IM NOT MAN.I AM A DEAD MAN 作:HIKUUU!!!
「手元だけには残させろ。俺の戦闘を補助する機能があるんだ。金だけ貰って手抜きの仕事をする趣味はねぇ。必要だと感じた時だけ着用する。それ以外はバトルマスクよりはマシなこのツラで仕事するからよ」
「むむ・・いいですか!絶対に変な事はしないでくださいね!?」
「お前の中で、早くも俺の評価が変人って辺りに嬉しくて涙が出そうになるよホント」
「まぁまぁ、落ち着けってなんなら俺ら巡回警備じゃなくて立哨(りっしょう)なんだからさ。SAAも抑えて・・デッドマン?」
祝いの場だというのに髑髏面はあまりにも不適切だと喧しく責め立てるSAAの嬢ちゃんの金切り声に片耳を塞ぎながら俺は、髑髏面の機能を説明しつつ、非常時以外は着用しないと宣言しているのこの始末である。この短い時間で如何に、俺を普通の人間としてみていないかの対応に嬉しくて涙が出そうだね全く。誰が変人かよ。
余りにもしつこい追及にジャベリンが仲裁に入ってくれたが俺は、イラつきを抑えるべく煙草を咥え、何時もの様に火を付け虚空へと煙を吐き出す。
「んだよ?」
「あ、いや・・ここ禁煙じゃ・・?」
「Fuck・・・一本だけ目を瞑れ。SAAももう時間がない。許せよ」
「しょうがない人ですね・・一本だけですよ?それと口が悪いのも直してくださいよー?
私は現地で待ってますからね?」
SAAの呆れたと言わんばかりに額に手をやり、溜息を付いた姿に胸の谷間が寄り、煽情的な光景にジャベリンが一瞬反応したのを見て若いなと内心鼻で笑い、晴天の青空をぼへーっと眺めながら煙草を喫い堪能する。まろやかな口当たり、肺に押し入って行く煙の充足感、吐き出す煙の後味どれをとってもそれなりだが、ガツンと来る感じが前に吸ってた銘柄に本当によく似ている。トミーは良いものをくれた。高級すぎるのは俺の舌に合わないからな・・。
「対処しておく・・。さて、時間か・・・じゃあ、依頼は契約通りに果たす。デッドマン、これより持ち場に付く」
「同じく、俺も行こう。正面ゲート前で良かったよな?」
「ああ、俺達がゲート前で武器持って威圧しながら不審人物を通さない。又は場合によっての排除だ。まぁこの基地の奴等はやり手らしいから強襲してくるような馬鹿は、別部隊が始末する手はずだとさ。俺達は・・・」
煙草の吸殻を携帯灰皿に入れ、腰に付けたポシェットに叩き込み、傍らに置いたⅯ249を右手で無造作に拾い上げて弾帯が給弾口に噛んでいないか再度目視で確認して、異常がないのを確認してから歩き出す。
「それをすり抜けて、悪戯じゃすまないようなことをしでかそうとする馬鹿共を纏めて捕縛か、排除だ。場合によっての判断は各自によって任せるとの事だ。どうする?俺は指揮経験・・・というより今までの任務で大隊までの指揮を預かった事が複数度ある。お前は?」
「俺は原隊に部隊長権限がある。というか俺は隊長だぜ?こう見えても」
ジャベリンのニヤリと笑いながらのセリフに思わず口笛で感嘆の意を表し、優男に似合わずに隊長を張っているとの情報に、評価を内心更に上方修正して話す。
「なら避難誘導やら、要人のいざと言う時の退去までの時間稼ぎ等は俺が、要人の先導護衛はお前に決まりだな。ケツは任せろや」
「オイオイ、一番危険な役をお前がやるのかよ」
「なら弾丸は防げるか?その体で」
「それは無理だが・・・」
「適材適所だ。それに俺の得意なのは殲滅戦だ。気にすんな」
「・・・その体ってやっぱり。作り物じゃないんだよな?」
