ロリ魂   作:カイバーマン。

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七ヶ月目 おめでとうダチ公

神楽の妊娠が発覚してからすでに半年近く経ってしまった。

 

思えばあの時の衝撃は昨日のように覚えているが、冷静さを失いパニックになってしまった事は遠い昔のようにも思える。

 

あれしきの事で取り乱すなど、共に長く修羅の戦争に明け暮れていた戦友に見られていたら笑われたことであろう。

 

「アイツ等に知られたらなんて言われるかわかったもんじゃねぇな、よしアイツ等だけには一生言わないでおこう」

 

そう心に決めながら銀時はガララと戸を開けて

 

「おーい帰ったぞー」

「おかえりヨー」

 

珍しくやってきた仕事をサクッと終わらせて、家族のいる我が家へと帰って来たのであった。

 

玄関に上がると居間の方から産休している神楽がヒョコッと顔を覗かせて来た。

 

「バリバリ働いてちゃんと金稼いできたアルか、ダメ亭主」

「帰って来ていきなりそれはねぇだろ、安心しろ、依頼主からたっぷり搾り取ってやったから」

 

もう随分と膨らんだお腹を抱えている神楽の下へ、銀時はお札の入った封筒をヒラヒラと見せつけると

 

神楽はそれを無言で彼の手から取った。

 

「コイツは銀ちゃんに持たせているとパチンコに消えそうだから、妻である私が預かっておくヨロシ」

「んだよすっかり女房みたいな事言うようになりやがって」

「女房アルからな、それにもうすぐ母親ネ」

「母親ねぇ……」

 

取られた封筒を奪い取ろうとするも銀時の手は空を切り、神楽はそれを懐に仕舞ってしまう。

 

昔はあんなに子供だったが、結婚して見ると女というのは変わるモンなのだなと、しかめっ面をしながら銀時は彼女を見て思った。

 

「だったらいい加減卵かけご飯以外のレパートリーを増やしてもらいてぇもんだわ、母ちゃんになるんならまずチャーハンとカレーを作れるのは必須だからな、お前ちゃんと練習してるの? 前に俺教えたよな?」

 

「あ、そうだ、銀ちゃんにお客さんが来てるアルよ」

 

「誤魔化すんじゃねぇよ、ってお客さん?」

 

母親になると自覚していても未だに料理に関してはてんでダメな神楽、相変わらず卵かけご飯ぐらいしか作る事が出来ない所をつくと、彼女は目を逸らしながら急に話題を変えるのであった。

 

「客室でずっと銀ちゃんの帰りを待っていたネ、さっさと行って適当に話して追い出してヨ」

 

「おいおい客が来てるってのにそんな言い方はねぇだろ、いいか神楽、お前は確かに母親になるかもしれねぇが万事屋の一員ってのは変わらねぇんだぞ、だったら客に対してはキチンと誠意をもって……」

 

基本的にやる気の無い男ではあるが、依頼人が誰であれそれなりに対応して引き受けてやるのが、銀時の仕事に対しての姿勢だ。

 

神楽の客への言い方に対して雇い主らしく、夫らしく厳しく注意すると、早速居間から繋がっている客室へと入っていった。

 

「はいはいどんな事だろうが何でも引き受ける万事屋ですよー、いやー待たせちゃってすんませんねぇお客さん、なんかウチの家内に失礼な態度取られたんならこっちで言っておきま……」

 

ヘラヘラ愛想笑いを浮かべながら襖を開ける銀時、しかし客室で待機していたお客さんを見てすぐに言葉を失ってしまう。

 

何故ならそこにいたのは……

 

「お客さんじゃない、桂だ」

「……」

 

かつては共に戦った仲、ちょっと前は幕府を脅かす極悪テロリスト、そして今では新政府を立ち上げ、将軍亡き後の幕府に変わって新しい国造りを行う事になった初代総理大臣

 

元狂乱の貴公子、ドナルド・ヅランプこと桂小太郎がこたつに入って静かに待っていた。

 

