場所は志村邸、そこに今一人の人物が居間でお妙と向かい合って座りながら話をしていた
「まぁ~ホントに立派になったわね新ちゃん、武者修行の成果が見ただけでわかるわ」
「姉上、お元気そうで何よりです」
春がそろそろ近づいて来た頃
長い旅を終えて、遂にあの若者が江戸へと舞い戻ったのだ。
彼は万事屋メンバーの一人、志村新八
江戸に平和が訪れた数年前に、己の未熟さを見直す為、銀時と神楽の下を離れて一人放浪の旅へと出ていたのだ。
そしてそれからしばらく経ち、ようやく彼は長旅を終えて姉であるお妙に会いに戻って来たのである。
「最初見た時は驚いたわよホントに、新ちゃんだと気づかなかったぐらい」
「ええ、まさか自分の家に戻って来たら、会って早々実の姉に「誰だテメェ! 家宅侵入罪だぞコラァ!」と叫ばれて槍で串刺しにされそうになるとは思いもしませんでしたよ」
「ごめんなさい、だって新ちゃんの部屋に青学の柱みたいな人がいたもんだからつい泥棒かなんかだと思って」
「姉上、その言い方だとまるで青学の柱が泥棒みたいな面構えだと誤解されてしまうんで止めて下さい、彼は一癖も二癖もある青学メンバーを全国大会制覇に導いたホープです」
「そうだったかしら? ケガはするし肝心な所で負けたりするし、「やっぱ眼鏡掛けてる奴は詰めが甘くて使えないわね」って印象しかないんだけど?」
「謝ってください、俺と手塚国光、そして眼鏡キャラに謝ってください」
お妙の言う通り、新八はもうかつての地味で目立たないただの駄眼鏡ツッコミキャラ等と周りに小馬鹿にされていた時とは別人と呼べるぐらい成長していた。
眼鏡の奥では数年の修行の成果でキリッとした鋭い眼光を光らせ、服装も厨二感漂う黒ずくめに
髪も少し伸ばした様子でかなりオシャレに気を遣っている様子が見受けられる。
「それにしてもホントに変わったわね新ちゃん、昔ならすぐに「オイィィィィィィィ!!」だの「コラァァァァァァ!!」だのやかましい叫び声ばかり上げてたのに」
「僕、いや俺はもう昔みたいにただただ周りに翻弄されてギャーギャー叫ぶだけのツッコミキャラは卒業したんです。これからはクールにツッコミを入れながら周りを引っ張っていくキャラでやって行くんで、よろしくお願いします」
「フフフ、長旅を経験した事で立派な志を持ったのね新ちゃん、父上と母上、そして尾美一兄様もきっとあの世で喜んでいるでしょうね、それにこんなに大きく成長したあなたを見れば、あの二人も驚くわよきっと」
「あの二人……」
結局ツッコミキャラなのは変わってないんだなと思いつつも、なんだか今の新八はめんどくさいなと思ったのであえてスルーしながら、お妙はやんわりとある二人の人物を彼に思い出させた。
「銀さんと神楽ちゃん、まさか二人の事を忘れては無いわよね?」
「ハハハ、忘れられる訳ないじゃないですか、あの二人との出会いを得て今の俺がいるんですから」
かつての万事屋メンバーを忘れられる筈が無いと、新八はフッと笑う。
坂田銀時と神楽、長く苦しい旅の中でも、彼等との思い出があったからこそ、新八は無事に修行を終える事が出来たのだ。
「実は数年前に江戸に平和が戻り、二人が万事屋に戻って来た時に、俺は気付いたんです、二人は何かを成す為に長い間万事屋を離れて色んな所へ行った、だから俺もまたやりたい事を見つけたいと」
「そう、そういえばあの頃の新ちゃんはいつもどこか迷っている感じがしてたものね」
「そんな時に銀さんにふと背中を押されたんです、「己の見つけたいもんはテメーで見つけろ、まずはこの国全部を見渡して何が欲しいのか探してこい」って」
「もう、全く相変わらず不器用な人ね」
「ええ、ホントに、まああの人らしいと言えばらしいんですけどね」
ぶっきらぼうな背中の押し方だなと、お妙が呆れたようにため息をつくと、新八も彼の事を思い出しながら苦笑する。
