IM NOT MAN.I AM A DEAD MAN   作:HIKUUU!!!

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死体を自分の乗ってきたSUVのゴアバッグに詰め、念の為持ってきておいたドライアイスを適当にゴアバッグの中に放り投げ、現場へ戻るデッドマン。


cross line 結婚式 中4

SUVのトランクを乱暴に閉め、D8地区の他の警備担当戦術人形達に事情を説明し、俺の来訪のせいで起きた事件を謝辞し、外される覚悟で説明したが、彼女らは何処にでもいろいろな事情があるとし咎める事もせずに、無事に俺は警備任務を再開する手筈となった。ディーノ・タカマチからの指示らしく、披露宴の準備に忙しい中、わざわざ通信越しからの契約の履行の催促に頭が上がらずに、俺は素直にそれに応じ、ジャベリンの待つ現場へと歩を進める。

 

「死体の処理は?」

 

「俺が受け持つ、俺の世界の技術が奴等の肉体に使われているかどうか判別しなければならない」

 

「技術?」

 

ゲートへ戻ると早速質問してきたジャベリンに答えつつ、頭に疑問符を浮かべた様子のジャベリンの質問に質問に世界も変わり、部隊は散り散りになった俺達に守秘義務なんぞほぼないと判断し、触りだけを伝える。

 

「簡単に言うとカロリーと体力を消費しての傷の超速回復。視神経及び反射神経を向上される肉体改造の事だ。他にもあるが基本はこれくらいだ」

 

「そんな技術があるのか・・・だが奴ら何故それを使わなかったんだ?」

 

「何事にも弱点はある。意識が混濁する程の負傷の場合、自分の意思で発動させるものだから使いたくても使えない場合のが多い。それに、一度の発動の燃費が異常に悪い」

 

「・・・あんたは?」

 

「俺も改造されているが、殆ど使えないと思え。このカラダになってから発動すればどう作用するか分からん」

 

カロリーさえあれば傷の回復位は訳ないだろうが、もし超速回復の範囲が誤認されている場合義肢を繋ぐジョイント部から俺の肉が異常発達し盛り上がって生物兵器のようになるというのも否めない為、この世界に来てからは一度も使用していない。

 

「・・・なんだ?」

 

ふと視線を感じ、視線を感じた方向を見るとワインレッドの瞳に、俺と同じ様な色素の抜けた白髪、(だが彼女の方が艶があるか・・?)肉付きの薄い小柄な指揮官服に身を包んだ少女がポカンとした表情で俺を遠くから見上げていた。彼女の周りには戦術人形のPPK、P7、ステア―などが周りにいて彼女を守る様に、そして彼女を包み込むような雰囲気でゲートへと向かってきていた。

 

少女の視線の先に俺がいるのに気づいたPPK達はチラリと俺を一瞥して、彼女に話しかけながら楽しそうに俺の横を通っていく。俺はそれを気にせずに、このような少女まで指揮官として戦場に関わっているのかと、内心でこの世界の秩序の崩壊振りに辟易しつつ、一刻も早く超帝国主義者を排除しなければならないと心に誓い直し、拳を握る。

 

「マネキン・・・?でも認識できる部分もあるし・・・う~ん・・・」

 

「・・・気になるなら触ってみるか・・?」

 

俺の近くでマジマジと俺を見て首を傾げる真っ白な少女に武骨で、命の温もりの感じられない機械的な右腕を差し出して声を掛けて見る。この世界でもこれだけ機械化された人間というのも珍しいのだろうという軽い気持ちで、何となく少女の疑問を解消するべく差し出した右腕を少女はおっかなビックリの様子で触れ、ゆっくりと撫でている。

 

当然ながら感覚が微塵もない義肢に少女の温もりも、這わせる指の感触も感じられぬが此方を気遣う様子に心がじんわりと暖かくなり、思わず顔が綻ぶ。

 

「わっ・・冷たい・・・」

 

