IM NOT MAN.I AM A DEAD MAN   作:HIKUUU!!!

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417本体のおっぱい思わずガン見死人。
それと失礼承知で遅いですが告知。基本的に業務が途切れず、残業も多い為週末投稿となりそうです。場合によっては不定期。それでも見たい人だけ残って行って。一気に減ってももう何も感じないから


cross line 結婚式 中9

「汝、病める時も健やかなる時も、この者達を愛すると誓いますか?」

 

「誓います。死んでも離すつもりは無い」

 

「宜しい。では、妻達も同じくこの者を如何なる時も愛すると誓えますか?」

 

「「「「「誓います」」」」」

 

厳かな雰囲気と粛々とした進行の中、遂に始まった彼らの宣誓を何処か半ば放心した気持ちのまま、ありのままに何も考えずに見つめ続ける。凛々しく着飾った依頼主のディーノ・タカマチ指揮官の男らしい宣誓に思わず、彼の妻達だけでなく、警備に居合わせていたこの基地の人形達や、来賓の方々も想いを寄せる誰かを思い浮かべながら、情熱的な言葉にほぅっと熱い吐息を漏らしながら聞き入っている。よく、おもての様で・・・こいつはまだ増えるな・・・。

何となく、新郎の未来を予想し、波乱万丈ながら幸せの中をこのまま進むであろう彼等を一時も見逃さないように目で追い、耳で聞き、残った僅かな肌で感じながら何処か世界で俺独りだけ、

 

俺だけ取り残されて、谷底へ突き落されたような気持になる。幸せだ。平和の形だ。それを今正に見ているのになぜ・・?

 

纏まらない考えを無理矢理纏めようとして不一致故に整合性のとれなさに苛立つ様に、自分だけ他人が共感できる感動する話を聞いて自分だけ何も感じなかったかの様な圧倒的な疎外感。

 

ああ、そうか。有り得ない光景。もう二度と掴めない光景を突き付けられて、俺は・・・嫉妬しているのか。このカラダで?このナリで?女々しい奴。あまりにも醜くて・・・我ながら反吐が出る。今日知り合ったばかりの彼等に嫉妬?何故?俺が愛した人を抱けないから?共に幸せを誰かと歩む事すら許されないからか?糞が・・・糞がっ!

 

ギチリと周りにバレない様に頬の肉を奥歯で強く噛み締め、出血した血を飲み込んで静かに息を吐き出す。痛みにより強制的思考の渦から抜け出して努めて無心で宣誓を終えた新郎新婦達の笑顔溢れる周りへのスピーチを黙って聞いていく。

 

「ダーリンは私達が絶対に幸せにします!」

 

周りよりも一層輝いて見える背丈が小さめでありながら・・・胸部が母性溢れすぎているHK417の宣誓よりも生き生きとした意気込みを見つめながら・・・俺は、

今すぐ自分の頭を銃で撃ち抜きたくなった。新郎の位置に俺を、新婦の位置に愛していたあの人を置き換えて考えてしまってから。もう死にたくなった。

永劫叶う筈も無し。有り得ぬ事。死人に生者の営みなど不要だろう。何故考える。止めろ。止めてくれ。

分かってるんだ。本当はそう生きたかった。俺だって幸せになりたかった。なりたかったんだよ・・・。

でも俺はそうなるには、殺し続けてて、感情もどんどん擦り切れて行ってて、何で彼女を愛したのかすら分からなくなって。だから遠ざけて。

 

より遠くに。

 

より、激戦に。

 

より生と死の狭へと近づいて行ったんだ。なのにまだ未練が捨てられないと見える。冷静な部分の俺がもう無駄だ。諦めろとずっと言って来る。そんなの俺が一番良く知ってる。

 

知ってるんだよ。俺が一番女々しくて、過去に縛られ続けてるのは俺が一番知ってるんだよぉ・・・!

