そして虞美人さんがの紅閻魔さんのちゃん付けは親しいからちゃん付けなのか、紅閻魔さんが幼い感があるからちゃん付けなのか、それが問題だ。
ある時に私はとあるサーヴァントの自室へと訪れていた。
彼女は初め私とは相容れない存在――と言うよりは、私が関心を持たないサーヴァントであった。
彼女は誰とでも平等に接し、戦わない存在に対しては優しくし守り、その者が生き残るため厳しくもする。人理修復中の今では最も頼れる存在の一基と言え、彼女がよく分からない
そんな人理の守り手の象徴と呼べる存在に、私から接することは無いと思っていた。
「……大丈夫?」
「……はい」
だが、現在の私は自らの意志で彼女へと話しかけていた。
常に余裕を持っていた彼女は落ち込んでいた。理由は私にも理解できることであり、あのマスターやマシュ、ドクターも今の彼女を見たらどう声をかけて良いか分からないかもしれない。しかし彼らの前では毅然と振舞っていた辺り、彼女の英霊としての品格が伺える。
私は彼女になんと声をかければよいのだろうか?
確かに彼女は生前に周囲から理解されることが無かった所が項羽様と共通するとはいえ、彼女と接する方法が分かるわけでもない。……えんまちゃんであったならば分かっただろうか。いえ、今はそういう問題ではない。なにせ彼女には――
「……
「……サーヴァントユニバースの文系バーサーカーって、なんでしょうね」
「……なにかしらね」
彼女の
しばらくの無言の後、アルトリアを連れて食堂へと向かっていった。
いつもより遅い時間で誰も居ないはずだったが、一人だけ居たエミヤがいつもより豪華な食事を用意してくれた。
◆
ある時……謎のヒロインXオルタが現れた翌月、アルトリアの性別が違う
モードレッドにとっては男の父であり、アルトリアにとっては史実として語られていると言える存在であり、全く関係ないとも言えるので別側面とは言えない存在であり……なんだか疲れた。考えるだけ無駄な気がしてきた。
アルトリアはあのサーヴァントに対しては好意的なので、この件は無視していいだろう。
……何故か不思議と、彼女と同一存在は増える気がした。このカンが外れることを祈ろう。
◆
ある時、カルデアでマスターの取り合いが勃発した。
事の発端は先日の特異点騒ぎが原因であり、幕府と新選組のどちらに付くかと言うヤマトのサーヴァント2基の取り合いによるものであったという。それがドンドンと大きくなり、噂になり、カルデアに広まった。最終的には「藤丸立香が一番のサーヴァントを決める」になり「藤丸立香と共に過ごし続け、なんでも言う事を聞いてくれる」などというものになった。絶対に誰かが面白半分で広めたに違いない。
それはマスターへの献身が異常なサーヴァントや
ドクターはマスターに言われてカルデアスタッフを避難させた。
ダヴィンチは真っ先に封じられた。
マシュは護衛に回って
ムニエルは一定のサーヴァントに協力した。
戻ったドクターは倒れた。
まさに阿鼻叫喚である。ダヴィンチが封じられる間際に宝具を凍結したので(まだ)大事には至っていないが、この事象をどう片付けようか。
まずはドクターをやけに心配をする褐色ケモ耳娘に預けて、ダヴィンチはムニエルに押し付けるとして……
「我が子のように愛している
……よし
「寝ましょう」
流石に私もこの騒ぎを鎮めるのは面倒である。
幸いマスターと避難したカルデアスタッフの尽力のお陰で騒動は静まりつつあるし、これ以上関わってもどうしようもないだろう。ちょっと
「でも、なんでも……ね」
けれども少し惜しいことをしただろうか。
マスターに恩を売り、なにか一つ言う事を聞かせた方が良かったかもしれない。
「……バカみたい」
◆
「日本人は
ある時、ロビンフッドがエミヤを含めた
確かに
最近のカルデアでは
ライコウや金時などは最新の
タコやイカを食べるなど考えられない圏のサーヴァントにとっては異様な光景だろう。……いえ、よく考えると
「割と美味しいよー」
「はい、美味しいですね、先輩!」
そして唯一のヤマトカルデア職員の藤丸立香と食に対する偏見の少ないマシュも混ざって美味しそうに食べる。カルデア職員の一部はその光景を見て「これが特異点を超えた精神力……!」と驚いているが良いのだろうか。……まぁ、ゲイザーの目玉焼き(比喩ではない)やデーモンの生き血ゼリー添えなどと比べたらマシだろうけど。マスターにとっては比較的慣れているご馳走なのだろう。
「エミヤ、私もマスターと同じものを」
「了解した」
「な、中国も似たようなものなのか……!?」
ロビンが私の行動を見て驚愕しているが、別に気にしなくていいだろう。芥ヒナコになっていた頃に日本人としての知識や食は最低限得たから元々抵抗もないし。
「アジア圏の人間は皆
「……そうなるとヒナコさんも変態になるんでしょうか」
待ちなさい、マシュ。その理屈は無視できない。
おそらくカルデアにヤマトの職員は
確かに美味しいと評判の
若干不安にはなったけど、エミヤの料理が美味しかったので不安は無くなった。……後でマシュにはそれとなく変態容疑を外しておこう。
「海魔のゲソ焼き……くっ、頭が……!?」
あと、ディルムッドが頭を抱えていた。何故かしら。
◆
「マッサージをしましょうか」
ある時、マシュの一言に嫌な予感を感じた。
私がある
マシュのこの言葉は疑いもなく善意100%のセリフだと理解している。理解しているのだけど……おかしい、マッサージと聞いた途端に暗殺拳が殺す勢いで襲い掛かるイメージが湧いた。同時にサングラスの老人も。
落ち着こう、私。ここは閻魔亭でもなければ相手はマシュだ。いくらデミ・サーヴァント化しているとはいえ、マッサージで
「そうですか……李書文さんに教わったツボを押す技術を活かそうと思ったのですが……」
不思議と命拾いをした気がした。いえ、命を拾うことは私にとって良い事なのかしら……?
それならばマスターにでも腕を披露しなさい、と言うとマシュは「そうですね!」と笑顔になりお辞儀をしてから去っていった。
「さて、と」
私は再び見ていた
私は部屋に入ると辺りを見渡し目的のものを一瞥だけし、
そこに書いてある情報と自身の文字を改めて確認をし、私は一度目を閉じた。
「始めようかしら」
◆
おまけ
「芥ヒナコ……ね。面倒だけどヤマト出身ならある程度の知識を学ぼうかしら。ボロが出るとまずいでしょうし」
「あら、これって人間にとって毒だったはず……克服したのかしら」
「え、何故毒が無効化したか分かっていない?」
「え、ナマコを生で……海苔ってあの海にある……馬を生で……?」
「雲丹? 白子? 珍味? 飢餓じゃなく好んで食べるの?」
「……私の経歴変えようかしら」
何を始めるかは、今後判明(予定)
途中の争奪戦台詞は主に絆5セリフです。