IM NOT MAN.I AM A DEAD MAN 作:HIKUUU!!!
「あの野郎ぉ!やりやがったな!絶対に殺す!」
「落ち着いてよ!皆びっくりしちゃってるよぉ!」
今すぐ諸悪の根源をぶちのめすべく、腕まくりをしてコートの袖を託し上げて荒い息をそのままに、司令室へ向かおうとすれば9が俺を背後から羽交い絞めにして必死に抑えてくる。今頃基地中に響いた俺の怒声にゲラゲラ腹を抱えて笑っているだろうスケイルの姿を想像し怒りが募る。
「野郎ぉ・・!あの禿頭がぁ・・!明日絶対に仕返ししてやる。玉絞り生の刑か、ハゲテル坊主2だなぁ・・!」
「男子中学生みたいな仕返しの仕方ね。良い大人が恥ずかしくないの?」
俺自身も、ここにいる全員も腹が減っている事を加味し、明日の朝会った時に仕返しする事を決め、肩を怒らせながらレストランのドアを開ける。ドアを開けると416が呆れたと言わんばかりに中に入りながら冷ややかな目線を向けてくるが知らん。
「男なんて図体がでかくなっただけのガキだよ。何時まで経ってもな。ガキの頃昆虫のケツを必死に追いかけてたのが、年をとりゃその対象が女のケツに変わるだけさ」
「じゃあ、デッドマンも私のおしりを追いかけて?」
「何でテメェまでいるんですかねぇ・・?」
「あれ言ってなかったけ?後から私も別件で行くよーって」
「聞いてねぇよ!帰れや!I.O.P首席研究者ぁ!」
背後から聞こえた聞き覚えのある気怠るそうな声音に振り返れば人形達の前ににゅっと飛び出してきた桃色の髪を靡かせた痴女研究者の姿に思わず片手で頭を押さえて呻く。何でコイツまで来たんだマジでぇ・・!
「マジで何しに来た。帰れ」
「酷いな君は。こんなか弱い女性にもてなしもせずに帰れなんて、紳士の風上にも置けないね」
「うるせぇ帰れ」
咎める視線で俺を上目遣い気味に見つめてくるペルシカリアに微塵も劣情を催す筈もなく、間髪入れずに雑に左手を払いながらあっちへ行けとジェスチャーを交えて歓迎してない意思をこれでもかと表す。
「まぁまぁ、指揮官。こんな夜更けですし、女性をこのまま帰すのもどうかと思いますよ?」
スプリングフィールドの困った様な笑みを浮かべながらの一言に俺は渋々ながら頷き、仕方なく適当な椅子に座るように声を掛ける。
「適当な場所に座れ。しょうがねぇから飯食ってけ。どうせ食ってないだろ?」
「いやぁ嬉しいねぇ。今日もめんどくさくなったから抜こうかなとか考えてたんだよね」
「アホンダラ。余計に質悪いわ。聞くが肉はイケるか?」
「私は大丈夫だよ。珍しく凄くおなかがペコペコさ」
「あーっと確認だが、今日のメニューは牛肉のリブロースステーキ、フレンチドレッシングのスタンダードなトマトと生野菜サラダ、ガーリックライス、スープはコンソメかコーンポタージュ。デザートは苺ババロアか、季節のフルーツのミニパフェ。酒はビールかワインしかないが、これの予定だ。肉が駄目だって奴は?」
「私は大丈夫です。ただ、殿方の前で口臭を気にする食材はちょっと恥ずかしいですね」
「・・・あたし達にいきなりそんな高価な物食べさせるなんて何考えてるの?」
「・・・お肉はヤダ。他のメニューはないの?」
スプリングフィールドが頬を染め困った様に笑みを浮かべ、俺を見つめてくるが別に気にするなよ。俺を意識なんてするな。男として死んでる人間だぞ?
