IM NOT MAN.I AM A DEAD MAN 作:HIKUUU!!!
「本当に私達なんか連れて行くつもり?失礼だけど。私はもう戦場に立ちたくないわ・・・あんな辱めを受けて生きてるのも信じられないくらいだもの・・・もうあんな目にあいたくないわ」
「告知した通りだ。戦いたくないなら引き籠ってて良い。俺は戦意のない兵士に戦地へ行けと命じる事はしない。何なら俺の稼ぎが増えるだけだ。撃破スコアとなってな・・・」
トラック内の狭いスペースで天井を睨むように見上げ、煙草を咥えながらプラプラと唇を動かし遊びながら陰気な笑みを浮かべて自嘲気に呟く5―7(ファイブセブン)の言葉に返しながら俺は右手の中のライターを開いたり閉じたりしながら返す。煙草に火を付けようとすると416が凄まじい勢いで銃口を向けてくるため、止む無く咥え煙草で我慢中だ。どんだけ厳しいんだよコイツ。
俺の右膝をちゃっかり枕代わりにしているG11の姿に最早突っ込む気力もない俺は黙って好きな様にさせている。
堅いだけの義肢で寝るなんてコイツ相当寝るの好きだな。
「私は、被害者と言う訳ではないんですが・・・もう銃を握る気にはなれません。それでも引き取って下さるんですか?」
「言った筈だ。全員連れて帰ると、別に足手纏いとか思う必要もないぞ。多対一なんて腐るほど経験がある。返って独りのが動きやすい場面が多い・・・。俺の戦術は特にそうだ。心配の必要なんて欠片もいらん」
自信なさげに俯く豊かな美しい茶髪を結わえたスプリングフィールドに切り返し、俺は女性だらけの空間を務めて意識しない様に天井を只管見ながら今日の晩飯の事を考える。肉が食いてぇな。分厚いステーキに、ガーリックライス。それに冷えたラガーをジョッキで
流し込み、締めに至福の一服。完璧な野郎の好みのガッツリ系。ソレが良い。
サラダはフレンチドレッシングにトマトとブロッコリーの色彩豊かな物がいい。それが食いたい。
折角なので、スコーピオンの部隊に所属していた全員、その以前の被害者1名、トラウマで銃が撃てなくなったRF人形のスプリングフィールド。そして・・・
「あの・・・指揮官さんは、日本の出身者なのですよね?」
濡れているかの様な艶のある黒髪を靡かせた小柄な東洋圏の顔立ちをした少女に思わず苦い顔を晒した俺は、彼女の質問にぶっきらぼうに返す。
「ああ・・・まぁな」
製造されたての新品の100式と呼称される彼女、全く戦地に出たこともない起動されたばかりの彼女を流石に全員が戦力にならないのは論外だろうとG&K社の傭兵登録された100式をあちらの好意で譲り受けたが、俺の胸中は複雑の一言に尽きた。
新兵ならば最初から俺達の持つ技術を継承しながら鍛える気はあったので問題もなく寧ろありがたい話であったが、日本というワードに俺の心がささくれ立つのがひしひしと実感できた。
ぱぁっと顔を輝かせた彼女の表情を可愛らしいとは思うがそれ以上に元・祖国の醜態、崩壊の原因を思い出し苛立ちから煙草に火を付けようとする。
「駄目よ」
「チッ!」
又も反応して銃口をこちらに向けた416に思わず忌々しげに舌打ちを零し、天井を見上げる。
「指揮官さんの世界の日本はどうなったんですか?こっちと違って存在してるんですよね?」
ワクワクとした表情で訪ねてくる彼女に意味のない怒りだと、彼女に向ける必要性のないものだとわかりながらも俺は棘のある一言でその質問を答えてやる。
「あの国の話はするな。馬鹿で私欲に走った政治家共のせいで潰れて、挙句テロリズムに反撃もせずに滅亡したあんな国家と名前だけの烏合の衆の話なんか・・・!」