「ああ、金属製の義肢だからな・・」

 

リサも生きていたらこの子と同じ年頃だったろうに、妹が育った年頃位の少女の姿に感傷を覚え、胸を去来する寂しさに凍てつく様な胸の痛みを感じながら、そんな事は微塵も周りには感じさせない様に表情を笑みのまま固定し、少女が指を離し離れた個所の熱を確かめる様に左手でその個所を撫でて見るが、相変わらず俺には何も感じられなかった。

その悲しみがまた胸を締め付けるが、俺の葛藤も今は必要ない。ただ、この式を警備して危険を排除しなければ。

 

「お兄さん、ありがとうございました。なにかすみません・・」

 

「いや、気にしないでくれ。ああ、そうだ。披露宴楽しんで行ってくれ・・」

 

「はいっ!」

 

彼女の元気な返事と家族の様に、いや、本当に家族なんだろうな。こちらの様子を逐一変な動きを見せればお前を殺すとばかりに此方を見ていた戦術人形達が、少女が無事に彼女達の元へと戻ると皆笑顔で彼女を迎えID認証を済ませて、ゲートを潜っていた。

その様子を見ていたジャベリンが俺を冷かしてきた。

 

「何だお前ロリコンだったのか?」

 

ニヤニヤとこちらを笑うジャベリンの姿を横目でチラリと一瞥してから、俺は告げる。

 

「死んだ妹が、順調に年を取っていればあのくらいだったかなと思っていただけだ」

 

「悪い・・」

 

今はゲートを潜っていた彼女の姿の残滓を幻視として頭で再生しながら、彼女の姿をリサに置き換えて見て、生きていたならああして友達の結婚式に行って、おめかしして、楽しそうに笑って・・・・。

 

俺はその想像に耐え切れずに右手で頭を抱え、妄想した場面を消すべく瞳を閉じて深呼吸を行う。

息を吸い込む度にリサ/あの子の笑顔が脳裏を過る。息を吐く度にリサ/あの子の笑顔が楽しげな表情が脳裏から消えていく。

消えていく、消えていく。俺の思いも、願いも今は必要ないんだ。務めを果たさなければ。

 

最後の深呼吸を行い、息を吐き出した時には表層上は落ち着きを取り戻した俺は腕組みをしたまま訪れる来訪者達をぼんやりと眺めながら、時を過ごしていく。今の俺は、一つの機械としてここに存在していると思い込んで彼女の笑顔が脳裏にちらつく度に、無意識に右大腿部に格納している最後の煙草を喫うべきかと手を伸ばしていた。

 

ジャベリンもぱっと見は初見の俺と雰囲気が微妙に差異があるのか、チラチラとこちらを気にしながら警備を行っていたが、落ち着きのない俺の所作に思うところがあるのか、ぼんやりと地面に置いたⅯ249を眺めていた俺の肩を叩き、その微妙な衝撃に俺はゆっくりとジャベリンに視線をやり口を開く。

 

「どうした?異常はないだろう?」

 

「どうした?どうしたはこっちのセリフだ。あんた一体どうした?ユノちゃんが通ってからぼんやりしてるぞ?」

 

「ユノ・・彼女はユノというのか・・」

 

ぼんやりしながらジャベリンの口から出てきた名前をゆっくりと復唱し、被りを振りⅯ4を片手で握ったまま左手で俺の肩を揺さぶるジャベリンの顔を見つめながら俺は口を開く。

 

「すまん、少し煙草を喫ってきても良いか?」

 

「・・・一本だけだぞ」

 

「ああ、ありがとう」

 

何処かふらつく足取りのままSUVへと向かい歩を進め俺は、熱に浮かされた様にふわふわする心持の中、少しでもマシな頭に戻すべく何時もの古ぼけたオイルライターにクシャクシャになったパッケージの煙草を片手にゲートを離れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




トラウマってそうそうなくならないし、トリガーって意外と多いんだよぉ?(下衆顔)
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