東方地底生活記   作:Cr.M=かにかま

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久々の更新、そしてもう一人の外来人登場!


一八/親しき友にも礼儀ありっていうこの言葉を考えた人は本当に天才だと思っている!

現在俺たちはメイド長の咲夜により紅魔館の客室に案内されている。

え?門番との謎にシリアスに持っていった戦い(笑)はどうなったかって?

そんなの咲夜の介入によって丸く収まったよ、彼女のチート能力のせいで何もかもが終わったころには美鈴なんて頭から下地面に埋まってたし。

彼女、紅魔館のメイド長十六夜咲夜は人間でありながら超人的な身体能力と「時間を操る程度の能力」というチート染みた人外の力を有している。しかも操る対象は時だけではなく空間も対象となるようで、そのせいで紅魔館は外観と合わない部屋の広さとなっており同時に迷路のように複雑な作りになってしまっている。

あれもこれもレミリア嬢のご要望らしいのだが本人ですらも迷うことは多々あるらしい。

 

「ではお嬢様方を呼んで参りますのでこちらでゆっくりしてお待ちください」

 

扉を開けて俺たちが部屋に入るのを確認すると、彼女は俺たちの視界から急に消え去る。

本当チートな能力だと思う、ていうか態々能力使ってまで呼びにいかなくてもいいんじゃないのかな?

 

その後、ゆっくりくつろいでくれと言われたものの数秒程で扉がコンコンとノックされてしまったのでゆっくりと休む暇すら与えてくれなかった。

応答もなしに扉は吹っ飛び一人の少女が俺に向かって飛来してくる。七色の宝石のようなモノを羽の代わりとし翼の骨格を形成した異形の翼を持ち金色に輝く髪をサイドテールにした少女が.....!

 

「そぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁつぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」

 

「ちょ、フランドール嬢、まだ準備ってやつが、ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

俺はお星様になったようです。

 

 

 

「ご、ごめんなさい」

 

「いや、いいんだフランドール嬢。大した怪我じゃなかったし、俺の不注意もあったからさ」

 

「.....背骨打撲と肋骨の数本骨折のどこが大した怪我じゃないのか」

 

数分後、霧の湖に落下したらしい俺は咲夜に回収されたようで何とか紅魔館に戻ってこれた。

目の前で顔を俯かして今にも泣きそうな顔のフランドール嬢はレミリア嬢の妹で、つい数ヶ月前までは狂気に支配され今の大人しい(?)性格ではなく破壊と殺戮を楽しむ危険な状態だったとは俺はとても思えない。

俺自身も体の半分を改造したサイボーグなのでそこまでのダメージはなかったのだがさとり様とこいし様は大いに心配してくれたらしい。

 

「まったく、本当に蒼蔦さんは注意力と回避力が足りませんね。帰ったら勇儀さんに頼んで鍛えてもらってはどうでしょうか、生き残るために」

 

「本当だね。蒼兄は男なのに弱いって本当にダメだよね。いくら妖怪と人間のハンデがあったとしても少しくらい強くないと」

 

..........えっと、彼女達は本当に心配してくれたのでしょうか?

俺はレミリア嬢の方に目を向けるとプイッと顔を逸らされてしまった。

咲夜に至ってはニヤニヤしながらざまぁ見ろ、みたいな表情を浮かべてるし.....

 

「ま、フランちゃんもちょっとは気をつけた方がいいよ。俺も受け止めるのに命張ってる時もあるからさ、自分の力はきちんと制御しないと」

 

「うん、私頑張る」

 

それはよかった、とボサボサと寝癖のついた深緑色の髪で右目を隠しているスーツを着崩した青年....?

ん、青年??

ちょっと待て、そこでフラン嬢の頭をなでなでしている青年は一体誰だ?紅魔館に男はいなかったはずだぞ、俺の記憶が正しければ。

 

「ちょっと待て、あんた誰だ?」

 

「あ、やっぱ気になる?結構自然な流れで参加したから気づかれてないと思ってたんだけどな〜」

 

青年はヘラヘラと笑う、どうやら本当に気づいてないと思ったらしいな。

咲夜は顔に手を当てて何故かため息をついてるし.....

