「どうも、いつもでお馴染みのニコニコゆかりんのスキマ宅配でーす☆お荷物を届けに来たのでこちらにサインをお願いしまーす!」
「うん、何しに来たんだよ。ていうか何だよそのキャラは」
地霊殿にある一室のベッドで寝転がって外の世界から辛うじて持ってくることのできたソ○ーのウォーク○マンで音楽を聴いていると、俺の目の前つまり天井に穴が開いたと思えば空間に歪が発生し、その中から幻想郷の創世者である八雲紫(やくもゆかり)が某超能力都市の序列第五位みたいなキラキラした瞳でウィンクをしながらやって来たのだ。うん、普通に吐きそうだった。
「もぅ、ノリ悪くない?」
「悪くないし可愛くもない。若作りすんのは勝手だけど、そんなのは自分の式の前だけにしとけよ。見てるこっちが恥ずかしいから」
「.....この前藍と喧嘩して今冷戦状態なのよね。橙も寺子屋の友達と毎日のように遊びに行っちゃってるし」
「どうせ原因は百パーセントあんたなんだろ?」
うぅぅ、とドンヨリとした雰囲気で部屋の隅に蹲る幻想郷最強(?)のスキマ妖怪。俺としては彼女の家庭事情になど一切興味がない上に彼女が何故ここに突然やって来たのかもわからない。とりあえず両耳からイヤホンを外すことにした。
「それで今回は一体何を押し売りに来たんだ?基本的に地霊殿はセールスお断りだぜ?」
「いやいやいやいやいや、ちょっとは同情してよ!?こんな可憐な美少女が体育座りしてイジけてるのよ!励ますとか何かあるでしょ!」
「自分で美少女って言ってたら世話ねェな、ていうか本当に用がないんなら帰れよな。俺、あんた嫌いだし」
「結構傷つくこと言ってくれるわね!」
俺は笑みのないジト目で紫を睨みながら静かにイヤホンを付け直す。
「ちょっと待って!本当に荷物あるから、さとりちゃんが宅配頼んだ荷物あるから!」
「.....さとり様が?だったら直接本人に渡せばいいだろ」
「あなたから渡した方が面白いことになりそうなのよ!だからお願い、協力してぇぇぇぇぇぇ!!」
「うわ、ちょ、泣きついてんじゃねぇよ!」
結構ガチで涙を流しながら飛びついてきた紫を必死に引き剥がそうと持てる力の全てを持って手を前に突き出す。途中、俺の右手は何やら柔らかい物体に触れた気もするがどうでもいいのでこの際スルーしよう。
「えぇー!そこスルーしちゃうの!?読者の期待全力で裏切っちゃうの!?」
「うるせぇ、さっさと帰れ!」
「じゃあ、これさとりちゃんに渡しといてね。それじゃ☆」
紫はそう言うとダンボールを一つ置いて投げキッスのオマケ付きでスキマへと姿を消した。
彼女の能力である「境界を操る程度の能力」はあらゆる境界を操作し弄ぶというチート染みた能力だ、どうやらあの能力で外の世界にも度々行っているらしいがそれでいいのか妖怪よ。
俺はまったく、と悪態を付きながらダンボールを持ち上げる。
中身はわからないがそこまで重いものではなく、片手でも持てる重さだった。何が入っているのか気になるところではあるがとりあえずさとり様の所にコレを持っていくことが先決だと判断する。
.....紫の思い通りになるのは嫌だが俺から渡した方が面白いとは一体どういうことであろう?
※
「さとり様ー、失礼しますよー」
一応ノックを二回鳴らしてさとり様の部屋に入る。読書の好きな彼女は部屋一面に本がありジャンルも様々でかなり幅が広い。
紅魔館の大図書館には負けるが俺もたまに本を借りにくることがある。
さとり様は俺の目の前で眼鏡をかけながら本を読んでいた。
「蒼蔦さん、どうしたんですか?何か悩み事でもあるんですか?」
「いや、そういうわけじゃないんスけど。紫が荷物を持ってきたのでそれを届けに...」
瞬間、さとり様は驚愕に表情を変えて手に持っていた本を床に落下させてしまった。オマケに頬を真っ赤に染めたと思えば眼鏡までも不自然にズレてしまった。何故だ!?
