらに出向こうとする銀時だが、そればっかりは神楽も慌てて叫んで引き止めようとする。

 

「人を孕ましといてトンズラするとかクズ過ぎるだろーが! それでも元ジャンプの主人公かテメーは!」

「いや待てって神楽、さっき言っただろ、責任の一つや二つ取るって、銀さんだってね、その辺はちゃんと考えてるから安心しろよ」

「……本当アルか? ウソだったら承知しないわよ」

「お前の知ってる俺ってのは、お前と腹のガキを置いて逃げる様な真似する奴だったか?」

「……」

 

こちらに振り返りながら微笑を浮かべてる銀時に無言で見つめる神楽。

 

だが銀時はすぐに待たせている武市の方へ振り返って

 

「でもまだ頭の整理つかないんで落ち着くまでしばらく待ってください、まずは同じ悩みを抱える奴等の話を聞いて、自分だけが追い込まれてる訳じゃないと精神を安定させたいから」

 

「っておい! 結局ロリコン同好会に出席しに逃げんのかヨ!」

 

「だからフェミニストだっつってんだろうが!!」

 

しっかり現実と向き合う為の時間を下さいと言ってるかのように、責任は取ると言っておきながら結局大事な話し合いから逃げる為に武市と共に行ってしまう銀時。

 

最後に捨て台詞を吐いて居間から消えていった彼を、神楽は苛立ちを募らせながら玄関の方へジト目で睨み付ける。

 

「マジあり得ない、このタイミングで逃げるとかどうかしてるわよ……」

「ったく、私から言わせればあんな男を選んじまったアンタもどうかしてると思うがね……」

 

何を今更と言った感じで、ブツブツと文句を垂れる神楽にお登勢は呆れた様子で呟く。

 

「ちょいと聞きたいんだが、一緒に住んでたとはいえどうしてあんな男とそういう関係になったんだぃ?」

 

「別にどうだっていいでしょ……私のこの美貌に世の男共が群がって来てうっとおしかったから、一番長く傍にいたアイツで済ませようと思っただけ……」

 

「ああそうかい、それじゃあついでにもう一つ聞くけどさ」

 

歯切れ悪そうに答える神楽に対して全く信じてなさそうに鼻で笑うと、お登勢は彼女の服装を下から上に眺めて

 

「今時ペアルックなんてちと古いと思うんだがね?」

 

「か、勘違いしないでくれる!? これはたまたまアイツが着てる着物と柄が被っただけなんだから! 別に周りに遠回しにアピールしてたとかじゃないんだから!」

 

彼女のチャイナドレスは銀時の着物と全く同じ柄だ、偶然で被る訳がない。

 

顔を背けながらツンデレみたいな事を言ってあくまで否定する神楽に対し、お登勢ははぁ~と深いため息をつく。

 

「言っておくけど、私はもう大分前からあんた達の事はとっくに気付いていたよ」

 

「え、なんで!?」

 

「年寄りをナメんじゃないよ、いきなりペアルックになったり、一緒に街中を歩いているのを頻繁に見かけるようになったり、あと私が家賃の回収にここにけしかけた時、アンタ達同じ寝室から出て来ただろ」

 

「しまった……」

 

子供の件は素直に驚いたが、実を言うと彼女は元々銀時と神楽が既に男女の関係になっているのは薄々勘付いていた。

 

これぞかぶき町の女帝の鋭い洞察力があってこそ……と言いたい所だが、二人と長く付き合っていれば、二人の間が微妙に変わっている事など簡単にわかる。つまり付き合いが長かったから容易に気付けただけなのだ。

 

もしかしたら他の者達もうっすら勘付いているのかもしれない

 

「全く、隠すんならもっと上手くやれってんだ……けど私はアンタとアイツがどんな関係になろうが構わないよ、家賃さえ払ってくれればね」

 

「反対しないの? さっきまで銀ちゃんの事をロリコンロリコン言ってたのに」

 

「他人の色恋なんざ興味無いよ私は、ロリコンだろがファミコンだろうが、アンタがアイツと夫婦になりたければ好きにしな」

 

どうやら最初に色々言っていたお登勢であったが、銀時と神楽が男女の関係であろうが素直に認めるつもりだったようだ。

 

神楽だってもう19だし銀時に至ってはもう結婚を考えなければいけない年、なら年寄りが二人に対して今更口を出す必要などない。

 

