IM NOT MAN.I AM A DEAD MAN   作:HIKUUU!!!

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漸く正解を出したホモの兄ちゃんがおったのぉ?ついでに言うとこの主人公はマーフィーと違って、生存欲求に特化しているわけではないです。


帰還への道

「ねぇ、何か話しかけなさいよ」

 

「無理よ。見れば分かるじゃない」

 

ヘリの内部で定期的に耳元を叩く轟音を聞きながら、時代が変わろうとも大して進化していない固いヘリの座席に身を沈め、ぼんやりと己の両腕を見つめ続ける。

機械的な両腕、肉体の温もりも、命の脈動さえ感じない。それ自体は最早どうでも良い。全身が機械にすげ替えら様とも俺はあの時、狙撃を受けた時点で死んでいた筈だった。

 

それが何をどうとち狂ったのか、俺は医療用のポッドに幽閉されている間に時代は遥かに進み、気づけば戦術人形等という見た目、ただの少女にしか見えない高度なAIを持ち、学習し自己進化し、過酷な環境に適応していく一つの兵器達が・・・俺達兵士に代わり、戦場へと送られているそうだ。当時考えられなかった遥か未来の出来事が今の時代の有様を如実に現していた。

 

核で世界は壊滅的な打撃を受け、WW3が勃発。崩壊液なんぞというどう足掻いてもとんでもない厄ネタに、馬鹿な学生共のせいで起きた悲劇。そして、この荒れ果てて人類が生存出来る僅かな土地を巡り今も昔も変わらず、政治家は自慢の舌で相手国の外交官と舌戦を繰り広げ、武力衝突が起き、僅かな人類を更に減らす。

人間は愚かだ。間違いを繰り返す。過ちを・・・。何度も何度でも。

 

あの後、緊急要請したヘリとやらに無理矢理詰め込まれ、45と呼ばれた少女、いや45にこの世界の有様を掻い摘んでだが説明を受けた。そして、俺がどんな状態、目的で連れ出されたのかも。

 

「タバコが吸いてぇ・・」

 

「機内は禁煙よ?今も昔も。そこは変わらないんでしょ?我慢してよ」

 

ふと辟易し果てた俺の口からは無意識な呟きに、俺の横に座る416が咎めるような視線で俺の口元に手を伸ばす。気づけば、俺は片手の中に、妙に気のいいヘリのパイロットから、お裾分けと言われ古ぼけたオイルライターと赤いパッケージに包まれた封が切られていない紙巻きたばこを手渡されていたのを思い出し、またぼんやりと視線を向ければ煙草は既に封を切られ、手慣れた動作で口に咥えていたらしく、416に奪われる。

 

「だろうな。だが、100年ぶりの一服だ。固い事言うな。それにこの後、目的地に着いたらお前たちのボスとやらに会わなければいけないんだろう?」

 

416のタクティカルグローブを外し、露になった雪のように真っ白な肌が美しい細く、しなやかな指に摘ままれる煙草を優しく奪い返し、オイルライターの蓋を親指で跳ね上げ着火。

それの吸い口を咥えなおし、、肺一杯に紫煙を吸い込み一息に吐き出す。

 

「フゥゥゥ・・時代が変わろうともこいつだけは変わらないな。美味い。この上なく、な」

 

左手で自らの顎を摩りながら右手で尚も煙草を奪おうとする416を牽制しながら、機内の窓に映り込んだ自分の顔を見やる。

死んだ当時と変わらぬ濁った暗い、殺意と憎しみが灯った瞳に、切創、銃創を放置し残った傷だらけで日光など真面に浴びなかった為に、416とは対照的に不気味な程に死人の様に白い皮膚、艶のない白髪を無造作に生やした柄の悪い若年の男が窓越しに此方を睨みつけていた。

 

「煙たい・・」

 

「で、お前は何故俺の膝を枕にしている訳だ?小娘」

 

煙草を吹かせながら、いつの間にか俺の左膝に頭を乗せ、寝息を立てていた灰色がかった豊かな銀髪を腰まで靡かせた小柄な小動物の様な印象を与える少女が俺の吸う煙草の匂いが、鼻についたのか眠たげに両眼をこすりながらむくりと起き上がる。

 

「こんな狭い機内だと枕もないもん・・。大柄のお兄さんだったら丁度良い枕に・・・zz・・・」

 

「喋りながら眠るとは器用な真似をする小娘だな。不問にしてやるから寝てろ」

 