「失礼なのはリーダーではなくお前だ銀時、かつて共に戦った仲であるベストマイフレンドの俺に、どうしてなんの連絡も寄越さずにいつの間にかリーダーと結婚し……」

 

「おい神楽、家にでけぇゴキブリ沸いてんぞ、バルサン炊けバルサン」

 

「ゴキブリじゃない桂だ! そして総理大臣だ!」

 

昔と違いすっかり西洋の衣装が板についた古き友をスルーして、再び神楽を呼びながら居間へと戻ろうとする銀時を慌てて引き留める桂。

 

「わざわざ多忙な時期の合間をぬってこうしてお前とリーダーの祝宴を挙げに来たんだぞ! そんな俺をゴキブリ扱いするとは国家反逆罪で極刑にするぞ!」

 

「国家反逆罪は元々テメェの十八番だろうが、元テロリストに祝宴されても嬉しくもなんともねぇよ」

 

「フン、相変わらず人のご好意を素直に受けない男だな、俺がこんなにも祝ってやろうとしているというのに」

 

「確かに食事はそれなりに良いモン持って来たみたいだな……」

 

よく見ると桂が入っているこたつの上には中々高価な食事が台の上ギチギチになるぐらい置かれていた。

 

恐らく銀時と神楽の話をどこかで聞いて、居ても経っても居られず彼が用意して持ってきてくれたのだろう。

 

「せっかく坂本の奴がこんなにも豪華な食事を買って用意してくれたんだぞ、有難く思え」

 

「って食事用意したのお前じゃねぇのかよ! てかあのバカまでいんの!?」

 

と思いきやどうやら食事を手配したのは桂ではなくもう一人の戦友・坂本辰馬であったらしい。

 

なに自分が用意したかのような雰囲気出してんだコイツとツッコミながら、銀時はその坂本がどこにいるのかと客室を見渡すもどこにもいない。

 

すると突然、厠の方からジャーッと流れる水音と共にゆっくりとドアが開かれ……

 

「お、おぉ~ひ、久しぶりじゃのぉ金時……しばらく振りじゃというのに全く変わっておらんの~おまんは……アハハ……」

 

「いやお前は変わり過ぎだろぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

厠から出て来た人物が坂本辰馬だと気づくのに、銀時でさえしばしの間が必要だった。

 

何故なら今の彼は数年前とは別人だと思うぐらいひどく弱々しくなっており、何があったのかと心配になるぐらい顔面蒼白で痩せ細っていたのだ。

 

「わ、わしは何も変わっとらんきに……相変わらず宇宙中を駆け回って商いに勤しんでるぜよ~……アハハガハァァァ!!!」

 

「おい渇いた笑い声あげながら血吐いたぞコイツ! テメェ腹膨らました嫁さんの前でなにショッキングな事やってんだコラ!!」

 

「ち、ちごうちごう……これはわしの血じゃないきに、これは……」

 

かつての豪快な笑い声はどこへ行ったのやら、力なく笑いながら遂には口から大量の赤い血を噴出させる坂本。

 

銀時が慌てて神楽の両目を自分の手で塞いでいると、坂本は弱々しい声を上げながら首を横に振り

 

「さっき厠で飲んだスッポンの生き血ドリンクぜよ……」

 

「いやなんで人様の厠でスッポンの生き血飲んでんのお前!? そっちの方が怖いんだけど!?」

 

「わしはコイツを一日十本飲まなきゃならないノルマを命じられていての……たとえ体が弱っていても無理矢理にでも飲まなきゃいけないんじゃ……」

 

「ノルマってなんだよ! なんなのお前! 何があったホント!?」

 

スッポンの生き血で汚れた床を自分で拭きながら坂本がボソッと呟いて説明するも、彼が一体どうしてそんな事をしなきゃならないのか全く見当が付かない銀時。

 

すると彼に目を塞がれていた神楽は彼の手を持ち上げると、銀時の方へ振り返り

 

