いつもより日にちが開いての投稿。
それも○○に響く敵キャラが居る大奥とエイプリルフールが悪いんだ(八つ当たり)
※この話は特別なギャグ時空です。この物語の設定とか細かいことは気にしないでください。
リクエスト【幼児化したマスターをお世話する虞美人さん】
※作者の書きやすさによりマスターは言葉を普通に発せられる程度の年齢です。
私は幼児化したマスターの面倒を見ている。
詳細はあまり語りたくないので端的に言うが、英雄王の宝具の一部がなにかの手違いでマスターの手に渡り、なにかの不具合でマスターがそれの効果を受けた。ある程度経てば元に戻るらしいが、問題と言うべきは溶岩水泳部を始めとしたマスター
ちなみに何故私はマスターの面倒を見ているかと言うと、単純にその騒動の際に私がマスターの近くに居て、ロビンの緑マントを借り受けて逃げることができたからに過ぎない。……そうでもなければ、私が
「おねーちゃん、おなまえは?」
「……ヒナコよ」
「そうなんだ! ぼくは、りつかっていうの」
「……そう、自己紹介出来て偉いわね」
私の言葉にマスター(幼)は嬉しそうに飛び跳ねた。
……私は子供は苦手だ。元より人間が嫌いであるのもあるが、子供相手は正直どうすればよいか分からない。項羽様との間に子は授かっていないうえに、幼子を相手にすることも少なかった。
子供は素直で、無垢で、残虐で、恐怖を前にすれば泣き、気に入らなくても涙を流す。数年とはいえ人間として育てられたがゆえに、子供はその時代と親の影響が色濃く反映される。力を持たぬが故に害になることは無くとも、私にとっては人間の善性と悪性の塊。故に子供は苦手だ。
「ヒナコおねーちゃんも、いっしょにあそぼ?」
そう言いながら幼きマスターは辺りを見渡し、近くにあった大人の手のひらサイズのボール(柔らかい)を両手で持ち、私を見てくる。……さて、どうしたものかしら。
どうせ数日で戻るのならば、ここで相手をする必要はない。元の姿に戻るにしても記憶が残るにしてもマスターにとっては気恥ずかしさが残るだろうし、残らないのならば残らないで問題は無い。別に泣かれても泣き疲れたら寝るだろうし、とりあえずこの
「……へ?」
「わーい、ヒナコおねーちゃんがおにだー! にげろー!」
「ちょ、待ちなさい! 遊びって蹴鞠とか
幼きマスターは私の言葉に対しても何故だか嬉しそうにしつつ、部屋から逃げ出した。……しまった、鍵をかけ忘れていた!?
慌てて私も部屋を飛び出す。幸い子供の脚力なのですぐに見つかったが、私が捕まえると幼きマスターは不満そうに「ボールを当てないと駄目なんだよー」などと言う。挙句は「おとうさんが、それはひきょうっていうんだーっていってたよ」などと言う。……へぇ、卑怯とは言ってくれる。いっそのことこの幼きマスターに対して色々と吹き込んで、元に戻ったマスターの深層心理に私は偉大であると思い知らせてあげたり、普段知りえない事を聞いてマスターの弱みでも握ろうかしら。大人気ない? 違う、これは教育だ。せっかく私が面倒を見る破目になっているのだ。その対価としては充分だろう。
そうと決まれば話は早い。私は幼きマスターを部屋に戻し、今度こそ鍵をかける。ふふ、教育の始まりよ。
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「せんぱいは、うやまうモノ?」
「そう。年上、特に同じ職場の人の言うことは聞きなさい」
「うやまう、ってなに?」
「……凄いってことよ」
「このこうう、ってひとがおねーちゃんのくにで一番なの?」
「ええ、そうよ。項羽様は偉大。覚えなさい」
「いだい、ってなに?」
「……とても凄いってことよ」
「テレビゲームはやりすぎはだめだって、お父さんがいってたよ」
「お父さん、ってどんな人なのかしら」
「どならないし、ぼうりょくもふるわないけど……こわい」
「そうなの?」
「うん、まえもお母さんが“お父さんのことばはせいろんだからおそろしいの”っておびえてた」
「……なんとなく力関係が見えるわね」
「お父さんやお母さんと離れても寂しくないの?」
「だいじょうぶ。またいつかあえるなら、いまをたのしみなさい、っておかーさんが」
「……そう、立派なお母さんね」
「あと、今のうちにおとなの女のひとにあまえてとっけんをたのしみなさい、って」
「それは忘れなさい」
「あと、むねの大きいひとはとびこみなさい、って」
「それも忘れなさい」
「おいしい!」
「本当に?」
「うん、ヒナコおねーちゃんっておりょうりじょうずなんだね!」
「ふふ、当たり前よ」
「昔々ある所に……」
「むかし、ってどのくらいまえ?」
「えっ………………昔は昔よ。そういった感じよ」
「よくわからない」
「眠くならないの?」
「ねむくならないときは、よくお母さんがうたをうたってくれる」
「歌…………ロック? ちょっと待ちなさい、カドックの部屋に楽器があるかも……」
「よくわからないけど、ちがうとおもう」
