IM NOT MAN.I AM A DEAD MAN   作:HIKUUU!!!

20 / 50
真面目な小説説明文を遂に投下。現段階では謎でしょうけど、小説内でどういうことなのか執筆していきますので気長にお待ちください。
ぶっちゃけ言うとある程度書いて打ち切るつもりだった作品ですがせめて風呂敷くらいは畳んでから〆る事に致しました。ま、こんな小説楽しんで待ってる奴おらへんやろww


背負い立て、俺達にはそれしかできない

「状況を整理しよう。今ならまだ間に合う」

 

「ああ、その通りだ。俺達はまずはお互いに認識の齟齬から取り除こう」

 

黴臭い地下室の一室でバトルマスクを外した俺は咥えた煙草に火を付けながら睨みつける様にして机の上に置かれた手書きの地図を見やる。

 

 

「随分と傷だらけの顔だな。本社の言っていた通り、激戦を潜り抜けて来たんだな」

 

「俺達の世界は有視界戦が全てだった。要は騎士同士の様な昔の古くせぇ殴り合いが多かったんだよ。例外はあるがな・・・」

 

煙草の煙を吹かせながら手持ちのメディキットでテキパキと自身を治療している95式の姿を心配そうにチラ見しながら、マジマジと俺の顔を見て頻りに顎を摩るケントの言葉に当たらずも遠からずな曖昧な中身を暈(ぼか)した昔話をして部屋の隅ではなくケントの近くで逐一俺の様子を窺う非戦闘員達に声を掛ける。

 

「俺は此奴を殺す意思はもうない。それでも信じられないか?」

 

「いえ!わしらは・・・」

 

「いきなり信じろと言っても土台無理な話だ。それで良い。自分を疑うな。俺は確かにお前達にとっての敵だった。傭兵ってのは金に煩く、生き汚く卑怯。その認識で間違ってない」

 

一旦咥えた煙草を外し、灰を地面へと弾きながら思い切り紫煙を吸い込み心地良い陶酔感に目を細め紫煙をゆっくりと吐き出しながら告げる。

 

「俺の様に裏切る奴も傭兵には多い。まぁ俺の場合は裏切ったのではなく本来の雇い主に戻ったという認識で良いがな。お前達から見たら、治安維持防衛部隊を裏切った様にしか見えんだろうよ」

 

 

俺の言葉に戦々恐々としながら頷き、返事を返していた老人の納得したかのような表情に一先ずの安心感を見て取れ、俺はケントへと向き直る。

 

「さて・・お前は俺の本社から送信された戦闘データを検討して此方に向かうと判断したな。それで無力化してくるはずだと確信したのは何故だ」

 

「非戦闘員や民兵に対しては積極的に交戦しないとのデータがあったからだ。あれは嘘だったのか?」

 

「ああ・・あのVRの状況判断シュミレーターで取らされたデータ群か・・。いや間違いない。俺は民兵なら戦闘するつもりは自衛程度に止めるつもりだった」

 

ケントの言葉に傭兵登録前のVR筐体を使って取らされた各々のシチュエーションからどのような行動をするかを判断させられた変な訓練を思い出し肯定する。ジムが泣きそうな顔で必死に記録をまとめ上げてたのを思い出し頬を指で掻く。義肢の指の力が強すぎたらしく、頬を走る熱を持った痛みに顔を顰める。

 

「待てよ・・・セイジ、治安維持部隊は君に敵対勢力についての詳細情報は通達していたのか?」

 

「答えはノーだ。俺はターゲットを殺せとしか伝えられていない。敵対勢力については何も通達もなかったから自己判断を下した。あそこ迄殺気立った民兵と言うのもまず珍しい。俺からしたらテロリストだと判断して徹底的に叩いた。・・・今思えばそういう点では俺のミスだな。考えれば・・・装備を見てその可能性があったことを無視して殲滅へと走った俺のミスだ」

 

「あいつら・・そこまで腐ってたのか!あいつらの弾圧に耐えかねて立ち上がった市民達だぞ?!」

 

憤慨した様子で机を叩いたケントの姿に煙草の火を左手の義肢に押し当て消火し地面へと放る。

 

「前言撤回する。お前は何も悪くなかったな。俺が民兵だと通達されているという点で判断していたなら・・・お前は正しかった。迂闊に殺しに行った俺の責任だ。お前は悪くない」

 

「なんで・・こんな・・・彼らは何の為に・・・」

 

肩を落としてうなだれるケントの姿に平静を装って今回のミスの所在、武装蜂起した市民に虐殺を行ったいう点では俺の一存によるものだと断言し俺のミスとする。正直に内心を吐露すれば、俺の中では彼らは無駄な犠牲だとは思うものの口にはせずに黙る

あそこ迄敵意を持った奴等に果たして俺は知っていたとして戦闘不能程度に追い込んでいただろうか。

多分、俺は何人かは戦意を削ぐ見せしめに惨たらしく殺して民衆の心を折っていたであろう。その事は告げずにケントに寄り添うように彼の肩を後ろから抱く悲しげな表情を浮かべる95式の姿を眺めながら歯軋りする。

 

普段ならしない短絡的であり致命的なミス。そんな有り得ない事態に自身の判断の拙さに反吐が出る想いだった。俺と同じように、頼りになる者はいれど自分達が立ち上がらねばならぬ状況で恐怖を押し殺し、愛する者たちを守る為武器を手に取った彼らを殺したのは俺だ。俺なのだ。俺の何が人間だ・・・。邪魔をするから。目的の障害になるからそんな思いで排除したのは正直否定できない。これでは、俺は傭兵ではなく、本当の意味で兵器に――――

 

 

 