家族が失われたあのテロリズム運動後に対応した自衛隊に感謝はすれど、その後反撃や抵抗も禁じて武装解除させ、挙句に滅亡までした日本という国を、祖国を俺は血反吐が吐くほど嫌いだった。怒りにより掲げられた国民の拳を自分達の命、富、名誉の為に無理やり下ろさせ、超帝国主義派の連中に焼かれて消えた馬鹿な国の末路なんか思い出したくもない。
「あぅ・・すいません・・・」
「すまねぇな。俺は死ぬほどあの国が嫌いなんだよ。祖国と思いたくもない・・・」
俺の怒気に委縮し、小さく謝る彼女に俺も謝罪し返し、苛立ちながら煙草を唇で動かし揺れる先端に意識を注力する。下らない事を思い出してイライラしてしまった。ただでさえ思いトラックの中の雰囲気がさらに重くなり俺は、意識しないようちトラックが基地へ着くまで黙って煙草を咥えたまま目を閉じ、怯えて様子を窺う被害者の戦術人形達の視線を受け止めながら時間を過ごした。
「ふぅぅ・・・煙が肺に染みるぜ・・・」
「なら止めたらどうなのヘビースモーカー」
「タバコを止めるなら死ぬ」
トラックが基地に着いた瞬間にさっさと社内の狭い貨物スペースから俺は降り立ち咥えた煙草に火を付け深く煙を吐き出す。
416のジト目交じりの一言に止めるなら死ぬと返し、堂々と煙草を喫う。俺から煙草を抜いたら炭酸のないコーラみたいなもんになっちまうぜ?
案の定寝ぼけているG11を416が今度は背負いながら、俺のケツに416が小さく蹴りを入れてくる。
「早く私達の宿舎に案内しなさいよ。結構夜更けでしょ」
人影も殆どなくなった暗闇に佇む基地の建物群の浮かぶ照明の光を感慨深く眺めながら煙草を噴かせる俺の姿に疲れから何時もにしては手荒な416の言葉にそうだなと返し、ついでに指摘する。
「パンツ見えたぞお嬢ちゃん。もう少しアダルティな方が俺は好みだがな」
「無駄口叩いてないで早く案内しなさいよ」
ちらりと見えた純白のショーツを脳内のメモリに保存しながらもう一度俺のケツを蹴り上げた416の苛立った姿に小さく鼻で笑いながら、車内から降りた全員に聞こえるように口を開く。
「ふん・・・さて、今日はもう何もやる事はない。後は飯食って風呂入って寝るだけだ・・・。スケイルから事前にお前達の寝泊まりする宿舎は聞いている。俺が案内する。食堂はもうこの時間は流石にやってないだろうから飯なら、俺が調理したものを食べるか購買スペースにある出来合いのインスタント食品で凌ぐか好きなのを選べ。まぁ・・こんな不愛想な大男と食いたいというモノ好き以外は購買にいるカリーナに何か貰ってくるのが賢明だと思うがな」
「え?配給じゃないんですか・・?」
「そんなもん誰が食わせるか。あんな糞マジーもん、お前らに食わせるかよ出撃中以外はだがな」
茶髪をツインテールに結び、学生服の様な衣装のM14の怯えながらの質問に憮然と答え、腕を組みながら歩きだす。手術後に試しに食ってみたが不味いなんてもんじゃない。化学調味料の味がこれでもかと際立ちお世辞にも食えたものじゃない。手早く処理出来て
嵩張らないのは魅力的だったが、あんなもの戦時中以外は絶対に食わせない。
俺達も食いたくないしな。
「あらあら、配給以外を食べるのは久しぶりですね・・・。素直に嬉しいです」
「45姉!ごはんだって!暖かいのが食べれるよ!」
「そうね9。この大男が真面に調理できると思わないけれど・・・最悪インスタントあるし、あまり心配はいらないわね」
「・・・別に好きにすればいいわよ。私は、もうどうでも良いのよ・・」
「・・・なんでも良いわ。口に入れば、それが食べれるならね」
「起きなさい。寝坊助、ご飯よ。久しぶりにまともなものにありつけそうね」
「デザートにラムレーズンアイスを所望するぅ・・・zzz」
俺の言葉に色めき立つ彼女達に普段どんなもん食わされてたんだと歩きながら思い、更に口を開く。
