IM NOT MAN.I AM A DEAD MAN   作:HIKUUU!!!

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こっそり投げてもばれへんか・・



幕間・警備依頼

飯も食い終わり、戦術人形達から多少の嫌疑も晴れた私は、ウォッカの酒瓶を片手に煽りながら就寝しに女性寮へと戻って行った彼女らを見送りつつ(ペルシカリアは夜分と他社の幹部という事でしょうがなく、女性寮の空き部屋に招待して貰った)司令室で今頃むっつりと私が来ることを待ち受けているだろう禿頭の元へと向かう。

歩みながらの飲酒で気を紛らわせながら、人影が微塵もない無人の廊下を堂々と歩き、廊下の先にいる人物に気づき声を掛ける。

 

「まだ起きてたのか?明日香。夜更かしは美容の大敵らしいぞ?ま・・・そんなことはどうでも良いか・・・」

 

本日2本目に突入したまだまだ半分は瓶の中にあるウォッカを飲みながら彼女の困った様な眉尻を下げた表情に、何を言いたいのか目星をつけて待つことにする。

 

「お義兄ちゃん、あのね・・・ニュース見たよ・・・お義兄ちゃんが負傷する所も、人が倒れてる所も・・・」

 

「何が言いたい?私がお前を保護した時はもっと酷かった。分かるか?その時お前はまだ幼く、気を失っていたから知らなかったのが今でも幸運だと私は思うね」

 

チャプチャプと音を立てて、瓶の中を波打つウォッカの水音に少々機嫌が良くなりながら、酪調状態に近い私はそう言い返しまた一口煽る。ウォッカは良い。喉を焼くこの感覚。胃にガツンと来る重い感じ。まるで敵に食らったボディブローを思い出すが、あれより数百倍はマシだね。そして気分も良くなる。嫌な事も思い出さない。最高だね。

 

「お義兄ちゃんは私が戦うの止めてって言っても戦うんだよね?」

 

「当たり前だ。私のライフワークだぞ?それを取れば何が残る?四肢のない肉片か?はたまた、傷だらけで剥き出しになった心か?」

 

うつむいた表情のまま、悲しげに喋る彼女の姿に内心心苦しくもありつつ、そんな事は微塵も表情に出さずに皮肉を言い放つ。

 

「・・・この前の事は私も言い過ぎた。だけど、あんな死ぬ様な目にあってもまだ戦うの?」

 

「それが私達の任務だ。そして私達の望みだ。今もこの世の何処かで、家族を奪った連中が戦火を広げている。それを駆除するまでは止まるつもりも、死ぬつもりもない」

 

ぐびりと景気よくウォッカを胃に流し込み、息を深く吐き出す。何を今更、見てなかった現実がようやく映像となって押し寄せてきたか?それで私達を説得しようと?無駄だ。その程度でこの怒りは、憎しみは、奴等を消し去るまで消えない。永遠に。

 

「今更どうしてそのような事を?」

 

「家族の身を案じるのは変?私達家族でしょ」

 

「はははは・・・いいや、変じゃないさ。ただな・・・」

 

俯いていた顔を上げ私を睨む様に、鋭く見つめてくる明日香の表情を笑いながら近づき、肩を軽くポンポンと叩き告げる。

 

「私に意見するな。お前に私達の怒りの焔を消せるとでも?笑わせる・・・退くが良い。何せ私は・・・心を偽っている偽善者だからなぁ」

 

「どうして・・!どうしてそんなことしか言えないの!?」

 

「私の心は死んでるからだよ。家族を失ったあの日からずっと・・・どうせ死ぬまでの余暇でしかない。ま、精々楽しめ。義妹よ・・・私に近寄らない方が良いぞ。俺の時以外は、な・・・偽りの家族など、反吐が出る」

 

声を押し殺して泣き始めた彼女を無視して通り過ぎ、酒瓶を振りながら長い廊下をズカズカ歩いて行く。

何も悪い事は言ってない。事実を突きつけただけだ。『俺』の内心が寝てる今だと分らぬが、起きていたら激怒していただろうがな。そんな事は些事だ。

 

廊下の先にある司令室のドアを乱雑に蹴り開け、机の上で腕を組んで鎮座していたスケイルの姿に鼻で笑いながらウォッカを煽る。

 

「来るのが解ってたのか?」

 

「ああ、ついでに監視カメラの映像でさっきの明日香とのやり取りも見てた」

 

ただでさえキツい眼光を更に鋭くさせ私を睨みつけているスケイルに、抑えきれずについ吹き出してしまう。

 