「なんかここに来る前からずっとこんな調子だったアルよコイツ、でもはるばるここへ来たのは私達へのお祝いと、銀ちゃんにどうしても伝えなきゃいけないことがあるからだって」

 

「俺に伝えたい事? んだよそれ……もはや今のコイツの状態を見る限り遺言としか思えねぇんだけど……」

 

「銀ちゃん、この死にかけバカが回復するまで私が介抱しておくから、銀ちゃんはもう一人のバカの相手を頼むネ」

 

「バカ野郎、こんな奴の相手なんて今のお前にやらせられるか、坂本の野郎は俺が相手してやるから、お前はヅラの所へ行って上手い飯でも食って来い」

 

身重の彼女によくわからない病気でも持ってるかもしれない男の看病なんてさせる訳にはいかない。

 

銀時は手でシッシと追い払う仕草をしながら神楽を桂が待つ客室へと行って来いと指示する。

 

「いいか、ヅラに何聞かれようが余計な事言うんじゃねぇぞ」

「わかってるネ、アイツとはもう長い付き合いだし対応の仕方も心得てるヨ」

 

なんだか子供扱いされてる感じがして神楽は少々嫌な思いをしながらも、桂がスタンバっている客室へ

 

そして銀時はソファでもたれて瀕死の状態で呻いている坂本の方へと歩み寄った。

 

「ったく、いきなり家に来たかと思えば飲む前に既に顔が青白いってどういう事だよ全く。お前まさかどこかの辺境の星で変な女に病気移されたんじゃねぇだろうな?」

 

「ハハハ、ぶっ殺すぞ……わしが弱っているのは病気じゃなか、それよりもっとヤバいモンじゃて……」

 

「もっとヤバいモン?」

 

病気よりヤバいモンとは何だと疑問に思う銀時をよそに、坂本は不意に訪ねて来た。

 

「金時ぃ……そういやおまん、あの娘っ子と結婚するんじゃったな」

 

「いやするっつうかもう既に結婚してんだけど? もうガキも産まれる予定だし」

 

「はぁ~もう手遅れだったみたいじゃの……つまりはおまんも、いずれは今のわしと同じ様に抜け殻にされる定めじゃて」

 

「は?」

 

意識さえもまだフワフワしてる様子の彼に銀時が顔をしかめると、坂本はグッタリとしながらも銀時の方へ向き直り

 

「実はの金時、わしも少し前に一人の女と連れになってしもうての……ほら、おまんも知っとるじゃろ、わしの船の所の副艦長の……」

 

「は!? お前の船の副艦長って……」

 

 

 

 

 

「まさかあの神楽と同じ夜兎族の陸奥!?」

 

「そうじゃそうじゃ、言うのは遅れたがお前さん達より前にそうなってしもうた……」

 

坂本の所の船・快臨丸の副艦長・陸奥の事は銀時もよく知っている。

 

頭は切れるし船員の指揮や統率もしっかり出来る上に、夜兎族の怪力も合わさって半端ないほどスペックの高いカミソリ副艦だ。

 

そんな彼女がまさかこの男と……

 

「おいおいおい、ちょっと待て少し思考が追い付かねぇよ……え? お前とアイツがくっついたの? 俺と神楽よりもあり得ない組み合わせのお前等二人が?」

 

「アハハハ……まあそんな関係になったというより、無理矢理アイツにそうさせられたって言った方が正しいかもしれんの……」

 

「無理矢理!? おいもうちょっと詳しく教えろ! いったい何があったお前とアイツに!」

 

いくら長い付き合いだと言っても二人はどっからどう見てもそういう関係になるとは到底思ってもいなかった銀時。

 

しかも坂本が言うにはかなりおかしな事情が含まれているみたいなので、銀時は思い切って彼からそこん所を詳しく聞き出そうとするのであった。

 

「もしかして向こうの方からお前にアプローチかけてきたのか!? あの万年仏頂面の恋愛なんか全く興味なさそうな冷酷女が!?」

 

