IM NOT MAN.I AM A DEAD MAN 作:HIKUUU!!!
「何やってんだこの馬鹿やろォォォォォォ!!!!!」
――――その日、私達の基地。失楽園(ロストエデン)はお兄ちゃんの怒声から、一日が始まりました。
まだ、小鳥達も眠っている様な早朝の出来事でした。
「BB!テメェ馬鹿だろ!?馬鹿だな!馬鹿だったなぁ!」
「いひひひひ!!!お前がパンケーキ作らないのが悪いのだぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
「こんだけ複数生成した牛肉と豚肉どうやって捌き切るつもりだテメェ!?冷凍庫一杯なんだぞ!?」
「BBQ!!!!」
「お前それやる為だけにこんなアホな真似したのか!?もう許さねぇからな!!!逃げんな!!!!!」
「いひゃぁぁぁ!!!来るなセイジィィーーーー!!!」
「パンケーキ焼かないだけでこんな七面倒な事すんな!!絶対に今日は〆るからな!!!」
朝から五月蠅いなぁ・・・
「ふぁぁぁ・・・」
お兄ちゃん達のせいで起きちゃったなぁ。私はのそのそとタオルケットをベッドの端に追いやり、大きな欠伸を漏らしながら伸びをする。ぶるんと、ここ数年で大きくなったおっぱいが曝け出されたまま、震える。私はそれを、両手で掬い上げてたぷたぷと揺らす。
本当に、おっきくなっちゃったなぁ・・・。ちょっと前まではぺったんこだったのに。
ベッドから起き上がって、生まれたままの姿でクローゼットに向かって、今日の服装はどうしようかなって考える。クローゼットから何時も使ってるお気に入りにのブラを出して、露出してる乳房に宛がって背中でホックを止める。もう何度も繰り返してきたけど、こうサイズが頻繁に変わるのは成長期だからしょうがないけれど。私的には、ちょっと複雑な気分です。
だって・・・重たいんだもん・・・
そして、お尻に私お肉つかないから・・・おっぱいだけ目立っちゃうんだよね・・・細いから突き出る様な感じで、ね?
これまたお気に入りのフリル付きの黒いTバックをゆっくりと履きます。パンツライン見える服装多いから、Tバック好きなんだよね私。その、男の人の視線分かっちゃうから。じろじろ見られるの好きじゃないので・・・
結局考えること数分経ったけど、何時ものワイシャツにお兄ちゃんがくれた私とお兄ちゃんの小さな写真が納まってるペンダント。それと太腿半ばまでのちょっと余裕のあるミニスカートに決まりました。あんまり活動的な格好好きじゃないの。走ったりとか、激しく動く事もないしね。
「捕まえたぞゴラァ!!!責任どうやって取るつもりだ!!!!」
「BBQパーチーしよう!セイジ!!それで今回の事はチャラにしてやる!」
「人の話位しっかり聞け!?この大馬鹿野郎!何でテメェの方が正しい事言ったみたいになってるんだよ!?」
むふーと姿見の前で満悦の笑みを浮かべてた私の耳にまだ、騒いでるお兄ちゃんとBBさんお言い争いの声が聞こえてきました。まずはお部屋から出たらお兄ちゃん達止めないとなぁ・・・
「おはよう、お兄ちゃん」
「ん、ああ、明日香か。おはよう。すまねぇな朝っぱらから騒いで・・・」
「まぁ、起床のアラーム10分前くらいだし、大丈夫だよ?」
何処からか持ってきたのか、見るからに頑丈そうな黒光りする鎖でぐるぐる巻きにされた、ソフトモヒカン頭に眼鏡を掛けた黒人男性のBBさんがお兄ちゃんに腰掛けられながら、むごむごと口に張られたガムテープも気にせず何事か叫んでいますが、殆どは意味のない単語か叫びとしてしか聞こえません。相変わらず元気だなぁ、この人。頭が良いのに、ちょっとやる事とか意味わからないけど。
BBさんに腰かけたまま、つい先日換装・・・っていうのかな?ペルシカリアさんとBBさんの共同開発した生体義肢を身に着けた、小さな頃に見覚えのある姿に戻ったお兄ちゃんが、その傷だらけの、初対面の人から見たら怖いって良く言われる顔を、苦笑交じりに
歪めながら疲れた様に私に声を掛けてくれました。私の、大好きなお兄ちゃんです。
お披露目と言うか、付け替えが終わったのが昨日の深夜だったから、こうして見ると違和感なく、最近見慣れた機械義肢を付けてた時より一回りは小さくなった姿に、昔のなじみ深い姿のお兄ちゃんに感慨深くなって、私は思わず抱き着いてしまった。
「本当にお兄ちゃんだ」
「ああ、お前の義兄だ・・・ようやく馴染みのある姿に成ったろ?」
「うん。ちょっと・・・ううん、かなり嬉しい。またこうやってお兄ちゃんの温もりが頭にあるなんて」
「・・・そうだな。もう二度と、お前の髪を撫でる感覚も分からないと思っていたが、この馬鹿とペルシカリアに・・・一応、一応感謝しておいてやるか」
「~~~~~!!!」
「悪い。何言ってるか分からねぇから黙っててくれ」
抱き着いてしまった私を、お兄ちゃんはちょっと驚いた風に表情を変えながら、柔らかな笑顔を浮かべて、お兄ちゃんの腕の中に収まるくらいの体格差の私を優しく抱き留めてくれて大きなそのごつごつした温かな右手で頭を撫でてくれました。優しく髪を梳いてくれるお兄ちゃんの手つき。小さな頃の記憶と寸分違わぬ所作に思わず呟いた言葉にお兄ちゃんは優しく返してくれた。
不承不承と言った感じで苦々しげに頭上から聞こえてきたお兄ちゃんの皮肉に思わずクスリと笑いながら、私は頭をぐりぐりとお兄ちゃんの鍛え上げられた胸に押し付け、お兄ちゃんの温もりを一杯に感じる。ようやく、元に戻ったお兄ちゃんに甘えられる日が来たなんて。今でも信じられないくらい。
感謝しているなら鎖と、ガムテープを外せとけたたましく唸り出したBBさんの迫真の表情をチラ見して、頭上のお兄ちゃんの咎める様な声に思わず私は笑ってしまった。というか、食肉大量生産したのは流石に欲望に走り過ぎだと思うけどなー?どうしてそうなったのかな?
