IM NOT MAN.I AM A DEAD MAN 作:HIKUUU!!!
※スコピッピも勿論好きです。変なところ触って蜂の巣にされてぇなおれもなぁ・・・
「先程の質問に答えて貰っていません。なぜ、私に止めを刺さずに武器を手渡したのですか?」
むっとした表情で躊躇いがちに銃口を向けてきた彼女に振り返り、一瞥した後に退きそうにない彼女の姿に根負けし話す。
「もしだ。ターゲット、つまりケント・フジサワが
「つまり?」
「反乱勢力の防具が明らかに粗雑で寄せ集めの物で埋め合わせたようなのも一点、そしてお前の反応だ」
「え?」
「俺を鉄血側の人形等と呼ばなかった点だ。先程俺がお前を犯すと思っていた発言から確信したが俺を人間と見なしたな?」
「確証はありませんでしたが・・指揮官から聞いていた派遣されている傭兵の容姿と一致したため、そう判断しました」
「間違いないな・・・あの偉そうにふんぞり返っていた治安維持部隊の隊長が俺の容姿を知ってたんだ。指揮官が知らないはずはない」
再び額から滲み出てきた血を左手で拭い、床へと払い捨てマスクの欠けた左視点とHUD越しに見える右の視点に違和感を感じながら木箱の積まれた一角へと辿り着いた俺は裸電球で照らされた薄暗い地下室内の質素なテーブルに置かれた紙製の市街図を見ながら此方へと視線を向けた画像通りの姿をした指揮官、ケント・フジサワに声を掛ける。
「お前がケント・フジサワだな。俺の質問に答えろ」
「君は・・そうか、95式は君に負けたのか。彼女を殺したのか?」
「いいや、生きてる。俺の後ろにいる」
俺の2mちょいはある身長のせいで後ろにいた彼女が見えなかったのか的外れな質問をしたために一歩横にずれ、彼女の姿を確認させる。
「さて、何が聞きたい?治安維持部隊に裏切られた哀れな指揮官にこれ以上何をやらせたいんだい?」
自嘲気味に吐き捨てたケント・フジサワが忌々しいと言わんばかりに俺に投げやりな態度で俺の手に持つ銃器を指刺す。
「それとも、それで片を付けてくれるのか?反乱を起こした首謀者として俺を殺すのか。治安維持部隊の暴虐無尽な弾圧に立ち上がった市民をも皆殺しにして、次は俺か?」
「やはり民兵だったか。練度もない。装備も最低限。予想は出来ていたが」
「知っていて殺したのか!?」
「確信はなかった。それに俺に自身の身を守るなと言いたいのか?」
「それだけ強ければ、殺さずに無力化できたはずだ!彼等は何の罪もない市民だぞ!?」
憤慨しながら俺へと詰め寄るケント・フジサワの態度に冷ややかな冷笑を零しながら俺は吐き捨てる。
「言いたい事はそれだけか?」
「言いたいことはそれだけって・・お前、人が死んだんだぞ!?」
「武器を持ち戦地に立った時点で立派な兵士だ。それがどんな理由であれな」
掴み掛らん勢いの彼の白い指揮官服の胸倉を強引にこちらから掴み上げ顔を寄せ怒鳴る。
「甘ったれたこと口走ってんじゃねぇ!!!」
「何だと!!!」
「テメェは指揮官だろうが!!部下が・・お前に付き従う奴が死ぬ覚悟も出来てねぇのか!?お前の為ならと、彼女も!あいつらもお前の無念を晴らすために命掛けて戦ったんじゃねぇのか?!」
必死に効きもしない弾丸を俺の装甲へと当て何とか倒そうと奮戦していた彼らの殺害した場面を想いながら激情のままに怒鳴り散らす。
「君のデータは本社から送られてきて理解していた!だからこそ彼らを無力化して此方に向かうだろうと思い、配置したんだ!!それを君が殺した!!!」
「戦地で出会って敵意を持った者同士が戦うのは過去から延々と続く不文律だろうが!!それを俺が強いから手加減して無力化してれば彼らは死ななかった筈だぁ!?」
きつく握りしめた胸元から親の敵と言わんばかりに俺を睨む此奴の姿に俺は怒りを加速させる。
「テメェの甘い打算であいつらが死んだんだ!命を盤面と書類上でしか扱えないなら指揮官なんざ辞めちまえ!!!」
殴る価値すらない此奴に反吐が出る想いで床へと放り投げ、甘ったれた発言につい説経染みた余計な発言をしたと後悔し、近くの木箱を殴り壊す。
「ほんとに最低の戦場だ。甘ったれの指揮官に裏切り者の治安維持部隊、本社はこの様子なら情報錯そうによる混乱中か?俺一人で食い止めろってのかよ・・糞がぁ・・」
