IM NOT MAN.I AM A DEAD MAN 作:HIKUUU!!!
許して
鼻を刺す様な化学薬品の匂いを感じて目が覚めた。
「・・・・!?」
どうやらアンチマテリアルライフルの一撃で俺は死に損なったらしい。辛うじて動く首を動かせば視界に鮮やかな黄緑色の再生培養液が満たされた医療用ポッドの内部が見える。
医療用ポッドに叩き込まれたらしい俺は装備品の全てを外され全裸のまま、培養液の中を力なく漂う。
口元に着けられた酸素マスクから酸素が供給されているとはいえ落ち着かない。寧ろ、たかが一傭兵でしかない俺に何故高価な再生医療を施されているのかが分からず困惑する。
俺をあの状況から救出できたのか?それとも俺は、敵の手に落ちているのか?それすらも分からないが一時的に覚醒しただけらしく、眠気に襲われる。強烈な眠気に抗えずに俺は闇の中へとその意識を落とした。
「貴重な義体化の実験を行う素体だ。死なれては困る。さあ、素体の意識レベルが低下した。実験を始めるぞ・・!」
「―――片腕が吹き飛んだとのことだったか。もう片腕も不要だ。切除して両腕とも義体化する。無論、両足も義体化するがな」
「――――くくく・・・。胴体部も切除する予定だったが、気が変わった。精々苦しめ。ヒトと機械の中間点で何方にもなれずに苦しむ様も実験体の貴重なデータとなる。アンドロイドにもなれぬサイボーグ擬きとして苦しみながら生きる羽目になるのはどんな苦痛だろうな・・・。想像するだけで興味深い。それではおやすみ。坊や、良い夢を」
かつて家族が愛した雲一つない日本晴れに桜吹雪が舞う山間部の森林。その光景がずっと頭から離れない。それを見ながら母も父も妹も穏やかに笑い思い思いに母が作った弁当を食べている光景・・・これは夢だ。もう二度と永遠に見る事の叶わない夢。あの日、家族を失って二度と見れなくなった姿。そこに母からは父に似て育った優しげな顔と、平凡なだけの男が弁当をがっついて家族と笑っている筈だった。
夢の中ですら俺はかつての母や家族の愛してくれた姿ではなく、下顎から鼻の下まで唇事切り上げられた傷痕に、額から眉間を通り左頬を奔る深い切り傷痕。涙は枯れ、殺意と憎しみだけが炎の様に揺れる瞳をした白髪の男がそんな家族の姿を遠くで眺めていた。
決まってこの夢を見る時は脆弱な男でしかなかった自分が家族に会いたいと、二度と叶わぬ夢と知りながら苦痛に喘ぎ、張り裂けそうな悲しみに身を引き裂かれながら、現実という地獄から逃げ出さぬ様に、この光景を奪った奴等に復讐を果たすその時まで殺意を鈍らせぬ様に無意識的に自分を追い込む夢。
分かってる。よく小説や誰かが言った様に復讐など虚しいだけだと。それでも止まらない、止められない。俺から愛した人達を奪って、この青空の下で戦火を広げる奴等が、屑共が許せない。
俺の魂はずっと叫んでいる。報復を。復讐を。帰るべき場所を奪った奴らを許すなと。
分かってるよ。母さん、父さん、妹よ。
「帰るべき場所等、もう何処にもないのだ・・・!咎人にぃ・・制裁をぉ・・・!」
口から殺意が、憎しみが漏れ出す。夢の中で囁いた筈だった言葉は気付けば音となって溢れ出していた。その事実に呆けてしまい、言葉と共に覚醒した俺は周囲の光景を確認して愕然とする。
「何だこれは・・?」
突きつけられる銃口。銃口。銃口。――――――数えるのが馬鹿らしくなる様な様々な銃器を俺は突き付けられていた。
「目標が起動。いえ、目覚めました。改めて肉眼で確認しましたがどうやら人間の様です。鉄血の人形ではないようです」
「ふ~ん、指揮官のいた時代の生き残りかぁ。この人、本当に人間なの?この姿で?」
「顔を覆う髑髏型のバトルマスクのせいで余計に鉄血製の人形にしか見えないよねー。45姉、この後は?」
「目標を連れて脱出よ。9、遅れないでね?」
目覚めたと思ったら様々な美少女に銃器を突き付けられていた。絵面だけ見れば三流映画の様相だが目覚めて見た俺からすれば拷問も覚悟していた中でいきなりの予想斜め上過ぎる現実に狼狽えながらリーダーと思わしき45姉と呼ばれた灰色髪に冷ややかな目のまま笑顔を絶やさずこちらに銃器を突き付けてきた少女に質問する。
「何だこの状況は。すまんが答えてくれ。一体全体どうなっているんだ。そして君たちは何なんだ?」
「――――私達は指示を受けてあなたを目覚めさせただけ、ようこそ100年後の世界へ。貴重な人間さん?」
――――――拝啓。天に召します我が家族へ。どうやら敵の捕虜になったとかそんな問題ぶっちぎる事態に俺は巻き込まれたようです。昔から運はないと思っていましたが、今回は群を抜いて悪いと思います。
リハビリが上手く行ってない感(沼にはまる自分の姿を見つつ)
もっと状況の描写とか心理描写の移項とか凄く下手だなって自分で読んでて思う。まぁ気に入らなかったら細部はちょいちょい修正していきます。