「まあ半ば追い出されるような感じで武者修行に行くハメになっちゃいましたけど、おかげでここまで自分でも成長出来たという自覚が湧いてきましたから、あの人には感謝はしてますけど」
そう言いながら新八は足元に置いていた自分が修行してる中ずっと愛用していた木刀を取り出す。
柄の部分には『洞爺湖』と彫られていた。
「これは俺が修行に出る時に銀さんから渡されたんです、「護身用にはなるだろうよ、持ってけ」って」
「ああ、その木刀って新ちゃんが持って行ってたのね、あの人ずっと持っていなかったから変だとは思ってたんだけど」
「はい、この木刀のおかげで俺は常にあの人の面影を思い出し、迷わず前に進むことが出来ました」
ここ数年銀時が愛用の木刀を所持していなかったので不思議に思っていたお妙だがこれでようやくわかった。
修行の旅に出かける新八の助けになって欲しいと願い、彼は自分の愛刀を新八に預けたのだと
「新ちゃんが江戸を出た原因はやっぱり銀さんだったのね、でも私としては自分の弟が突然旅に出るって聞かされた時は心配で仕方なかったんだから、もうしばらく長旅は禁止ですからね」
「姉上に心配かけさせてしまった事は謝ります、けど俺はここにあまり長くいる事は出来ないかもしれません」
「え?」
てっきり戻って来たのだからもうずっとここにいるのかと思っていたのだが……キョトンとするお妙に新八はキリっとした真面目な表情で
「実はここに戻って来たのは姉上や万事屋のみんなに近況報告しに来ただけなんです、自分にはまだ何を成すべきなのか見つかっていないんで、しばらくしたら俺はまたこの国を、いや今度は世界を見て回ろうと思っています」
「そうだったの……それは正直ちょっと寂しいわね、けどあなたがそうしたいって言うなら私は止めません、道を決めるのはあなた自身なんですから」
「ありがとうございます姉上」
「でもこれだけは忘れないで頂戴、例えあなたがどんな道を歩もうとしても、あなたが帰るべき場所はここにあるんですからね?」
「ええ、わかっています」
武士の娘だからこそ、侍が廃れた時代でもなお己の道を突き進む新八を止める事など出来やしなかった。
「自分の成すべき事を見つける、それを探すのはきっと大変かもしれないけど、途中で諦めるような真似をしてはいけませんよ、これからも侍として励みなさい」
「はい、せめて姉上に心配されないぐらい、まだまだ精進しなきゃいけませんしね」
それに昔は自分に甘えてばかりだった弟がこんなにも立派になったのだから、姉としては誇りと思う。
力強く返事する彼にお妙はそんな事を考えながら安堵の表情を浮かべていると、新八は右手に木刀を握ったまま腰を上げてスッと立ち上がった。
「それでは姉上、そろそろ俺は他の所へ挨拶回りに行かないと、しばらくしたらまたこっちに戻って来るんで」
「あらもう行っちゃうの? 他の所ってもしかして銀さんと神楽ちゃんに会いに行くのかしら?」
「はい、俺の帰るべき場所はこの家とあそこですからね、二人にもちゃんと成長した俺を見て貰わないと」
「そう、ならきっと驚くわよ新ちゃん」
「え?」
銀時と神楽のいる万事屋へと向かおうとする新八を呼び止め、お妙はニッコリと彼に微笑む。
「特に神楽ちゃんにはビックリするでしょうね、新ちゃんがいない間にあの子も我が目を疑うぐらい見違えちゃってるんだから」
「ああ、さては昔と違って凄い美人になったとかですか? 悪いですけど今の俺じゃそれぐらいじゃ驚きもしませんよ、心身共に鍛え上げた俺には、例え彼女がどれだけ成長しようとも全く動じませんから」
神楽がどんな風に成長したのだろうかと気にはなりつつも
昔のやんちゃで毒舌で怪力でワガママで大食らいで
そしてすぐに人前でゲロを吐いて醜態を晒す幼い彼女であった頃は変わらないのだ。
