田中龍之介に憑依したので全国三本指に数えられるスパイカーになるべく頑張る話   作:龍門岩

5 / 13
閑話:とある記者

 

 

 

 

 

 

『―――諦めない心』

 

『うーん、半分正解ってとこだな』

 

『半分…ですか』

 

『あぁ。正解は、成長し続けられることだよ。高坂、お前は努力したらした分だけ、必ず結果が着いてくる人間だ。既に最高到達点が350cmを超えてるのも、自分でわかっているだろう』

 

『それが……俺の力なんですか』

 

『あぁ。お前みたいなやつは、世界中探してもおそらくひと握り程度しかいないだろう。世界で活躍している名だたる有名プレイヤーたち、彼らも努力し続けて結果のついてくる……言わば天才だな。高坂、お前も天才の仲間なんだよ』

 

『自分ではよくわからないんですけど……』

 

『はっ、こういうことは自分でわかってたら逆にダメなんだよ』

 

『そういうもんですか』

 

『あぁそうさ。高坂、お前は成長し続けられる力がある。決して怠るなよ。向上心ってのは、誰にでもあるもんだ。だからこそそれを一番大事にしろ』

 

『はいっ!ありがとうございます監督!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『とある記者』

 

私は月刊バリボーという雑誌の編集を担当する者だ。毎年インターハイ、春高など、全国大会などで活躍した高校生、また大会前に期待できる選手など、様々なトピックを設けて紹介している。

 

ちなみにプロフィールを話すとすれば、歳は四十二で、妻子がおり、出身は東北の宮城県だ。その繋がりで実家帰りをしていた所、どうやら今仙台市で県民体育大会が行われているという。

バレーボールで宮城県と言えば、それなりの激戦区だ。誰もが知る絶対王者、二年生ながら全国に名を轟かせる牛島若利を擁する白鳥沢学園高校。その白鳥沢と毎年決勝で争っている青葉城西高校、その中でも注目はセッターの及川徹であろう。

今まで青葉城西は白鳥沢学園に勝ったことがないという。その悔しさは部外者の私でも感じるものであり、いつか青葉城西が白鳥沢学園を打倒するのを密かに楽しみにしているのも確かだ。

 

そんなことを考えながら車を走らせていたら、仙台体育館に到着していた。まだ始まったばかりのようなので、先程あげた注目の二校の試合はないかな、と思いながらも会場に入り観客席の最前列に座る。

県民体育大会はそこまでメジャーではなくテレビ中継はもちろん全国大会にも繋がらないので、よほどのバレーボールファンでない限り一般人は来ないのだろう。

 

周囲の声を聞くと、どうやら目の前にあるコートは烏野高校と伊達工業高校の試合らしい。

烏野は懐かしい名前だ。実を言うと私の出身校は烏野である。

今から約十年前だったか、烏野高校に黄金時代が訪れた。身長はたったの170cmで、最高到達点も全国と比べれば並。それでもコンパクトなスイングから繰り出されるパワーのあるスパイクと、類まれなる観察眼と視野から放たれるブロックアウトを狙ったスパイクはまさに全国一であった。その選手は『小さな巨人』と呼ばれ、瞬く間に烏野旋風を全国に巻き起こしていたな。

彼の名前はたしか………

 

おっと、試合が始まる。烏野には少し愛着があるので密かに応援しているが、周囲の声を聞くと意見は様々だった。

 

曰く、伊達工の鉄壁は並大抵ではない。

 

曰く、烏野の総合力には勝てない。

 

曰く、烏野には田中がいる。

 

曰く、烏野には龍がいる。

 

凡その勝利予想は半々だったが、何度も聞こえてくる名前は田中、また龍であった。受付で買ったパンフレットを開き烏野高校の欄を見ると、どうやら田中龍之介という名前で、まだ一年生らしい。

それでもここまで注目されるとは、どれだけの力があるのか。今までなぜ注目されていなかったのか。疑問はつきないが、ふと三年生がいないことに気づく。なるほど、チームの主体は二年生で大半が一年生というわけか、ならば確かに激戦区である宮城県大会は勝ち上がれないかもしれないな。

 

パンフレットを見ながら思考を回転させていると、大砲が放たれたかの如き轟音が私の耳に飛び込んできた。

 

なんだ!?

 

慌ててコートに視線を戻すと、どうやら話題の田中龍之介がサービスエースを奪ったようだった。音から推測するに、ノータッチだろう。

ひとまずパンフレットは隣の空席に置き、サーブのルーティンを始めた田中龍之介を見つめる。

一年生とは思えないほど様になっているルーティンは、全国に名を轟かせる超高校級のバレーボーラーと大差はないように見えた。

 

美しいフォームのジャンプサーブは、これまた凄まじい威力と音を奏でながらサービスエースになる。威力はもちろん、今のサーブはたまたまか分からんがコートの隅――コーナーという――に上手く決まっていた。

 

―――その瞬間に私は確信する。

 

逸材だ……っ!!

田中龍之介は、既に全国レベル!!

 

『堕ちた強豪、飛べない烏』

 

そんな評価はまさに笑止千万。

 

今後の宮城県大会。波乱があるとすれば―――

 

「彼ら、烏野高校かもしれんな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『古豪烏野高校に、"龍"顕現』

 

東北と言えば、私立白鳥沢学園高校の牛島若利選手を思い浮かべるだろう。アンダー19日本代表入はほぼ確実と言われ、力強く美しいフォームにより、その左腕から繰り出されるスパイクは正に大砲。

 

しかし私は、宮城県の県民体育大会という地方大会を観戦して彼に並ぶほどの一人の選手を発見した。

 

烏野高校一年、田中龍之介選手である。

弱冠十六歳にしてそのプレーの一つ一つは洗練されており、成長次第では今後の全日本バレーボール男子を牽引していけるポテンシャルを持っていると、私は感じた。

 

今後の烏野高校、そして田中龍之介選手には要注目だ。

 

 

 





原作開始前は前話で終わり、この話は繋ぎです。
月刊バリボー編集者(記者?)の方の視点でお送りしました。

田中の二つ名が"龍"になりましたね(そのまま)

次回から原作に入っていきます!やったぜ!
ただ、少しアニメでいう一期の記憶が曖昧なので勉強してからきます。なので次話投稿が遅れるかもしれませんがご了承ください。

高評価、お気に入り登録、感想、たくさんお願いします!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。