「アプローチなんちゅう生優しいもんじゃなか……あの女の目的はわしじゃなく、快援隊の安泰が狙いじゃ……」

 

「!?」

 

快援隊というのは坂本が結成した宇宙を駆ける商いを営む貿易会社だ。

 

陸奥が坂本と男女の関係になったのはどうやら、会社の未来を見据えての行動らしい……

 

「陸奥の所の種族は今絶滅の危機にあって、男共は毎日子孫を残す為に婚活三昧じゃというのは知っちょるか?」

 

「まさか! あの女、自分の種族の絶滅を防ぐ為に!」

 

「いんや、アイツはそんな事なにも考えちょらん、元々自分の種族に対しての誇りなど無いと言うちょったし」

 

彼女なりに自分の種族の事を考えての行動だったのかと思ったのだが、それとは全く関係ないと坂本は力なく笑う。

 

「あの女が求めたのは自分の血を継ぐ跡継ぎじゃ、戦闘力の高い種族である自分の子を次々と作ってより屈強な船団を築こうっちゅう腹らしい……」

 

「なにその恐るべき子供達計画!? 商いするのにどうして戦闘力が必要なんだよ!」

 

「時に商売には揉め事がよく起こるもんじゃに、それを円滑に終わらせてこちら側を優位に立たせながら契約を成立させる事も、商いには大事な事なんじゃと……」

 

「ヤクザのやり方だろそれ……てかお前、自分が作った会社完全にアイツに乗っ取られてるじゃねぇか」

 

「まあ昔から船員はほとんどアイツの指示に従っちょったからの……」

 

会社の方針を勝手に決められては、もはや社長としての立場など全く無いも同然。

 

現在、快援隊を仕切っているのは間違いなく陸奥であり、坂本はすっかり彼女に逆らえず、一方的に使われてる立場になってしまっている様だ。

 

「そんで自分の子供産む為に相手が必要だという事で、一番身近にいる奴で済ませようって感じでわしが選ばれんたんじゃ……」

 

「選び方雑過ぎだし怖ぇよ! 好きだとか嫌いとかじゃなくて単にお前の子種目当てって事それ!? なんなのアイツ!? いつの間にそんな恐ろしい女になってんの!?」

 

「フ、おかげでわしは毎日毎日アイツに襲われる日々ぜよ……おかげでこっちは限界を超えて意識を失う事などもはや当たり前になってしもうたきに……」

 

「あぁ、だからお前そんな弱りかけてて、精力アップの為にスッポンの生き血なんか飲まされてんのか……」

 

性別が逆だったら洒落にならない、否、逆じゃなくても恐ろしい話だ。

 

まさかあの年中ヘラヘラ笑ってバカしてる坂本が、否応なしに陸奥によって子供を作る為に日々襲われてこんなにも憔悴しきってしまうとは……

 

「じゃからおまんも気ぃつけとった方がええぞ金時……嫁さんは陸奥と同じ種族っちゅう事は、わしのようにきっと相当搾り取られるぞ……?」

 

「いやいやいや! ウチの嫁はお前の所の鬼畜嫁と違うから! てかお前が俺に言いたかった事ってもしかしてそれか!? なんでダチにそんな生々しい忠告されなきゃならねぇんだよ!」

 

「夜兎族と結婚するのは気を付けろと言う事ぜよ、お前とあのチャイナはわしと陸奥と違ってちゃんとした愛情があるみたいじゃが……うっかり油断すると何もかも吸い取られてしまうぞ?」

 

「ああ確かに、後半からペース向こうに持ってかれて、最終的にこっちが先にバテる事がよく……って何言わせんだコラ!」

 

これ以上はもう他人には言えない事情が含まれるので、ノリツッコミをしながら銀時は早急に話を打ち切った。

 

「いやまあ夜兎族は戦いだけじゃなくあっちの戦いも強いってのは分かったから……お前も気の毒だとは思うけど頑張れって、あんなべっぴんと良い関係になれたんだって思えば少しは気が楽になるって」