「基本、この基地にいる間はお前達が何を食べようが、どんな物を買おうが俺の口座から天引きされる事になっている。変に使い過ぎなければ咎めるつもりも口出しするつもりもない。好きにしろ」
この世界に来て俺の死んでも使いきれない程の莫大な財産も無くなったかと落胆していたが、スケイルの奴が俺の口座と財産を俺の死後、遺言の通りに明日香が成人するまで押さえてくれていたため、再び口座と財産を引き継ぎ、今は俺と明日香が遊んで暮らしても余りある莫大な財産をどうしようか悩んでいたから丁度いいとばかりに告げる。無駄に超帝国主義派の資金源をかっぱらって経済的ダメージを与えていた時期があったために無駄にあったんだよな。助かった。
俺の言葉に唖然とした彼女達に首を傾げながら目の前に聳え立つ宿舎の前で新しい煙草へとチェーンスモークし、古い方の吸い殻を地面に捨て踏みにじる。
「さて着いたぞ。ここから先は男性厳禁の女性宿舎だ。俺は中に入れないが、案内は入ってすぐのロビーに受付がいる手筈だ。部屋を確認し、荷物を置いたら自由に行動して構わん。束縛するつもりはない。明日以降の用件は俺が直接呼びに行く。もしだ、俺と飯が食いたいというモノ好きは一時間待つ。ここで突っ立って煙草吸ってるから来い。以上だ。好きにしろ」
「じゃあ、行って来るから少し待っててねぇ?しきかぁ~ん?」
「行ってきまーす。ふああ・・・」
「すぐ戻るね。デッドマン」
「あなた本当に料理できるのかしら?まぁ良いわ行って来るわね」
「任務でもないんだ。焦る必要はねぇよ。それと416、お前後で覚悟しとけよ?後指揮官じゃなくてデッドマンで良いっつったろうが45」
サッサと一言ずつかけて宿舎内に消えた404小隊のメンバーの後を慌てて戸惑いながら追いかける他のメンバーを見送りながら、一人残ったスプリングフィールドに煙草を喫いながら行かなくて良いのかと尋ねる。
「行かないのか?」
「私は荷物というほどの物もありませんし・・・どうして私達にここまでしてくれるんですか?」
「さてな、母親からの躾で女性には紳士的であるべしと小さな頃から仕込まれててな。そのせいかもな」
スプリングフィールドの疑うような視線と問いに嘘もなくそう告げ、ぷかりと輪っか状の煙を吐き出し遊びながら茶化す。
何より、女性が食い物にされてるのが気に食わなかったからとか、別れる前にペルシカリアからこの世界の人形の実情を聞き、せめて笑っていて欲しいと思ったから連れて帰ってきたからとか恥ずかしくて言えねぇよバカ。
「結局全員来たのか、まぁ構わねぇけどよ」
煙草の煙で犬の形をした煙を作るべく四苦八苦しながら、時折上手く出来たその煙にスプリングフィールドが小さく微笑み拍手をしながら30分ほど待ち続けていたら全員が結局玄関前に集まり、俺は最後の煙草を消し、吸い殻を放り投げる。
幸い、俺の調理スペースってかレストランか退院後に見た間取り図の間取りを見た感じはそう感じたが・・個人用にしてはデケェよなぁ。そして女性宿舎からは近い。
人がいねぇいねぇ、とかいう割りに三日で施工完了って建築班のが戦闘班より多いんじゃねぇのかこれ。
女性陣がぺちゃくちゃとトラックで来る前の沈鬱な雰囲気が少し和らぎ、404小隊を筆頭に少しずつ交流している様子を眺めながら、清潔感のあるガラス張りの小洒落たレストラン風のペンションを俺は眺め、立て看板があるのに気づく。
「ん?」
――――――名称・114514食堂。8101919代目料理長 デッドマン。以前の料理長デッドマンの死因。調理棚に足の小指をぶつけ、誤って塩を頭から引っ被り浄化され果てる。R・I・P
「スケェェェェェェェェェェイル!!!!!!!!!!!!!!」
過去一番書きました。出勤前に最後の交信、これから以降ちょっとペース落しまーす。仕事再開なのでw