「ぶっははは!なんだその顔は?!私は可笑しな事を言ったか?」

 

「あの子はずっとお前の身を案じていた」

 

「だろうな」

 

軽く返事をしながら更に酒瓶を煽り、残り少なくなった酒に寂しさを覚えた私は酒瓶を振り、溜息を付く。

 

「もうないのか・・・」

 

「お前が死んだと聞いた時あの子がどれだけ泣いたと思う?自分の体が切り離されたかのような泣きようだったぞ。見ろ!」

 

モニター上で近くに寄っていたであろうマックの胸元に埋まり、咽び泣いている彼女の姿

と彼女を無表情で頭を撫で、抱き締めているマックの姿に思わず吹き出す。

 

「ははは!なんだあいつら付き合ってたのか!そりゃ目出度いじゃないか!」

 

「セイジ!!そんな問題じゃない!!お前を案じてあの子は泣いているんだぞ!?何故冷たく当たる!?」

 

怒鳴り散らし、私の胸倉を掴んで来たスケイルの間近に迫った顔を冷ややかに見つめ返し冷静に返す。

 

「私の本当の家族ではない」

 

「貴様っ・・・!」

 

「だが事実だ。私はそう思い、そう扱う。俺は変に人情味がある。切り捨てれば良い物を何時までも未練がましく抱える」

 

「お前・・誰だ?」

 

「セイジだよ。お前が良く知る。セイジ・シノノメ」

 

困惑しながら私の胸倉を掴んでいるスケイルの緩まった手を払い退け、最後の一口を煽りりさらに話す。

 

「お前達の隊長であり、死に損ない。亡霊、肉片、ブリキ野郎。まだあるぞ―――」

 

「―――もういい!わかった!」

 

スケイルが私の肩を掴み、制止してくる。

 

「お前に何があった・・・」

 

「何も。これも私だ。二重人格を知っているか?」

 

「それがお前だとでも?」

 

「如何にも。まぁ疑似的らしいがね・・・ヘルドッグが言うにはだが・・・」

 

「独立した人格じゃないのか?」

 

「違う。私達は記憶を、感情を、共有している。まぁ、そんなことはどうでも良い」

 

スケイルを片手で退け、机の上にあるホログラフィックディスプレイを見ながら呟く。

 

「警備依頼?依頼主はD08地区ディーノ・タカマチねぇ。依頼金は高いな。随分私を買ってるな」

 

義肢でディスプレイの操作が反応するか少し疑問だったが問題なく動いたのを内心ほっと一息つきつつ、さらに操作して詳細を調べる。

 

「おい、勝手に触るな。機密だぞ」

 

「どうせ行くのは私だろう?何の懸念事項がある。見せて見ろ」

 

私を邪魔して来たスケイルを片手で追いやりつつ、ファイルに記された指名という項目に思わず笑みを浮かべ、迷わずに義肢を操作してその依頼を受けるイエスの項目をタッチして許可を出す。

 

「これで良い。楽な仕事で儲けが出るぞ?良かったな」

 

「お前・・・ホントに・・・ああ!クソ!洗いざらい吐いて貰うぞ!」

 

「私はそのような些事に興味がない。おっと・・・俺がお目覚めの様だな。意外といや・・・かなり・・・早いな。まぁ良い。一言だけ言っておく。私は何時でもお前達を見てるぞ」

 

「おいセイジ!」

 

「殺戮の中でのみ私は咲き誇る・・・夜明けの花の様に。私の居場所はここではない。Aナンバーを探して置け。その時こそ、真の意味が解る。では、アディオス。親愛なる禿頭君」

 

その言葉を最後に私は家族が待つ、最愛の微睡みへと包み込まれていった。誰にも私の傷は癒せない。私の気持ちも理解できない。必要なのは・・・・奴等の死のみだ。

 

 

 

 

「ああ・・・クッソ、頭がいてぇ・・・。私の野郎、又勝手に・・・」

 

「お前なのかセイジ・・・?」

 

「ああ、正真正銘の俺だよ。糞・・・吐き気がする。なぁ、オレンジジュースでもないかよ?」

 

「ああ、何時ものお前で安心した・・・」

 

「何言ってるんだよ。俺は俺だ。あいつはそうそう出て来ねぇよ。言わなくて悪かったな」

 

「何で黙ってた」

 

「言って信じられるかよ。まぁ、気にするなよ。持病みたいなもんだ」

 

コートの懐を弄り、煙草を取り出し一先ず俺は火を付けそれを喫い、煙を吐き出し呟く。

 

「で、これはもう俺が行くのが決定か?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




久々に投稿やけどばれへんやろ。
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