≪そこに隠れている反乱分子に告ぐ!!!直ちに武器を捨て投降せよ!!!!繰り返す!武器を捨て投降せよ!!!!≫

 

 

 

 

不意にそんな大声が拡声器越しに地上から大音量で聞こえたのを皮切りに意識が切り替わった俺は机に置いていたひび割れたバトルマスクを被り直し、背中の連結器と連動して

固定されたのを確認してから机の上にあるSCAR-Hを指さしケントへと指示を出す。

 

「そいつの残りのマガジンとそいつをくれてやる!防衛隊の奴等どうやってか此処を嗅ぎ付けたらしい!俺が時間を稼ぐ!非戦闘員を連れて逃げろ!」

 

「待って下さい!私も残ります!」

 

「非戦闘員を連れて逃げなきゃならないそっちの方が戦力がいる!守りながら逃げる状況だと一人でも人手が欲しい筈だ!俺の方は気にするな!頼む。俺が言えた義理じゃないが守ってやってくれ!」

 

 

壁に立てかけたプルパッブ式のアサルトライフル95式のチャージングハンドルを引き、チャンバーに弾丸を送り込んだ95式が毅然とした表情で参戦を希望するが却下し、ケントや非戦闘員を守る事を頼み、何時もの様に右太腿が展開し姿を現したオート9を引きずり出し、スライドを引き安全装置を外し右手に保持する。

ボディアーマー越しに括り付けたタクティカルベストを素早く外し、俺の言葉に即座に反応し、SCAR-Hを操作し射撃体制に移行していたケントへとタクティカルベストを手渡す。

 

「撃ち方は分かるようだな。残りのマガジンもそう多くはないが、他に隠れられる場所はあるか?」

 

「他のレジスタンスの隠れ家がある。この地下通路から通じてるから道中大丈夫だと思うが・・」

 

「もしその隠れ家が抑えられてたらそっちから敵が来るはずだ。抵抗せずに捕まるわけにもいかないだろう?それに奴等はお前を捕まえた後で後ろの非戦闘員を確実に殺すぞ。お前が、守ってやるんだ」

 

「ご武運を。独りで残して行く事をお許しください・・。私に続いて下さい。絶対に死なせはしません」

 

血の滲んだ包帯で純白の衣装を汚した95式が木箱の裏に隠されていた小さなトンネルへと身を屈め消えていき、それに続くように混乱もなく沈痛な面持ちで続く老人達の姿が小さなトンネルの暗がりへと消えていく。最後に残ったケントと俺へと木片を投げつけてきた子供が残り、俺は急ぐように告げる。

 

「急げ、お前達が行ったらトンネルを木箱で隠す。俺が死んでも時間は稼げるはずだ」

 

「おっちゃん、死ぬのか?」

 

「死ぬつもりはない・・。まあ、念のためだ。そうだガキ」

 

漠然と疑問を口にした生意気な顔をしたまま唇を尖がらせている子供に話す。

 

「お前、もしデカくなって兵士になるなら俺のようにはなるな」

 

俺の膝に届くかどうかの背丈の子供がうーんと唸り、一度大きく頷き俺にこう返してきた。

 

「少なくともおっちゃんよりもっとイイ男になる!!色んな人を助けれるケント兄ちゃんの様なイイ男に!!!」

 

「わっはっは!!それは一本取られたな!!それはいい!!」

 

あんまりな返事に思わず愉快な心持になった俺は大口を開けて笑い声を上げ、膝を左手で叩き、笑いが収まってから子供の目線迄しゃがみ込み子供の柔らかであろう髪を左手で撫でてやる。

 

「さぁ、行きなさい(生きなさい)

 

「おっちゃんも元気で・・・」

 

何度も振り返りながら俺の身を案ずるようにしていた子供が暗がりへと消えたのを確認し、最後に残ったケントが俺へと告げる。

 

「任せた」

 

「任せろ」

 

俺の肩を叩き、微塵も心配して居ないとばかりに振り返る事もなくごく自然に告げられた俺なら突破などされないとばかりに信頼しきった言葉に俺も即座に返し、暗がりへと堂々とSCAR-Hを構え先に消えた95式達へと合流するべく暗がりへと消えて行った。

その姿を確認し、俺は重い木箱をトンネルの入り口に押し付け引きずった形跡の残る地面へと別の木箱を持ち上げ痕跡を隠して踵を返し、教会へと戻る道へと歩き出した。

 

 

 

 

 

 

―――――教会の内部へと戻り、開け切った正面扉から教会を包囲した大多数の治安維持防衛部隊の隊員達が俺へと銃器を油断なく構えている姿を確認し、扉を抜けて俺の姿を晒す。

 

≪これはこれは、傭兵君。依頼は果たしたとみて構わんのだろうね?≫

 

拡声器片手に装甲車のハッチから上半身だけを晒してふんぞり返った治安維持部隊の隊長、フラスゴ・ヴェルニーは教会から出てきた俺の姿にケントを始末したとばかりに思ったのか上機嫌に話しかけてきた。

その姿に反感を覚えた俺は、右手に持ったオート9を奴に向ける。

途端、一挙として俺を包囲するような形になっていた隊員達が今度は明確に俺へと銃口を向ける。

 

≪何の真似だね?これは裏切りと見て宜しいかな?≫

 

「白々しい事を。どうせ確信犯なんだろう?」

 

≪ふん、厄介な奴だな貴様は。まぁ良い。奴はケント・フジサワ側に寝返った。総員構ぇぇぇぇ!!!!≫

 

 

 

 

「俺を殺れるなら殺ってみろよぉ!!!!!雑魚共がぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 




これで打ち切りだったら駄目ですか?www


この反乱編もいよいよ佳境に突入いたしました。あと少しを持ちましてこの作品は終了致します(大嘘)
※ホモはうそつき

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。