「あ、あの〜さとり様?」
「ななな、ななななななななんでしょうかぁ!?別に私はレミリアさんに勧められただけで私個人の趣味とかそんなんじゃありませんからね、蒼蔦さんんんん!」
うむ、意味がわからん。
「いや、あの、さとり様?一体何のことでしょうか、レミリア嬢がどうかなされたんでしょうか?」
「はぅわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!は、早くそれを置いてここから去りなさい!」
一体どうしたと言うのだろうか。そこまで言われてしまえば中身が気になってしまうのだが...
「え''、中身見てないんですか?」
「見てませんよ。ていうかこの中一体何が入ってるんですか?」
「え?」
「え?」
.............................................................................................。
「.....中身、見てないんですよね?」
「見てねぇッスよ。他人のモノの中身見るわけにはいかねぇッスし」
「本当に見てないんですよね?」
「だから、見てませんって。ちゃんと能力使って確かめてくださいよ」
「.....見てませんよね?」
「能力使っても信用なしですか!?」
まさかそこまで俺の信用は失われてしまっていたのか!?確かにここ最近さとり様と話す機会が少なくなってしまっているのも事実だが仕事はキチンとしているはずだ。
主におくうの荒事業の後処理とか後処理とか後処理とか後処理とか後処理とか後処理とか!
「べ、別にそんなんじゃないんです!だから、お願いですからそんなに気にしないでください!」
気がつけば俺は三角座りをしてしまっていたようだ、惨めだ。
「それで、結局その中身って何なんですか?わざわざ紫の奴を頼ってまで仕入れるほどの貴重の品なんですよね?」
俺がさとり様に質問するとさとり様はドキン!という効果音と一緒に体をビクン!と動かしプルプルと体を震わせる。
質問しただけなのに何だか地雷を踏んでしまったような感覚でいっぱいだった。
「た、確かに貴重な品です。この幻想郷では手に入りにくいほどの、それはもう」
「ということは外の世界のモノですか?」
「そ、そうですよ。こちらよりもあちらの方がこういう文化は発展していると聞いたので」
「う〜む、益々中身が気になる」
「も、もういいじゃないですか、ね!そこまで気にするようなことじゃありませんから、ねッ!」
「は、はい」
俺はさとり様の威圧に耐えきれなく肯定してしまった。彼女の目は語っていた、これ以上何も聞くな、と。
そうして俺はさとり様の部屋を後にした。
※
数時間後...
(.....やはり恥ずかしい)
私は蒼蔦さんが部屋を出た後にダンボールの中を取り出して間違ってないか確認をして、早速試着してみました。
そう、レミリアさんに勧められて買ったゴスロリと呼ばれる服を。
紫さんに発注を頼んでみたら一発オーケーを貰い、本日届いて着てみたのですがやはり恥ずかしいです。
こんな服で人前に出てる人は本当に凄いと思います。
私は鏡の前で恥ずかしがっている自分の姿に更に恥ずかしくなってしまい、そろそろ着替えようと服を脱ぎ始め
「さとり様ー、そろそろ晩飯ですよー...」
見られてしまった、私が一番見られたくなかった人に!
一方、蒼蔦視点では。
え、何コレ?どういう状況??
さとり様はどこから調達したかわからない普段着ないような黒いゴスロリ服を着て鏡の前で立っていた、ていうかこの部屋鏡あったんだ。
俺は状況が読み込めずに立ちすくんでいるとさとり様がスペルカードを構えてこちらに向かって走ってくる、ん?スペルカード?
俺の意識はそこで途絶えた。
ちなみに翌日になってもこの日何故自分が気絶しており何をしていたのか一切思い出すことができなかった。
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