「見ての通りだ。今じゃ俺のカラダそのものだ。不快だったか?」
俺の言葉にジャベリンは数度首を横に振り、俺の目を見て話す。
「いや、そんな事はない。ただ、あんたを始めて見た時から只物じゃない雰囲気はしてた」
「なぁに・・俺はただの死に損ないだよ・・・」
くくくと薄暗く笑いながらジャベリンの探るような視線と言葉を躱し、ゲートまで先程はいなかったこの基地のスタッフやら他の人形達が生き生きと慌ただしげに物資やらを持って走り回っていたり、受付の準備をしている所を見つつ歩み寄っていく。
SAAが腰に手をやり、俺達を待っていた様で機嫌良さそうに口角を上げ、笑顔を浮かべながら緩い敬礼と共に話す。
「それじゃあ警備お願いしますねー!あ、それとコーラいります?」
「依頼通りに果たすだけだ。俺は遠慮しておく」
「同じく。報酬分はキッチリ働かせてもらおう。それとごめんな。紅茶持参してるんだ」
申し訳なさそうに持参したであろう水筒を揺らすジャベリンの姿とにべも無く断った俺の言葉にしょんぼりしたSAAの痛ましい姿に俺は咳払いし告げる。
「依頼が無事に果たされた際に報酬としてコーラも貰おうか・・。こう見えてコーラは好きな方でね」
「はいっ!じゃあ、よろしくお願いしますねー!」
一転して花が咲いた様な笑顔を見せたSAAは他の持ち場の監督もしなければいけないのか急ぎながら片手を振り、去っていく姿をジャベリンと二人で眺めつつ呟く。
「すげぇ揺れてたな・・・」
「・・・この基地に戦術人形はかなり。その、恵体の持ち主が多いらしいぞ。通常モデルと違って」
「この基地来て良かった」
「単純な奴め・・・」
「あんただって見てたろ?」
「否定はしない・・・が、お前は少し視線の切り方とかを学ぶべきだな。多分彼女、気づいてたぞ?」
「・・・良く怒られなかったよな俺ら」
「ガキに欲情する趣味はない。ふざけた事言ってないで仕事を果たすぞ」
「ああ、そうだな」
ジャベリンからの咎めるような視線を受け流しながら、俺はⅯ249片手に金属探知機とスキャニングセンサーを兼ねたゲートの前に立ち、受付の準備が整ったらしくスタッフの一人が俺に声を掛けてきた。
「ええと、あなたがデッドマンさんでしたよね?」
「ああ、間違いないが?」
「この前のニュース見ました!あの、失礼ですけど本当に人間なんですか?」
「間違いなく血が流れ、心臓は鼓動を刻んでいる。俺は人間だ」
「あ・・失礼しました。すいません。ゲートの動作確認の為、協力して欲しいんですが」
「請け負った」
スタッフの不仕付けな質問に憮然と返しながら淡々と答え、冷めた目でそいつを見やりゲートの真ん前へと立つ。
「それじゃあ通って下さい」
「了解」
銃器を体に括り付けたままゲートを潜り抜け、通り抜けた瞬間喧しいサイレンを立てて警告灯が回りだしたゲートを待機していたスタッフの一人が即座に警報を切り、両手で丸を描き問題なく装置は起動して居る事を確認して俺は持ち場へと早々へと戻る。
「ありがとうございました」
「容易い事だ」
気分的な問題でⅯ249は却って持ち続けるのが邪魔になるなと思い、俺はゲートの傍らにⅯ249をセットして腕組みしたままパラパラと訪れだした来訪者たちを目を細めて注意深く観察しながら呼吸を静かにして気配を希薄にしつつ、悪意を持ちそうな人間の選別を開始した。
隣でジャベリンはⅯ4にこれ見よがしにマガジンを叩き込んでチャージングハンドルを引き、保持した状態で同じように注意深く来訪者を観察している。
まぁ、何かあっても対処は楽に素早く終わらせてやるか・・・。
後れて申し訳ナサス