疑うように睨みつけてくるスコーピオン達の前に捕縛されていたUZI・・・今もなお人間自体が信じられない様で俺が彼女達を体の良い性処理の道具として引き取ったとばかりに思っている様で一向に警戒が解けないまま、ここまで来てしまった。まぁ、ゆっくり時間をかけて誤解を解くしかなさそうだ・・・。
胡乱な目で首をプイっと背けた5-7に俺は代案として手軽かつステーキに引けを取らないと自負している自信のある料理を提案する。
「ならボンゴレ・ビアンコに、サーモンのマリネにするか?デザート、スープに酒は変わらんが・・・」
「どうして・・・」
俺の言葉に俯きながら忌々しげに表情を歪めた5-7が俺を睨みつけながら、怒気を発しながら怒鳴る。
「何でそんな真似するのよ!あなたがアタシ達の上で本来なら拒否権だってない筈でしょ!?アタシ達は貴方の所有物でしょ!?なんでっ・・!そんな人間の女性みたいに扱ってくれるのよ?!私達は・・人形よ!!体の良い使い捨ての駒で!あなたたちみたいな下卑た男達に抱かれるためだけに存在する淫売な―――」
「―――止せ。そんなに自分を傷つけるな」
肩を震わせ涙をその綺麗なブラウンの両目からボロボロと零しながら叫ぶ5-7の痛々しい姿に思わず、口を挟みそれ以上言葉を続かせない様に止める。
「あの糞野郎達の事だ。思い出すのも嫌だろうが、精神的にも肉体的にも好きに嬲ってお前らを貪ったんだろうさ。お前達が納得するまで誓うよ。あいつらは必ず地獄に叩き落すし、お前達をせめてここに来て良かったと思えるように楽しませる努力はする」
拒絶され反撃されるのも覚悟の上で5-7に近寄りそっと抱き締める。辛かったろう。女性として設計されたが故に、男の俺では考えもつかない、女性としてこれ以上にない屈辱を味あわされ凌辱の限りを尽くされたのだろう。スコーピオンの時と同じく激しく震えながら嗚咽交じりに俺の手から離れようと力強く俺の胸元を殴り抜いてくる。
戦術人形としての力強さに、一瞬息が詰まるも些事だと切り捨て、耐える。
「なんで!?ねぇなんで!?もっと早く来てくれなかったの!?アタシ達がどれだけ辛かったと思ってるのよ?!ねぇ答えなさいよ!!!今更・・・終わった後に手を差し伸べられても遅すぎるわよ!」
「最もだ。俺は間にあわなかったな。君達を助けるという点では」
理不尽な責められ方だと理解しているが、彼女の溜まり切った暗い感情を少しでも晴らすべく肯定し、俺が悪かったと全面的に認める。彼女が捕まっていた時、俺は彼女達を知らず、又、ケントとあの反乱を終わらせるべく戦っていたが、彼女達には関係ないだろう。
俺が、今彼女達の指揮官としてここにいるのだから・・・。
視界の片隅で、腰のホルスターに手を伸ばした416の姿に片手でやめろと伝え、5-7の気が済むまで好きに殴らせる。幸い俺は常人より遥かに頑丈だからな。どうってことはない。痛みにも慣れてる。
「この・・・!離してよ・・・!偽善者ぁ・・!」
「ぐっ!」
俺の拘束から逃れられないと判断した彼女は俺の首筋に噛みつきギリギリと力を込めて肉を引き千切らんばかりに噛みついてくる。首筋の鋭い痛みに苦悶の声を一瞬上げるも、気合で堪えより一層彼女を強く抱きしめる。
「フゥウウウ!」
「ぬぅ・・・!」
息を吐き出しながら瞳を輝かせ、涙を零し続けながら睨むように俺を見上げた5-7の姿に妹の最後が一瞬過り、思わず表情を歪める。玩具にされて死んだ妹。体が弱くて体調の良い日には一緒に彼女の手を引き、日向の中で散歩してにこにこ笑っていた病弱だった彼女の最後が過り、思わず今の光景が彼女がもし生きていたら俺が受けていたであろう詰り(なじり)なのかと想像し、訪れはしないその光景と重なり、余計に俺の心を締め付ける。
ああ、許してくれ。俺は無力だ。妹も救えず、被害を受けた彼女達すら救えない。何時も間に合わない。肝心な時に。何時も・・・。
目頭が熱くなる。唇が、喉が震え俺の口からも嗚咽が小さくこの静まり返ったレストランに広がる。
伝う涙をそのままに泣き始めた俺の姿に思わず動きを止めた5-7を見つめ返し、呟く。
「ごめんなぁ・・ごめんなぁ・・・」
似もしない5-7と妹の姿が重なっていく。リサが俺を責める。助けれなかったヒーローでもないただの殺戮者だと。俺を。家族の敵討ちを理由に殺し続ける殺人鬼と。
『人殺し・・・私を助けれなかったのを理由に殺し続けるの・・・おにいちゃぁん・・・』
「俺を許してくれぇ・・・無力で哀れな男なんだ。お前も救えない。彼女達も救えない。
ただ壊して殺すだけしか出来ないんだ・・・!」
幻覚の筈のリサが、妹が、何人も周囲に現れ俺を詰り、罵倒し消えていく。
『人殺し・・・』
『痛かったよお・・おにいちゃぁん・・・』
『おにいちゃぁん・・・・まだ死なないのぉ・・・?』
『わたしたちだけしんだんだよぉおにいちゃぁん』
最期の一言に5-7を抱き締めたまま膝から崩れ落ちた俺は、カタカタと大男が情けなく震えながら右太腿に手を伸ばし何時もの様に引きずり出したオート9を自身の右米神に宛がう。ああ、ああ、お前が望むなら兄ちゃんも、随分待たせたけど、今そっちに逝くからなぁ。
「あぁ・・・・リサァ・・・俺も今逝くぞぉ・・・・」
ハンマーを上げ、セレクトファイアを単発に切り替えトリガーに指を掛ける。ああ漸く死ねる。家族の元へ・・・・・。
「セイジ、まだその時じゃない。任務は終わってないよ・・・・」
ほのぼのするだけだと誰が言った?幕間でも平然と俺はメンタルボムぶち込むぞ!(いうほどほのぼのしてない・やっぱり悲劇的な描写しか出来ない作者の末路)