そんな彼女を思い出してフッと笑うと
「では行ってきます」
新八はお妙を残して、もう一つの家族がいる万事屋へと向かうのであった。
それから数十分後、新八は懐かしい万事屋に数年ぶりに帰って来た。
「全く、いきなり戻って来るなんてなんなのよホントに、どうしてこの家に来る人って前々から連絡するとかしない訳?」
「……すみません、皆さんを驚かせようとサプライズ的なノリで来ちゃって……」
「キチンと連絡しておけばこっちも歓迎会なりなんなりして迎える事が出来たのに、あ、勘違いしないでよね、別にアンタが戻って来たから嬉しいとかそんなの思ってないんだから」
「あ、いえ……そちらは自分の歓迎会とかそんなんしてる暇ないでしょうし、大丈夫です……」
お妙の前ではあんなにもバシッと決めていた新八であったが、久しぶりに戻った万事屋では急にかしこまった様子でソファに座っていた。
鋭く尖った眼光はもうすっかり左右に泳ぎまくって動揺しているのがよくわかる、そしてそんな彼の向かいのソファにどっしり座っているのはお妙が言っていた神楽、確かに彼女は昔と比べて……
「別にアンタの歓迎会ぐらい普通に出来るわよ、こちとらもう八ヶ月よ? 後はもうポンと出てくるのを待つだけなんだから」
「いや変わり過ぎだろうがァァァァァァァァァァァァァァ!!!!」
それはクールキャラを売りにしようとしていた新八でさえあっさりと前言撤回する程の衝撃的な光景であった。
確かに神楽は数年前よりもかなり美人になっている、アルアル口調も止めてるしもうすっかり大人の女だ。
だがしかし、それよりも驚くべきポイントは彼女の膨らんだお腹だ。
あの膨らみ方はどう見ても……
「どういう事だコレェェェ!? 我が目を疑うレベルじゃ済まねぇよ姉上! 俺! いや僕なんかよりもずっと大人の階段昇ってやがったよチクショォォォ!!!」」
「相変わらずやかましいツッコミは健在みたいね、アンタ修行の旅に出たってのにツッコミの方は昔と全く変わってないじゃない、そっちの方もちゃんと修行しておきなさいよね」
「いやもう僕の事なんてもうどうでもいい! 今ここで最もハッキリしなきゃいけないのはそのお腹の方だろどう考えても!!」
膨らんだお腹の上に両手を置きながらこちらにジト目を向けて窘めて来る神楽ではあるが
すっかり気が動転している新八は昔の口調に戻って彼女を問いただし始めた。
「何があったんだよ神楽ちゃん! いや神楽さん!? 僕がいない間に一体どうしてそんな事になってんの!? もしかしてドッキリ!? ドッキリだと言って頼むから!」
「ドッキリな訳ないでしょ、私の腹にはちゃんと子供がいるわよ、女の子ね」
「女の子ォォォォォォォォォ!?」
「いや別に驚くとこじゃないでしょそこ」
ただお腹の子の性別を聞いただけのに、両手で髪を掻き毟りながら叫び出す新八。
かなり混乱しているみたいだ、ツッコミ役が神楽になるぐらい。
「なんて事だ……まさかあの神楽ちゃんが……ハナクソほじりながらゲラゲラ笑っていたあの神楽ちゃんが……人前でゲロを吐き散らす程女を捨てていたあの神楽ちゃんが……」
「あの、昔の私の事は言わないで頼むから……色々と思い出しちゃうから……」
必死に冷静さを取り戻そうと震えた手で眼鏡をクイッと上げる新八に、幼かった頃の自分の恥ずかしい姿を思い出して神楽が頬を引きつらせるていると
新八は再びバッとこちらに振り返って
「い、一体君に何があったんだ!? どこの男とそんなふしだら真似を!」
「ふしだらとか言わないでよ恥ずかしい……ん~まあ交際を始めたのは新八が出て言った頃からだったわね、一時のテンションに身を任せてズルズルと関係築いてたらいつの間にかデキちゃった」
「何やってんだよ! もっと自分の事を大事にしろよ! 一時のテンションに身を任せると滅びるって長谷川さんを見て覚えなかったの!?」