予想されている以上に最悪な現状に歯軋りしながら、更に情報を搾り取るべく床へと尻餅をつく甘ったれ指揮官に手を伸ばす。
「お兄ちゃんに手を出すなぁ!」
手を伸ばすと薄暗い地下室の隅から子供の甲高い声と共に木片が俺の胸部へと投げられ装甲に弾かれる。
「こ、これ止めなさい・・!」
「お兄ちゃんを虐める悪者なんか僕がやっつけてやる!」
よくよく片隅へと目を凝らしてみると幼少の子供達が数人と戦えない如何にもヨボヨボな老人が数名片隅にひっそりと息を殺して此方の様子を窺っていた。先頭に立ち鼻息荒く木片を片手に握った生意気な小僧が老人に肩を掴まれながらも俺へと向けて突撃しようと足掻いている。
「非戦闘員・・これで全部か?」
「お前、今度は何をするつもりだ!」
手に持つSCAR-Hの状態を確認し始めた俺に思わず最悪の想像をしたであろうケント・フジサワが俺の凶行を止めるべく立ち上がり掴み掛ってくる。それをストックで鳩尾を突き、苦悶の表情を浮かべて床に跪いたのを確認し、未だに老人の腕の中で喚くガキへと
歩み寄る。
「動かないで!」
「お前に俺が撃てるか・・・?」
遂に様子を見守っていた彼女・・95式が我慢の限界が来たのか手に持つアサルトライフルを俺へと向け止まるように警告する。その発言に俺は嘲笑しながら返す。
「俺を仕留めるつもりならよぉく狙えよ。こんな室内なら俺の装甲で跳弾した弾がどこに行くかも分からんなぁ・・?」
「この・・・!」
「止めろ。95式・・誰も死なせたくない」
俺をずっと睨み続けてくるガキに苦笑しながら見下ろし、尋ねる。
「おいガキ、俺が憎いか?」
「分かんない。だけどお兄ちゃんやお姉ちゃんを虐めるお前が悪者だっていうのは良く分かる!」
「そうか・・良い目をしてる」
真直ぐなまでに疑問を挟まずに純粋な敵意を、兄と呼び慕うこの甘ったれな指揮官を守る為に無謀にも俺へと向け続ける子供に、昔に信じていた正義とやら思い出し、非戦闘員を匿ったであろう自分の危険な状況にも関わらず他人を助けるべく行動したのだろうこの若造に少し好感が持てた。立ち上がった市民が、こいつを守る為に自分達の命すら投げ打って俺へと挑んできた事実を加味し、笑みを浮かべる。
「くくく・・・俺の無くした物を持ってる奴と出会えるとはな・・・これだから・・・人生は面白い」
薄っぺらで不要だと思っていた正義感。戦い続ける日々でその価値が次第に失われ、敵を殺す為なら悪逆非道と言われようと仲間と自分が生き残る為に残虐であろう手も使って来た自分が今更この若造やこの子どもに絆(ほだ)されて、損得勘定を抜きにして
「なぁ。俺とお前の契約はまだ成立してるよな?」
「はぁ?何を言って・・・ああ、まだ何も履行されてはいない」
「なら
俺の意図を理解したであろうケント・フジサワが神妙にうなずきながら右手を差し出してくる。俺はその手を右手で掴み返し握手する。
「改めて自己紹介させてくれ。ケント・フジサワ。この防衛地区の元指揮官だ。治安維持部隊の裏切りに会い、追われている立場だがそれでも協力してくれるか?」
「生温い事言うなよ。お前は俺に命令すれば良い。務めを果たせと。簡単だろう?」
苦笑交じり左手で頭を掻く彼が人懐こい笑みを浮かべ、俺に命令を下す。
「俺の無罪を証明してくれ。犠牲になった彼らの為にも何が何でも俺は、生きなきゃいけない。治安維持部隊を倒してくれ・・!市民を、助けてくれ・・!お願いだ!」
「任せろ。俺があいつらを全員地獄に叩き落して来てやる。俺はデッドマン。いや、セイジと呼んでくれ」
「それは本名じゃ・・?」
「青臭いお前の事が少し気に入った。友人や戦友、親しい人には俺は名前で呼んで欲しくてな。嫌じゃなきゃ頼む。戦友」
「!!・・・ああ!改めて宜しく頼む!セイジ!」
血を吐くように悲痛な表情で懇願して来た彼に力強く頷き返しがっちり握った手に本来
感触がないのに確かな熱が感じられたような気がした。
たまには感想が欲しいとか思ってないよ。
ケント「そんな傭兵!修正してやる!」
デッドマン「こ、これが若さか・・」
※実はデッドマンの方が年下。