IM NOT MAN.I AM A DEAD MAN 作:HIKUUU!!!
主人公は苦しまなきゃなぁ?共に苦しめ(BO2並感)
「昨晩は良くもやってくれやがったな・・!」
「久々に再会した隊長からのプレゼントだ。思い出したろ?禿げてる坊主」
「ああ、嫌でも思い出したよ。テメェが一番最初に俺を吊るした時のこともな」
「俺を捕獲する作戦の時だったか?馬鹿正直にトラップに引っかかってる間抜けを見に行けば、陽光に照らされた見事なテルテル坊主だったな。あれは死んでも忘れないぜ」
「糞ったれが・・。スタッフの指示通りにあの後検査を全部受けたか?」
「ああ、結果は?」
「今研究スタッフが持ってくる。・・・正直今でも信じられん。お前がこうして目の前にいるのが」
「だろうな。俺が同じ立場でもそう思うさ・・」
昨日の夕方と同じく、互いに思い思いに、煙草と葉巻を吹かせながらソファに寄りかかりリラックスしながら、下らない昔のことを話して暇を潰す。
「そういやお前、腹は減ってないか?」
スケイルの腹から豪快な腹の虫の雄たけびに苦笑しつつ返事を返す。
「いや、あまり・・正直に言うと内臓まで全部なくなってるんじゃないかと思ってな。空腹感はそれなりにあるが、結果が分かるまで何も食いたくない」
「そうか・・話してたら更に腹が減ってきた。またお前が作った料理も久々に食いたいな」
しみじみと語るスケイルの横顔に映る憂いを感じつつ、煙草を更に深く吸い込み、一息に煙を吐き出す。
「味覚迄持っていかれてないなら作るさ。家族との唯一残された俺の繋がりだ・・・。これだけは・・失いたくない」
「分かってる。が、煙草の味は分かるんだろう?なら心配ないとは思うが」
「まぁな。俺も煙草を吸って依然と変わりなく吸えてるから余り心配していない」
ふと、背後の扉から人の気配が複数近づいてきているのを感知し、座った体制のまま太腿に手を伸ばし、変形展開したホルスターから飛び出すハンドガンのグリップを掴む。
振り向くことなく銃口を扉へ向けた所で、対面に座るスケイルから叱責が飛んでくる。
「やめろ。ここは戦地じゃない。俺の部下だ、気配で分かる。銃をしまえ。セイジ」
「俺をそう呼んでくれるのは部隊の仲間とお前、明日香だけだったな。もう・・」
徐々に研ぎ澄まされ、鋭敏化していく感覚と共に思考が相手の無力化、及び殺害に最適化されていく中に冷や水を頭から浴びせられた様に平時の状態へと、まだ復讐心に囚われて無かったの頃の哀れで、無力な男の残滓に戻って行く。
「何をそんなに殺気立つ必要がある?何時ものお前らしくもない」
「昨日の核飽和攻撃の話が尾を引きずっているのかもしれん。俺は作戦を成功させられず、明日香さえも失った。もう二度と家族を失わないと決めていたのにこれだ。俺は兵器として生きるべきだと、無意識に思っていたのかもな」
「・・・入れ。その件は心配いらない」
「?」
「入ります。データの方ですが、少々時間がかかってしまい、申し訳ありません」
「構わん、急に事情も言わずにやれとだけ言ったこちらにも非がある」
白衣を着た神経質そうな顔立ちをした男性が、立ち上がったスケイルにクリップで纏まった書類を手渡しながら、こちらに視線を向ける。
「彼が・・そうなのですか?」
「ああ、俺の戦友だ。タフで戦意が人の形をとったような男だよ。お前も時機に目にするさ」
スケイルがこちらに手に持った書類を差し向けてくる。
「読んでくれ。お前の今の状態と、体に仕込まれた装備の詳細の情報だ」
手渡された書類を受け取り熟読し始める。
【セイジ・シノノメ(デッドマン)の生体情報・装備詳細】
・四肢は切除され強固な義肢に転換。義肢の材質はいずれもチタン合金と思われる材質の類似点が見られるも、相違点も幾分か診られる為、後程、詳細な研究解明が必要。
・胴体のCTスキャンの結果、内臓は心肺、消化器官等の生存に必要な主要器官が全て人工物に変更。要経過観察。