 

 

音を立ててギチギチと球状へと無理やり纏めた粗雑な継ぎ接ぎの心が、耐え切れない不可に悲鳴を上げて俺へと訴えてくる。だからどうした。そんなもの。感じるな。残った人間の部分が激しく喚き立てているだけだろ。落ち着けよ。糞サイボーグ・・・!!!!

 

皆が笑顔で、一番見たかった分かりやすい平和の光景だったのに。俺だけ笑えない。心が冷える。冷え切っていくのに茹だる。沸々と激情が沸き上がる。置いて行かれた。

 

家族にも置いて逝かれて、次は幸せにも置いてかれた。次は戦友か?

奪われて周りを滅茶苦茶に壊すだけの人生。もうすぐ、もうすぐだ。あいつら始末したらやっと俺も墓に入れる。だから、もう少し頑張らなきゃ。さっき決めただろ。戦えるって。だから弱音はもう御終いにしないと・・・。

 

哀れな男の残滓に引っ張られ過ぎた。それを自覚して、テーブル上に置いてあるカップから上品な香りが漂う紅茶を、嗅いで芳醇な茶葉の香りを楽しんでから一口口内へと入れるべくカップを傾ける。

温かい液体が口内を満たし、未だ出血する頬の内側を、焼くような痛みが走るが務めて表情には出さない。良い茶葉を使っているな。自分のせいで血の味がするが・・。

 

幸い、二人には気づかれた様子もなく、壇上の新婦達のスピーチに夢中になっている。まぁ。彼らはオイオイ経験する事になるだろうからな・・・。今の内に勉強しておくがいいさ。音を立てずにカップをテーブルへと戻しながら、ふと溜息を吐き、ブーケトスの準備に入った壇上を見ながらユノへと声を掛ける。

 

「行った方が良いぞ。幸せのお裾分けと言う奴だな。あれを取れば次は結婚できると言われている。そういう奴がいるなら行ってみるのも手だぞ」

 

わたわたしているちみっこい白髪頭の彼女が業を煮やしたPKKと彼女らの・・・子どもか。度々お母さんと呼ばれていたからな・・・。子供達に手を引かれて、ブーケトスを今か今かと待ち侘びている女性陣の輪の中へと猛然とツッコんであぶぶぶと悲鳴を出している声を聴き、苦笑いしてしまう。何処の世も女性はここぞと言う時の力が強いなと。

 

「お前は行かなくて・・・」

 

「俺に行けというのか槍野郎」

 

茶々を入れてきたジャベリンの頭を小突いた俺は悪くない。悪くないのだ。

 

「それでは、ブーケトスを行います!皆一杯幸せになりますようにっ!」

 

 

ふわりと宙へと舞った想いが詰まったブーケの踊る姿に弾かれた様に女性陣が動き出した。

 

HK417を中心に広がった新婦達のブーケトスに一斉に前へ、前へと詰めていた女性達が色めきだった歓声を上げながら猛然と突き進んで行く。

おお、まるでロシアの大軍勢が突撃して来た時を思い出す素晴らしい初速だな。

先頭をひた走るへリアン女史を見てしまった俺はどんな顔を浮かべればいいのか分からず、思わず真顔になってしまった。あの噂は本当だったか・・・。

 

飲み込んでいた紅茶を勢い良く、咄嗟に出した左手のひらに吹き出しながら俺はブーケ争奪戦と化し出した壇上前を引き攣った笑みを浮かべながらジャベリンに話しかける。

 

「流石に止めないとまずいか?」

 

「俺パス」

 

「俺だって無理だ」

 

 

俺達二人は黙って事の行き末を見守る事にした。猛った女性が怖いとか、へリアン女史が

修羅の眼光で戦っている姿や、応戦している他の戦術人形達の姿も無い。ないったらないのだ!

 

 

ぼくたちふたりはわるくない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




名残惜しいが、後少しで締めですな・・・
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