「アレを見て何を覚えるっていうのよ、勝手に堕ちていくただのマダオじゃない」
自分にとっては妹的存在であった神楽が、まさかの妊娠とは流石に黙っていられない。
まだ相手が誰なのかはわからないが、未成年である彼女を妊娠させてる時点でロクな男ではない。
ここはバシッと言ってやらねば、その為にはまず”彼”をここに呼ぶべきだと新八はすぐに察した。
「銀さんは? 銀さんはどこに行ったの?」
「銀ちゃん? 銀ちゃんなら今私の代わりに買い物に行ってる所だけど、そろそろ戻って来るんじゃない?」
「そうか、じゃああの人が戻って来たらもう一度話をしようか……」
やはり彼女のもう一人の父親的存在である銀時も入れて今後の相談するべきであろうと、新八はソファに座り直しながらそう考えた。
大事な万事屋の一人娘が未成年で妊娠……こればっかりは自分と銀時で彼女の為にしっかりと相談しなければ
「……神楽ちゃんが妊娠した事に、あの人は何も言わなかったの?」
「言うというかかなり慌てて混乱していたわね」
「当たり前だよ、あの人にとっては君はもう娘と言っても過言では無いんだから……」
彼女の妊娠が発覚した時の銀時の反応はすごくわかると新八も頷く。
「僕でさえ心臓が今にも飛び出しそうな状態なのに」
「そんなモンなの? でも大丈夫よ、今はもうすっかりあの人も落ち着いて覚悟決めてくれたから」
「銀さんは表には出さないけど、君の事はもうほんとに大切で……え、ちょっと待って」
首を傾げながら返事した神楽に対し、新八はふと彼女の言葉に引っ掛かる。
「銀さんが覚悟決めたって……なにを覚悟したの?」
「はぁ? そんなの決まってるじゃない、私が妊娠したのよ?」
「責任もって私と結婚する事に決まってるじゃない、それとこの子の父親になるって事もね」
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新八の思考が真っ白になった、眼鏡の奥にある両目も真っ白になった。
彼女の言っている事が全く理解出来ず、ただただ呆然と固まっていたが、徐々に口を開いていき
「…………………え? 銀さんが……神楽ちゃんと……結婚? しかも父親って事はつまり……」
「この子を私のお腹に宿したのはあの人、だから責任取って私と結婚したの、ちょっと前に籍入れたばかりよ」
「……」
新八はまだ生気を失った様子で神楽の口から放たれた衝撃的な事実を上手く頭で整理できなかった。
するとそのタイミングで玄関の方からガララッと戸を開く音が聞こえると
「おいーす、亭主様のお帰りですよー」
彼の知らぬ間に神楽の夫となっていた坂田銀時が、昔と変わらないけだそうな雰囲気で家に戻って来た。
スーパーの袋を右手にぶら下げて銀時が居間に入って来ると、神楽がすぐに立ち上がって歩み寄る。
「おかえり銀ちゃん、タイムセールの卵はちゃんと買ってきたアルか?」
「ああ、主婦の皆様とかなりやり合ってようやく手に入れた戦利品だ、2、3発殴られたがなんとか掴み取ったぜ、有難く思えってあれ?」
歩み寄ってきた彼女の頭を軽く撫でながら銀時はすぐに気付いた。
ソファの上でどっかで見たような男が、全身真っ白になって呆然と座っているのを
「お前まさか……新八か?」
「そうアル、新八が武者修行の旅からようやく戻って来たんだヨ、連絡も寄越さずにいきなり来たもんだから私もビックリしたネ」
「マジかよ、なんか昔よりも大分イメチェンしてるからパッと見誰だかわかんなかったじゃねぇか、あの童貞眼鏡が随分と出来そうな童貞眼鏡になってるしよ」
新八の存在に気付くと銀時はすぐに彼の方へと近づこうとする
だがその時、さっきまで身動き一つなく思考停止していた新八がスッとソファから立ち上がったと思いきや……