俺たちが疑問に思っているとレミリア嬢が彼の前に立ち高らかに笑みを浮かべる。

 

「蒼蔦、彼もあなたと同じ外来人よ。つい先週くらいに幻想入りしてきて今ではこの紅魔館の執事として働いてもらってるわ」

 

「鰊原浚(かどはらしゅん)で〜す、咲夜ちゃんには頭が決して上がらない健全な青少年で紅魔館の執事してま〜す。ちなみに好きな食べ物は人里にある団子屋の団子で11月11日生まれ、さそり座のB型。趣味は三味線で得意料理はナポリタン、ついでに言えばこの紅魔館の中は広すぎるので未だに覚えられません☆」

 

.....何とも必要以上の情報を提供した自己紹介だった。

 

「こ、個性的な人ですね」

 

「あはは、よろしくね〜」

 

さとり様は苦笑い、こいし様は打ち解けあったみたいで握手をかわしてる。

 

「咲夜、お前あいつに一体何をしたんだ?」

 

「別に、ちょっと紅魔館内の掃除をお願いしたり体慣らしの為の対戦相手になってもらったり新作スペルカードの実験体になってもらったりしただけよ?」

 

「うん、十分すぎる理由だな」

 

咲夜はコクリと首を傾げるが幻想入りして一週間ちょっとした経ってない者にこちらの世界の戦闘や技術を浴びせることは少し酷な気もするが何だかんだで乗り越えて馴染んでるあいつも凄いと思う。

俺だったら絶対に無理だ。うん、地霊殿で本当によかった。

 

「そういや蒼蔦君、君も外の世界からやってきたんだよね?」

 

「あぁそうだ、半年くらい前からかな」

 

「そう、結構長いんだね」

 

鰊原は笑みを崩さずに話しかけてくる、どうやらかなり無邪気な青年のようで上手いことこの紅魔館に馴染んでいるようにも見える。

その前にあのレミリア嬢がよく咲夜以外の人間を紅魔館に住まわせることを許したことに驚きを隠せない。

彼女、紅魔館の当主レミリア・スカーレットはプライドの高い吸血鬼で本来であれば外来人など取って血を吸い尽くすはずなのだが。

彼女の気まぐれがうまく働いたのかもしれない。

 

「お前も頑張れよ、この幻想郷は生半可な覚悟で生きていける世界じゃないからな」

 

俺は新入りにそう忠告した、それでも彼は笑みを崩さなかった。

 

「安心してよ、その言葉は一週間前にも咲夜ちゃんから言われてるからさ。それにこんな面白い世界に来られたんだから俺としても簡単に死ぬのはつまらないからね」

 

彼、鰊原はニヤリと猫の目のように目を吊り上げて覚悟の光を込めらせて真面目な表情で、それでいてどことなく楽しそうに返事をした。

 

 

 

親睦会も終わりに差し掛かった時、俺はレミリア嬢に呼び出され別室で二人っきりになっていた。

 

「それで、一体何の御用でしょうか?」

 

「まぁそう硬くならないで、浚までとは言わないけど少しは楽にしなさいな」

 

「.....それもそうっすね」

 

俺はレミリア嬢の言葉に頷き目の前のティーカップに手を伸ばす。

 

「蒼蔦、あなたをここに呼んだのはあなたの能力について話をするためよ」

 

「俺の、能力?」

 

「そう、あなたは気がついてないようだけど蒼蔦、お前はその身に能力を宿している」

 

「どういうことですか、俺はそんな感じ全然ないですよ」

 

「でしょうね、だからさっき私は自分では気がついてないって言ったはずよね?」

 

レミリア嬢は咳払いを一つする。

 

「私もあなたの能力については詳しくはわからない。だけど何処か私の能力に近いモノを感じるわ」

 

「レミリア嬢の、能力と?」

 

レミリア嬢の能力「運命を操る程度の能力」、それに俺は近いモノがどうやらあるらしい。

 

「発現は、俺次第ということですか?」

 

「そうなるでしょうね、でも浚は既に能力を手に入れているわ。彼の適応性といい成長速度といい本当に外来人なのか疑いたいわね」

 

「あいつが.....」

 

「話はこんな所かしらね、そろそろ皆の所に戻りましょう」

 

レミリア嬢は静かに立ち上がった。

俺はすぐには立たずに少し悩んだ、もし自分に能力があるというなら少しだけ喜ばしいことである。

しかし半年近くも能力が発現することもなく今に至るため、その自分次第というのはどうすればいいのだろう?

鰊原は幻想郷にやって来て一週間たらずしか経っていないに関わらず自分の能力を見つけ出している。

彼は何をしたのだろうか、そして彼の能力とは一体どのようなものなのだろう?

 

「蒼蔦〜」

 

俺が思考の海を彷徨っているとレミリア嬢が声をかけてくる、どうやら俺のことを待っていてくれたようだ。

 

「すみません、すぐに行き」

 

「と、届かない」

 

ドアノブに手が届かずにただ背伸びをして悪戦苦闘しているだけであった。

 

 




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