ただ一つ言える事があるとするならば……

 

「年長者としてアドバイスしておくよ、あの男と夫婦になるってのがアンタの望みって言うなら、それなりの覚悟しておくんだね、あんな収入もロクにないクセに毎日グータラしているダメ男を亭主なんかにしたら、この先かなり苦労するに決まってんだからさ」

 

「アドバイスありがと、けど銀ちゃんがロクデナシのマダオだなんて、元々一緒に住んでた頃からわかってるわ」

 

「わかった上であの男を選ぶのかい? 責任取れと言われても土壇場で逃げ出すあのヘタレ男を」

 

「今更選択し直す気なんかないわよ、私のお腹にいるのは銀ちゃんの子だからとかそういうの関係なく……」

 

 

思えばあの男と交際を続けてからも、付き合う前と全く変わらない態度で自分に接して来た。

 

微々たる変化はあったものの、今も昔も神楽にとって銀時という男は最初に出会った時から全く印象が変わっていない。

 

ちゃらんぽらんで掴み所が無い

 

不真面目で身勝手

 

いつも金欠なので金にがめつい

 

やる事為すこと無茶苦茶なクセにいざ追い詰められたらすぐ逃げる

 

けど護るべきものは絶対に護るという強い信念を魂に宿し

 

相手が誰であろうと立ち向かって、手足が千切れそうなぐらいボロボロになっても

 

その信念だけは決して折る事は無い強い侍

 

そしてそんな男だからこそ自分は時が経つにつれて惹かれていき……

 

 

 

 

 

 

「私はそういう銀ちゃんだから選んだの、だから銀ちゃんじゃなきゃ絶対にイヤ、それ以外に理由なんて必要ない」

 

「そうかい、それじゃあもう私から言う事は何も無いね……」

 

強く決意した眼差しで嘘偽りのないハッキリとした声でそう宣言する神楽に

 

お登勢はようやく聞きたい事を聞けたと満足した様子で静かにフッと笑う。

 

「精々頑張んな、夫のケツを引っぱ叩く妻として、子供のケツを引っ張叩く母親としてね」

 

「わかってる、だからその前にあの男とキッチリ話つけないと」

 

「それもあるけど他にもやる事あんだろ? こんな大事な事をいつまでも他の知り合いに黙っていたらそっちこそ後々大問題になるのが目に見えているよ」

 

「そうね、江戸のみんなに銀ちゃんとの関係と、お腹の子の事も全部話しておかなきゃ、それと宇宙のどこぞで暴れているパピーやあのバカ兄貴にも……」

 

隠していた銀時との関係、そしてお腹に宿った新しい命、この事をお登勢だけでなくみんなに一から報告しなければ

 

今はまだ妊娠初期の状態なので、外出するのは大変だが、今度銀時と二人でみんなの所へ会いに行こうと

 

まだ膨らんではいないお腹をさすりながら、神楽は自分達の報告を聞いて驚くみんなの反応を想像してそっと微笑むのであった。

 

しかしお登勢の方はその事に一つ懸念が……

 

「けどアンタと銀時の事を、ずっと前から旅に出ているアイツが聞いたらどんな顔するんだろうねぇ……」

「アイツって?」

「おいおい忘れちまったのかぃ? 薄情な娘だね全く……」

 

 

 

 

 

「数年前に「自分が本当にやりたい事を見つける」とか言って江戸を飛び出した新八の事に決まってんだろ」

 

万事屋のもう一人の従業員、志村新八。

 

彼は銀時と神楽が江戸を離れる事になってもずっとここで万事屋としてたった一人で働いていた。

 

そして再び彼等が戻ってきて、江戸にまた新たなる平穏が訪れた直後

 

彼は二人に万事屋を任し、新たな目標を立ててこの地を発ったのだ。

 

アレからもう数年……

 

銀時と神楽がそういう関係になっているとか、二人の間に子供が出来たとか全く知らないであろう彼は

 

再会出来た時にどんな顔をするのであろうか……

 

 

 

 

「それなら心配ないわ、付き合いの長い新八の事だから笑いながら「なーんだそうだったんですかー、おめでとうございます」で済ましてくれるわよ」

 

「いやそんな訳ねぇだろ!!」

 

次回に続く。

 

 

 

 

 

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