やはり今日も燃え盛るくらいに熱い灼熱地獄の熱を肌で感じ取っている地霊殿のある日、
「ねぇ蒼蔦、肉まん食べたい!」
「......お、おぅ?」
先日勇儀さんのお陰で完全修復されたキッチンで食材の整理をしているとおくうが扉をバーン!と開け放ち目をキラキラと純粋な子供のように輝かせて顔を近づけてきた
そういえば肉まんって幻想入りしてたんだっけ...
何か最近あの自由なスキマ妖怪様が幻想郷にポンポンと様々な外の世界のモノをスキマを経由して持ってくるので何が幻想入りして何が幻想入りしていないかの基準が少し曖昧になってしまい困っている
「ちなみにその、肉まんって食べ物のことは誰から聞いたんだ?」
「早苗ちゃん、神社でもご馳走してもらっておいしかったよ!」
「あいつかァァァァァ!!」
すみません紫さん、今度お詫びに肩でも揉みますので
俺は一番に疑った人物に届くはずのない謝罪を明後日の方向にとりあえずはしておいた、して損はないと思う
「それで他にも豚まんとかカレーまんとかエビまんとか蟹まんとかアンパンまんとか種類がいっぱいあることも教えてもらったよ!」
「何かおかしいの混ざってないか!?というかお前はいっつも仕事の後一体何をしてるんだよ!!」
「うにゅ?外の世界のこと教えてもらったり早苗ちゃんの持ってる男の人と男の人が抱き合ってる本を一緒に読んだり...て蒼蔦、そんなでかい包丁取り出してどうしたの!?」
「いや何、守矢神社と少し戦う理由ができたからな...」
迂闊だった、まさか早苗の奴が腐女子的趣味があったとは!
今度からおくうを守矢神社に仕事に行く際少し注意しておかないと!
「ねぇ蒼蔦、肉まん作ってよアレ本当にもの凄くおいしかったんだよ、ちゃいにーずの料理はとても美味しいって早苗ちゃん言ってたし!」
「あいつ曲がりなりにもジャパニーズだよな!?」
「蒼蔦作ってよぉ〜」
「あぁ、もう、わかったから涙目で制御棒を眉間に当てるのやめてくれ、本当に死んじゃうから!」
やったー!と制御棒を外し嬉しそうにヨダレを垂らしながら一人喜ぶおくうを見てると何だが本当に物理的に世界を滅ぼせる力を持ってる少女とは思えなくなるんだよな、いや本当に...
俺は先程取り出した全長三メートルの中華包丁を戸棚に仕舞い肉まんを作るために先日にとりの工房で共同制作し完成した冷蔵庫を開き材料を探す、中々無駄のない動きに見えるかもしれないが実は俺、肉まんを作るなんて生まれて初めてである
外の世界ではロー○ンとかセブ○イレブンとかで簡単に購入して食べてたし...
見た目からして一先ず生地を作ってそれで中身の具材に豚肉と秋姉妹から頂いた野菜、それで油とみりん、にんにく、醤油、辛子...
「.....食に関してはかなり充実してるな幻想郷」
おそらくあのスキマ妖怪が持ってきたのだろうが幻想郷は外の世界でいう江戸時代辺りの時代背景である
まぁ海外はもっと発達していたんだろうけど、よく見たらどっかで見た銘柄のモノばっかだし...ん?
「あれ、豚肉ってどこに入れたっけな?」
「蒼蔦、豚肉ならお燐がおやつに炙ってペットと一緒に食べてたよ」
「猫ォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!あの豚肉滅茶苦茶高かったんだぞォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!」
届くはずのない悲痛の叫びがキッチンに広がり反響する
おそらく今も無縁塚辺りで死体採取にでも趣味に没頭してるんだろうな畜生、あの豚肉特価セールで安かったけどそれでも3500円だぞ!
しかも10kgだぞ!どうやったらおやつに消えてなくなるんだ!?
俺は豚肉に代用できるモノを探すが生憎だがそんなモノは我が地霊殿の冷蔵庫にはなかった...
「畜生、あの猫覚えてろよ...フフフフフフフフフフフ....」
「そ、蒼蔦??」
俺がブツブツと恨み言を呟き負の笑いを浮かべると珍しくおくうがあたふたしている
どうやらこの怒りは相当なモノらしいな、今度あいつの財布から5000パクッとこっと!
「仕方ねぇ、豚肉がないなら旧都まで買いに行かないとな...」
「私も行くー!」
「いいけど問題起こすなよ」
「何、その私が行く度に旧都の酒場が吹き飛んだり鬼たちにトラウマ植え付けたり試食コーナーの食べ物が全部なくなったり店が全部閉まっちゃうようなことが度々起こっているような言い方、失礼よ!」
「全部事実だろうが!しかも自覚してんのかよ、余計にタチが悪いじゃねぇか!」
「私悪くないし!」
「この期に及んで無罪主張だと!?」
もう頭が痛くなりそうだ...
実際あいつが壊した酒場の修理とか鬼たちのトラウマ治すためのカウセリングとか試食コーナーは、まぁいいけど店が閉まった後も旧都の人達に謝ってんの全部俺だからな...
最近じゃあ問題全部俺に押し付けりゃオッケーみたいな方程式まで完成してしまってるし...
「お願い!今回は制御棒出さないし能力使わないって約束するから!」
「.....それも何回目だか」
「うにゅ〜...」
俺はため息を一つ吐いて、割と本気で落ち込んでしまっているおくうを見る
実際こいつ本人には悪気はないんだがテンション上がると周りが見えなくなっちまうんだよな
それに能力も今じゃ制御できてるけど偶に調子に乗って暴走するのもおくうが悪い状況も少ないし
「約束できんのか?」
「ぅ、うにゅ?」
「旧都で制御棒と能力を使わないこと、約束できるなら一緒に来い」
「.....!」
「俺も久々に肉まん食いたくなってきたしな、ついでに食材も調達したいし」
「うん!約束する!」
おくうは眩しい無邪気な笑顔を浮かべながら大きく縦に頷く
そしてキッチンの扉をバーン!と開け放ち閉めるのも忘れ走り去って行く
俺はそんな後ろ姿を見守りながらエプロンを外し財布をポケットに入れてキッチンからリビングへ移動した
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