・胴体部の皮膚、頭皮や顔面の皮膚等も、何らかの遺伝子改造されている形跡あり。採取した細胞片から通常の人体では有り得ない再生能力を記録。
・脳の一部が電脳にされているらしく、それにより何らかの電子戦能力を獲得していると予想。左手のひらに電磁パルス発生装置とみられる装置を確認。
・右手の甲にマチェットサイズのタングステン鋼と思われる両刃剣が仕込まれているのを確認。本人の使用意思に反応して展開を確認。
・太腿左右に仕込み拳銃を確認。左方は本人の意思による展開を試みるも展開せず断念。右方は3点バースト機能が標準搭載された大型スタビライザー兼ロングバレルを装着したM93Rをベースに開発されたと思しき大型拳銃を確認。装弾数、期待威力値、使用弾薬共に不明。
・用途不明の開口部を両脚脹脛、外骨格型鎧に3点、足の裏にそれぞれ一つずつ確認。
「分からないのが分かっただけか?これ」
「そう言うな。幾つか判明したこともあるだろう?」
「・・・ひとまず、改造されていない所はないってのは良く解ったな」
「生命維持に主要な器官を人工物にまでして治してるって事は人並みの生活は送れそうだな」
「だといいがな」
読んだ書類を適当に目の前のテーブルに投げだし、神経質そうな男の両隣にいる人物に対しての疑問をスケイルに投げつける。
「で、そこに立つ小娘共は何だ?」
「一人はお前が良く知る人物の筈だ」
神経質そうな男の左手側にいる少女を観察する。癖のない黒髪を肩口に切り揃えた、十代後半程度のいかにも気弱そうな表情を見せ、オドオドとした態度を隠さない白いワイシャツにネクタイ、チェックのスカートを履いた少女に既視感を覚える。
「えっと・・お兄・・ちゃんだよ・・・ね?」
「!!」
聞こえた言葉に我を疑いながら、思わず硬直し彼女を見つめ返す。聞こえた声の主はもっと幼かったはずだが、その声色を俺は知っている。遠慮がちに失った両親の温もりを求めながら、決して自ら言い出せずに戦地の傍らで震えているしかできなかった幼かったその娘を俺は知っている。
「明日香・・?」
俺の声に反応して漸くその少女はオドオドした態度を改め、花の咲いた様な笑顔を見せてくれた。
「やっと会えた・・。長かったよ。寂しかったよぉ・・!」
震えた声で独白しながら、俺へと一歩ずつ歩み寄ってきたかと思うと涙を零しながら、しっかりと俺の胸元にしがみ付き両手を背中へと回す。俺もそれに応え、ゆっくりと彼女の小さな背中に両手を回し抱きしめる。
「ごめんなぁ・・独りにさせてごめんなぁ・・・俺も寂しかったよ・・。お前を想わなかった時はない。片時も忘れなかった・・・!」
柄にもなく震えながら涙を零す幼かった筈の義妹の姿に、込み上げる想いが募り、眦から止めどなく熱い涙が零れ
落ちる。
テロリストと戦っていた時も、死ぬ直前だって、片時も彼女の事を忘れた事なんてなかった。健やかに育ってくれと、夜は寒くて眠れていないだろうか、俺の姿がなくて泣いていないだろうか等どうでも良い事まで心配もした。復讐に囚われて、殺意で塗り固めて殺戮兵器に成り掛けていたこの俺を、人間に引き戻してくれた義妹をどうして忘れようか。
右手で幼き時にしてあげた様に、彼女の柔らかな髪を漉く様に撫で、一層強く抱きしめる。
「無事でよかった。立派に育ったなぁ・・明日香・・」
「うぅぅ・・・ああああ!!うわぁぁぁ!!!!!」
火が付いたように泣き始めた彼女を抱きしめ、あやす様に背中をトントンと優しく叩いてやる。幼い頃、両親に会いたいと泣いていた彼女にずっとしてきた事を懐かしく、温かな気持ちで行う。
もう二度とこの腕で抱いてやれないと思っていた義妹に、何度も何度もこの現実が嘘ではないと実感するように泣き止むまでずっと、彼女の小さな体を抱き締めて上げた。
幼かった義妹が大きくなって帰ってきたら、慕っていた義理の兄がサイボーグ。フランク・なんちゃらかな?(すっとぼけ)