「お兄ちゃん・・・これ、どうするの・・・?」
「・・・冷凍庫がいっぱいで保存できない以上、どう足掻いても今日か明日中に消費しないといけない。冷蔵庫もこの前の大量生産でパンパンだ。これはスケイルとカリーナに一先ず俺の金で立て替えるから、焼肉して消費しようって伝えるしかないな。これは俺達だけの消費じゃ無理だ」
お兄ちゃんと拘束を解かれたBBさんと一緒に、生産ラインでもある培養槽安置室に来たけど、培養液が満たされたシリンダーには見るからにロストエデンの人員だけでは消費しきれない大量のお肉にお兄ちゃんが思わず頭を抱えて囁く様に呟いた。
いや、これ本当に今日明日中に消費できるのかな?
「だから言ったろ?BBQパーチーだと」
「うるせぇ、お前の頭は年がら年中パーティーみたいなもんだろうが」
ドヤ顔で喋るBBさんに疲れた様に吐き捨てながらお兄ちゃんは踵を返して、足早に何処かへと去っていた。きっと、スケイルさん達とどうするか相談しに行ったんだろうなぁ。
「さて、明日香君。申し訳ないがちょっと手伝ってもらうよ」
「うん、大丈夫です」
「氷を詰めたクーラーボックスに肉を移して行く。そうすれば大分持つのでね。もう培養槽から出さないと、過剰成長で、細胞の老化が始まって食えない物になってしまう」
「はい。急がないとね。他のスタッフさん達ももう動いてるみたいだし」
忙しそうに巨大な骨付きの牛肉の塊を数人がかりでお店でも見たことも無いような、大きな氷が敷き詰められたクーラーボックスに下ろしているスタッフさんや、骨付きの豚肉の塊をひいこら運んでいるスタッフさんを見ながら気合を入れます。BBさんも流石に申し訳なさそうにしながら作業に取り掛かかり始めました。
よし、頑張るぞ。
「ああ、スケイル俺だ。もう俺の叫びで分かってるだろ?そうだ、BBの奴やりやがった。食肉の大量生産テロだ。連日の激務で、全員ストレスも溜まってたろうし丁度いい機会だ。世話になった奴等を呼んで盛大なパーティーをしよう。オープニングセレモニーはまだ早いが、施設は大分完成してるわけだしな」
「まぁそうだな。それくらいしかあの量は消費しきれんだろう。カリーナには話を付けておくよ。ああ、そうだ。温泉とかはもう使えるんだよな?」
「ああ、ビーチもクリーニングが完了してるし、中和剤の散布に水質検査。それにバリアゾーンも展開してある。俺達のいた時代より海水が綺麗になった位だ。浜辺から400mは人体に悪影響のない放射線レベルまで下がったし、バリアゾーンが外界との海水を完璧にシャットアウトしてるのも検査済みだ。泳げるぞ」
「気が早いが・・・バカンスと洒落込もうか。俺達もなんだかんだで一息吐いてなかったしな。スタッフに通達して今日から1週間は最低でも休暇だ。問題はないだろ?」
「おいおい、良いのかよ?」
「幸い急ぎの依頼も無しだ。奴等の生産拠点もこの前破壊できたし、しばらくは動けんはずだ」
「だろうな。じゃなきゃ俺達が命張った意味がない」
「そういう事だ。それに情報通りなら奴等の3分の1はこの前の会戦で死亡したらしい。それにこちらの消費もでかい。今はお互いに牽制の期間だ」
「ちまちまとしたハラスメントをしても今じゃ意味がないしな。そうだな。そうしよう。休みだな。そうだ、もう連絡して他の基地の奴等やら呼び出した方が良いんじゃないか?」
「そうだな。もう呼んじゃえよ。俺も家族呼んでくる」
「はいはい」
『緊急秘匿回線のテストを込みでの通信となるが、緊急通信ではない。繰り返す。緊急通信ではない。スクランブルの要請ではないので各基地の指揮官や、この回線が繋がっている部隊にはどうか落ち着いて聞いて欲しい。単刀直入に言うが、食肉が大量に発生してしまった為、俺達だけじゃ消費しきれない。たらふく天然の肉に無料であり付きたい者。また当基地のレジャー施設。事前告知で気になっていた者達、今がチャンスだ。今日からオープンするまでの間、無料で提供しよう。正直に言うぞ、肉食いに来い。助けてくれ。ロストエデン所属デッドマンよりだ。返答すれば迎えはこちらで出す。連絡待ってる。じゃあな』
「はー・・・これマジで誰か来てくれないとあの肉殆ど腐るぞ・・・・?」
というわけで、当作品に珍しくほのぼのかつちょっと未来の話です。基本ギャグよりですね。読みたくなかったらほんへ始まる迄スキップでお願いします。実は感想待ってたりしてないのよ?(チラ見)