「このロリコン野郎がァァァァァァァァァ!!!!」
「だぱんぷ!!!」
「あぁ! 卵ぉ!!」
新八の繰り出す恐ろしく速いストレートパンチが銀時の顔面に炸裂。
避ける暇さえ与えなかった突然の攻撃に銀時は卵の入ったスーパーの袋ごと吹っ飛ばされ、そのままベチャッと卵の割れる音と共に床に倒されてしまった。
そして殴られた銀時よりも卵が割れた事にショックを受ける神楽。
「イテテテ……てんめぇ新八! 数年ぶりの感動の再会だってのにいきなり人の顔面殴りやがって! なにすんだコラァ!!」
「なにすんだじゃねぇよ!!! テメェこそなにやってんだよ!! ナニヤッてんだよ腐れ天然パーマ!!!」
すぐにガバッと起き上がってキレる銀時に対し負けじと新八も逆切れしながら彼に詰め寄ると、ビシッと神楽を指さして
「アレどういう事だオイ! 神楽ちゃんのあの膨らんだお腹についてちゃんと説明してみろロリコン侍!」
「あ、もしかしてお前神楽に聞いちゃった? いやーホント人生どうなるかわかんねぇよなぁ、まさか俺が父親になるだなんて、しかも娘だよ娘、やべーよ変な男に引っ掛からないかもう今から心配だよお父さん」
「あっさり認めた上にもう父親の気分に浸ってるよコイツ! つーかそこじゃなくて!」
顎に手を当てこちらにそっぽを向いて不安そうに呟く銀時に、新八は昔のペースで彼に勢いよくツッコミを入れる。
「神楽ちゃんの事に決まってんだろ! アンタいつから神楽ちゃんの事をそんな目で見るようになってたんだよ! 昔は絶対そんな目で見てなかったじゃん! 絶対そんなフラグ立つタイミングなかったじゃん!」
「いやーガキの頃はホント眼中になかったんだけど、成長したコイツと暮らしてたら一時のテンションに身を任せてつい」
「ついじゃねぇよ! どうしてどいつもこいつも一時のテンションに身を任せるんだよ! どんだけその場のノリで決めたがるんだよオメェ等!!」
神楽と同様銀時もふとした事で相手を意識するようになったらしく、後頭部を掻きながらヘラヘラと笑う彼に新八は更にイラッとした様子で睨みつける。
「てかもう完全にアウトですよね、僕が旅出た頃って事はつまり、16の娘に手ぇ出したんでしょアンタ、もう言い逃れできない立派なロリコンですよコレ」
「安心しろ新八、確かにコイツを意識し始めたのは16だが、俺はそん時はまだコイツに手を出そうとだなんてまだ考えてなかったから、そういう関係になったのはもっとずっと先だから、なぁ神楽」
「そうよ新八、銀ちゃんとは付き合ってたけど私に手を出したのはそれからずっと先の話なんだから、確か私が17の頃ね」
「一年しか我慢してねぇじゃねぇかァァァァァァァ!!!!」
思いもよらぬ新事実発覚に新八は雄たけびを上げると、ガクッと膝から崩れ落ちて床に両手を突いた。
「なんて事だ、僕が3年間の武者修行に出ているのを良い事に……万事屋では若い娘がおっさんの毒牙にかかっていたなんて……あれ? ちょっと待って」
自分がその場にいなかった事を悔いる新八だが、ふと気になる事があった。
あまりにもタイミングが良すぎると……
「銀さん……銀さんが神楽ちゃんと交際を始めたのはいつからでしたっけ?」
「あー3年前だな」
「僕が銀さんに背中を押されて武者修行に出たのは?」
「……3年前だな」
「最後にもう一つ質問聞いて良いですか……」
「わざわざ僕を修行に行かせたのは、二人きりになって神楽ちゃんとの関係を築こうと計画したからですか?」
「君のような勘のいい眼鏡は嫌いだよ」
「やっぱりかコノヤロォォォォォォォォォ!!!」
「たっかぁ!!!!」
新八の二度目の鉄拳が再び銀時の顔面を思いきり殴り抜けるのであった。
まさかの銀時の陰謀に数年間踊らされた新八
果たして彼等は再び万事屋として新たに出発する事は出来るのか……
次回へ続く