「……おねーちゃん」
「どうしたの?」
「て、にぎって?」
「……ええ、いいわよ。お母さんだとでも思いなさい」
「……うん!」
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「あ、マシュ。藤丸くんは見つかったかい? 反応じゃこの辺りなんだけど……?」
「しーっ、お静かにドクター。起きてしまいますから」
「え? ……へぇ、珍しい光景だ。サーヴァントは寝なくても良いはずなのにね」
「ふふ、微笑ましいですね。ちょっと羨ましいですけど」
「彼女の逆側なら入れるんじゃない?」
「いえ、私が入っては起こしてしまうかもしれませんから」
「そうだね。そっとしておこうか」
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※この話は特別な時空です。この物語の設定とか細かいことは気にしないでください。
リクエスト【不老不死の仙丹を受け取った藤丸立香の葛藤と相談】
マスターは始皇帝から受け取った不老不死の仙丹を手に持ち思い悩んでいた。
始皇帝は自由にするようにと言い、マスターに渡したらしいが、私が思った以上にマスターは扱いに悩んでいるようだ。
普段のマスターであれば迷わずに“使わない”という選択をするだろうが――恐らくマスターが悩んでいるのはマシュの寿命関連が影響しているのだろう。
マシュはカルデア実験の被害者と言われるべき存在であり、魔術回路を弄り、投薬や実験が繰り返され、肉体は生まれてから18年で寿命を迎えると計算されている――つまり、マシュの命はもう一年足らずしか存在しない。その事実を受けたマスターは、気を使わせまいとマシュの前ではいつも通りに振舞っていた。事実として振舞えてはいるのだが、彼女の見えない所で思い悩んでいることが多かった。
そしてその矢先に受け取った不老不死の仙丹。誘惑されるには充分すぎる材料であり、どうすればよいかと私に相談をしに来る程度にはマスターも思い悩んでいた。……
「やめなさい」
――とは、私はマスターに言えない。
私とてマシュに死んでほしいわけではない。だからと言って、私と同じ
……思い返せば、シンでの彼女が寿命問題を解決したかも分からない。無理に寿命を延ばせば数年は
そもそも
「俺は、マシュに死んでほしくはない」
「……そう」
「かと言って不老不死になって喜ぶとも思えないし、断られると思う」
「そうね」
「無理に渡せばあのマシュですら一生恨むかもしれない。“それでも生きて欲しかった”なんて言えば聞こえは良いかもしれないけれど、それで俺が死んだらただの責任逃れの自己満足だ」
「ええ」
「……いや、どちらをとっても自己満足かな、これは。人として生きることを望む、とか、不老不死でも生き残ってほしい、とか。どう足掻いても俺の感情から来る自己欲求だ」
「だったら思考を放棄して流される?」
「意地悪を言いますね、虞さん。確かにそれだと楽かもしれないですね。でもそれだとマシュや虞さんにも嫌われてしまうじゃないですか。逃げるのは楽ですけど、この逃げるは苦しいですから。なにも解決せず逃げるだけの選択は嫌です。逃げるのも嫌で、マシュが死ぬのも嫌です」
「嫌、嫌、じゃなんの解決にもならないわよ」
「ええ、でもみっともなく問題から目を逸らして逃げた結果、なにも納得できないようなら、嫌だと言う感情だけで少しでも解決する道筋を見つけたいです。思考を停止せずに、考えて、考えて。諦めずに全部の問題を……あ」
「どうしたの?」
「――そもそも、まだ諦める必要はない訳か。マシュと楽しい時を過ごすのも、マシュの寿命を延ばす方法を見つけるのも、人理修復を成しながら同時に色々な問題を解決する手段を見つけ出すのも、まだなにもかも終わった訳じゃないのか。少なくとも始皇帝さんから貰った仙丹に手を出さない他に道筋は無い訳じゃないのか」
「言葉にするだけなら、夢物語よ、それは」
「ええ。でも諦めるのは、もう少し頑張ってからでも遅くない訳ですから。夢であるならば、叶えようとしないとマシュの“先輩”らしくないかな」
マスターはそう言うと、目を瞑って自身の両の頬を手で叩き、大きく息を吐いた。そして目を開くと何処か決意をした表情になる。……よし、いつものマスターだ。
「話を聞いてくれてありがとうございます、虞さん。ちょっとスッキリしました」
「そう。ならお前はどうするつもりかしら?」
私の問いに対し、マスターは一呼吸置き、「そうですね」と一言前置きをして笑顔で答えた。
「マシュのために今できることを、やるだけです」
リクエスト話はもう少しありますが、次回は恐らくリクエスト話以外になるかと思います。
期待に沿えるようなリクエスト話を書こうと思っています。リクエストされた方の期待に添えていれば幸いです。
大奥イベントストーリー楽しいです。
……え、カーマさん? 知ってます、ホームセンターですよね。泣き顔が良いサーヴァントとかでカルデアに居ませんよね。