 

「ハハハ……そうじゃのぉ……ちなみに今、陸奥の腹の中にはわしの子が三人おるぜよ……」

 

「三つ子!? てことはお前いきなり三人の子持ちか!?」

 

「上の二人を入れれば五人じゃ……」

 

「もう二人も作ってんの!?」

 

力なく項垂れる坂本を励ますかのように銀時が助言するも、彼からの返事を聞いて再び驚きの声を上げた。

 

そして同時にちょっとした推測が頭によぎる。

 

5人の子供を産む程に坂本とそうなる事を望んだ彼女は

 

もしかしたら彼を種馬扱いしてるのでなく……

 

 

 

 

 

「それ、ただの照れ隠しじゃないの?」

「ほう、リーダーはそんな風に考えるのか」

 

坂本と銀時が話してる一方で、客室にいる神楽は静かに桂と対峙してお喋りしていた。

 

話の内容は先程銀時と坂本が話していた事と全く同じ、桂が坂本に聞いた話をそのまま彼女に話してみたのである。

 

「もっさんに本当の事言うのが嫌だったからあえてそんな風に言ったんでしょ、会社の成長を我策してるならもっと手っ取り早い方法なんていくらでもあるじゃない、理由を付けてもっさんとくっつきたかった魂胆が見え見え」

 

「おぉ、さては巷で流行ってるツンデレという奴だな!」

 

「いやツンデレ流行ったのはもっと前で今はそんな流行ってないから、てかこのセリフ私に言わせる?」

 

相変わらず古臭い感性をする桂に神楽が真顔でツッコむと、「なるほどな……」と勝手に分かった様子で桂が腕を組んで何度も頷く。

 

「しかしいくら色んな星々で遊び呆けてばかりいる大馬鹿が相手だからといって、騙す様な形で手籠めにするには少々問題ありだと俺は思うんだが?」

 

「まあそれは私もどうかと思うけど、いずれ彼女の方から本当の事を話すんじゃないかしら? 銀ちゃんだって付き合った当初は私に対してちょっとツンツンしてたし、まあ最終的に私にベタ惚れになっちゃったけど」

 

「あの銀時がか……奴を落とすとは流石リーダーだ」

 

男にはわからないであろう女としての意見を述べる神楽に、桂はまた感心したように頷いた。

 

「しかし時の流れというのは恐ろしいモノだな、まさか銀時と坂本が嫁を持つことになろうとは」

 

「ヅラはそういう相手いないの? ラーメン屋の店主、幾松さんと良い感じだと聞いてるんだけど?」

 

「誰から聞いたそんな話、俺と幾松殿はそんな関係になった覚えはない、俺は今も昔もずっと独り身だ」

 

古き友が連れ添う相手を見つけて子供まで作った事に、正直嬉しくもあり、少々寂しくも思う桂。

 

彼自身もラーメン屋を営む未亡人の女店主とは今も交流は続いているが、残念ながら進展は全く無い。

 

「俺の事などどうでもいい、それよりもリーダー、そっちこそどうなんだ」

 

「どうってなにが?」

 

「俺は心配なのだ、リーダーがあの銀時と夫婦として上手くやっていけるのか、あの男は中々に掴み所がなく、手綱を握っても流れ雲のように勝手に飛んで行ってしまう様な奴だぞ?」

 

「まあね、銀ちゃんは昔から何考えてるかよくわからない所あるし、ちゃらんぽらんだし、足臭いし」

 

「いや足臭いのはほっといてやってくれないか?」

 

ため息交じりに呟く神楽に桂が真顔でツッコむと、彼女は「まあなんとかやってみるわよ」とポジティブな返事

 

「私だって結構タフなんだから、例え逃げられようと何でも捕まえて私の隣に縛り付けてやるわ」

 

「そうか、やはり銀時はリーダーに任せて正解だな、しかしそういう役目は大体昔から俺だったんだがな……」

 

