IM NOT MAN.I AM A DEAD MAN   作:HIKUUU!!!

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憤死。それだけである。


死の宣告/出立

「アハハハハ!!もっと、もっとぉ!大きな声を出せぇ!」

 

「イカレ野郎がぁ!」

 

正確無比に装甲と義肢の継ぎ目を狙う射撃からそれぞれの被弾個所を予想し、()()()ながら大声を出して心底楽しそうに笑う全身黒尽くめの少女へと果敢に、唯一残された兵装の両刃剣を振りかざし切り掛かる。

振るわれた刃の軌跡が解っていた様に獣のような俊敏な動きで、少女は危な気無く躱すと口角を目一杯吊り上げ手に持つアサルトライフルを右手で保持し、銃口を俺の頭部へと向けてくる。

 

「これでゲームオーバ-だね!バイバイ!」

 

「死ぬかよぉ!!」

 

割れたバトルマスクでは最早この銃撃を防げない事が解っていた俺は、目前に迫る死の恐怖に怖気ず、更に一歩少女へ向けて踏み込む。

すかさず銃口の軌道上へと肘から先がなくなってしまった左義肢の残骸を宛がい、その銃撃を防ぐ。

 

「ぐぅぅぅ!!」

 

「アハハ!まだ粘るのぉ?じゃあもっと私を楽しませてよ!珍しい男性型の人形さん!!」

 

「テメェは絶対にここで殺す!サイコ女が!!」

 

短連射のアサルトライフルの銃撃が防がれたとみるや、彼女は空いた左手の鉤爪で俺へと格闘を仕掛けてくる。連続して振るわれる殺意を持った鉤爪を盾にしかならない左腕で弾きながらこちらも反撃に右手の両刃剣を小刻みに振るう。手の甲から突き出たコレだけが今現状、あの女を早急に仕留められる手段である以上、躊躇せずにこちらも殺しにかかる。

 

何度かの鉤爪と両刃剣、左腕での攻防を繰り広げ断続的に辺りに響く鍔迫り合いの音が更に激しさを増していく中、この危うい均衡が崩れていくのが俺の脳裏には最悪の形で描かれていた。

 

 

――――心臓が痛む。正確には動きがどんどんと悪くなっていっている。そして意識すらぼんやりとしてきた。

 

「どうしたのぉ?動きが悪くなってきたよぉ!」

 

「抜かせっ・・!ハァ・・!ハァ・・・!」

 

 

チャンスとばかりに大振りに振るわれた鉤爪を左腕で大きく弾きお互いに距離を離す。()()()()()()()()()()()

バランスを崩し、片膝を付くような形で衝撃を吸収した俺に対し、彼女は軽やかにステップを踏むかのような足取りで次の動作に殺意を込めた花咲く様な満面の笑みで、再びアサルトライフルを向けてくる。

 

 

「今度こそ、これでおしまいだね!バイバァイ♪」

 

「チィィ」

 

鈴の鳴る様な声音で心底嬉しげに告げた彼女から、弾倉内に込められた弾丸が明確な死の形となって押し寄せてくる。咄嗟に顔面を覆う様に、残された左腕と攻勢に回していた右腕も動員し、亀の様に防御を固める。

防御姿勢をすり抜けて皮膚を抉っていく弾丸の熱さに、目を細めながら、銃撃が止んだ瞬間に右腕を引き絞り、接近してくるであろう彼女の姿を予想しながら迎撃の準備を―――――

 

 

「はぁい、おしまぁい♪」

 

「・・・・ご・・はぁあ・・っ!」

 

予想以上に速く、俺の懐に潜り込んでいた彼女は左腕の鉤爪で砕けた俺のボディアーマーの中央を抉り抜き、胸部を貫いていた。知覚した時点で、心臓部を握り潰されたのかたとえようのないを覚え、反撃をしようにも一気に全身の力が抜けていく。そのまま彼女に倒れこむ様に凭れ掛かる。