うつらうつらと舟を漕ぎだした少女を、優しく己の左膝に再び不承不承ながら側頭部を導いてやり、すぐさま寝息を経て始めた少女を見つつ、手元の煙草の灰を、指で弾いて振るい落とす。

 

「マナーが悪いわよ。全く・・・」

 

苦言を申す416を無視しながら右手で後頭部を掻きながら、揺れるヘリの機体に合わせてぶらぶら晒された生首の様に揺れるフェイスガードとヘルメットが一体化した尚も嘲笑うかの様な意匠にしか見えぬ、ストラップに吊り下げられた髑髏面を睨みつけつつポツリと零す。

 

「半サイボーグのジャガーノート(装甲歩兵)を創ろう等と考え付いた奴は間違いなく天才だ。だがとんでもねぇイカレサイコ野郎でもあるな。皮肉にもそれで俺が生き延びちまった。誰だが知らねぇが借りを返さなきゃならねぇな・・」

 

眺め続ける限り、益々腹立たしく感じる髑髏面から一旦目を離し、対面に座るニコニコとこちらに何が楽しいのか笑顔を向ける姉妹に声を掛ける。

 

「何が可笑しい?」

 

「口ではぶっきらぼうな事言いながら、優しくG11の頭を撫でてるデッドマンの事を面白いなとか微塵も思ってないよ」

 

「お兄さん、面倒見良さそうだもんね。あ・・これはもう家族なのでは?」

 

「ふん・・馬鹿言え」

 

45と9の戯言に暴言で返しつつ、手元の煙草を一気に吸い込む。濃厚な煙の味をしたで楽しみ、芳醇な香りを鼻でも楽しみながらフィルターぎりぎりになった煙草を右手のひらに押し付け無理矢理消火。痛覚なぞない機械化義手だから出来る芸当に内心、多少は便利だな庫位の感想を思いつきつつ機内の床に吸い殻を放り出す。

 

「しかし意外だね。私はもっと起きた時みたいに取り乱して機内に乗り込むと思ってたよ」

 

「・・起きて鏡を見れば、勝手に改造されて生身とは言えないカラダにされた衝撃は消せないが、戦場の目まぐるしい変化に置いて行かれる程、眠りこけていた訳でもボケた訳でもないつもりだ」

 

45の笑ってはいるのに目だけは笑ってはいない顔を眺めつつ、皮肉を言い放ち、機内は静まり返る。するとパイロットから着陸態勢に入ると警告の声が入り、全員が着陸に備えるべく装備や、服装の再点検。伸びなどを行い、一様に待ち侘びたかのような反応を見せる。

 

「zzz」

 

「起きろ。・・・チッ」

 

 

訂正。一人だけ未だに眠りこける眠り姫様は熟睡中らしく、俺の膝の上でほにゃりと表情を崩したまま安らかに寝続けている。声を掛けたが起きる様子がないので仕方なしに彼女の体を抱える様に自分側に寄せ固定してやり、着陸に備える。

 

「そんじゃ、降りますぜ。本日は当便のご利用ありがとうございました。又のお越しを心よりお待ちしております」

 

「いつの時代の航空機乗りもこのジョークだけは鉄板か。笑えるな」

 

ヘリ故に大した衝撃もなく緩やかなホバリングからの着陸にパイロットの技量の高さに感心しつつ、スライドドアを開け放った416に声を掛ける。

 

「ストラップに掛かってる髑髏面を俺に投げてくれ」

 

「あんまり甘やかさない方が良いわよ」

 

そう言いつつストラップに掛かったフェイスガードを俺へ無造作に投げつけてきた416はそのままさっさと機外へと消えて行った。投げつけられたバトルマスクを被り、視界に戦闘中にも表れたインジケーターやらグラフやらが表示されていくが無視し、眠りこけるお姫様の体を両手で抱き起し、抱え上げる。

 

「ひゅ~大胆~」

 

「茶化すな。起きないならこうするしかないだろうが・・糞が・・・」

 

9の後ろから投げつけられる茶化す言葉に悪態を付きながら眠る彼女の華奢な体を胸元まで寄せ、落ちないようにしっかりと姫抱きした後、頭をぶつけぬように細心の注意を払いながら、未だに回るヘリのローターの轟音を煩く感じつつも懐かしく思い、機外へと俺も足を踏み出した。

 

 




遅れたけどメリークリスマス。休暇はいれば定期的に投稿できるかも?

こんかいはちょっとしたほのぼの(?)回。G11をすこれ(脅迫)
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