「嘘つくんじゃないわよ、アンタ銀ちゃん以上に自由に動き回る電波バカじゃない」

 

「電波バカではない、コレでも攘夷戦争の時はあの一癖も二癖もある三馬鹿トリオを上手く操っていたのだぞ」

 

ジト目で神楽に悪態をつかれながらも、ふと昔の銀時達の姿が頭をよぎって、思わず口元が緩んでしまう桂。

 

「しかし俺がアイツの手綱を握るのはもう無いだろうな、後はアイツの妻であるリーダー、否、神楽殿の役目だ」

 

「今更名前で呼ばなくて良いわよ、ちょっとこっ恥ずかしいけどリーダーのままでいいわ」

 

「どうか俺の大事な友の一人である銀時を、よろしく頼み申し上げる」

 

「あーもう堅苦しい言葉もいらないって、私の中じゃアンタはいつもの電波キャラの方がしっくりすんのよ、ん?」

 

こちらに対して頭を下げ、銀時の事を託してくれた桂に対し神楽が苦笑していると

 

不意に玄関の方からピンポーン!という誰かが来たという知らせが聞こえて来た。

 

「またお客? 今度は誰よ一体」

「フ、来たなアイツめ……」

「なによ、ヅラの知り合い?」

「ダメ下で呼んでみたのだがな……まさか本当に来るとはな」

 

一体誰が来たのだろうと首を傾げる神楽をよそに、桂は誰が来たのか察した様子でニヤリと笑う。

 

すると居間にいる筈の銀時と坂本が、急にビックリした様なテンションで

 

「ってえぇぇぇぇぇぇ!? おま! なんでここに来てんだよ!」

 

「おお~こりゃまた珍しい奴がやってきたの~! これじゃあ弱ってるヒマはなか! また飲み直しぜよ!」

 

「ふざけんな帰れ! 坂田家に揃いも揃って来て欲しくねぇ連中がわんさか集まってきやがって!」

 

「まあそう言うな金時、コイツもおまんを祝いに来てやったんじゃろうて」

 

「コイツがそんなタマな訳ねぇだろ! つーかずっと思ってたけどいい加減俺の名前ぐらいちゃんと呼べよテメェは! 金時じゃなくて銀時だっつうの!」

 

陸奥のおかげでバテていた坂本であったが、突然の来客を前にテンション上げて大喜び

 

対照的に銀時はイライラした様子で居間で怒鳴り散らしているのがこちらからもよく聞こえる。

 

その声を聞いて桂は静かに笑ったまま酒を一杯飲む。

 

「久しぶりだな、俺達四人が揃うのも……」

 

「そうか、やって来た人って……でもあんまり騒がしくしないでよね、ご近所に迷惑だから」

 

「フ、どうだろうな、俺達が揃うと国中、いや宇宙に響き渡るほどの騒動になりかねないからな……」

 

銀時、桂、坂本、そしてもう一人のメンバーと言えば……

 

察した様子でとりあえず忠告だけはしておく神楽に、桂はその忠告を守るのは難しいだろうなと思いながらゆっくりと立ち上がった。

 

「さて、俺も出向くとするか、あの三人が揃うのであれば、やはりリーダーだけでは抑えるのは難しい、ここは俺が出るとしよう」

 

「あらそう、なら今回はアンタに任せるわ、久しぶりに男四人で語りたい事もあるでしょうし」

 

 

神楽に見送られ少々嬉し気に呟きながら、桂は戸を開けて友の下へ向かうのであった

 

 

 

 

「おい貴様等! こんな時間だというのになに騒いでおるのだ!」

 

「テメェヅラ! さてはコイツ呼んだのお前だな! 勝手な真似してんじゃねぇよ!」

 

「アハハハ! 戦場以外で四人揃うのはまっこと久しぶりじゃの! 今宵はもう何もかも忘れて盛大に呑もう!」

 

 

 

 

 

 

 

「ったく、昔と変わらず騒がしい連中だなお前等……」

 

 

 




次回は八話

八と言えば?
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