食道から逆流して来た血液を、盛大に吐き散らしながら彼女の柔らかな体に抱き抱えられるようにして拘束された。

 

「もう壊れちゃうの?折角楽しくなってきたのに・・」

 

「は・・・っ・・・はっ・・・」

 

「もう息もできないの?そうだなぁ、お兄さんの目、綺麗だからしばらく飾っておこうかなぁ」

 

もう俺を殺した気でいる様で、死後の俺の目を刳り貫き飾りたいらしく、心底嬉しげに語り掛ける彼女の姿に、死へと向かいつつある俺は、答えるまでもなく、最後の力を振り絞り、右腕へと力を込める。

寒気が全身を包んでいく、暗い水底へと溺れた小さき時の覚えがある感覚より更に、本能的に逃避したい、何よりも避けるべきものの這い寄る感覚に最後の抵抗と言わんばかりに俺を抱き抱え、心臓を胸から引きずり出した彼女へと右腕を、ブレードを下段から振るう。

 

 

 

「――――SOPMOD2!!!止めなさい!その人は―――――――」

 

 

 

「―――――地獄で続きをやろうぜ。テメ・・・も・・・・みち・・・れ・・・」

 

 

 

 

 

 

 

意識が暗転するその間際、閃く刃の軌跡の先に少女の細いその首筋を切り裂く光景を目にし俺は闇の中へと意識を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「旦那、お裾分けした煙草、気に入ったんですかい?」

 

「ん、まぁな。前に吸ってた銘柄に味が似てる」

 

腹正しい程の快晴の中、情状酌量の余地もなく厄介払いの如く偵察ヘリの中へと押し込まれた俺は苛立ちながら煙草を取り出し咥え、離陸に備えシートベルトを装着し、救出された際の迎えにもヘリを転がしていた見覚えのあるヘルメットを被った柔和な笑みを浮かべた初老の男の言葉に返答し、溜息を吐き出す。

 

「全く、最高だ。ほぼ民生用のヘリを改造したような偵察ヘリか、もうツッコまねえぞ」

 

「現状戦闘できるヘリも他の部隊の支援に向かってますからねぇ。申し訳ないが、現状出せる最高のヘリがこれですってよ。俺だってこんなもんよりもっといいのを転がしたかったですぜ」

 

「挙句、コレだ。追加のタクティカルベストに弾倉詰め込んでSCAR-Hのみ渡されて最前線。あー控えめに言って死ねって感じだ」

 

 

「普通なら死にますよ。その姿なら、防弾ベストはかえって邪魔でしょうよ」

 

「まぁな。アサルトだけ持たせて装備は完成。パラシュートは座席にあります。ツアーかな?」

 

「死出の旅という意味では間違いないですよ」

 

「違いねぇ。普通なら死ぬわな」

 

話せば話すだけ現状にイラつき遂に煙草に着火して喫い出す。

俺を癒してくれるのはこの紫煙だけだ。頭悪いとは言わねーが交渉ごとにマジで向いてねーんだよな。あいつ。

遂に離陸したヘリに座席に深々と座り、煙草を喫いながら雲一つない青空を死んだように眺め、ポツリと漏らす。

 

「時々、独りで超帝国主義派潰してた頃が懐かしく感じる。あの頃の方がこんな苦労もなかったな・・・。それこそ、戦力差だけだった。問題は・・・」

 

「はい?なんですって?」

 

「なんでもねぇよ・・」

 

 

現状を嘆いても何も変わらないとは言え、本当に頭痛がする。目的地へと向けて、飛び立ったヘリの座席で、義妹を宥める事も出来ずに出撃してしまった事実も、酷い扱いにも一旦、心の片隅へと追いやり、何故か設置してある灰皿に灰を落しながら、もう一度紫煙を肺へと送り込んで吐き出した。

 

「最高に・・ツイてるぜ・・・・」

 

 

 

 

 

 

 




スキン出るのは幻想。終わり!閉廷!以上解散!


何時まで経っても出ません
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